荒木麻美のパリ生活

ジャンヌ・ダルクの町、オルレアンへ

パリから1時間。周囲には世界遺産の古城も多数

ジャンヌ・ダルクの活躍で知られるオルレアンをご紹介します

 私の夫はオルレアン生まれで、20代半ばまでオルレアンに暮らしました。今でも義父母や親戚が暮らしているので、1~2か月に1回くらいの頻度でオルレアンに行っています。オルレアンの魅力はいろいろあるのですが、今回は日帰りでも楽しめるように、オルレアンの中心地に絞ってご紹介したいと思います。

 オルレアンはフランス中部にあり、パリのオステルリッツ駅から電車で1時間ほどです。電車はたいてい座れますし、住環境のよさから、オルレアンに住んで仕事のためにパリまで通う人も増えているとのこと。夫も大学を出てから数年間は、オルレアンからパリまで通っていました。

オステルリッツ駅から在来線特急列車Intercite(アンテルシテ)でオルレアンに出発です。地域圏急行輸送列車TERで行くこともできます

 オルレアン駅を出てショッピングセンターを進むと、オルレアンのメインストリートであるレピュブリック通りに出ます。

オルレアン駅
レピュブリック通り
トラムが通っています

 レピュブリック通りをまっすぐ行くと、マルトロワ広場に到着です。広場の中心にはジャンヌ・ダルクの像がそびえ立っています。オルレアンにとってジャンヌ・ダルクの存在は特別。神の声を聞いたというジャンヌの力によって、オルレアンは1429年5月にイギリス軍による包囲から解放されたからです。その後、ジャンヌ・ダルクは19歳にして火あぶりという悲劇的な死を遂げましたが、彼女を崇める人は後を絶たず、のちに聖女となっています。

この日は骨董市が開かれていました
マルトロワ広場にあるジャンヌ・ダルクの像
夜はこんな感じ

 マルトロワ広場からジャンヌ・ダルクの家の前を通ってジャンヌ・ダルク通りをまっすぐ行くと、サント=クロワ大聖堂に到着です。

ジャンヌ・ダルクが滞在したという家。建物はオリジナルではなくて、1960年代に再建されたものです。現在はジャンヌ・ダルクに関する資料館となっています
Maison de Jeanne d'Arc

所在地: 3 place de Gaulle, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 68 32 63
Webサイト: Maison de Jeanne d'Arc(仏語)

 壮大なゴシック様式のサント=クロワ大聖堂は、ジャンヌ・ダルクも訪れました。中にはジャンヌ・ダルクの礼拝堂もあります。

この地方の王侯貴族の旗が並んでいます
ジャンヌ・ダルクの礼拝堂
大聖堂の横には観光案内所があります。ここで配布している中心街マップは便利
オルレアンにもレンタサイクルがあります
名所をまわるプチ・トランもあります
公衆トイレもこういう形ならすてきですよね
道の至るところにこういった金属製のスタッドが埋め込まれているのですが、これは横断歩道の印。普通の白線は美しくないということで、これになったそうです。確かに見た目はいいのですが、とても見つけにくいです!

 昼の大聖堂もすてきですが、夜の大聖堂もまた違った美しさです。2020年もあると思うのですが、2019年は5月末から8月末まで、毎晩23時から1時間のプロジェクションマッピングショーがありました。

Jeanne, visages universels : saison 3 «Emblèmes et Territoires»(オルレアン市が公開しているプロジェクションマッピングの動画)
夜の大聖堂はまた別の美しさです

 大聖堂を見学したら旧市役所・グロロ邸に向かいます。ここは現在、結婚式やレセプションなどに使われており、そのほかの市役所業務は正面の建物です。フランスでは結婚するときは必ず市役所で宣誓式をしないといけないのですが、この日も結婚式が行なわれていました。

グロロ邸。正面にはジャンヌ・ダルク像

 結婚式やレセプションがない時間帯は一般開放されているので、ぜひ中に入ってみてくださいね。ルネサンス様式の美しい内部となっています。

あちらこちらにジャンヌ・ダルクが
グロロ邸の向かいが市役所

 グロロ邸を後に、旧市街に向かいます。旧市街のエリアには歴史のありそうな、趣のある建物が多数残っています。

 旧市街を抜けるとロワール川に到着です。オルレアンで最大のフェスティバルは当然のことながら、ジャンヌ・ダルク祭りです。毎年ジャンヌ・ダルクがオルレアンに入った4月29日から、オルレアンが解放された5月8日まで行なわれます。

 その次に大きなフェスティバルは、9月中旬にあるロワール川祭り。2003年から始まった比較的新しいお祭りなのですが、大小新旧さまざまな船が一堂に会します。2019年は9月18日から22日となっています。

