車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

夕陽がきれいに見える西伊豆の海水浴場で車中泊できるRVパークに泊まってみた

宇久須キャンプ場RVパーク

静岡・西伊豆町にある「宇久須(うぐす)キャンプ場RVパーク」。管理棟前の舗装された駐車場の2区画で、1つのスペースで10台分ある

 今回利用したのは、静岡県の西伊豆町にある「宇久須キャンプ場RVパーク」(静岡県賀茂郡西伊豆町宇久須浜2102-13)だ。

 西伊豆エリアは風光明媚な場所が多く、宇久須キャンプ場RVパークがある深田クリスタルビーチも夕陽がきれいに見える場所として知られている。なお、深田クリスタルビーチはもともと石敷きの浜辺だったそうだが、25年くらい前に砂が運び込まれて海水浴ができる砂浜へと生まれ変わり、それと同時にキャンプ場も再整備してさらに人気のスポットになった。

 そのような宇久須キャンプ場には舗装された駐車場もあるので、2021年に電源設備を追加した区画を設けて2台分のRVパークを設定。その後、車中泊の利用者が増えたことからRVパークとして利用できるスペースを10台分に拡張した。

 宇久須キャンプ場RVパークの予約、問い合わせは電話かネット経由で行なう。それぞれの連絡先はWebサイトで確認を。

東名高速の港北PAから検索した結果。都内からは約3時間
伊豆縦貫道を降りてから現地までの途中にスーパーマーケットが2軒あったので、買い物は困らないはず。宇久須キャンプ場RVパークは国道136号線沿いで、国道を挟んで向かいには西伊豆クリスタルビューホテルという観光ホテルがある
波が穏やかで景色もいい湾に砂を運び込んで作られた深田クリスタルビーチに宇久須キャンプ場RVパークはある。なお、筆者の名前も深田だが、名前でこの場所を選んだわけではありません(笑)

 宇久須キャンプ場RVパークの利用料金は期間や曜日ごとに分けられている。4月~7月の「海の日」(2024年は7月15日・祝日)前まで、および9月~10月の日曜~木曜が3300円。そして4月~10月の金・土曜、祝日前は5500円。夏のシーズンが終わった10月の日曜~木曜と11月~3月は2200円で、支払いは現金のみとなっている。

 区画は10台分あるが、予約時に利用者側からの場所指定はできない。ただ、大型の車両では区画に収まりきらないこともあるので、その際は予約時に大型車であることを伝えるとサイズに余裕がある場所を指定してもらえる。

管理棟前の駐車区画をRVパークに設定。青色のコーンが置いてあるところがRVパーク。2台分で1区画となる。左にあるミニバンに隠れて見えていないがこの裏にも2区画ある
RVパーク開設時から設定されていた区画。管理棟前の国道側でここに2台分の区画がある。垣根の向こうは歩道。区画内での車外調理はできるが調理用として使えるのは電気コンロとガスコンロのみ。たき火、炭火の使用はNG。たき火だけというのもNG
駐車場の奥から入口方面を見る。国道からの入口を左に曲がるとRVパーク。右に行くと海遊びやキャンプ場利用者などの有料駐車場になる
2台分の駐車スペースで1区画の設定。予約時に区画の場所を指定することはできない
横幅は十分と言える。区画内であればサイドオーニングやタープ、テントをおくことは可能。ただ、路面にアンカーを打つなどは厳禁なので必要であればウェイトを用意しておくこと
縦の長さはそれほど長くない軽自動車クラスであれば、テールゲートを開けてその下にテーブルを置くことはもできる
普通車(セレナ)でぴったりサイズだが、これまでの状況からハイエースでも使えるという。ただ、テールゲートを開けての装備展開は難しいのでサイドのスライドドアを開け、車体横にテーブルなどを広げる感じが基本かも。サイドタープなどあると便利そうだ
N-VANを駐めた区画は奥まっていて、しかも駐車場の奥なので、全長が長い大型車はこちらを案内するという(空いていれば)
海側の区画。国道に面していないので道路を通過するクルマの音は多少聞こえにくいかも
国道側の区画。道路との間に緑地と東屋がある
すべての区画に100V電源がある
アース付きのプラグにも対応したコンセントと通常のコンセントの2口。利用時はブレーカーを上げる

 到着したらまずは管理棟で受け付けをする。チェックインは12時からとなっているので、チェックイン開始時間に到着すれば昼食をRVパークで取ることも可能。

 RVパークによってはチェックインの指定時間が遅めのこともあるが、やはりお昼ごろからは入れるのはいい。食事の時間だけでなく、クルマの準備をしたあとに周辺をゆっくり散策することもできるのだ。

