ボーカリスト琴音の音楽旅
姉妹でロンドン旅(後編)。ヨーク大聖堂、ハリー・ポッターのダイアゴン横丁、シェイクスピアのグローブ座、最後にロンドン塔と、歴史・メルヘン・グルメを満喫
2020年3月28日 00:00
ロンドン旅・後編の始まりは、妹の英語学校の先生が教えてくれた北部にあるヨークという街へ、ロンドンから日帰りで出かけました。映画「ハリー・ポッター」シリーズのロケ地でおなじみのキングス・クロス駅からヨーク駅行きの電車があるということで、インターネットで予約、購入をして駅の発券機で購入したクレジットカードと予約番号でチケットを発行しました。
行きの電車は日本円で7350円ほどでした。特急、急行など停車駅数、ドリンクサービスやシートの大きさなどクラスの違いで金額は異なります。キングス・クロス駅が始発なので、キングス・クロスまで地下鉄で行き、駅で朝食とコーヒーを買い込んで「Let's go!」。
列車は指定席で購入して、のんびりと旅を過ごすことができました。電源もあるので、対応のアダプターを持ち込めばスマートフォンの充電も可能です。充電用のUSBポートはありませんでした。
約2時間半、電車に揺られてヨーク駅へ。駅を降りて少し歩くとすぐにヨーク大聖堂(ヨーク・ミンスター)の姿が見えてきます。城壁に近づくと、それはまるでテーマパークの世界! おとぎの国に迷い込んだようです。ヨーク大聖堂に向かって歩いていくと、お買物エリアが出現し、飲食店などで賑わっていました。物凄くかわいい石けん屋さん「The Yorkshire Soap Company」に遭遇し、メルヘンな雰囲気にひたりまくったあと、妹念願のフィッシュ&チップスへ。
雰囲気のいいレストラン「THE IVY」に入り、イギリス伝統料理のシェパードパイとともに注文。こちらのお店はロンドンにもあるイギリス料理店です。初日からフィッシュ&チップスを食べたがっていたのにタイミングを逃していた妹は、大喜びで食べていました。
シェパードパイも、マッシュポテトと牛肉、トマトのミートソースのような組み合わせでとても美味しかったです。パイというから小麦の生地なのかと思いきや、小麦粉の生地はなくポテトをパイ皮のように使ったパイでした。
腹ごしらえをして、世界最大級のステンドグラスを有するというヨーク大聖堂へ。遠方からも確認できるほどの巨大なゴシック建築で、北ヨーロッパではケルン大聖堂に並ぶ最大級の大きさです。
3世紀からこの地にはキリスト教徒がいたとされ、627年に木造の小さな教会が建設。火災などさまざまな歴史を経て1220年から現在の大聖堂の建設が始まったといわれています。250年ほどかけて建てられたこの建物は、約800歳になるそうです。
入場料は日本円で約1375円でした。塔の上までも時間制の有料で登れるそうですが、今回私たちは大聖堂見学のみにしました。この入場券は1年間有効だそうです。
その後、少し城下町を散策していると何やら「ハリー・ポッターのコスプレ?」と思われる人たちが。そして、石畳の小さなシャンブルズ通りを歩くと映画で見たことのある光景が! そう、このシャンブルズ通りは「ダイアゴン横丁」のモデルになった地なのです。それはファンからしたら聖地ですよね。コスプレ巡礼もうなずけます。メルヘンの世界にどっぷりひたり、夕方17時の列車でロンドンに帰りました。
予約していた電車が遅れていて、電光掲示板の表示通りのホームでキングス・クロス行きの電車に乗りました。しかし、私たちの指定席の番号に女性が先に座っていました。海外旅行で、自分の席にほかの人が座っていることはよくあるので、私は「とりあえず別の席に座ってしまおう」と言うと、妹が「いや、私たちが適当に座ってその席を購入した人が来たら嫌な思いをするだろうから、ちゃんと駅員さんに言おう」と。
電車のスタッフが近くにいたので一緒に来てもらい、その女性にチケットを見せて「私たちも同じ席なんですが」と話しかけました。すると、彼女もちゃんとその座席の番号のチケットを持っていました。どうしようか困っていたら、スタッフが「空いている席があるからそちらに座っていいですよ」と新しい席まで案内してくれることに。スタッフについていくと、なんとそこはなんとファーストクラス! シートもフカフカ、テーブルは広くて、まさにファーストな空間。
