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JAL、フランスのダッソーと「JAL FALCONビジネスジェットサービス」を5月1日から発売

ダッソー最新鋭機「Falcon 8X」の内部も公開

2017年4月18日 発表

2017年5月1日9時30分 発売

羽田空港内にあるJAL M2格納庫において「JAL FALCONビジネスジェットサービス」の発表会を実施

 JAL(日本航空)は4月18日、フランスのダッソー・ファルコン・サービス(Dassault Falcon Service、以下DFS)と提携し、JALの定期便とDFSのビジネスジェットチャーターサービスを組み合わせた「JAL FALCONビジネスジェットサービス」を発表。合わせて、DFSの親会社であるダッソー・アビエーション(Dassault Aviation)が開発した最新のビジネスジェットである「Falcon 8X」も披露した。

 本サービスは、JAL便が到着するパリのシャルル・ド・ゴール空港から、DFSが発着に利用しているル・ブルジェ空港までリムジンサービスで送迎し、そこからビジネスジェットでオーダーに合わせて、ヨーロッパや中東、アフリカなどに飛び立てるというものだ。販売は5月1日9時30分より開始し、JAL便を利用している法人をターゲットに営業を行なっていくと説明した。

 ビジネスジェットを利用するうえで最大のメリットは、時間の節約とフレキシビリティな旅程を組めることにある。また、プライバシーを守りつつ、セキュリティチェックやパスポートチェックなどにかかる時間と手間も大幅に短縮することができるという。

ビジネスジェットを利用するメリットが説明されたスライド。このほか、利用客のみに限定されることから、テロやハイジャックの防止になるセキュリティの高さも紹介された

 今回JALが提携するDFSは、フランス航空機メーカーのダッソー・アビエーションの100%子会社であり、同社が製造するビジネスジェットを使ってチャーターサービスを展開する「ビジネスジェット・オペレーター」と呼ばれる企業だ。

 多くのビジネスジェット・オペレーターが自己所有ではなく、資産家や法人所有のビジネスジェットの空いている時間を有効活用するようにオペレートするのに対し、DFSは所有する9機を使った運航を展開しているため、より利用客の要望に応えられることがポイントとして紹介された。

DFSが拠点としているル・ブルジェ空港はシャルル・ド・ゴール空港から4kmという立地で(スライドでは10kmとなっているが訂正された)、アクセスも良好。ビジネスジェットの発着やパリ航空ショーの会場として使われている
DFSは9機のビジネスジェットを保有しており、ヨーロッパはもとより、世界各地への接続を可能としている。フライト時間は累計で10万時間を数え、年間フライト数も1000回に達するなど実績も豊富

 続いて、どのような層に今回のサービスを売り込んでいくかの説明が行なわれた。現状では、日本からヨーロッパや中東、アフリカ行きのファーストクラス/ビジネスクラスの需要は年間約80万人で、そのうちの約30万人は“オフライン地点”と呼ばれる、直行便では行けない場所が最終目的地になっている。

 この層を本サービスの「ビジネスジェット乗り継ぎ」のターゲットと見込んでいるとのことだった。実際にJALの抱える法人カスタマーのなかには、定期便で到着したあとにビジネスジェットで次の目的地に向かう乗客も一定数おり、まずはそこにアプローチしていくとも語っていた。

直行便では行けないオフライン地点が目的地の利用客がターゲット。既存の需要ではフランクフルト経由が多いが、パリ経由もニーズがある

 ターゲットがVIP層ということもあり、本サービスを利用することでパリまでの定期便の価格を割り引くといったことはせず、クオリティに注力するとしている。また、到着した現地においても、宿泊から食事、移動、観光といったさまざまな要望をジャルパックに依頼することで柔軟に対応できるとも話した。サービスの申し込みはJALの法人営業部の担当者が窓口になり、出発の1週間前まで受け付けるとのことだ。

