車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

埼玉・秩父公園橋のすぐ下! 牛舎を再生したユニークで緑豊かなRVパークに泊まってみた

コントラッド 秩父公園橋 RVパーク

牛舎を再生して作られた「コントラッド 秩父公園橋 RVパーク」。古道具を取り入れた装備など含めて、運営者のこだわりが感じられる

 東京から2時間圏内の埼玉県秩父市。周辺を山に囲まれた緑豊かな地域であり、歴史的にも見どころが多い。代表的なものでは、奈良時代から和銅の産地として栄えていたことから、和銅遺跡がある。鎌倉時代には霊場をめぐる34か所の秩父札所が形成され、江戸時代には庶民の巡礼も始まったと言われる。現在もパワースポットとして人気が高く、多くの人が訪れている。

「コントラッド 秩父公園橋 RVパーク」(埼玉県秩父市中村町4-5-36)は、秩父鉄道の秩父駅からまっすぐ伸びる県道208号の「秩父公園橋」の下にある。

 橋を渡った先は「埼玉トヨペット秩父グリーンミューズパーク(旧秩父ミューズパーク)」で、秩父公園橋の下を流れるのは荒川上流域。このさらに上流には秩父のジオパークに指定されていて、東京都の水源でもある浦山ダムがある。

施設まわりのロケーションはこんな感じ。写真の中央、橋の下に見える屋根がコントラッド
「コントラッド 秩父公園橋 RVパーク」代表 大渕隆幸氏
「CONTRAD(コントラッド)」とは、秩父の歴史あるものをつなげていこうという想いを込めて「CONNECT」と「TRADITIONAL」を組み合わせた造語
施設の横を流れる荒川。写真中央右寄りにあるのがコントラッド。写真の向きと逆にある橋脚に下には川遊びができる河原がある
先には「秩父ファームステイ」というキャンプ場があり、コントラッド利用時にはここのシャワールームなどが使用できる

元牛舎を使った個性的な駐車スペース

 施設の特徴は駐車スペースが屋根付きであること。鉄柱で組まれた建物には既視感を持つ人もいるだろうが、こちらの建物は畜産で使用していた牛舎で、前のオーナーが事業を終了してからしばらく使われていなかったが、地元の発展に力を注いでいる大渕氏が、アウトドア施設として再利用するために施設を引き継ぐことになった。

 牛を飼育していた場所だけに、当初は独特の汚れがあったり、さまざまな道具が残されたりしていたが、1年ほどを費やして設備を整えて、ようやく建物と敷地の特徴を活かしたアウトドア宿泊施設としてオープン。その1部がRVパークとして登録され、6月から稼働を開始している。

畜産で使っていた牛舎を再利用したユニークなRVパーク。牛舎自体、一般的にまず立ち入ることがない施設なので、その作りを観察するといろいろおもしろかったりする
RVパークスペースの横には餌台や作業通路も残る。1年かけて清掃と片付けをしているので、現在は匂いなどは一切感じることがない

 RVパークのスペースを紹介しよう。牛舎の支柱位置を基準にすると8台分の区画を取れるところ、過ごしやすさを重視して、2台分を1区画に設定。サイズは。天井高は約4mあるので、大型のキャンピングカーでも余裕で停めることが可能。

 建物の床は表面を波状に仕上げたコンクリート敷き。変わった仕上げだが、これは牛が足を滑らせないための工夫で、滑り止めが効いているため、人間の活動にも物を置くにも適している。コンクリート敷き部分は平らで、クルマは傾きがない状態で駐車することができる。

 建物のなかに同様の区画は4つあるが、RVパークとして使用しているのは2つで、残りの2つは屋根下に大型ワンポールテントを建てられるテントサイトになる。

 屋根のある場所でのテント泊は天候に左右されず、日差しも避けられるため、テント泊と車中泊をミックスした新しいスタイルとして、アウトドアレジャーに慣れた人にも興味を持たれているそうだ。

 1泊/1台の利用料金は平日が5500円、土日と祝前日、連休、長期休暇期間が8000円。この料金に電源使用料(20A)、ごみ回収料、ガーデンテーブル&ベンチ利用料などを含んでいる。