ドリンクもフリーで、妹はちゃっかり白ワインを頼んでいました。おそらく私たちの予約していた列車は直前で到着ホームが変更になったか、この電車の方が先にヨーク駅に到着してしまったんだと思います。去年、ベルギーで電車の旅をしたときにそういうことがありました。イギリスでも列車の旅をするときは、直前まで電光掲示板をチェックしておいたほうがいいですね。結果的に、こちらのミスだったのですが不幸中の幸い、正しく申告したらアップグレードして返ってきた、という驚きの展開でした。旅というのは、いつも予測不可能なことが起こるのが面白いところです。同時に、妹の正しいことを全うする姿勢に私も学びがありました。
無事にキングス・クロス駅に着いた私たちは、滑り込みで世界一のデパート「Harrods(ハロッズ)」へ。私はギフトショップへ、妹は欲しいものがあるそうでお互い別行動に。Harrodsのギフトショップは、日本でもよく見るHarrodsのバッグやトレードマークのクマちゃんまで。ポーチ類や小物などどれもかわいいものばかりです。ブエノスアイレスのスペイン語の先生たちにお土産を購入しました。妹は、翌日もHarrodsに来るということで、私のスーツケースが壊れてしまったのでPrimark(プリマーク)にスーツケースを買いに行きました。
ソフトケースの大きなスーツケースを日本円で7350円ほどで購入しました。ほかにもさまざまなサイズのスーツケースがお手頃価格で売っています。洋服、化粧品、靴、などデザインもお値段もかわいい商品がたくさんありました。その夜はそのままバスに乗って解散しました。ロンドンはバスの本数が多く地下鉄よりも安いので、乗りこなせればかなり便利な乗り物です。
翌日はお互いお買い物デーと決めていたので、私はカムデン・マーケット、妹はHarrodsへと別行動を取りました。姉妹ならではのお互い行きたいところへ行く旅スタイル、なかなかいいかも。地下鉄のカムデン・タウン駅で降りて、駅を背に右に歩いていくと、すでにロックな雰囲気が漂っています。カムデン・マーケットに到着すると、お店があり過ぎて驚くほどたくさんのお店が出店しています。
フードマーケットもさまざまな料理が販売されていて、アジア料理が恋しくなっていた私は「中華×タイ料理」のようなお弁当を購入。量が多くて1度に食べきれませんでしたが、とっても美味しかったです。ロンドンで古着のバーバリーと、ドクターマーチンのブーツが欲しかったので、古着屋さんを物色。ドクターマーチンのショップもあり、日本で買うより少しお安く買うことができます。
私は、バーバリーとは違うブランドですがイギリスを象徴するようなシャーロック・ホームズ気分を味わえる古着のベージュトレンチコートと、日本では見たことのないデザインのヴィンテージのドクターマーチンのロングブーツを購入しました。ロンドンならではな買い物ができて大満足です。
地下鉄でホステルまで戻り、荷物の整理をして妹とUberで合流しました。Uberは、アプリで配車を頼めるサービスでタクシーより安く、呼んだところまで来てくれるのが便利で今回のロンドン旅でもかなり活用しました。
ナイツブリッジ駅近辺で、アフタヌーンティーをするのに「Cafe Concerto」に入りました。ホテルのアフタヌーンティーは人気があり予約必須ですが、予定に合わせて行動したかった私たちは、今回飛び込みでアフタヌーンティーを楽しみました。かわいい店内で、お姫様気分でアフタヌーンティー。
が、妹は白ワインにフィッシュ&チップス、カプレーゼで酒盛りがスタート。たくさんいろんな話をして、お互いの用事を済ませて、サウス・ケンジントン駅のレストラン「Muriel's kitchen」で最後のディナー。この日は本当に食べ過ぎました。ここのお店、めっちゃ美味しかったです。「イギリスはご飯美味しくない」とよく聞きますが「最近はそんなことない」と断言できます。
時差ボケで疲弊しつつも、最終日は朝から集合してシェイクスピアのグローブ座ツアーへ。寝ないで観光しているため、疲労はピークに達し、時間もタイトなのでUberで向かいました。到着して、まずは隣接している「Swan Cafe」で軽くブランチ。サーモンとクリームチーズのクロワッサンサンド、コーヒーをいただきました。内装もかわいいし、観劇前後にもよさそう。
