JALふるさとアンバサダー/応援隊に聞く地域愛

豊かな自然育む内成棚田の魅力。JAL客室乗務員がお伝えします!

JALふるさとアンバサダーに地域の取り組みを聞いた。回答者は大分県JALふるさとアンバサダーの花島良子さん

 全国各地に拠点を持つJALは、地域活性化の取り組みを継続的に実施してきており(現在は「JALふるさとプロジェクト」)、2020年8月には社内公募で選ばれた客室乗務員が現地に移住して、それぞれの地域での取り組みを推進する「JALふるさとアンバサダー」を発足しているほか、同12月には乗務しながら地域活性化に携わる「JALふるさと応援隊」を任命している。故郷や縁のある地域に対して、客室乗務員として培ってきた知見を活かした商品開発や地域課題の解決などを展開する狙いがある。

 今回お話を聞いたのは、別府市で内成棚田の魅力発信に携わるJALふるさとアンバサダーの花島良子さん。

――取り組みについて教えてください。

 日本の美しい風景の一つである棚田。

 大分県は日本でも有数の棚田を持ち、農林水産省認定(1999年)の「日本の棚田100選」には別府市の内成(うちなり)、由布市の由布川奥詰(ゆふがわおくづめ)、豊後大野市の軸丸北(じくまるきた)、玖珠町の山浦早水(やまうらそうず)、宇佐市の両合(りょうあい)、中津市の羽高(はだか)の6か所が選ばれています。

 私はJALふるさとアンバサダーとして、今後は地域の皆さまと内成棚田米を活用した商品化への展開やPR活動などにも取り組んで参ります。その活動の一環として6月に田植え体験に参加させていただきましたので、今回は別府市の内成棚田の魅力をお伝えいたします。

 内成棚田(うちなりたなだ)は戦国期から江戸期にかけて開かれたとされる棚田で、面積は40余ヘクタールと広大で、水田は1000枚ほどで、千枚田と言われている地域です(参照:文化庁おおいた遺産 内成棚田)。

 古くから人々の暮らしに寄り添い、自然の恵みを育んできた棚田の風景は季節や時間帯によって表情を変え訪れた方に癒しを与えてくれます。

内成棚田

 水田には、石城寺(せきじょうじ)の近くにある木の根元から水が湧き出ており、そこから流れ出る水を利用しています。昔むかし、水争いをしていたこの地に空から石が落ちて水を二手に分けて水争いが解消されたとされる「水分石(みずわけいし)」と呼ばれている大きな不思議な石があり、地元の人たちでは水神様として祀られています。

 棚田に水が張り出すと、一面に空を映し出すため晴れの日には輝きを放ちます。標高約150m~350mの広がりがあることから、日中と夜間の寒暖差が生まれ、また傾斜のおかげで日当たりもよく、好条件で育ったお米の味は抜群。2017年にはJAL国内線ファーストクラスの和食にも採用されました

 今後は地域の皆さまと、内成棚田米を活用した商品化への展開やPR活動などにも取り組んで参ります。私も6月に田植え体験に参加させていただきましたので、別府市の内成棚田の魅力をお伝えいたします。

石城寺の水源(水分石)から流れる水
田植え体験に参加したJALスタッフ

――この取り組みにはどのように関わっているのでしょうか。

 内成棚田は近年の人口減少や高齢化の影響、傾斜のある広範囲に渡る区画での作業の難しさなどの課題があり、担い手不足に伴い水田の数も減少してきております。

 そのようななか、美しい水田を守ろうと「内成棚田の会」の皆さまは、田植え体験会などのイベントを実施し内成の自然に触れながら棚田の維持や保全の大切さや難しさを知ってもらう取り組みを行なっています。私も今回田植え体験に参加させていただきました。一つ一つ手作業で稲を植える作業は大変でしたが、柔らかな土の感触もあり心地よく取り組むことができ、作業を終えたあとの達成感がありました。

田植えの様子

 内成で一番小さいと言われている、2畳ほどの水田もありましたので「JALOITA」という形に植えさせていただきました。

 植えた直後はまだ稲も小さく分かりにくかったのですが、2週間後また稲の様子を見に行くと、はっきり分かるようになっていました! 自分が植えた田んぼはとても愛着が湧きます。ほかの稲もすくすくと育っており、秋の稲刈りもとても楽しみです。

JAL OITAの水田

――今後の展開・展望について教えてください。

 田植え体験には「別府温泉 杉乃井ホテル」の皆さまもご参加されました。「別府温泉 杉乃井ホテル」をグループで運営するオリックス不動産さまとは、現在地域活性化の取り組みを行なっております。今回の内成棚田米を活用した商品のPR活動など魅力を発信し、担い手不足などの課題解決につながるような取り組みにしていきたいです。

別府温泉 杉乃井ホテルの皆さまと

 また、田植えのあとは内成棚田地区にあるカフェ「MUGYUU」(@mugyuu.cafe)のお弁当をいただきました。お料理には内成地区の食材が使用されており、色とりどりで具材そのものの味がしっかりと楽しめてとっても美味しいお弁当です。店舗からは広大で美しい棚田の景色をご覧いただきながらお食事を楽しむこともできます。ぜひ、いらしてみてください。

※2024年8月29日の台風10号の影響を受けて、現在カフェ「MUGYUU」は休業しています。営業については上記Instagramアカウントで確認してください。

カフェMUGYUUのお弁当

――旅行者に向けてメッセージをお願いします。

 内成地区はJR別府駅からクルマを利用し約20分です。夏場には、青々とした棚田景観が広がっていることもあり、市街地と比べて爽やかな暑さを感じることができます。のんびりとカフェや内成棚田の散策を楽しんだあとには近くにある温泉に入っていただくのもお勧めですよ。

 8月29日の台風10号の影響により、一部道路などに影響が出ている地区もございます。現在住民の方も一丸となり作業に取り組まれ、現地での観光ツアーが再開するなど少しずつ復旧しておりますが、お越しになる際には事前にお問い合わせいただきますようお願いいたします(2024年9月現在)。

 彼岸花の時期を迎え、まもなく稲刈りが開始となります(例年ですと彼岸花が咲き誇る時期ですが、天候や台風の影響で今年は開花が進んでいないようです)。

 すくすくと育ったお米に出会えるのもとても楽しみです。JALふるさとアンバサダーとして、大切に育まれてきた文化や歴史をつなぐべく今後も魅力発信に努めて参ります。