 特に宇久須キャンプ場RVパークのように風景や周辺散策が楽しめるロケーションでは、準備などに縛られない時間があるのはうれしい。

 また、徒歩数分で行けるところにある西伊豆クリスタルビューホテルの温泉を日帰り温泉として利用できるのでそこでまったりするのもいい。

 西伊豆クリスタルビューホテルの日帰り温泉の料金は大人が1000円、子供が500円(繁忙期は変動あり)。利用可能時間は15時から21時。

 なお、日帰り温泉が利用できない日もあるので、利用を予定している場合は事前にホテルに問い合わせてほしい。

 宇久須キャンプ場RVパークのあるクリスタルビーチは自治体が管理しているので、ルールがキチンとしているのも特徴。開放的な気持ちになりやすい海辺の施設だけにこうした姿勢は安心できるものとも言える。

 ルールのことで触れておきたいのがペットについて。キャンプ場もRVパークも原則ペット同伴禁止だ、ただ、RVパークは「ペットを車外に出さない」ことが守れるなら同伴はいいが、散歩などのことを考えると車外に連れ出せないのは現実的でない。自分が借りている区画内であっても外に出すのはNGだ。

到着したらまずは管理棟へ。チェックインは12時からとなっている
管理棟スタッフの山本さん。宇久須キャンプ場は自治体の施設だが町の職員が詰めている施設ではなくて、委託を受けた民間企業が管理する。山本さんは管理会社の方で、ほか数名で交替しつつ施設管理業務に就いている
管理棟の受け付け
宇久須は「うぐす」と読むが、これを「うくす」と読んでしまってカーナビの目的地を設定できないケースが多いという。そこでこんなステッカーを制作
キャンプ場、RVパークともペット連れの利用は原則禁止となっている
受付ではカセットガスや調味料などの販売もある。炊事場はあるが洗剤やスポンジは置いてないので持参する。忘れてもここで買える
人気コミック「ゆるキャン△」でも伊豆エリアを紹介しており、受付では公式グッズの販売を行なっている。イベントなどではすぐに売り切れるグッズの在庫もあったのでグッズ購入の穴場かも
作中に登場した西伊豆の施設や名所のシーンを使った西伊豆限定のクリアファイルもある
キャンプ用品のレンタルも。薪の販売もあるがRVパーク区画でのたき火は禁止。伊豆半島の海沿いは国立公園に指定されているので、砂浜でのたき火も禁止だ。RVパーク利用者でたき火をしたい場合はテントサイトを借りることになる。RVパーク利用者がテントサイトを借りる際、テントサイトの料金は半額になる。繁忙期は借りられないこともあるので要確認
ゆるキャン△ネタをもう1つ。作中に登場したハンバーグのモデルになった「肉バーグ」の販売もある。RVパーク利用時の夕飯のおかずにするのもいい
アイスクリームなどの販売もある
受け付け時に渡される宇久須キャンプ場RVパークの決まりを書いた紙
西伊豆の公共施設で使える割引クーポンももらえる。伊豆半島は温泉も多いので帰りがけに寄っていくのもいい
ここからは設備を写真で紹介。まずはトイレから。キャンプ場側の駐車場前にあり、RVパークからも歩いてすぐ
夜間の様子。夜間は常時、照明が点いているので夜でも利用しやすい
トイレの内部。キレイに清掃されている
手洗い場。炊事場での歯磨きや顔洗いは禁止なのでこちらを使う。手前の壁の手洗い場側に2口のコンセントがあった。通電しているかは未確認
右が炊事場で左がシャワー棟
夜の様子。こちらも明るい
炊事場の内部。100人以上が利用できるキャンプ場の設備だけに水栓の数も多い(浜の逆側にも同程度の炊事場がある)
かまどもある。RVパーク利用者で直火や炭火を使う調理がしたい場合はここが利用できる
炊事場の横にあった足洗い場。海水浴場らしい設備
有料のシャワーブース。200円で3分の温水シャワーの利用ができる、こちら更衣室側
タイル貼りのシャワーブース。屋根はあるが壁の上が吹き抜けているので湿気はこもりにくい
床はこんな感じなので利用の際はビーチサンダルなど用意しておいた方がいいかも。筆者はクルマのラゲッジで使っていたゴム製の滑り止めマットをスノコ代わりに敷いた。なお、アウトドア施設全般に言えることだが、個室の類には蚊などいることが多いので殺虫スプレーを持っていった方がいいかも(トイレの個室にも蚊はいる)
シャワーブースの入口側
シャワーブース前のテラス。浜辺が一望できる
ゴミ捨て場は指定されている。紹介した炊事場やトイレのある場所は浜辺の中央付近で、ゴミ捨て場は南側にある炊事場の前となる
分別して捨てるようになっている。受け付け時にゴミ袋をもらえる
ここからは風景などを。浜辺の中心付近のデッキから正面の海を見る
右側を見る(北側)
左側を見る(南側)
浜辺には海を眺めてまったりできるスペースがいくつかある
南側に行ってみた。トンネルがあるあたりを見上げるとトンネルができる前まで使っていたであろう旧道の面影が見えた
南側の湾に突き出た堤防から浜辺方面を見た光景
テントサイト。海が一望できる。これは人気があって当然のロケーション
RVパークから近いテントサイト。夕陽がキレイな浜だけに、夕日とたき火、調理のためにサイトを借りるという贅沢もいいかもしれない
夕陽が落ちる時間。雲があったが夕陽は見ることができた
夕陽が水平線に沈む光景も見られる
晴れていれば星空もきれいに見える。月のない夜だったで曇りだったのがつくづく惜しい。海上の明かりは沖止めの船舶のもので、左は湾の向こうの町の明かり。そして水平線の向こうが沼津方面の明かり。ちなみに肉眼では全体的に真っ暗で、船や町の明かりが見えるくらい。歩く際はライト必須かも
駐車場には照明があり(深夜は消灯)、後方のホテルの明かりもあるのでRVパーク側はライトなしで歩ける
テーブルの上を照らすライトは必要。国道は夜間、早朝も車両の通行があり(取材は金~土曜にかけて)、車内にいても走行音は聞こえる。音が気になりそうと思う人は就寝時にテント泊でも使うような耳栓をつけたり、国道から離れた海側の区画を希望してみるのもいいかも