このシェイクスピアのグローブ座は、火事で焼けてしまった以前のグローブ座を再現している劇場です。オープンルーフで屋根がなく、日光を使った演出もされているそうです。天井には神や動物が描かれていて、目を凝らして見ても楽しめます。併設の展示品も、シェイクスピアの世界を表現する小道具など見応えたっぷりです。今思えば、私が人生で1番最初に好きになった作家はシェイクスピアでした。
舞台女優の母に連れられて、小学生のときに見た「ロミオとジュリエット」がきっかけです。自分で児童用に書かれている本を買い、読めない漢字がありながらも読んだものです。
グローブ座のあとは、船に乗りテムズ川を渡ってロンドン塔に向かいました。この日は奇跡的にロンドンが晴れていたので、船が物凄く気持ちよかったです。タワーブリッジも、美しく撮ることができました。ここで、日本に帰る妹とはロンドン塔に行く前にお別れです。私はこのあとブエノスアイレスに行くので、ここでしばしのお別れ。留学前に、妹と一緒に旅行して時間を共有できて本当によかったです。
妹を見送って、ロンドン塔に入場します。チケットは日本円で4500円ほどでした。敷地も広く見応えたっぷりのロンドン塔。13世期築のバイワードタワーを通りすぐ右にあるオーディオガイドで日本円で約715円でレンタルしました。日本語対応ありです。反逆者の門という意味のトレイターズゲート。数々の有名な囚人がここからロンドン塔に入ったそうです。
トレイターズゲートから、ブラッディタワーを見学。血塗れの塔、という意味のとおり、色々な人が幽閉されていた塔。何となく空気が重いような? 幽霊が出るとも言われていて、怖くて写真は撮れず。ちょっと重い気分になったところで、きらびやかな財宝が展示されている「ザ・クラウン・ジュエルズ」へ。冬は空いているのか、この時は2月下旬でしたが行列もなくすんなり入場できました。
目を疑いたくなるようなキラキラとした美しい王冠たち。「王の上に神がいることを忘れないように」というオーディオガイドの案内が印象的でした。豪華絢爛な宝石たちを見たあとは、綺麗なガラスの台だと思ったらアン・ブーリンなどが処刑された場所の記念碑でした。真ん中の部分に顎を乗せることで、死亡率がアップするそうです。ほとんどの罪人の処刑は残酷なものが多かったそうですが、貴族などの高貴な身分の人々は斬首刑に処されたそうです。
残酷なお話のあとは、至るところにある動物の模型が目に付きました。中世の国王たちは、野生動物を贈り合っていたそうで、動物たちを檻に入れて人々の目を楽しませていたそうです。そして、占い師の「6羽のワタリガラスがロンドン塔を去るとイギリス王家は終わりを告げる」との言葉からカラス保護が今もされていました。カラスのお土産屋さんも。
と思ったら、本物のリスが出現してしゃがみ込んでみていたら私の膝に飛び乗ってきました。まさかのアクシデントでしたが、動物がたくさんいるロンドン塔で心温まる瞬間でした。そのあとは、拷問器具の展示されているトーチャーアットザタワーへ。レプリカとのことですが、迫力満点。今ではあり得ない拷問ですが、実際にあったことだと考えると、現代に生まれてよかったと心底思います。
続いて、1番の大きな建物のホワイトタワーにやって来ました。歴代王と馬の甲冑など、戦いにまつわる物が展示が多くされています。中には、日本からの贈り物として展示されている日本の戦国時代の甲冑もありました。男子の好きそうなエリアが多く続きますが、こじんまりとした聖ジョン教会に癒されます。
フライトの当日でしたが、最後にロンドン塔に行くことができてとてもよかったです。シェイクスピアのグローブ座から、船でテムズ側を渡ってロンドン塔に行くコースはとてもオススメです。ロンドン塔はかなり見応えたっぷりなので、観光するのに3時間ほど確保しておいたほうがいいと思います。
今回のロンドン旅は妹と一緒の旅で、姉妹ならではのお互い我慢することのない楽しみ方ができました。初めてのイギリスは「ご飯が美味しくない」「イギリス人は真面目で暗い」というイメージから一転。食事は美味しいし、人々は親切で面白い方ばかりでした。
旅らしいハプニングもあり、初めてのロンドンはとてもいい思い出になりました。この記事はその後にロンドンから留学のために向かったアルゼンチン・ブエノスアイレスで書いています。南米にもコロナウィルスの影響が出始め、アルゼンチン政府はさまざまな対応策を実施しています。これ以上、世界中の人々が大変な思いをしないよう祈るばかりです。私も臨機応変に、その時々のベストな選択を心がけます。