旅レポ
ピーチの羽田~桃園線初便に乗って台北で食べ歩きしてきた
LCCで行く1泊3日の台湾グルメ旅
(2015/8/19 00:00)
ピーチ(Peach Aviation)は2015年8月8日に、羽田~桃園(桃園国際空港)線に就航した。こちらの記事にあるように、往路となるMM1029便は、羽田空港を5時55分に出発し、桃園国際空港に8時30分(木曜と日曜は9時00分)に到着。また復路のMM1028便は、桃園国際空港を0時30分に出発し、羽田空港に4時45分に到着。これによって、0泊の日帰りスケジュールでも台湾に約16時間滞在でき、ほぼ丸1日の活動時間が確保できる。週末台湾旅行も容易に実現可能となり、海外旅行好きを中心に大いに注目を集めている。今回、実際にピーチの羽田~桃園線初便を使い、1泊3日で台北を旅してきたので、その模様を紹介する。
羽田空港への足の確保がやや問題
ピーチの羽田~桃園往路便となるMM1029便は、羽田空港を5時55分に出発する。そこで少々問題となるのが、早朝に羽田空港へアクセスするための足の確保だ。
ピーチの国際線では、出発120分~50分前の間にチェックインを済ませる必要がある。空港カウンターの混雑なども考慮すると、遅くとも4時30分までには空港に到着しておきたい。しかし、その時間帯は、羽田空港へのアクセス手段として広く利用されている東京モノレールや京浜急行電鉄は運行していない。
では、公共交通機関では到達不可能かというとそうではなく、こちらの記事にあるように、羽田空港に4時30分に到着する早朝アクセスバスが2016年3月31日までの期間で運行中だ。東京都心や二子玉川、横浜などから出発しているので、このバスが使える地域に住んでいる人であれば、早朝の羽田へのアクセスも大きな問題はなさそうだ。筆者も、秋葉原駅出発か東京駅出発のバスをなんとか使える場所に住んでいるため、そちらを使って羽田に行こうと計画していた。
しかし、この早朝アクセスバスが利用できない地域に住んでいる人は、ほかのアクセス方法を考慮する必要が出てくる。例えば、タクシーや、羽田空港周辺や早朝アクセスバスが出発する駅周辺のホテルに前泊するといった方法だ。ただ、LCCを使ってなるべく安く旅行したいという人にとって、その手段はあまり現実的ではないだろう。となると、自家用車を使って行くか、東京モノレールや京浜急行電鉄の最終列車を使って羽田空港に行き、羽田空港ロビーで時間を潰すというのが現実的な手段となる。
羽田空港で夜を過ごす方法は、もっともコストがかからない手段となる。時間の有効活用という点では少々悩ましいが、羽田空港国際線ターミナルには24時間営業のコンビニやカフェなどがあるのは安心だ。
自家用車の場合には、4時30分以前の早朝時間帯では空港の駐車場も混雑はほぼないようなので、車を停められなくて困ることはほぼなさそうだ。羽田空港国際線ターミナル駐車場の料金は、入場から7時間まで30分150円、7時間を超えて24時間までが2100円、24時間以降72時間まで24時間ごと2100円を上限に1時間ごと300円、72時間以降24時間ごと1500円を上限に1時間ごと300円となる。例えば、4時30分に入庫してMM1029便で台北に行き、0泊でMM1928便を利用し帰国、入国手続きなどを終えて5時30分に出庫したとすると、ちょうど25時間の駐車となり2400円の駐車料金となる。
……と、いろいろと早朝の羽田アクセスについて紹介したが、8月8日の羽田発桃園行きMM1029便初便は、台湾を直撃した台風13号の影響で、出発時刻が10時間45分の大幅な遅延となった(関連記事参照)。そのため、当日は14時30分頃に羽田に到着すれば余裕となり、筆者は前日しっかり就寝し、13時過ぎに自宅を出発して羽田に向かったのだった。
ところで、今回は0泊2日のスケジュールではなく、当初から現地で1泊する予定にしていた。どうせなら0泊2日が面白いかなと思っていたのも事実だが、せっかく台湾まで行くなら1泊して余裕をもって観光しようと思っていたのだ。もし0泊2日にしていたら、現地での滞在時間が5時間ほどしかなく、ほとんど観光できなかったはず。今回は、初便に乗ることに加えて、台湾観光も目的だったので、1泊3日の日程にしておいて正解だった。
とはいえ、往路便が10時間以上の遅延となったことで、初日はほぼ何もできなくなってしまい、0泊3日の弾丸スケジュールとあまり変わらないことになってしまったのは少々残念。まだ行ったことのない場所にも行ってみようと思い、いろいろと計画をたてていたのだが、急遽予定を変更して“台北市内食べ歩き&プチ観光”というプランで楽しむことにしたのだった。
手荷物は合計で10kgまで、規定に要注意
8月8日当日はちょっと早めに自宅を出たため、羽田空港には14時頃に到着。ピーチは、ホームページやTwitterで運航情報を開示しており、MM1029便の出発時刻は16時25分に遅延すると事前に分かっていた。約2時間30分前の空港到着ということで、ちょっと早すぎたかなと思ったが、出発ゲートで初便恒例の出発セレモニーが行なわれることもあってか、すでにチェックインが始まっていた。カウンター前にはその段階でもかなりの行列ができていたため、少し空くのを30分ほど待って行列に並び、チェックインを済ませた。
