ニュース

JR西日本の豪華寝台列車「瑞風」、「やわ、やわやわ」で先頭車両と中間車両を連結

先頭車両が完成し、試験運用のための組成を実施

2016年8月15日 実施

JR西日本 網干総合車両所宮原支所において4両の試験運用編成の組成を終えた豪華寝台列車「瑞風」。黒色のラッピングが施されている

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は8月15日、豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の先頭車両が完成したのに伴い、先頭車両と中間車両を連結し、試験運用可能な編成に組成する作業を報道公開した。

 組成が行なわれたのは、網干総合車両所宮原支所(大阪市淀川区)。宮原支所の庫1番線と庫2番線を使って作業が実施された。宮原支所の庫1番線には瑞風の中間車両である2号車と9号車があらかじめ置かれており、庫2番線へ完成したばかりの1号車と10号車の先頭車両同士の編成を入庫。そこで、1号車と10号車を切り離し、10号車を庫1番線へ移動。2号車と9号車の2両編成へ10号車を連結する。

 その後、2号車・9号車・10号車からなる3両編成を庫1番線から庫2番線へ移動し、1号車と連結すれば、1号車・2号車・9号車・10号車という両側に運転台を持つ4両編成が完成する。

 作業は16時45分から開始。およそ1時間で終了した。

宮原支所の庫1番線には、瑞風の中間車両が待機していた
庫2番線から新大阪方面を望む。新大阪方面から瑞風の先頭車両が入線してくる
入線前にポイントのチェック。手前左側が庫1番線、右側が庫2番線。庫2番線に入線してくるのが分かる
1号車と10号車の2両編成で入線。ディーゼル機関車DE10に押されて登場
1号車の展望デッキにはJR西日本のスタッフが乗り、無線でディーゼル機関車の運転手に指示を送る
黒色ラッピングされた瑞風の車体
1号車と10号車の連結部。これから切り離しを行なう
事前作業に時間はかかったものの、切り離し作業は一瞬で終わる
左が1号車、右が10号車
10号車の連結器。通勤電車などでよく使われている密着連結器を使用
庫2番線から出た10号車は、庫1番線へと入線
ラッピングされているが、展望窓の構成などは分かる
庫1番線へ入線した10号車は、2号車・9号車の編成と連結作業を行なう
3両編成となって引き出される瑞風
庫1番線から庫2番線へと移動する
「やわ、やわやわ」の指示で先頭車両と中間車両を連結する豪華寝台列車「瑞風」
4両編成となった瑞風は、庫2番線から庫1番線へと移動
DE10によって1番の車庫に押し込まれていく
この辺りでストップ。DE10と切り離された
反射板などを取り外す
黒色ラッピングだが、迫力のある面構えの瑞風

 今回登場した瑞風の車両はいずれも黒色のラッピングが施されており、トワイライトエクスプレスの伝統を受け継ぐという「瑞風グリーン」の車体色のお披露目は先になる。

 今後は黒色ラッピングされた4両編成の状態で試験運用を実施。瑞風が走行する路線を実際に走り、動作確認を行なっていくという。

 車両設計者である西日本旅客鉄道 車両部 車両設計室 課長 大森正樹氏は、「図面では何度も(先頭車両を)見ていたけれど、実際に完成した車両を見るのは初めて」と語り、試験運用を行なう4両編成の前でインタビューに答えた。とくに苦労した点としては、瑞風の特徴である展望デッキの設計が挙げられるという。現代の車両には展望デッキを持つものがほとんどなく、手すりなどは大変だったとのことだ。そのため、実際の営業運転の際には「展望デッキからの風をぜひ感じてほしい」と語ってくれた。

インタビューに答える、西日本旅客鉄道株式会社 車両部 車両設計室 課長 大森正樹氏
設計に苦労したという展望デッキまわり

 この豪華寝台列車の運行開始は2017年春を予定しており、完成時には10両編成の列車となる。JR西日本は瑞風の運行にあたり、運行路線にある城崎温泉駅や尾道駅の改修を発表しており、瑞風の登場により沿線風景は大きく変わっていくものと思われる。