ニュース

写真で見る、JR西日本 大阪環状線専用「323系」

内外装まで変化させた女性専用車や、混雑対応の8号車

2016年6月24日 公開

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は6月24日、近畿車輛において、大阪環状線の新型車両「323系」を公開した。こちらでは写真で323系を紹介する。

 お披露目会の様子はJR西日本、大阪環状線専用の新型車両「323系」を公開をご覧いただきたい。

ステンレス車体にオレンジの路線カラー、女性専用車だけピンク

 車両デザインはステンレスのシルバーの車体に、ドアまわりに路線カラーの「オレンジバーミリオン」を配置した。4号車は女性専用車となっており、オレンジではなくピンク色となっている。

 ドア配置は225系などと同じ1両あたり片側3扉で、フロントを含めて225系の最新仕様とは「色違い」と言えるほど似ているが、カラーリングを路線カラーのオレンジとなることで印象を異にしている。カラーは上半身に集中しており、将来、ホームドアが設置され、ホームドアで下半分を隠されたとしても、車両のカラーリングやドア位置が識別しやすい。

 走行メカニズムは先に登場した225系などと同様に「0.5M」方式を採用し、8両編成の全車が電動車。衝突安全対策も重視されており、前面衝撃吸収構造や側面衝突対策をとっている。

 なお、車両を撮影した際にしか関係ないことだが、最新の225系などと同様、速いシャター速度で撮影しても正面や側面の列車行き先や種別表示が縞になることなくきちんと写り込んだ。天候がわるいことと夕方の撮影だったため、あまり速いシャッター速度とはなっていないが、1/100~1/250秒のシャッター速度ではLEDの表示は乱れていない。

側面には路線カラーが入る
8号車 クモハ323-1
7号車 モハ322-1
4号車 モハ322-3 女性専用車
6号車から8号車
6号車から4号車
フロントの運転席には二重化したワイパーと中央扉にもワイパーがある
フロントスカート
形式表示
台車はボルスタレスタイプだが、高速走行を想定していないのかヨーダンパーなし。323系の最高運転速度は100km/h
パンタグラフはシングルアーム
行き先表示。列車種別と行き先や経由地、さらに号車番号まで表示する
環状線を意味する丸いマークは前面の貫通扉と、運転席扉の後にある
運転席からドアまで
側面の環状線の丸いマークは少し円形が欠けている
通常号車のドア
女性専用車のドア
左が通常車両、右が女性専用車。ドア左右のカラーリングのほか、昼間は分かりにくいが、車内の照明色の差がある

運転席はグラスコクピット

 計器盤にはアナログなメーターはなく、表示は液晶画面に集約、3枚の液晶画面となっている。計器画面は二重化しており、同じ表示も別々な表示も可能となっている。

323系の運転台
2枚の液晶画面に、運転に必要な電流計、空気圧計を表示。別々にすることも可能。信号や運行管理は右の画面
画面は左右で同じ表示にしたところ
運転席
右側のスペース。前後の長さも大きめにとってある
運転席スペース全体

液晶表示を多用した車内情報システム

 車内には液晶画面が多く配置されており、ドア上に路線案内と広告類の表示画面を2面設置しているほか、貫通路上部にも同様の2面の液晶がある。表示も4つの言語を採用する。

先頭車の運転台後ろにある案内画面。天井に防犯カメラを設置
車内ではWi-Fiを装備し、使い方の案内も英語でのみ表示
4つの言語で表示する。日本語、英語、中国語、韓国語の4つ
環状線らしく円形に駅を配置して到着案内。ちょうど大阪駅を出たところの内回り電車の表示と思われる
駅到着前の表示
駅の階段配置も画面で表示。ちなみにこの画面は、8号車に乗客が集中するという大阪駅。階段配置から言っても8号車に乗客が集中するのも無理はない

混雑を想定した8号車

 外回りでは先頭、内回りでは最後尾となる8号車。大阪駅の階段配置から8号車に乗客が集中する傾向があるため、8号車だけ仕様を変え、シート数を少なくして立ち席客が乗りやすくしたことが特徴。

 扉間のシートはほかの号車が10人掛けなのに対して8号車は8人掛け。そのぶん、ドアの左右のスペースが大きくなっている。ドア左右には立ち席の乗客を考慮して腰当てがある。適度な弾力があるので、寄りかかって前後の揺れから体を支えやすい。

 シートはドア横の席に大型袖仕切りを配置、板を斜めにすることで着席した人の肘や肩スペースを稼ぐとともに、ドア横に立つ人の寄りかかりやすさも改善。8号車はドア横スペースが大きいため、腰当てが装着された。

 8号車の優先席は運転台に近い両側4席、合計8席。ほかの号車が優先席が8号車側にあるため、8両すべての車両で優先席に近い場所で乗車するためには、8号車側、大阪駅で乗車の場合は天満駅側の扉から乗車すればよいことになる。

 また、優先席ほか、車いす・ベビーカースペースが各車に設けてある。8~2号車の場合は大阪駅で福島駅側の扉を入ったところ、1号車のみ反対の天満駅側となる。

8号車車内。優先席は運転台側にある
ドアの左右には腰当てがある
優先席には立ち上がりやすいよう仕切り兼用の手すりがある
優先席表示
ドア左右の腰当て
ドアの戸袋の引き込み防止の注意書き
8号車の8人掛けシート。大阪環状線という乗車時間が長くない路線用の車両だが、シートも厚みのあるもので硬すぎずクッション性は良好だ
8号車の車端にある3人掛けシート
各号車とも車いす、ベビーカースペースがある
室内照明は白色
アシストレバー付きの貫通扉
レバーはロックではなく、引くと白い突起が出てドアのスライドをサポートする

7号車(通常車両)

 通常車両は編成のなかの1~3号車、5~7号車。3つ扉で、扉間のシートは10人掛け。斜めになった大型袖仕切りやシート端の肘掛けは8号車とも共通だが、ドア横に立つ人の腰当ては装着していない。

7号車の車内、6号車側から8号車側を向いたところ
10人掛けシートは3-4-3人で区切られる
袖仕切りの斜め設置は各車共通
肘掛けにもなっているほか、万一の際、車両に前後の衝撃がかかった場合でも、頭を支えることもできる
ドア横に立つ人の立ち席スペースが狭くなったようにも感じるが、斜めになっていることで、寄りかかった場合のフィット感が向上している
ドア。上部には液晶画面が2面ある
10人掛けシートのロールカーテン。約2mの大型タイプだが、スムースに上げ下ろしができる
ガラスを下げて空気の入れ替えができる窓がある
車端部には非常通報装置やドアコック(非常時にドアを開く操作レバー)、非常灯がある
冷房は中央に一列となっている
空気清浄装置も設置してあり、青白い光を放っている
貫通路経由の女性専用車への入り口

入った瞬間に違いの分かる女性専用車

 女性専用車は、車内に入ると照明が電球色なのですぐに違いを感じ取ることができる。シートなどはほかの号車と共通だが、照明とピンク色のラインシールなどでまったく違った雰囲気を演出している。

女性専用車だけほかの号車とは照明が変わっている
女性専用車の表示
荷棚にもピンクのライン
ドア上のもピンク色のラインが入る
照明だけでここまで雰囲気が変わる