ところで、ピーチでは機内に持ち込める手荷物は、3辺合計が115cm以内、各辺が55×40×25cm以内の手荷物1個に、身の回り品1個の合計2個まで、かつ合計重量が10kg以下と決められている。そして、この規定は厳格に守られる。キャリーケース、ハンドバッグ、傘という組み合わせでも荷物3個となり、1個は必ず預けなければならなくなるし、合計重量が10kgを少しでも超えると機内持ち込みは不可能となる。当然、このルールは厳格に守られるので、手荷物に関してはあらかじめしっかり準備しておく必要がある。
今回は、規定に収まるサイズのキャリーケース(50×35×24cm)と、カメラやモバイルバッテリ、筆記用具などを入れた小型のメッセンジャーバッグの2個に荷物をまとめたが、重量は双方合わせて9.4kgと制限ギリギリだった。帰りはお土産をキャリーケースに入れる予定なので、これでは確実に合計10kgを超えることになりそうだが、当初からそれを見越して1個分の受託手荷物を予約済みだった。
羽田~桃園便の受託手荷物料金は、事前予約では2600円(ハッピーピーチ料金の場合。ハッピーピーチプラス料金では1個目のみ無料)だが、事前予約していない場合には3680円と割高になる。そのため、お土産などで帰りに荷物が増える可能性があらかじめ分かっているなら、事前に受託手荷物の予約をしておくのがお勧めだ。ちなみに、筆者は今回がピーチ便の初搭乗。規定サイズギリギリのキャリーケースがきちんとバゲッジスペースに収納できるかどうか確認したかったので、往路便では荷物は預けずに機内に持ち込むことにした。
その後、出国手続きを済ませ、15時頃に出発ゲートとなる141番ゲートに到着。搭乗開始は15時55分の予定だったが、ゲート前にはセレモニー用のステージが作られるなど、非常に華やかな雰囲気となっており、搭乗客も早い時間から続々とゲート前に集まっていた。(セレモニーの様子はこちらの記事のとおり)。
結局MM1029便は、セレモニー終了後の16時25分に搭乗開始となり、16時40分に出発となった。なお、持ち込んだキャリーケースは、問題なく頭上のバゲッジスペースに収納できた。
機内サービスは必要最小限で、飲み物や食事はすべて有料
ピーチの使用機材は、エアバス A320-200型機に統一されており、もちろん羽田~桃園便もこの機材が使用される。機内の座席は、3-3配列で30列の180席。座席はすべて革張りで、1席ごとに黒と紫に色分けされている。シートピッチはフルサービスキャリアと比べてかなり狭く、身長180cmの筆者は座席に深く座っても前の座席に膝がギリギリ触れるほどだった。また、背もたれのリクライニングも可能だが、角度は5度ほどとわずかで、リクライニングしてもほとんど印象は変わらない。座席ピッチの狭さもあって、機内ではリクライニングを使用する人は少数のようだった。
それでも、座席は機内誌などを入れるポケットが上部に設置され、足下はなるべくすっきりとした設計となっており、前の座席下に足を伸ばせば思ったほど窮屈さは感じなかった。羽田~桃園便の3時間35分のように、飛行時間が短いフライトであればなんとか我慢できる。ピーチでは“出発地から目的地まで4時間以内の路線”というポリシーで運航しているが、座席の作りからも4時間以内というのは妥当な飛行時間と思える。
機内サービスは、フルサービスキャリアのようなシートモニターによる映画や音楽などのエンターテインメントサービスはなく、飲み物や機内食もすべて有料。ただ、やはり飛行時間が短いこともあって、個人的には機内サービスがなくてもまったく気にはならなかった。なお、有料の飲み物や機内食、機内販売などのラインアップは、ほかの国際線便と同様のようで、羽田~桃園オリジナル商品などはなかった。
MM1029初便は、出発時間こそ大幅に遅延となったが、フライト自体は比較的順調だった。また、台風の影響で大きな揺れも懸念されたが、桃園国際空港付近でも大きく揺れることはほとんどなかった。桃園国際空港の混雑の影響で、着陸時刻の多少の遅延はあったものの、現地時間の19時30分に無事着陸。飛行時間は3時間50分ほどであった。ちなみに、桃園国際空港着陸時に雨はほとんど上がっており、風もそれほど強くなく、台風はほぼ過ぎ去っていた。
台北初日はホテルに移動してほぼ終了
無事に桃園国際空港に着陸したものの、台風の影響で遅延していたその他の便もほぼ同時刻に着陸していたようで、入国審査場はかなり混雑しており、入国審査場を抜けるのに1時間ほどかかってしまった。また、現地通貨である台湾元への両替なども行なったので、空港外に出るときにはすでに21時をまわってしまっていた。
