東京メトロ(東京地下鉄)は、銀座線1000系に特別仕様車両を2編成投入、最初の1編成目が1月17日から運行を開始した。これまでの01系の置き換えとして1000系を順次投入していたが、特別仕様車両2編成が最後の投入編成ということで、通常とは違う楽しめる車両を目指した。2017年は銀座線開業90周年ということで、特別仕様車両を使ったイベント列車も検討中だ。報道公開の模様はこちらの記事も参照いただきたい。
基本的な車両のメカニズムは通常の量産車とまったく同一だが、座線の路線コンセプト「伝統×先端の融合」のうち、「伝統」を強調、開業当時に運行していた旧1000形をイメージした内外装に仕上げた。
ウインドシル、ウインドヘッダーを再現した外装
外装は、量産車と同じくシートによってイエローのカラーとしているが、旧1000形の登場当時の車両では必須だった補強板であるウインドシル、ウインドヘッダーをカラーシートの濃淡で再現。前照灯を1灯式に、尾灯形状の変更、外販塗装範囲の変更などで旧1000形に似せ、乗務員扉の握り棒や開閉ハンドル色を真鍮色にしている。
ウインドシル、ウインドヘッダーは実際にパネルを貼り付けて表現する方法も検討されたが、取り付けには車体に穴を開けなければならず、後々のメンテナンスに影響があるため実現しなかった。また、シートでリベットも表現するなど、さらに旧1000形に近づけようという意見もあったが、スッキリとした外見にするため、今回の仕様に落ち着いたという。なお、1000系のイエローの車体はシートによるもの。剥がせば01系のようなヘアラインのアルミ地の車体として利用することもできるという。
補強板のウインドシル、ウインドヘッダーの凸部をカラーシートの濃淡で表現した。シートは剥がすこともでき、アルミ地の車体とすることもできる 銀座線は台車に集電靴がつく第三軌条方式。このため、集電の左右を切り替える際に、電気が流れない瞬間があり、昔の車両は室内灯消灯と予備灯点灯が発生した 木目や真鍮を再現した室内
室内は木目調の内装とし、座席まわりやドア左右の手すりや貫通路のドア取っ手、点検の開口部の蝶番などが真鍮色となっている。本物の真鍮を使うことも検討されたが、衣服の汚れのおそれがあり採用されなかったという。
シートや床のカラーも旧1000形に合わせ、グリーンのシートに赤の床とした。窓枠など通常はアルミのシルバーとなっている分は濃い赤色の仕上げとし、こちらも旧1000形のイメージに近づけた。
吊り手は持ち手部分をリコ式風の形状とした。
木目調のパネルと真鍮色や濃い赤の仕上げで室内からシルバーは極力排除 車両両端の4人がけシート。一部には多目的スペースも用意 優先席はカラーを変えている。まだ、優先席などの表示は付けていない状態 製造者銘板は旧1000形のものを再現し、表示を現在のものとしたもの ドアの内側にもシルバーの部分がなく、木目調で仕上げられた 真鍮の色を再現した手すり。塗装によって表現している ドア上の情報ディスプレイ。表示内容は量産型1000系と同じ 情報ディスプレイの点検のための蝶番も真鍮カラー処理。その上の空調の吹き出しもカラー処理がされている リコ式風吊り手。残念ながら乗客に当たる可能性やメンテナンスの問題から本物のリコ式は非採用 吊り手のフレームだけシルバーのパーツが見えてしまっている 予備灯は室内灯が消灯したときに点灯する。地下鉄博物館の旧1000形のものを3Dスキャンして作成。なお、通常運行時には使用しないという 屋外の車両基地での予備灯点灯状態。地下区間ではさらに雰囲気が出るはず。ただし、予備灯の点灯はほんの一瞬だったので、それも再現されるはず 室内灯は通常時の4000Kやイベント用の電球色(2700K)で点灯させる調色機能がある、これは2700Kの状態。室内灯は直接照明で旧1000形のような関節照明ではない