荒木麻美のパリ生活
バルト三国の一つ、中世と現代が共存するエストニアのタリンに(前編)
2026年4月11日 08:00
フランスの映画業界で働く夫にエストニアでの仕事が入ったため、3月半ばの10日間ほど会いに行ってきました。
エストニアはバルト三国の一つで、海を挟んで目の前がフィンランドのヘルシンキとなります。エストニアの人口は約130万人、首都はタリンです。旧市街とその周辺に全人口の3分の1が住んでいます。
夫はタリン旧市街のすぐそばにある、カラマヤ地区というところにある映画製作会社で働いていたので、ここにアパートを借りました。パステルカラーの家々が並ぶ静かなエリアで、スーパーと海がすぐ近くにあり、快適に過ごせました。
アパートを出て海沿いの遊歩道を歩いて行くと、フェリーやクルーズ船の発着所があります。途中には市民がボランティアで運営する公共のサウナがあり、1時間半8ユーロで気軽に利用できます。見ていると、サウナで暑くなった人びとが目の前の冷たい海で体を冷ましていました。
発着所から逆に歩いて行くと、ナチスとソ連占領時代の象徴の一つである、パタレイ監獄に着きます。パタレイ監獄は現在博物館として改修中のため、外観のみ見られます。
パタレイ監獄をさらに行くと、ノブレスネル地区に着きます。元・軍事工場エリアを再開発したウォーターフロント地区なのですが、まだあちこち工事中なのが気になりました。散策には日没以降に行った方が雰囲気はよさそう。またはサウナ好きであればIgluparkという、海の目の前にあるサウナ村に行くのも楽しそうです。貸し切りにできるサウナもあり、宿泊用のキャビンもあります。
インテリアデコレーションブランドSHISHIのショップ。ノルウェーとエストニア発のブランドです。ちょっとしたお土産が見つかるかも?
アパート近くのレストランでは、KOGUがとてもよかったです。滞在中に行ったレストランのなかではここがベストです。地元の食材にこだわった現代的な創作エストニア料理で、サービスもよく、すべてに満足でした。
旧市街の西側には、旧工業地帯を再開発してできたテリスキヴィ地区があります。美術館、レストラン・カフェなどが入っていました。Fotografiskaという写真美術館に入ってみました。Fotografiskaはスウェーデン発の写真専門の美術館で、世界中に展開しています。
展示は不思議なマルチメディアアート作品、世界の有名ミュージシャン・アーティストたちのポートレイト、昔のラトビアの人びとの暮らしを写したものなど、内容がバラエティでよかったです。
Moonは、東欧料理を出すレストランです。広々とした店内で、担当ウェイターさんはとても親切。料理のメインが熱々でなかったのは少し残念でしたが、デザートも含めて味はよかったです。
テリスキヴィ地区に隣接するバルト駅市場は2階建てで、食材を買ったり、雑貨を見たり、軽食を食べることができます。市場のそばにあるHealthy Sweets by Polinaは白砂糖、グルテン、乳製品不使用のスイーツを提供しています。
ロッテルマン地区も旧工業地帯を再開発したエリアで、モダンでスタイリッシュなレストランやショップが並んでいます。夫と一緒に働くエストニア人がプレゼントをくれたのですが、その一つがKalve Coffeeという、ラトビア発、欧州に展開しているスペシャルティコーヒーブランドです。粉になっていないためにアパートでは飲めなかったので、ロッテルマン地区にあるKalve Coffeeのカフェで飲んでみました。私はエスプレッソを頼んだのですが、これほど苦いけれど美味しいエスプレッソは久しぶりで、目が覚めました! エストニアでもタリンは特にカフェ文化が強く、独立系カフェが多いです。
プレゼントとしては、ほかにもエストニア発の靴下ブランドSokisahtelの商品と、チャーガという、カバノキに寄生するキノコのエキスをくれました。チャーガは寒冷地文化圏で伝統的に飲まれており、エストニアでもよく知られている健康食品。抗酸化作用があるとされています。
ロッテルマン地区にあるLa Boulangerieはフランス語でパン屋の意味。タリンのほかのパン屋にも行きましたが、フランス人の夫はここが一番のお気に入りでした。パリでよく食べるバゲットやカンパーニュだけではなく、エストニアの国民食である黒パン、そしてスイーツも美味!
タリン観光といえばなんといっても旧市街です。中世ヨーロッパの街並みがほぼそのまま残った歴史地区で、ユネスコの世界遺産となっています。半日あれば回れるので、近くの国からさくっと来る観光客も多いようです。雰囲気がザ・中世! なので、夜の雰囲気はさらによかったです。
私が旧市街で一番楽しかったのは600年以上続いている薬局のTown Hall Pharmacy。奥には小さな展示スペースがあり、昔の薬の材料として、ヘビやカエル、各種薬草などが展示されていました。お土産に麻の袋に入ったコショウやハーブティーを購入。
タウンホール広場に面したレストランOld Estoniaは、観光地のど真ん中という場所的にあまり期待していなかったのですが、サービスが親切で一安心。ニシンのマリネと、豚の血で作られたブラッドソーセージにザワークラウトとジャムが添えられたエストニア料理を食べましたが、フランスでも普通に食べる食材ですし、家庭料理的な感じでした。
休憩にと入ったカフェはCafe Maiasmokk。創業は1864年、タリンで最も古いカフェです。内装が100年以上ほぼ変わっていないので重厚な雰囲気ですが、セルフサービスの気取らないカフェです。
Olde Hansaは、夫のエストニア人同僚たちと行きました。中世ヨーロッパを体験できるというコンセプトのレストランで、15世紀の裕福な商人の館、という設定です。スタッフは全員中世の衣装をまとい、照明はキャンドルのみなので、とても暗いです。ジャガイモやトウモロコシといった15世紀以降の食材は使わず、クマ・シカ・イノシシなどのジビエが中心のメニューです。料理は大雑把というかワイルドというか、私の好みではないのですが、中世っぽい雰囲気を楽しむことに価値のあるレストランなので、楽しい時間を過ごしました。
後半ではタリン中心地を少し離れたときの様子をお伝えします。









































































