到着がかなり遅くなったので、とりあえずホテルに向かいチェックインすることにした。今回は台北市内のホテルを利用したため、まずは桃園国際空港から台北市内へ移動する必要がある。桃園国際空港から台北市内への移動方法は、バスと台湾新幹線こと台湾高速鉄道を乗り継いで行く方法や、台北市内各地へと走っているリムジンバス、タクシーなどがあるが、今回はリムジンバスを選択。なぜなら、LCCでの旅ということで、なるべく費用を抑えようと考えていたのと、リムジンバスの停留所が予約しているホテルのすぐそばにあったからだ。ちなみに、今回利用したリムジンバスは、国光客運の1841路線(松山空港行き)で、運賃は83元(約330円)だった。
バスの車内は、日本の観光バスとほぼ同等で、2-2席で比較的ゆったりとした座席だった。リクライニングも十分に深く、ゆっくり座って移動が可能だった。ただし、1841路線は高速道路を使うリムジンバスではあるが、台北市内までノンストップではなく、一般道では路線バス同様に多くの停留所に止まるし、一般の乗客も乗り降りする。そのため、やや時間がかかってしまうのが難点。渋滞に巻き込まれることはなかったが、台北のホテル最寄りバス停に到着したのは、桃園国際空港を出発して約1時間後の22時05分頃だった。
その後、ホテルにチェックインし、ホテル付近を散策してみることにしたが、ホテル周辺は台風13号の影響が色濃く残っていた。ホテル横の大通りでは、折れた街路樹の枝が道路に散乱したままで、一部通行止めとなっていたし、落ちて粉々になった看板もあった。それを見るだけでも、台風13号の威力のすさまじさが伝わってくる。それでも、その時点では多少風が強く吹くことこそあったが、雨はほとんど上がっており、周囲を散策するのに危険は感じなかった。
ただ、筆者は台湾到着後に夕食に行く計画だったこともあり、14時に自宅を出る前に昼食を取ったのみで、それ以降食事を取っておらず、かなりの空腹状態だった。なので、散策もそこそこに食事に行くことにした。今回利用したホテルのすぐそばには、深夜までさまざまな飲食店が開いている「雙城街夜市」があることを把握していたので、まずはそこに行ってみることにした。
しかし、通常は0時過ぎまで開いているはずの飲食店のほとんどが閉店し、屋台も全く開いていなかったのだ。人もまばらで、いつもの活気は全くない。おそらく、ここ以外の夜市も、この日ばかりはほぼ同じ状況だったはずで、時刻もすでに22時を過ぎていたので、ほかの夜市に移動することは諦めた。そして、わずかながら開いていた屋台の1軒で、鶏肉のそぼろがけご飯「鶏肉飯」の弁当を買い、ホテルで食べたのだった。
この鶏肉飯は、塩味の利いたさっぱりとした味わいの鶏肉のそぼろと白いご飯の相性が抜群で、空腹状態だったこともあって一気にかき込んでしまった。一緒に付けた醤油味に煮込んだ卵も美味で、台風で混乱状態の台北での1食目として十分に満足できるものだった。ちなみに価格は、煮卵を付けて45元(約180円)だった。
台北観光には「EasyCard」が必須
1泊3日の日程で台湾を満喫しようと思っていたのだが、初日からかなり出端をくじかれてしまった。また、現地到着後もホテル到着までに想定以上の時間がかかるとともに、台風の影響で満足に観光や食事ができず、さらなる予定変更に迫られてしまった。そこで2日目となる8月9日は、じっくり台湾グルメを満喫しようと、朝イチから行動を起こすことにした。
まず向かったのは、台湾の朝食で絶大な人気を誇る「阜杭豆漿」(フーハンドゥジャン)という店だ。台北地下鉄のMRT「善導寺」駅すぐそばに店を構え、早朝から行列ができる人気店だ。ホテルを8時前に出発し、善導寺に向かった。
ところで、台北でMRTや路線バスを使う場合には、「EasyCard」(悠遊カード)の購入をお勧めする。これは、日本での「Suica」などに相当するプリペイドICカードで、自動改札にタッチするだけでMRTに乗車できるのはもちろん、コンビニなどでの支払いにも利用できる。しかも、EasyCardを使ってMRTやバスに乗ると料金が割引になるので、MRTやバスを頻繁に使うならかなりお得となる。
EasyCardは、MRT駅の券売機付近にあるEasyCard販売機で簡単に購入できる。カードの価格は100元だが、チャージ残高は0元のため、利用するにはEasyCard購入後にさらに料金をチャージする必要がある。ちなみに、台北での活動が2~3日あるなら、200~300元ほどをチャージしておくのがお勧め。MRTやバスだけで利用するならば100元もあれば十分足りると思うが、コンビニなどで飲み物を買うことなどを考えて、多めにチャージしておくと便利だ。また、チャージ料金が残った場合でも、MRT駅窓口で返却手続きを行なえば、購入時の100元と残高を合わせた金額から、手数料20元を引いた金額が払い戻される。
わずか270円ほどで大満足の朝食
さて、ホテルを出てMRTを乗り継ぎ、善導寺駅に着いたのは8時20分頃。日曜日の朝だし、そんなに混んでないのでは? という期待は見事に裏切られ、MRT出口に出てみると、店から伸びる長蛇の列が目に飛び込んできた。店は、出口先の角を曲がったビル入り口の2階にあるのだが、そこから地下鉄出口付近まで行列が伸びていたのだ。日本人観光客にも有名な店で、行列には日本人も多数見られた。店自体は5時30分から開いているので、もっと早く来るべきだったと少し後悔。それでも、そこは我慢して列の最後尾に並んだ。
