旅レポ

JALの「どこかにマイル」でどこかに一人旅(前編)

羽田から6000マイルでどこかに往復できる特典航空券

 JAL(日本航空)が開始した、マイルを使った新たな特典航空券「どこかにマイル」。従来の特典航空券は、JMB(JALマイレージバンク)会員が自分で行きたいところを選び、空きのある日程で旅行に行くという仕組みだったのに対して、この「どこかにマイル」は、行き先はJALとNRI(野村総合研究所)が共同開発したシステムが決めるというユニークな仕組み。つまりマイレージ特典旅行版“ミステリーツアー”的な位置づけとなり、話題を集めている。

 申し込み自体は12月12日 11時から始まっており、JMBの会員である筆者も初日に申し込んで早速旅行を体験してきた。

たまにはプラッと人任せで旅先を決めるのもいいかも……

「どこかにマイル」のシステムは非常にシンプルだ。行き先はマイレージ会員が自分で決められない代わりに、特典航空券を発券するマイル数が低く抑えられている。たとえばJMB会員の場合、通常期の国内線往復は1万2000マイル、1万5000マイル、2万マイルという3つの区間が設定されている。東京からであれば大阪、名古屋、秋田、山形、小松(JALの区分だとA区間)は1万2000マイル、久米島、宮古、石垣(同、C区間)は2万マイル、それ以外(同、B区間)は1万5000マイルという設定。

 行き先次第だが、最低でも1万2000マイル必要になる特典航空券の発券が6000マイルで済む(但し、従来の特典航空券と異なり、便の変更などはできない)のだから、コストパフォーマンスの高い旅を求めているマイレージ会員には見逃せない条件となっている。

 とはいえ、少ないマイルで発券できるが故に、制約がいくつかある。1つには申し込みをしても、行き先がすぐに確定しないということだ。申し込み時には、4つの行き先が提示され、その“どこかに”行くこととなる。6000マイルで往復の特典航空券がなぜ発券できるのかという背景には、おそらくさほど搭乗率が高くない路線やフライトが選ばれている可能性が高い。エアラインにとって空気を飛ばすぐらいなら、誰かに乗ってもらった方がいいに越したことはない。

 また、通常の特典航空券だと1万2000マイル必要だが、その半分の6000マイルだとすでにマイルのたまっているJMB会員も多いため、より多くの人がマイルを使う機会が増え、それが搭乗率向上にもつながってくる。利用者にとっては、行き先が4つのいずれかとはなるものの、通常の半分以下で特典航空券が発券されるためわるくない取り引きだと言える。このプログラムを考えた人は頭がよいなというのが筆者の正直な感想だ。

 では、「旅先を選べないことはデメリットなのか?」といえば筆者はそうではないと思う。人間というのは元々が保守的な生き物であり、旅行は1度行ったところや人から話を聞いて興味を持ったところに行くというのが多いのではないだろうか。

 しかし、新しい旅先にこそ、何かの新しい発見があるかもしれない。そうした新しい行き先をJALと共同開発したNRI(野村総合研究所)が決めてくれる、そう考えれば、これはこれで“アリ”なのではないだろうか。

筆者の場合、「どこかにマイル」が表示した候補地は4カ所。鹿児島、函館、長崎、徳島

サービス開始初日に「どこかにマイル」を申し込んでみた。筆者の結果は、鹿児島、函館、長崎、徳島。いずれも行ったことのない場所だった

 サービス開始初日に「どこかにマイル」で、朝の時間帯で東京からどこかへ行き、夜に東京に帰ってくるというスケジュールで申し込んだところ、12月19日(月)に、4つの目的地が表示された。それが鹿児島、函館、長崎、徳島だ。なお、東京からこの4つの目的地はJMBの区分で区間Bに該当しており、通常は1万5000マイルの場所に相当する。それが6000マイルで申し込めるのだから、1万2000マイルの目的地が表示されるよりもお得感は強い。

引き落としは6000マイル。旅行可能なスケジュールであるのかなどを確認しておこう
申し込み後も、メールで送られてくる申し込み番号で申し込み内容の確認などを行なえる

 筆者的にはこの4つの目的地、実はどこも行ったことがなく、どこが来てもウェルカムという感じだが、なかでも鹿児島、函館、徳島が当たるといいなと思った。なぜかというと、筆者の趣味は歴史に関する書籍を読むことなどで、時間さえあればそうした書籍を片っ端から読んでいる。戦国時代から江戸時代までの城郭を巡るのが割と好きで、この鹿児島、函館、徳島であれば、いずれもそこにある城郭にいったことがなかったからだ。

 鹿児島は幕末の舞台でもある鹿児島城、函館は戊辰戦争時の最後の戦地となった五稜郭があるのはよく知られている。それに対して徳島はややマイナーではあるが、徳島城は阿波国の国持ち大名だった蜂須賀氏(太閤記にも登場するあの蜂須賀小六正勝の子孫だ)の居城で、ここにも1度は行ってみたいと思っていたのだ。もちろん、長崎も城郭こそないが、江戸時代の出島の跡地などもあり、ここも史跡巡りはなかなか楽しそうだ。そう考えていくとどこが当たってもいいかなと思ったのだ。

目的地が決定したことを通知するJALからのメール

 このため、そのまま申し込みを進めて、表示されている手順に従って、マイルの引き落としを行ない、搭乗便の通知を待つだけにしておいた。申し込みは12月12日にしたが、抽選の結果のメールが来たのは3日後の12月15日、その結果は……。

以下、後編でお届けする。

笠原一輝