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「CEATEC JAPAN 2016」で展示された未来の旅を感じるテクノロジ(1)

日立、ホンダ、三菱電機、NTTの展示を紹介

2016年10月4日~7日 開催

CEATEC JAPAN 2016の日立製作所ブース

 幕張メッセで「CEATEC JAPAN 2016」が10月4~7日に開催されている。2015年までは「IT・エレクトロニクスの総合展示会」だったのが、「つながる社会、共創する未来」をテーマにした「CPS(Cyber Physical System)/IoT EXHIBITION」へと生まれ変わった。コンシューマー向けではなく企業間(B to B)取引向けの技術やパーツなどの展示が多くなっている。そのため、個人で旅行をするために便利なサービスやモノの展示は少ないが、近い将来の旅行のあり方を予見する技術や、普段見られない車両のパーツなどを垣間見ることができる。

 CEATEC JAPAN 2016内でのトラベル関連展示をレポートしていく。

4年ぶりの出展となる日立製作所で次世代パーソナルモビリティ「ROPITS」

 BtoB展示が中心になり、4年ぶりに出展した日立製作所では、IoT関連の展示やステージで展示したが、そのなかで「快適な移動」ゾーンにある次世代パーソナルモビリティ「ROPITS」が目をひいた。

 この電動のモビリティは、2011年から「つくばモビリティロボット実験特区」で着座型のモビリティロボットとして、公道実証実験も行なっている。そのためナンバーも取得されていた。

 GPSとレーザー距離センサーとステレオカメラを装備し、正確な自分の位置と走行可能な領域、衝突回避などを行ない、自律走行をする。ネット上から任意の指定場所へ呼び出し、自律走行で目的地へ移動、その後、指定場所に戻ってくるといったことができる。基本的に歩道走行に対応していて、アクティブサスによりある程度の障害物を安定して乗り越える。自動のみではなく手動運転も可能。座ったときの高さがちょうど立っている人と同じ程度になっていて、会話がしやすいという工夫もされている。

 都市内のさまざまな交通や物流などへ適用が考えられるが、特定地域のオススメ観光ポイントを自動で巡るといった使い方や、自動運転タクシー、狭い範囲でのレンタカーのような利用も考えられ、観光産業にも影響を与えそうだ。

日立製作所で展示された次世代パーソナルモビリティ「ROPITS」
運転席付近。自動だけでなく、操縦桿を操作して手動での運転も可能
乗り込みは前方が開く
ドアを全開したところ
公道を走るためのナンバーも取得
屋根の上には、GPSと環境認識用の2次元レーザー距離センサー
前方に取り付けられた環境認識用の回転型3次元レーザー距離センサー。動作時には振り子のように3次元回転する
後方にも監視用レーザー距離センサー
ROPITSの解説パネル
動画による実証実験の様子など、実際に動作中の解説。画面は障害物を自動で避けている
アクティブサスで姿勢を制御する
呼び出し位置を指定している画面
呼び出し用の端末例

ホンダはマイクロEV「MC-β」のカスタマイズモデル

 ホンダ(本田技研工業)ブースでも、小型モビリティを展示している。こちらは、3Dプリンタを駆使したオリジナルカスタマイズを提案。鳩サブレーで有名な鎌倉の豊島屋向けのオリジナルカスタマス車両を展示していた。

 ベース車両はマイクロEV「MC-β」こちらは2013年から熊本県、さいたま市、宮古島市で実証実験を行なった。また、「Honda Biz LINC」という、小型車を使った配達を考えた住宅地図レベルでの細道ルート案内や、リアルタイム状況把握のツールも併せて提案していた。

ホンダブース。鎌倉をイメージした和風な作り
豊島屋向けのオリジナルカスタマス小型モビリティ
荷物を出し入れいやすい作り
運転席周辺。Honda Biz LINC表示用のiPadが置ける台がある
ベース車両はマイクロEV「MC-β」
3Dプリンタの例
3Dプリンタで造形したパーツ
日本最大級の3Dプリンタで制作した豊島屋モデルのオリジナルフロントグリル
解説パネル
Honda Biz LINCの展示コーナー
実際のナビゲーション画面

三菱電機の鉄道トータルエネルギーソリューション

 三菱電機ブース内では、鉄道トータルエネルギーソリューションのパネル展示解説があった。これは、

  • 列車における車両エネルギー管理の「TEMS(Train Energy Management System)」
  • 駅における駅エネルギー管理の「SEMS(Station Energy Management System)」
  • 車両基地における車両基地エネルギー管理の「FEMS(Factory Energy Management System)」
  • 路線全体を対象とした路線エネルギー管理の「REMS(Railway Energy Management System)」

の4分野を定義し、高効率化を推進して鉄道システム全体のエネルギー最適化を目指している。分かりやすい例としては、REMSでの電車のブレーキ時に起きる回生電力を蓄電して(ハイブリッドカーなどの動作と同じ)、駅構内の照明などに使うなどがある。

鉄道トータルエネルギーソリューションのパネル展示コーナー
鉄道トータルエネルギーソリューションの概要
鉄道トータルエネルギーソリューションの4定義について詳細解説
電車ブレーキ時の回生電力を蓄電し、駅構内の照明などに使うイメージ動画

NTTグループでは都市交通でさまざまな実証実験を展示

 NTTグループのブースでは、ジャンル別に取り組みを紹介したコーナーを展示。そのなかの「シティ」コーナーでは、AIを使ったタクシー配車やスマートパーキングシステムなどの展示があった。

 人工知能を活用したリアルタイム移動需要予測技術は、ホリデーシーズンに観光地への移動なども予測、活用できる。展示はタクシー配車の実証実験だが、渋滞予測、バスや電車の利用予測などにも利用が考えられるだろう。また、スマートパーキングは駐車だけでなく、コインロッカーや座席指定などへの応用も考えられる。

NTTグループのブース
「シティ」コーナー
人工知能を活用したリアルタイム移動需要予測技術を用いたタクシー実証実験のデモと解説パネル
実際に予測を表示している様子。この画面が各タクシーに表示される。赤い部分が30分後に高重要が予測される
IoT機器「docomoスマートパーキングシステム」の解説パネル
設置されるパーキングセンサー。センサー機能と通信モジュール、5年運用のバッテリを内蔵。設置コストが抑えられる
利用者は空き情報をスマホでリアルタイムに確認できる。利用料は1分単位でオンライン決済
高信頼大規模分散交通シミュレーションによる渋滞予測と信号制御の解説パネル。カーナビとスマホからのGPS情報と監視カメラから得られる情報を元に、交通渋滞を予測し信号を高度に制御する