この行列だと最低でも1時間は覚悟する必要があるなと諦めていたのだが、どうやら持ち帰りの客や、店内で食べたらすぐに店を出る客が多いようで、思った以上に回転が速い。列に並んで15分もするとビルの入り口付近まで進み、そこから10分ほどでビル2階のお店エリアに到達。それからさらに5分ほどで注文までたどり着いた。
阜杭豆漿は、豆乳ベースのスープ「豆漿」や揚げパン「油條」、釜で焼いたパン「大餅」などを提供する朝食のお店だ。今回は、干しエビなどの出汁の利いた醤油味ベースで、油條やネギ、パクチーなどが入った豆乳スープ「鹹豆漿」と、ネギ入り卵焼きを大餅で挟んだ「厚餅夾蛋」を注文。
鹹豆漿は、熱々のスープで、豆乳が柔らかく固まっており、まるで茶碗蒸しのような食感。ほんのり優しい、ちょうどいい塩加減で、油條やパクチーと一緒に食べると食感や風味が変化し、とても美味しい。
厚餅夾蛋は、ナンのような食感で、甘い中に軽い塩味を感じるパンと、薄味でネギの風味の利いた卵焼きとの相性が絶妙。1人で食べるにはやや量が多いとも感じるが、美味しさのあまりどちらも一気に食べ切ってしまった。ちなみに、店内には醤油などの調味料が置かれているので、味に物足りなさを感じたらそちらで調整も可能。また、パンなどを切るハサミもあるので、2~3人で分けて食べる場合も便利だ。価格は、鹹豆漿が30元(約120円)、厚餅夾蛋が38元(約152円)。
中正記念堂で軽く観光
阜杭豆漿での朝食は9時30分頃に食べ終わり、このまま次の目的地に移動すると、ホテルのチェックアウト時間を過ぎてしまう可能性がある。そこで、まずはホテルに戻ってチェックアウトすることにした。
ホテルには10時頃に戻り、荷物をまとめて10時30分頃にチェックアウトを完了。ここで問題になるのが荷物の扱いだが、復路便となるMM1028便は0時30分発のため、まだまだかなりの時間がある。今回は小型のキャリーケースを利用しているが、小型とはいえ深夜までキャリーケースを引いて観光するのはさすがにつらい。そこで、とりあえず夕方頃まで荷物はホテルに預けておき、それ以降はまたその段階でどうするか考えることにした。
さて、次は何を食べに行くかだが、やはり台湾と言えば小籠包は外せない。そこで、昼食は小籠包を食べることにしたが、さすがにまだ朝食を食べて1時間ほどしか経過しておらず、お腹は空いていない。そこで、腹ごなしも兼ねて、目的の小籠包の店に近い台北の観光名所を訪ねることにした。向かったのは「中正記念堂」だ。
MRT「中正記念堂駅」からすぐの場所にある中正記念堂は、中華民国初代総統である蒋介石の追悼施設として建設された。高さ30mもあるという巨大な門をくぐると、広大な敷地に公園が広がり、左右には非常に荘厳な見た目の「國家戯劇院」(劇場)と、「國家音楽廳」(コンサートホール)があり、門の正面奥に中正記念堂がある。
中正記念堂は、白い外壁と、中華建築らしい特徴のある屋根とのコントラストが美しい、壮大な建造物だ。正面左右に89段の階段があり、その階段を上り巨大なドーム状の入り口をくぐると、中に蒋介石の銅像がある。蒋介石の銅像は、中華民国の国旗に挟まれるように鎮座し、奥には「倫理」、「民主」、「科学」という、蒋介石が政治の理念としていた言葉が刻まれている。天井には、中華民国の国旗を模した装飾が施されている。
また、毎日10時から16時までの正時には、銅像前の台に立っている衛兵の交代儀式も行なわれる。今回は、中正記念堂に到着したのが11時過ぎで、衛兵交代を見るには50分近く待たなければならなかったので断念したが、中正記念堂に行くときには、衛兵交代儀式も同時に見物するのがお勧めだ。このほか、中正記念堂の1階には資料館や記念品の売店、カフェなどもある。1階は冷房が効いて涼しいので、広大な中正記念堂で歩き疲れたら、ここで一休みするのもいいだろう。
昼食は小籠包をハシゴ
中正記念堂を一通り歩きまわったところで、いい感じにお腹もこなれてきたので、そろそろ昼食に向かうことにした。昼食は小籠包ということで、行くお店はすでに決めていた。それは、小籠包といえばここ、という「鼎泰豐」(ディンタイフォン)だ。台北市内には鼎泰豐の店舗が複数あるが、どうせ行くならやはり本店だろうと、MRT東門駅そばの永康街にある鼎泰豐に向かうことにした。MRT東門駅は中正記念堂から歩いて行ける距離にあるので、徒歩で移動。
中正記念堂を出て永康街方面へと続く通りを歩き始めたが、ここでふとあることを思い出した。それは、中正記念堂を出てすぐの場所に、地元民に人気の小籠包の店があったはず。ということで予定を変更して、鼎泰豐の前にそちらでも小籠包を食べ、2軒をハシゴすることにした。それは「杭州小籠湯包」という店だ。
