荒木麻美のパリ生活

世界で最も美しい湾や、石灰岩の断崖絶壁が続く海岸線・カランク国立公園も。フランス南東の街「ラ・シオタ」訪問記(前編)

フランス南東にあるラ・シオタの魅力を2回に分けてお伝えします

 フランスの映画業界で働く夫とともに、フランス南東にあるラ・シオタ(La Ciotat)という町に行ってきました。滞在したのは撮影期間に合わせ、9月上旬の2週間ほど。ラ・シオタは小さな港町なのですが、美しいビーチだけはなく、歴史的背景から興味を引かれる場所がたくさんありました。そんなラ・シオタの魅力を2回に分けてご紹介したいと思います。

 パリからラ・シオタに行くには、まずはTGVでマルセイユに出ます。約3時間半です。このあとは電車とバスを使ってラ・シオタに行けますが、私たちは今回タクシーを使いました。マルセイユからラ・シオタまではクルマで40分くらいです。

 私は自炊をできるところでないと困るので、今回宿泊したのもアパートホテルです。特にこれといった特徴はありませんが、旧港のすぐそばで便利、静かで清潔なので、私たちには十分でした。

Appart'City Confort La Ciotat

所在地: 57, Passage Jean d'Huart Zac de la Source, 13600 La Ciotat
TEL: +33 (0) 4 42 70 70 80
Webサイト: Appart'City Confort La Ciotat(英語)

Appart'City Confort La Ciotat

 旧港にはレストランやカフェが立ち並んでいます。どのお店も夏のバカンス明けの9月だというのに、昼夜問わず常に人が入っていてにぎやかでした。

朝焼けが美しい
夜はこんな感じ

 観光案内所も旧港にあります。ラ・シオタ内はバスが充実しているようで、観光案内所の前からもひんぱんにバスが出ています。

写真右はラ・シオタを出て、マルセイユまで行くバス

 旧港近くには旧市街があります。どこを歩いても港町らしい雰囲気が漂っています。

写真右が旧市街のメインストリート
旧市街を歩いていたら、夫の関わる映画の撮影現場に偶然遭遇。アスファルトの道路も物語の時代に合わせて土で覆ってありましたが、通りがかった地元の人たちには、「歩きづらい!」とおおむね不評の様子でした(笑)
旧港から出ている、ラ・シオタ近くにあるヴェルト島行きの船。島にはトイレがないと聞いたので私は行きませんでしたが、行ったという夫の仕事仲間たちによると、日光浴と海水浴を静かに楽しめるところだそうです。島までは船で10分くらいです

 旧港から先は砂浜がずっと続いています。ラ・シオタの湾は2019年に「世界で最も美しい湾」の一つに選ばれました。9月はまだ暑い日が多く、多くの人が泳いだり日光浴をしたりしながら、終日のんびりと過ごしていました。

「世界で最も美しい湾」の一つに選ばれたというポスターも飾られるラ・シオタの湾

 砂浜の一角には犬専用のゾーンも。私は何度かここに行ったのですが、たいていは1匹、多くても2匹しかおらず、のびのびと気持ちよさそうに犬たちが泳いでいるのを見ては和んでいました。

 砂浜から旧港に戻って逆方向に歩いて15分ほど行くと、ミュジェル公園(Parc du Mugel)に着きます。敷地は約17ヘクタールもあり、公園の奥にある急な上り坂を上ると、絶景が広がっています。

 園の周囲には2か所の海水浴場があります。こちらは砂浜ではなく、砂利浜です。砂浜よりも、落ち着いた雰囲気の砂利浜の方が私の好みでした。

対岸には造船所が見えます(写真右下)

 ミュジェル公園の近くにはフィグロールのカランク(La Calanque de Figuerolles)があります。石灰岩の断崖絶壁が続く海岸線・カランク国立公園の一角です。ここにはホテル・レストラン「R.I.F」があり、ここで絶景を見ながら休憩するのもよさそうです。

R.I.Fは9時から営業しているので、カランクを眺めながら朝ごはんをここでというのもよさそう
R.I.F

TEL: +33 (0)4 42 08 41 71
Webサイト: R.I.F(英語)

 フィグロールのカランクからさらに20分くらい歩くと、ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド寺院(Chapelle Notre-Dame de la Garde)にたどり着きます。

ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド寺院
寺院からラ・シオタ方面を見ると、犬と、某超有名アニメキャラクターにしか見えない岩が

 ラ・シオタに滞在中、私はほとんど自炊でした。市場は旧港などで週に3回あったのですが、新鮮で美味しいうえに、お手ごろ価格で気分が上がります。魚は毎朝旧港で売っていてこれも美味しそでしたが、泊まっていたアパートホテルには換気扇がなかったため、残念ですが見るだけにしておきました。

旧港では土曜日にオーガニック市場が出ますが、出店数はとても少なかったです
新鮮で美味しい野菜たちでした
日曜日の市場は浜辺に沿って延々と立っていました。食品だけでなく、衣料品や雑貨など、いろいろなものが売られていました
火曜日の市場は旧市街にあるリュミエール映画館の周辺に立ちます

 レストランにはあまり行きませんでしたが、ここは美味しかったなというレストランは一頭(=個、フランス語ではニンニクを数える単位は頭なのです)のニンニクの意の「ラ・テット・ダイユ(La Tête d'ail)」。魚料理が美味しいレストランです。

ラ・テット・ダイユ(La Tête d'ail)
La Tête d'ail

所在地: 313 boulevard Anatole France, 13600 La Ciotat
TEL: +33 (0)4 42 36 99 20

 もし和食が恋しくなったら「SAKAGUCHI」さんへどうぞ。ラ・シオタで唯一の日本人シェフによる和食レストランだそうです。寿司各種のほか、蕎麦や唐揚げ、冷ややっこなどもあります。お値段も良心的。

「SAKAGUCHI」さん。写真右の内容で10.80ユーロ(約1300円、1ユーロ=約120円換算)
SAKAGUCHI

所在地: Traverse de la Halte, Place de la Rouette, 13600 La Ciotat
TEL: +33 (0)4 96 30 09 34
Webサイト: SAKAGUCHI(仏語)

 パティスリーは「メゾン・レヴェック(Maison Lévêque)」が一番美味しかったです! ここにはこの地方のお菓子・ナヴェットも売っています。ナヴェットはマルセイユ発祥の船をかたどった、硬めのシンプルなクッキー。甘さ控えめで飽きません。

メゾン・レヴェック(Maison Lévêque)
Maison Lévêque

所在地: 8 place Evariste Gras, 13600 La Ciotat
TEL: +33 (0)4 42 08 51 19

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/