 予約はWebサイト)または電話、メールに対応。テント付きサイトはキャンプ場予約サイトの「なっぷ)を参照していただきたい。

施設の全体図。RVパークとして運用しているのはD1区画とD2区画。図にある炊事場も利用可能
D1区画。約8×13m(幅×奥行き)で、駐車スペースの途中に段差があるものの、大抵の車種であれば段からはみ出すことはない
D1スペースの段の上の部分。中央に柱があるので、駐車スペースと食事スペースが自然と分かれる
段の上の駐車スペースも長さは十分(参考:N-VANの全長は3395mm)。床は牛舎のときのままで、表面は牛が足を滑らせないように波状
D2スペース。隣のスペースに対してクルマを壁代わりに停めるよう、テーブルを配置している
D2とD1のサイズおよび設備はまったく同じ
スペース内に冷蔵庫がある。ありがたい設備だ。施設へくる途中に大型スーパーとドラッグストアがあるので買い物にも便利。施設から歩いて10分ぐらいの距離なので、到着してからの買い物もできる
常備しているテーブルとベンチ。どちらも木製のしっかりしたもの
スペースには目隠しになるスクリーンもある。天井があるので話し声は場内に響きやすい
それぞれのスペースに電源はあり容量は20A。分配ソケットがついた延長コードも置いてある
利用前にはこの書類に記入する
こちらがワンポールテント付きのサイトで、2区画ある(RVパークではない)。テントサイトの詳細や予約はキャンプ場予約サイトの「なっぷ」を参照

RVパークの付帯設備

 RVパークから施設の奥に歩いて行くと、大きな倉庫を改装した別棟があり、そのなかにトイレと炊事場、それにリビングスペースを設けている。入ってすぐ左側にトイレ。個室は3つあり、男性専用が1つ、女性専用が1つ、男女兼用が1つとなっている。

 そして炊事場だが、ここはこれまで訪れたRVパークのなかで最も設備が充実していた。

 お湯も使えるシンクは4つ、洗剤なども常備している。調理テーブルやカセットガスコンロがあって、さらに大型冷蔵庫まで用意している。冷蔵庫は各区画ごとに使える棚が割り当ててあり、別途料金は発生しない。

 そのほかに古いタンスを再利用した道具入れがあり、なかにはレンタル用の調理器具や食器類などがあって、こちらも自由に使うことができる。

 炊事場スペースは「イベントスペース」とも呼ばれていて、置いてあるテーブルで食事をすることも可能だが注意事項もある。

 RVパーク利用者用に設定しているのは入り口手前の丸テーブルまでで、奥はログハウスの利用者専用。また、このスペース内でバーベキューなど炭や焚き火を使う調理もNGとなっている。

RVパークスペースの奥は人工芝を敷いた遊び場(バトミントンコートなど)やハンモックを置いたリラックススペース
通路を歩いていくとこのような案内板がある。先に炊事場などがある
右側の建物に炊事場やトイレがある。左側はログハウス
トイレは男性用、女性用がそれぞれ1つずつ。男女共用が1つ。トイレは隣のキャンプ場のものも使用することができる
男性用トイレの内部。温水洗浄便座付きで部屋もきれいに清掃されていた
設備が整った炊事場。右には業務用の冷蔵庫。左のタンスは利用者が使用できる調理道具や食器類が入っている
このようなシンクが4つある。どれも温水が出る
電子レンジも置いてあった
業務用冷蔵庫は施設利用者のスペースごとに棚を割り当ててある
共有の棚にはグラスが冷やしてあった
古道具のタンスを食器棚として利用。調理器具や食器類は無料で使用できるが、使用後はきれいに洗おう
食器棚の横には製氷機がある。これも使用できる
炊事場は食事や休憩のできるようにテーブルが置いてある。ただし、奥のスペースはログハウス利用者専用
丸テーブルがRVパーク利用者向け。後ろに見えるバーベキューグリルはログハウス利用者専用
炊事場と牛舎の間にこのようなスペースもあり、置いてある家具や小物はすべて古物なので、売り場のように見えるが休憩所として使える。焚き火用の薪などはここで販売している
趣のあるダイニングセットが置いてあった。こうしたスペースを用意しているのが、この施設のもう一つの特徴
薪の販売。薪用の入れ物としてかなり古い年代の「水桶」も使われている
喫煙所も洒落ている。雰囲気、風通しともによく、長居ができそうな場所だ
旅の記念になるようにとおみくじを置いている
子供向けのミニサッカーコートまで用意してあった
荒川沿いにはこのようなくつろぎスペースを用意している。これもRVパーク利用者が使うことができる
回収してきた滑り台がオブジェ的に置いてあった
未舗装部分が雨の日でも水が溜まったり、ぬかるんだりしないように対策している
施設の裏側の通路も、このようにきちんと整備されていた
RVパークの敷地内にはシャワールームはないが、隣接するキャンプ場「秩父ファームステイ」内の管理棟のなかにあるシャワー室が利用できる。歩いて2~3分
シャワールームは男女別で、それぞれ2つのブースがある。利用時間は7時~10時と15時~22時。なお、近隣に「西武秩父駅前温泉 祭の湯」という温浴施設もある
キャンプ場にはカフェもある。こちらも利用できる
カフェは飲み物のほかに、ピザやジェラートなどを扱う。地元の食材を取り入れているメニューもあるそうだ
せっかくなのでログハウスも見学させてもらった。こちらの予約はAirbnbで受け付けており、1棟1泊3万4200円(取材日時点)。グループやファミリーで泊まるとお得かも
1992年に牛舎の管理棟として建築。2023年にリフォームしている。トイレやシャワーも完備
就寝スペースは1階に広い和室がある
2階のロフト部分も就寝スペースとして使用できる