店には12時直前に到着したが、すでに外には入店を待つ人が大勢いた。とりあえず店員に1人と伝えると、メニューと呼び出し番号の書かれた注文票が渡される。注文は、この注文票に数字を書いて渡せばよく、メニューには日本語も書かれているので、中国語や英語ができなくても問題ない。また、回転も速いので、多少人があふれていても比較的短時間で入店できる。今回も5分ほど待っただけですぐに入店できた。
注文したのは、この後ハシゴすることを考慮して「小籠湯包」1つだけ。ただ、それだけではちょっと悲しいので、店内の冷蔵ケースに置かれているおかずも1品取った。このおかず、注文票にあらかじめ記入しておく必要はなく、取った分だけ後から精算する方式となっている。今回は、青唐辛子としらす干しの和え物を取ってみた。また、小籠包用の刻み生姜やたれは、店内中央スペースで作り、自分でテーブルに持ってくるスタイルとなっている。
小籠湯包は、1蒸籠に8個入っている。皮は比較的薄くサイズも小ぶりなので、1人でも1蒸籠は問題なく平らげられる。箸で持ち上げてみると、中にたっぷりのスープが入っていることが分かり、皮が破れないようにレンゲですくいつつ、たれと生姜を添えて口に入れると、アツアツのスープが一気に口の中に広がる。スープはどちらかというとあっさりしているが、肉あんは濃い目の味付けで、双方が口の中で混ざり合うと、こってりとしたなんとも言えない味わいとなる。地元民に人気があるのも納得の美味しさだ。
また、自分で取った青唐辛子の和え物もなかなかの美味しさだった。辛みはほとんどなく、万願寺唐辛子に似た味わいで、醤油ベースのたれやしらす干しなど、日本人にも違和感なく食べられる。この選択はかなり正解で、小籠湯包でこってりと熱くほてった口を、さっぱりと冷ましてくれる。小籠湯包と合わせて、あっという間に平らげてしまった。価格は、小籠湯包が120元(約480円)、小皿のおかずが50元(約200円)。
次は、鼎泰豐本店だ。こちらは杭州小籠湯包から徒歩5分ほどの場所にあるので、すぐさま移動。鼎泰豐は世界中の観光客に大人気で、いつも長時間待たされる。特に今回行った8月9日は日曜日ということもあって、いつも以上の混雑ではないかと思っていた。そして、店に到着してみると50分待ちとの表示が。長いときには120分以上になることも少なくなく、この待ち時間はどちらかというと短い方だが、それでも入り口付近の歩道は入店を待つ客であふれていた。
ただ、今回はもともと待ち時間は関係ないと踏んでいた。鼎泰豊本店では、予約せずに来店した場合、まず店員に人数を伝えて、入店番号の書かれた票をもらうことになるのだが、人数が1~2名の場合にはその時に「相席OK」と伝えておけば、順番に関係なく相席のテーブルに案内してもらえるのだ。事実、今回も待ち時間表示は50分となっていたが、15分ほどの待ち時間で入店できた。また、相席といっても小さなテーブルに詰め込まれるわけではなく、今回は8人掛けの大きなテーブルに案内され、しかも全部で4人しか座っていないという状況と、相席ながら1人で座っているのと大差ない環境で食べられた。人数が少ない場合には、大幅に待ち時間を減らせるので相席をお勧めしたい。
注文は、先ほどの杭州小籠湯包のようにメニューに数字を記入して店員に渡すだけだ。鼎泰豊は日本語ができるスタッフが大勢いるし、注文票やメニューも日本語のものが渡されるので、戸惑う心配もない。今回は、「小籠包」5個入りと「蟹みそ入り小籠包」5個入り、「ピリ辛ゆでワンタン(海老)」のハーフに、「きゅうりのピリ辛漬」を注文した。
鼎泰豊の小籠包の味はやはり格別。確かに、台湾にはもっと安く小籠包を食べられる店がいくつもあるが、コクのあるスープや肉あんの味はさすがのひと言。蟹みそ入り小籠包も、蟹みその風味が広がり、小籠包とは違う味わいがある。また、ピリ辛ゆでワンタン(海老)も最近のお気に入りで、海老の風味と、八角のきいた辛みの強いたれとの相性抜群。そして、きゅうりのピリ辛漬も、鼎泰豊に行くと必ず注文する料理。コマ油の風味を感じるピリ辛のたれに漬けられたきゅうりは、とてもさっぱりとしていて、箸休めに最適。先ほどすでに小籠包を8個食べてきたにも関わらず、こちらも一気に平らげてしまった。個人的に、鼎泰豊の小籠包を食べないと台湾に来た気がしないほどで、とにかく大満足だった。
価格は、小籠包(5個)が100元(約400円)、蟹みそ入り小籠包(5個)が175元(約700円)、ピリ辛ゆでワンタン(ハーフ)が85元(約340円)、きゅうりのピリ辛漬が70元(約280円)。なお、鼎泰豊では10%のサービス料が加わる。
小籠包を2店ハシゴして、お腹は十分に満たされたが、まだデザートを食べていない。そこで、こちらも永康街で有名なかき氷店「思慕昔(Smoothie House)」に行くことにした。台湾では、夏だけでなく1年中かき氷を食べる文化が根付いており、中でも有名なのが、氷をふわふわの食感に削った「雪花氷」だ。そして、夏のマンゴー収穫の時期に特に人気となるのが、雪花氷とマンゴーを合わせた「マンゴー雪花氷」。
