トラベルアプリレビュー

日々の移動ルートと訪問先スポットを、写真とともにタイムライン表示できる

「SilentLog」

アプリ名:
SilentLog
開発者:
レイ・フロンティア株式会社
価格:
無料(2016年1月20日時点)
対応OS:
iOS 8.0以降

「SilentLog」は、GPS情報などを元に日々の移動ルートと訪問先のスポットを記録し、あとから振り返ることを可能にしてくれるアプリだ。記録した行動履歴は地図上で確認できるほか、出先で撮影した写真もあわせて表示されるので、旅行時に使用すれば手間を掛けずに写真入りの行動記録を残せる。原稿執筆時点での最新バージョンは「2.4.0」。

 本アプリは前回紹介した「Moves」とよく似たライフログ系のアプリだが、Movesは徒歩とジョギングを別々に記録するなどヘルスケアの色合いがやや強かったのに比べて、本アプリは移動手段の種別は「滞在」「乗り物」「徒歩」の3つに限られ、その代わりに当日撮影した写真を参照する機能を備えるなど、1日の行動全体のダイジェストを記録し、あとから思い出せるようにするというニュアンスが強い。

 本アプリでは、移動および滞在の記録が円に囲まれ、それらが上から下に連なって表示される。例えばA地点からB地点に移動する場合は、A地点を示す円、A地点からB地点への移動手段の円、B地点を示す円、この3つの円が連なって表示される。

 使い方は簡単で、アプリを起動しておくだけ。あとは1日の行動履歴が自動的に記録される。もしアプリが強制終了したら、それを知らせるポップアップが表示されるので、記録していたつもりがうっかりオフになっていたという失敗もまずない。

ホーム画面。移動距離、時間、歩数がそれぞれ表示される
画面を下にスクロールしていくと、その日の行動記録が時系列に表示される。このあたりの仕組みは前回紹介した「Moves」とよく似ている
それぞれの区間をタップすると地図上で詳細な移動ルートが見られる。バッテリ節約モードにしているせいか、移動ルートの精度はそれほど高くはないが、実用上は十分だろう
日時およびGPS情報が一致する写真をカメラロールから読み出して表示する機能を備える
過去のデータはカレンダーから素早く呼び出せる。ちなみにApple Watchのアプリも用意されており、そちらからも現在や過去の記録を参照できる

タイムラインに写真を読み込めるので当日の記憶を思い起こしやすい

 今回は、前回の「Moves」で振り返ったのと同じ日の行動を、本アプリであらためて振り返る。具体的には、夕方に新宿を発って神奈川県海老名市に立ち寄ったのち、静岡市まで移動して投宿するというものだ。ただし新宿駅から海老名駅までは、小田急線で真っ直ぐ向かうはずが誤って藤沢行きの電車に乗車し、途中でUターン。大和駅で相鉄本線に乗り換えて海老名駅に移動するというルートを辿っている。

 前述のように本アプリでは、移動および滞在の記録が円に囲まれ、それらが上から下に連なって表示されるわけだが、アプリの記録を見ると、前回のMovesとは記録内容も微妙に違っている。例えばMovesでは、正規の乗車ルートと、Uターンして大和駅まで引き返したルートを別々に記録していたが、本アプリではUターン後に大和駅で乗り換えるまでを1つのルートとして記録している。このあたり、やや解釈が異なる部分もあるようだ。

 もっとも、海老名駅に着いてから「海老名市立中央図書館」と「飲食店」という2つのスポットを徒歩で巡り、そこから駅に戻って静岡駅に移動するまで、記録されているルートは同一だ。区切りの時間がやや異なるのは、スポットに着くまでの徒歩移動と、スポット内で歩きまわっているのを区別できていないものと思われる。

カレンダーから日付を選択すると移動距離、時間、歩数がそれぞれ表示される。下に向かってスクロールしてみよう
16時52分から18時40分まで乗り物で移動し、その後4分ほど中間地点に滞在して、あらためて18時44分から53分まで別の乗り物で移動していることが分かる。これは新宿からいったん藤沢方面に向かってから間違いに気付いて折り返し、相鉄本線に乗り換える大和駅で4分間滞在したことを表している
地図で見るとルートも一目瞭然。ただしスポットに名前は付けられておらず、ズームすれば地図上の名称でようやく分かるといった程度
18時53分から19時11分にかけて徒歩で移動し、目的地で19時19分まで滞在したことが記録されている。ちなみにこれは海老名駅から徒歩で海老名市立中央図書館まで移動したもの
海老名駅での降車後、海老名市立中央図書館に向かい、そのあと飲食店に移動したのち、駅に戻るまでの徒歩ルートも記録されている。滞在した地点にはそれを示す黒いアイコンが付けられている

 ただし大きく異なるのが、移動手段およびスポットの記録だ。Movesでは、交通機関を用いての移動は「交通機関」という名称で記録され、あとで必要に応じて手動で「電車」「車」「飛行機」などへの書き換えが可能だったほか、スポットについてもリスト表示される周辺スポット一覧のなかから選択できた。これにより、テキスト情報だけでも移動ルートを振り返ることができた。

 これに対して本アプリは、移動手段およびスポットの名称を書き換えることはできず、あくまで地図と重ね合わせて見るという使い方になる。地図をズームすれば「電車の路線に沿って移動していることからして、この時は電車移動だったんだな」とか、「地図で見る限り立ち寄ったスポットはここだったんだな」と判定することは可能だが、記憶が確かなうちに明示的に選択して保存しておくといったことはできない。

 しかし本アプリは、訪問先の記憶を呼び覚ますための、強力な機能が備わっている。それはカメラロール内に保存されている写真を、GPS情報および撮影時間とマッチングさせ、タイムラインに表示してくれる機能だ。例えば今回の例であれば、飲食店で撮影したメニューの写真や、静岡駅に到着したあと投宿したホテルの室内を撮った写真などがタイムラインに表示されるので、これによって当日の記憶を鮮明に思い出すことができるというわけだ。

再び海老名駅から電車に乗り、静岡駅まで移動。このルートは小田原駅などの乗り換え駅で区切られて記録されている
宿泊先のホテルの座標が(ややずれているが)記録されている。日をまたぐ場合は時間は23時59分まで滞在したことになるようだ
カメラロールにある写真(撮影日時およびGPS情報が一致するもの)を呼び出して表示できるのは本アプリの大きな特徴。なおリンクを貼っているだけなので、カメラロールから削除すると表示されなくなる

バックアップ機能は無料で提供。プレミアムチケット購入でさらに機能アップ

 このほか本アプリでは、iCloudおよびクラウドにデータをバックアップする機能を備えており、端末の故障や買い替えによってデータが失われる心配もない。またプレミアムチケットを購入することで、1日のタイムラインをアニメーション表示したりヒートマップで見られるダッシュボード機能や、パスコードロックなどを利用できるようになるなど、長く安全に使い続けるための機能が豊富に取り揃えられている。

 さらに最新バージョンの2.4.0からはバッテリの消費量を抑える機能も追加されるなど、ユーザーフレンドリーな開発方針も好印象だ。旅行記録も含め、日頃から行動を記録するためのアプリを探している人には、一押しと言ってよいアプリだ。

クラウドへのバックアップはアカウントを作ってログインすれば無料で利用できる
プレミアムチケットを購入することで1日のまとめを見られるようになる。価格は30日240円から
最新バージョンの2.4.0からはバッテリの消費量を抑える機能も追加された。ただしGPSの精度はやや下がるので注意

(山口真弘)