サンプルとして紹介された2つのプラン。ヨーロッパは7人で1日周遊が約451万円。アフリカは7人4日間で約2480万円となっている。ジャルパックを利用することで、フライト以外の部分も細かな要望に応えられるとしている
パリ(シャルル・ド・ゴール空港)に到着してから、ビジネスジェットが飛び立つル・ブルジェ空港までの行程を紹介したスライド。スタッフが出迎え、入国審査も優先的に済ますことができ、リムジンで送迎と、すべてにおいてVIP待遇が約束されている

 JAL FALCONビジネスジェットサービスについての説明が終わったあとは、羽田空港内にあるJAL M2格納庫において発表会が行なわれた。

 まず最初にJAL代表取締役社長の植木義晴氏が登壇し、「本日発表した『JAL FALCONビジネスジェットサービス』は、時間を最大限有効活用するビジネス利用のお客さまにとって、大変利用価値の高いものと考えています。パリ以遠に関するビジネスジェットの手配についても、JALの販売窓口が当社の利用区間も含め一括手配を可能としてまして、乗り継ぎに関する煩雑な手続きが不要です。機内サービスもご要望に応えられる、きめ細かく対応できるサービスとなっています」と意気込みを語った。

日本航空株式会社 代表取締役社長の植木義晴氏

 続いて、ダッソー・アビエーションの民間航空機部門のシニア・バイス・プレジデントであるオリバー・ヴィラ氏が登壇した。「この新しいサービスにより、JALのお客さまはラグジュアリーでハイテクノロジなFalcon機材を利用できるうえ、従来以上に柔軟な対応が可能となり、より多くの価値を生みだせることが分かるでしょう。今回の件は、ビジネスジェットによる体験をしっかりと日本のマーケットに浸透させ、日本のハイエンドな利用者にFalconジェット機の普及を促進する絶好の機会と考えています。

 1963年に最初に発表した『Falcon 20』以来、2400台以上のFalcon機が販売・引き渡されています。Falconジェット機は安全性と飛行中の快適性、短距離と長距離における飛行効率や、民間航空機が離発着できない小さな飛行場での対応などが得意であることが知られています。JALとDFSの提携により、JALのお客さまは定期便が就航していないヨーロッパやアフリカの都市とシームレスに相互接続が可能です。

 ダッソー・アビエーションは日本の海上保安庁に機材を販売することで、すでに20年以上の実績があります。最近では最新鋭の『Falcon 2000LXS』を海上監視用の飛行機として追加で販売いたしました。Falconブランドが日本において信頼されていることを誇りに思います。新しいフラグシップである『Falcon 8X』は、最も先進的なデジタル飛行制御システムと客室音響が特徴であり、ビジネスにおける航空旅行の新しいベンチマークとなっています」と、今後ますます同社ブランドに対する認知度が向上することに期待している旨を語った。

ダッソー・アビエーション民間航空機部門シニア・バイス・プレジデントのオリバー・ヴィラ氏

 植木氏とオリバー・ヴィラ氏によるフォトセッションが行なわれたあとは、最新のビジネスジェットである「Falcon 8X」の内部が報道陣に公開された。Falcon 8Xはエンジンや機体を改良することでFalcon 7Xよりさらに航続距離が伸びており、東京~ニューヨーク、北京~ニューヨーク、パリ~シンガポール、サンパウロ~モスクワといった長距離飛行も可能としている。ちなみにDFSはこのFalcon 8Xをまだ所有していない。

Falcon 7Xを改良したFalcon 8X。最高速度はマッハ0.9で、航続距離は1万1945km
全長は24.46m、全幅は26.29m、高さは7.94m
機体ドアにタラップが取り付けてある
翼端はウィングレット形状になっている
エンジンはP&W製のPW307Dを3基搭載する
Falcon 8Xのコックピット
キャビンの様子。革張りのシートに光沢のある木材を多く用いたラグジュアリーな仕様。内装は30通りあるレイアウトから選んでオーダーできる
キャビンの最奥は洗面所になっている