思慕昔は、そのマンゴー雪花氷を出すかき氷店として台北でも上位の人気店。今回は、雪花氷にマンゴーの果肉を添え、マンゴー味のソルベが乗せられた「スーパーソルベとマンゴー雪花氷」を注文。大きなお皿に山盛りに盛られていて、かなりの量がある。店内を見渡してみると、1つを2人で分けて食べている人も結構いる。ただ、甘酸っぱい完熟マンゴーの果肉と練乳味の雪花氷との相性は最強で、かき氷は基本的に水なのでお腹にたまらないことや、台北の蒸し暑い気候もあって、1人でも余裕で完食できた。価格は190元(約760円)。
昼食はちょっと食べ過ぎたかな、という気がしないでもないが、大満足だったのは間違いない。
ホテルに戻り荷物を“松山空港の”コインロッカーへ
さて、昼食をハシゴしたのと台湾の蒸し暑さにちょっとやられたので、思慕昔でゆっくりしてクールダウン。マンゴー雪花氷を食べ終えた頃には時間は15時前になっていた。それでもまだ台北市内に6時間以上は滞在できる。
そこで、次はどこに行こうかと考えたのだが、これまで行けていなかった場所に行ってみることにした。それは、台北一のランドマーク、「台北101」に上ることだ。台北には何度も来ているが、台北101には低層階のモールに入ったことはあっても、89階の展望フロアにはまだ行ったことがなかった。展望フロアからの台北市内の眺めは最高という話は聞いており、いつか上ってみたいと思っていたので、今回チャレンジしてみることにした。
ということで、永康街から台北101へと移動。鼎泰豊本店前のMRT東門駅からMRTに乗り、MRT台北101駅で下車。駅から台北101は通路で繋がっているので、移動もすぐだ。台北101の入り口付近には、観光バスで乗り付けた多くの観光客でごった返しており、かなりイヤな予感はしたのだが、とりあえず展望フロアのチケットカウンターに行ってみた。するとそこには、150分待ちという文字が。
台北101に到着したのが15時30分頃だったので、このまま待ったとしても、展望フロアに上れるのは18時頃になってしまう。これは時間が大幅に無駄になってしまうので、とりあえず並ぶのを一旦諦めて、先にほかの用事を済ませることにした。
復路便のMM1028便に間に合うように台北市内から桃園国際空港に移動する手段として、往路便と同じようにリムジンバスを使おうと考え、そのバスを台北市内の松山空港から乗る予定にしていた。今回利用したホテルの目の前に桃園国際空港行きバスが停まる停留所があるが、始発となる松山空港から乗った方が余裕を持って移動できると考えたのだ。
また、もう1つの理由が荷物とアクセスだ。松山空港にはコインロッカーがあり、荷物をコインロッカーに入れておけば、荷物をかついで観光する必要がなくなる。しかも松山空港は、台北市内の中心地にあり、MRTやバスを使って簡単かつ短時間でアクセスできる。もちろん、荷物をホテルに預けたままでもいいが、帰国時のアクセスに便のよい場所のコインロッカーに預けておけば、荷物を受け取りにホテルに戻る必要がなくなり、夜ギリギリまで観光できるという利点もある。コインロッカーは松山空港だけでなく台北駅にもあるので、台湾高速鉄道を使って桃園国際空港に移動する場合には台北駅のコインロッカーを活用するとよいだろう。
台北101からホテルに戻り、預けていた荷物をピックアップ。そして、松山空港に向かうことにしたが、そこでもう1つ用事を済ませてしまうことにした。それは、お土産の購入だ。台湾のお土産として超定番となっている「パイナップルケーキ」。そのパイナップルケーキの名店が松山空港そばにあるので、そこに寄ってお土産を買ってから移動することにした。その店とは「微熱山丘(Sunnyhills)台北茶話會」だ。
ホテルから微熱山丘台北茶話會にはMRTでは移動できないので、バスを使うことにした。台北ではバスが縦横無尽に走っており、どれに乗ればいいのか旅行者にはなかなか分かりにくいが、そこで活躍するのがGoogle Mapだ。Google Mapで目的地を選択して経路を検索すると、バスを使った行き方もしっかり表示される。バス停の位置や乗るバスの路線名、降りるバス停の名前、降りてからの経路も分かるので、非常に便利。実際にGoogle Mapの指示どおりに移動してみたが、バスの路線名が出ているので、どのバスに乗ればいいのか簡単に判断できる。また、台北のバス停では掲示板にバスの到着時間が表示される点も便利。
バスの料金は、現金で支払うだけでなく、MRTと同様にEasyCardで支払える。運転席横にEasyCardの読み取り機が置かれ、降車時にタッチするだけでいい。下りるときには、日本のバスと同じように降車ボタンを押して知らせればいい。降りるバス停がよく分からない場合でも、Google Mapで現在地を確認しながらだと分かりやすい。
というわけで、15分ほどバスに揺られて最寄りのバス停で下車し、微熱山丘台北茶話會に到着。微熱山丘台北茶話會は、日本人観光客にも有名な名店で、店内は観光客でいっぱい。しかも、店内ではお茶と一緒にパイナップルケーキを丸ごと1個試食で出してくれる。お土産を買うだけでなくゆっくりお茶ができる点も人気の1つとなっている。