D1スペースに泊まってみた

 今回はD1スペースを利用させてもらった。十分過ぎるほど広く、大きなテーブルのほかにランタンスタンドとバッテリー式のランタン、電源からの延長コード、それに冷蔵庫も用意されているので、持参したテーブルやランタン、スタンド、屋外照明などの道具を使わないで済んでしまった。これだけのものが用意してあるRVパークは、これまでで初めてである。

クルマを入れた状態。真んなかの柱にはスイッチでオンオフできる照明がついてるので、夜間はこれを点灯したままにした
テーブルは4人で使えるサイズなので広々。スチール缶を使ったゴミ箱も設置してある。冷蔵庫も持っていったが使う必要はなかった

 屋根がある分、太陽が傾いてくるとスペース内は暗くなるのが早いが、入り口と奥には天井照明があるので、つけると十分に明るくなる。現状はどちらも利用者が手動でスイッチを操作する。つけるときはよいとしても、消灯時間に消すのを忘れないようにしたい。

 ちなみに入り口付近は蛍光灯で、スペースの後ろの「元餌台」上にあるのは水銀灯だ。

 蛍光灯に比べて水銀灯は紫外線を多く出しているので、夜間つけておくとそちらに虫が集まってくれて、テーブルの横のLEDランタンにはほとんど虫が寄ってこなかった。虫の多い季節の夜間は虫対策としても水銀灯は使えそうだ。

正面の蛍光灯と奥の水銀灯をつけた状態。柱のランプやLEDランタンもあるので、夜は十分に明るい
水銀灯は紫外線を多く出すので虫が寄ってきやすい。その特性を利用するとテーブルまわりの虫よけになる

 秩父公園橋の下なので、車両の走行音がどのような感じになるのか気になったが、基本的に音は上に抜けるので想像よりも静か。通常のクルマの走行音はほとんど気にならなかった。なるほど。

 ただ、改造車のような音の大きい車両が通過すると、まわりの山に反射してその音が聞こえてくる。それでも、距離があるのでうるさいと感じるほどではない。そのほか、まわりに音を出すような施設がないので、夜は基本的に静かな環境である。

 朝も屋根があるため必要以上に明るくなることがなく、ゆっくり寝ることもできた。車外に出たときに日差しを受けないのもありがたかった。基本的に屋根のないところを利用する車中泊では、起きてすぐに「まぶしい」「暑い」と感じることも多いのだが、ここでは朝から快適だった。

屋根下に煙が入り込まないように、焚き火は入り口付近で行なう。庇の蛍光灯を消すと暗くなるので、焚き火の雰囲気を味わうことができる
焚き火の際は、焚き火シートと焚き火台を必ず使うのがルール
取材日は雲が多かったが天気がよければたくさんの星が見えるところ。荒川側に出て橋を入れて撮影してみた。時期や曜日によってはライトアップもあるそうだ
炊事場スペースの夜の様子。利用できるのは21時までだが、夜風を受けながら、このスペースでくつろぐのも気持ちよさそう
朝日は写真の方角から昇る。屋根があるので朝から暑さを感じることもない。起きてテーブルについているときも日陰で、抜ける風が気持ちよかった
牛舎は牛が快適に暮らせるよう、天井を高くすることで屋根からの熱気を伝わりにくくして、湿気がたまらないよう設計しているそうだ。この建物は川からの風を取り込めるので、なおさら快適