ロワール川
ロワール川を別の角度から見るとこんな感じ
ロワール川祭りのポスター

 ロワール川沿いを散策したら、駅に戻りがてらパスツール公園にも寄ってみてください。ここで行ってほしいのは1919年からあるという古いメリーゴーラウンド。今のモデルは1938年から変わっていないので、夫の家族は3世代にわたって乗っています。

 園内にはミニ蒸気機関車もあります。1952年にアメリカのウィチタ市より贈られたそうです。運行は5月から9月までの限定日となりますが、大人も子供も無料。園内を3周してくれます。私も久々に乗ってみましたが、子供のように楽しみました!

2019年の運行日予定

 さて、最後にオルレアン市内のお勧めのお店やレストランをいくつかご紹介しますね。

 パティスリー・ショコラティエはショコラトリー・ロワイヤル(Chocolaterie Royale)、コルディエ・オ・デリス(Cordier aux Délices)、ヴィクトリーヌ(Victorine)がお勧めです。義母がひいきにしているため、我が家がよく買っているのはヴィクトリーヌです。

ショコラトリー・ロワイヤル(Chocolaterie Royale)
Chocolaterie Royale

所在地: 51 rue Royale, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 53 93 43
Webサイト: Chocolaterie Royale(仏語)

コルディエ・オ・デリス(Cordier aux Délices)
Cordier aux Délices

所在地: 20 rue Bannier, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 53 74 43
Webサイト: Cordier aux Délices(仏語)

ヴィクトリーヌ(Victorine)が
Victorine

所在地: 26 rue Jeanne d'Arc, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 62 71 71
Webサイト: Victorine(仏語)

 コーヒーやお茶を買うならカフェ・ジャンヌ・ダルク(Cafés Jeanne d'Arc)がお勧めです。今回はブティック特製ブレンドのお茶を2種類と、コティニャックというオルレアンの名産品を買いました。コティニャックはマルメロというリンゴとナシを足したような果物をベースにしたコンフィズリー。実は今回食べるのが初めてだったのですが、私はアメとかキャラメルとかグミとかが苦手なので、これも「美味しいか?」と問われると「うーん」という感じ。でもマルメロは喉の痛みや咳によいそうですから、喉がおかしいときなどに少しずつ食べようと思います。

カフェ・ジャンヌ・ダルク(Cafés Jeanne d'Arc)
Cafés Jeanne d'Arc

Webサイト: Cafés Jeanne d'Arc公式Facebookページ(仏語)

所在地: 7 rue de la République, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 53 33 50

所在地: 13 bis rue du Faubourg Saint-Jean, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 53 23 83

所在地: 16 rue Royale, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 53 50 33

 オルレアンの名産品の一つがお酢とマスタードなのですが、お勧めは1797年創業マルタン・プーレ(Martin Pouret)のもの。土産物屋でも売っていますが、種類の豊富な直売店に行くのがお勧めです。

マルタン・プーレ(Martin Pouret)
Martin Pouret

所在地: 11 rue Jeanne d'Arc, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 62 19 64
Webサイト: Martin Pouret(仏語)

 オルレアンは夫の実家なので、いつもは料理上手な義母のごちそうをいただくのみなのですが、今回はル・トヌリエ(Le Tonnelier)に夕飯を食べに行きました。ここは地元のビストロという感じで気取っておらず、サービス係のお兄さんたちもとても気さくで陽気。料理は凝ったものではありませんが、シンプルで美味しいです。

前菜・メイン・デザートで29.50ユーロ(約3540円、1ユーロ=約120円換算)、メイン+前菜またはデザートで25.50ユーロ(約3060円)です
Le Tonnelier

所在地: 5 rue d'Alsace Lorraine, 45000 Orléans
TEL: +33 (0)2 38 62 89 14

 オルレアン案内、いかがでしたか? ここで生まれ育った夫が言うには、オルレアンはどんどんきれいになっているそうです。確かにパリと違って全体的に清潔ですし、至るところにお花が植えられています。ブティックの人も愛想がいいです。

 横断歩道を渡ろうとすると、パリではクルマがちっとも止まってくれないのですが、オルレアンではほとんどがちゃんと止まってくれます。パリからオルレアンに居を移す人が多いというのも納得ですね。

大聖堂の前にも花柱が

 パリからオルレアンまでは電車が頻繁に出ていますし、オルレアンのあるロワール地方にはすてきな古城も多数あります。1泊2日で1日はオルレアン市内を散策、あとの1日は古城めぐり、というのもよいと思いますよ!

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/