ここのパイナップルケーキは、パイナップルの濃厚な味わいながら、甘すぎない味付けが魅力で、人気なのも頷ける。試食を頂いたのち、お土産としてパイナップルケーキ10個入りを1箱買って店を後にした。価格は1箱420元(約1680円)。
微熱山丘台北茶話會から松山空港までは1kmほどの距離なので、徒歩移動で15分もかからずに到着。そして、コインロッカーを探すと国際線出発ロビー横に見つかった。
松山空港のコインロッカーはいくつか種類があるようだが、今回利用したのは24時間預かってもらえるコインロッカーだ。大型トランクも余裕で入るサイズと、日本でもよくある小型サイズとがあり、料金は大型ロッカーが360元(約1440円)、小型ロッカーが120元(約480円)。今回は、機内持ち込みサイズ対応のキャリーケースを使ったが、このサイズなら小型のロッカーにも問題なく収納可能だった。ロッカーの使い方は、開いているロッカーに荷物を入れ、ロッカー中央にある精算機にそのロッカーの扉番号を入力。すると入金を求められるので、ロッカー使用サイズに合わせて料金を投入。すると、扉を開けるための暗証番号が書かれた紙がプリントされる。その後、ロッカーの扉を閉めればロッカーにカギがかかるという仕組みだ。暗証番号がなければロッカーを開けられないので、暗証番号の紙はなくさないように気を付けよう。万が一のことを考えて、スマートフォンで暗証番号の紙を写真に撮っておくのもいいかもしれない。
なお、今回使ったコインロッカーでは、料金はコインでしか受け付けなかった。ただ、コインロッカー横にコイン両替機があるので、あらかじめ必要な金額をコインに両替しておくといいだろう。
台北101展望フロアから台北の夜景を堪能し、夕食へ
さて、荷物も無事コインロッカーに預けたので、再度台北101に戻り、展望フロアにリベンジだ。もちろん、先ほど待ち時間が150分だったのが、大幅に短くなっているとの期待はかなり薄い。しかし、全く当てもなく戻るわけではなく、確実に上れる方法があると確信して戻ったのだった。
台北101の展望フロアに上るには、料金500元(約2000円)のチケットを買う必要があるが、それを買うとすると、約150分待ちの行列に並ぶ必要がある。しかし、実はもう1つ「ファストパス」(Priority Pass)というチケットも売られている。そして、このチケットを買うと、行列に並ぶことなく即座に展望フロアに上るエレベータに乗れるのだ。ただし、料金は1000元(約4000円)と、通常のチケットの2倍もする。台湾に到着してこれまでに食べた料理の合計が903元。展望フロアに上るのにそれよりも高い料金を支払うのに少しだけ躊躇したが、やはり時間には代えられない。松山空港から台北101に移動してきたのが17時30分頃で、チケットカウンターでファストパスを購入できたのが18時。そして、即座に89階直通エレベータに乗り、展望フロアに到着した。
台風13号が通過した後ではあったが、どんよりとした曇り空だった。しかし、低く垂れ込めた雲がなかったことで、展望フロアからは台北市内のほぼ全体が見回せた。時間はちょうど夕暮れ時で、だんだんと空が暗くなり、18時45分以降はほぼ日が暮れ、台北市内の夜景も十分に堪能できた。
台北は、さすがに台湾最大都市ということもあって、夜景も素晴らしかった。特に、台北101から北に広がる、「信義新天地」と呼ばれるショッピングモールや、孫文の偉業を称える記念館「國父紀念館」、建設中の「台北大巨蛋(台北ドーム)」、松山空港を望む地域の夜景はかなり見応えがある。
結局、台北101の展望フロアで1時間ほど台北の夜景を堪能し、地上に帰還。なお、ファストパスがあれば、展望フロアから下りるエレベータにも列に並ばず乗れるので、ここでも大幅な時間短縮が可能。ファストパスを買っていなければ、台北101の展望フロアから台北の夜景をじっくり堪能するのは不可能だったはずで、料金は高かったものの正解だった。
さて、この時点で時間は19時30分。復路便のMM1028便出発は0時30分なので、桃園国際空港には22時30分に到着すれば問題ない。となると、松山空港から21時30分頃にバスにのればいい計算だ。まだ2時間ほど余裕があるので、最後に夕食に出掛けることにした。
台北最後の夕食は何がいいか考えたが、まだ「魯肉飯(ルーローハン)」を食べていないので、その名店に行くことにした。それは、MRT中正記念堂駅すぐそばにある「金峰魯肉飯」という店だ。
魯肉飯は、煮込んだ肉そぼろをご飯にかけた、台湾を代表する屋台料理だ。夜市の屋台で間違いなく売られているのはもちろん、台北市内には魯肉飯専門のチェーン店もあり、台湾の国民食と言ってもいいほどの存在。そして、金峰魯肉飯は、筆者が特に気に入っている店で、台湾に行くと必ずと言っていいほど食べに行っている。