 以上が宇久須キャンプ場RVパークの紹介だ。決まりごとは多いが裏を返せばそれだけ環境がきっちりしているということなので、ルーズな雰囲気が好みでない人には向いている施設でもある。

 また、夕陽は朝日と違ってムリなく(早起きせず)見ることができるし、写真で紹介したシーンでは1枚目と2枚目の間は30分以上の時間があり、それをボーッと眺めるという贅沢な時間の使い方もできるので、リラックスしたい人にもよさそうな施設だ。これからの季節、海遊びにくる人で週末は混雑すると思うが、ここは人が少ないときの方が圧倒的にいいと思うので、平日に行ける人は平日の利用を勧める。

絶景の車中泊施設「ちどりRVパーク」の追加情報

きれいな海と富士山が見える絶景RVパークの「ちどりRVパーク」の施設がリニューアルしたので帰りがけに寄ってみた

 今回はもう1つ、1年前に紹介したRVパークの追加情報をお伝えしよう。それが千鳥観光汽船が運営する「ちどりRVパーク」の設備リニューアルについて。なお、過去記事では名称がRVパークちどりマリンサービスだが、現在の名称はちどりRVパークとなっている。

 千鳥観光汽船は沼津港、大瀬崎、三津のクルージング、マリンレジャー、グルメ、土産物など沼津の観光に携わる企業で、西伊豆の名所、大瀬崎にもマリンアクティビティ施設「ちどりマリンサービス」を所有している。ちどりRVパークはこの施設の駐車場を使用するものだ。

 ちどりRVパークは写真を見て分かるように、海の目の前での車中泊ができるところで、天気がよければN-VANが止まっている向こうに富士山が見えると言う絶景RVパークなのだ。

 こうした特徴を持つちどりRVパークだったが、前回取材させてもらったときは、夜間、早朝のトイレやシャワーの利用に不便があったのは事実。それだけに「いい場所だ」と思いつつも、そこがネックで利用を控えた人もいるかもしれない。

 しかし、取材後に行なわれた改装により、トイレはちどりマリンサービス建屋内のものを24時間使えるようになった。また、広くてキレイなシャワールームも建屋内にでき、こちらも24時間利用可能になった。さらに照明、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、テーブルがある休憩スペースも24時間利用できるなど、リニューアルにより快適度が大幅にアップしている。

ちどりマリンサービスの建屋内に24時間トイレ、シャワーが設けられた
そのほかリニューアルで利用できるようになった項目
予約するとその期間中に使える電子ロック解除キーが伝えられるので、夜間のトイレやシャワー利用はロック解除して入る。セキュリティのため入ったら施錠する
手前が男子トイレのドア。奥がシャワー室のドア
トイレ、シャワー室とも男女別。こちらが女性用
脱衣所。棚、机、イス、鏡、ドライヤーがある。女性用も同じ作りという
この建屋はもともとダイビングサービスをやっていたときに使っていたもので、そのときに浴場だったところをシャワー室へ改装した。ちなみに現在ダイビングサービスはやっていない
この休憩室も使用できる。日中にエアコンで涼んだり、もしもの天候急変のときなどには避難場所にもなる。休憩室にはカメラがあり、内浦地区にある本社で異常がないかモニターしているので安心感もある
電子レンジもある。左に見える通路に入るとトイレとシャワーにいける
夏休み期間は沼津港と大瀬崎を結ぶ遊覧船が運航される。沼津港は魚介グルメや土産物の店が多いのでRVパークにクルマを駐めて船で移動するのもいい。クルマで移動するより所要時間も早い
桟橋からRVパークを方面を見る。撮影した時間は引き潮でさらに潮の流れの関係で透明度は低かったが、本来はダイビングのメッカとなるくらいのキレイな海。なお、大瀬崎の湾内は釣り禁止箇所が多いが、桟橋での釣りもOKなので釣りも楽しめるRVパークだ