ここは、魯肉飯はもちろん、その他のおかずもすべて外れなしというほどに美味しい。今回は、魯肉飯・小に煮卵(滷蛋)、豚の角煮(■“火へんに空”肉)、ゆで空心菜・小(■“湯の下に火”青菜)を注文。魯肉飯は、濃い醤油味のたれでじっくり煮込まれた、八角などの独特な風味のある豚のそぼろが病みつきになる美味しさ。うりの漬け物が添えられているのも、箸休めとして嬉しい部分。煮卵は見た目どおりの味で、魯肉飯との相性抜群。豚の角煮は、とろとろに煮込まれており、口に入れるとほろほろと簡単に崩れてしまう。こちらもしっかりとした味付けだが、脂っこさは少なく、すいすい食べられる。そして、ゆで空心菜。ニンニク風味の強いたれがかけられ、見た目以上にこってりとした味わいだが、それがまた食欲をそそる。魯肉飯は、その独特の風味に好き嫌いが分かれるかもしれないが、とにかく大満足間違いなしだ。価格は、魯肉飯・小が30元(約120円)、煮卵が10元(約40円)、豚の角煮が35元(約140円)、ゆで空心菜・小が30元(約120円)。
夕食を終えた時点での時刻は20時15分。残り1時間ほどだが、まだギリギリ余裕がある。そこで、最後にとどめのマンゴーかき氷を食べに行くことにした。マンゴーかき氷の名店も、昼に行った思慕昔意外にいくつもあるが、その中から選んだのは「冰讃」という店だ。
MRT雙連駅から徒歩圏内にあるお店だが、マンゴーが採れる季節しかかき氷を提供しないことで特に有名だ。かき氷に乗せられるマンゴーはすべて生の完熟マンゴーで、その果肉をその場で切って乗せてくれる。ダンボールに入った完熟マンゴーが無造作に置かれているのも、この店ならではだ。そのため、とにかくマンゴーの味わいが他店のかき氷とは段違いなのだ。また、日本人観光客に特に人気が高いのも特徴で、店内には常に日本人観光客が詰めかけている。
食べたのはもちろん「マンゴー雪花氷」。練乳ベースの雪花氷と完熟マンゴーの組み合わせは、見事というしかない美味しさだ。時間的にかなりギリギリではあったが、今回訪れた時にはたまたま行列がなく、到着してすぐ食べられたのはラッキーだった。価格は100元(約400円)と、安さも大きな魅力だ。
かき氷を食べ終えたのが20時40分頃。松山空港へは20分ほどかかるので、時間的にはここでタイムアップ。というわけで、MRTを乗り継いで松山空港へと戻り、コインロッカーに預けていた荷物をピックアップした後、21時20分発の国光客運1841路線で桃園国際空港へと向かったのだった。
実質0泊2日の日程だったが台北を堪能
21時20分に松山空港を出発したバスは、約1時間後の22時20分に桃園国際空港第1ターミナルに到着。カウンターに行ってみるとチェックイン待ちの行列がかなり長く伸びていた。列に並びチェックインが完了するのに約40分。出発120分前に空港に到着していたので大きな問題はなかったが、こういったことも考慮して、やはり空港には余裕をもって到着しておくべきだろう。
その後、手荷物検査と出国手続きを済ませ、ターミナル内へと移動してみたところ、ちょっと残念な状況に出くわした。ターミナルに移動した時点で時間は23時を過ぎていたが、ターミナル内の店は、2軒ほどの免税店を除き、すべて閉店していたのだ。土産物店はもちろん、飲み物やスナックを買うような、キヨスク的な店すらも閉まっている。この状況では、空港でお土産を買うというのは諦めるしかなく、空港到着前に済ませておく必要がありそうだ。
ちなみに、個人的に問題だったのが、飲み物を買う手段がなかったという点だ。ターミナル内のゲートに向かう通路には、飲み物の自動販売機が点在してはいるのだが、コインしか使えず、お札が使えない。ちょうど筆者は、空港到着前にコインをほぼ使い切り、手元には15元ほどのコインとお札しかなかったのだ。しかし、飲み物は最も安いもので20元。お札の両替機も見あたらず、結局飲み物すら買えなかったのだ。そのため、飲み物が買える程度のコインは残しておくべきと感じた。
その後は、搭乗開始10分前に搭乗ゲートが変更になったことで多少の混乱はあったものの、定刻を15分ほど過ぎた0時45分に出発して順調に飛行し、羽田には定刻の4時45分に無事着陸した。
今回、ピーチのMM1029便とMM1028便を利用して、1泊3日の台湾旅行を体験してきたが、かなり充実した旅行ができたという印象が強い。台風の影響で出発が大幅に遅延したことで、0泊2日の日程と大差のない滞在となり、かなり駆け足で台北市内を回ったため、それぞれの場所でゆっくりできなかったのは少々残念だったが、1日でこれだけ充実した観光ができたのは、帰国日に21時ごろまで観光に時間を取れるからであり、ほかの便では真似のできない、非常に大きな魅力と言えるだろう。
ただ、できるなら現地で1泊する日程をお勧めしたい。羽田~桃園便は、往復とも飛行時間が短く、機内で十分な睡眠時間を確保するのは難しい。0泊2日の日程の場合、実質26時間以上行動しっぱなしとなるため、例えば日曜に出発して月曜早朝に帰国し、そのまま仕事に行こうとしても、体力的に非常につらいと思われる。現地で1泊してしっかり睡眠を取れば、帰国後もかなり楽になるはずだし、当然現地での観光に取れる時間も大幅に増え、より余裕を持って行動できる。他社便では2泊以上しないと取れないような時間的なゆとりを、わずか1泊で確保できるのは非常に大きな利点で、台北を旅行しようと思っているなら、ピーチの羽田~桃園便の利用も検討してみてほしい。