600万年の歴史を刻むナ・パリ・コーストへ！　カウアイ島屈指の秘境で過ごす半日

　カウアイ島第2弾は、この自然の造形美を目指して世界から観光客が訪れる「ナ・パリ・コースト」にフォーカスしよう。「ナ・パリ」はハワイ語で絶壁を意味する。島の北西部に位置する標高差1000m余りにおよぶ断崖絶壁の全長27kmの海岸線が、ナ・パリ・コーストだ。

　切り立つ山肌は、この島が火山噴火によって誕生してから500万～600万年という歳月をかけて、豊富な雨と風、波の侵食により作り出したもの。

　この秘境へはクルマではアクセスできず、片道17kmという難易度の高いトレイルのほかは、空または海からしか辿り着けない。空から眺める景観も間違いなく美しいが、威風堂々とそびえる岩山が間近に迫る躍動感を体感するなら、クルーズを選ぼう。今回はシュノーケリングに軽食やランチが付いて大自然と戯れる半日クルーズ「ブルードルフィン・チャーターズ」を体験した。

この迫力を感じられるのは、クルーズならでは

　ツアーは1日2回、モーニングツアー（5.5時間）とサンセットツアー（4時間）がある。午後の方が波が高いため、船酔いが心配な場合は午前中がお勧めだ。波のコンディションは日によるので、不安があればはいずれにしても酔い止めを服用すると安心だろう。筆者も酔い止めを飲んで乗船したところ、まったく酔うことはなかった。

　午前の方がイルカに遭遇する確率が高い。すべてのモーニングツアーには「イルカ保証」が付いていて、もしもイルカを見られなかった場合、滞在中に無料で再度ツアーに参加できる。12月から3月の冬の間は、ザトウクジラ姿を見られることもあるという。

集合場所の「ブルードルフィンチャーターズ」ポート・アレン・マリン・センター

　では早速出発しよう。朝7時、リフエからクルマで約30分のポート・アレン・マリンセンターでまずはチェックイン。建物のなかで受付とトイレをすませる。

カウンターでチェックインを。酔い止め薬やバンドも販売している

受付後、ボーディングパスを渡されるので乗船まで保管しよう

　港までは歩いて数分間の距離。そこで待っているのは全長約19mの大型セーリングカタマラン。船内では滑らないように裸足が推奨されている（ビーチサンダルは危ないのでNG）。桟橋に用意されている靴用ボックスに靴やビーチサンダルを預けて船に乗り込む。ライフジャケットなどの説明を聞いたら、いよいよ出発！

カタマランは全長約19mで船内はスペースにゆとりがあった

乗船後、最初にトイレなど船内設備の案内や救命胴衣の説明がある

　穏やかな波のなか、大海原に出航。船の上階に360度の眺望が楽しめるトップデッキがあり、階下には男女別トイレを備えている。

出航してしばらくは波は穏やかでなめらかなクルーズ

船はスピードを上げて大海原へと突き進んでいった

　まもなくして、トロピカルフルーツとシナモンロールの朝食が準備される。コーヒーや紅茶、ジュースと一緒に、一面が青一色の広大な空と海に囲まれたひとときを存分に楽しもう。

シナモンロールとトロピカルフルーツカップをピックアップ

　上のデッキでは風を受けながら開放的に過ごすことができる。風を受けたくない場合は下に降りると風よけのある席もあるので移動しよう。移動の際、階段は後ろ向きに降りるなどのアドバイスをくれるが、降りようとするとクルーがすぐに手を貸してくれて安心だった。

変わりゆく陸地の景色を眺めながら南国フルーツを！

船長もクルーもカウアイ島の地形を熟知している地元の人たち

　しばらくすると、荘厳なナ・パリ・コーストがゆっくりと姿を見せる。船長が、カウアイ島の歴史、見どころ、海の生物、そして目に映る壮大な自然についてガイドをしてくれる。この地が映画「ジュラシックパーク」のほか、「キング・コング」など数々のハリウッド映画のロケ地となっていること、大きな谷間はかつて数百人ものネイティブ・ハワイアンの居住地だったこと、ハワイの神話であるメネフネが住んでいたとされる場所などを聞くことができた。

幻想的な光景が現われ、その近くへと船が進んでいく

ナ・パリ・コーストにまつわる話をシェアしてくれる

　彫刻のような山壁、深い緑の渓谷、無数に流れる滝を眺め、頭上には海鳥が舞うなか、気持ちよさそうに泳ぐハシナガイルカにも遭遇！　全員が大興奮した瞬間だった。

午前中はイルカを見られる確率が非常に高い

船のまわりを泳ぎ回るハシナガイルカ

　まもなくしてシュノーケルスポットに到着。その日のベストスポットに船を停めてくれる。シュノーケルの基本をおさらいし、安全に楽しむための注意点を聞いたあとは、シュノーケル用のマスクとフィン、浮き具を借りて、約1時間たっぷり海に入って遊ぶ。

シュノーケルマスクとフィンはサイズを選べる

シュノーケル用具はすべて料金に含まれている

　透明度の高い海中には、ハワイ州の魚フムフムヌクヌクアプアアやカラフルな熱帯魚、ホヌ（アオウミガメ）たちが泳いでいた。なお、海洋生物は連邦法および州法で保護されていて、ウミガメは3m、イルカは45m以上離れることが推奨されているので、ルールを守りながら楽しもう。

多種類の魚たちと一緒に泳ぐことができる。船上からも魚が見えるほど水が透き通っていた

気付いたら近くをウミガメが泳いでいることもあるが、そんなときは少し離れて見守ろう

　船尾はウォータースライダーとなっているのでそこからダイブしたり、デッキからターコイズブルーの海へと飛び込んだり、大人も子供も一緒になって大はしゃぎだった。

短いウォータースライダーは子供にも大人にも大人気

船のデッキから、輝く海の楽園へジャンプ！

　遊び尽くしたあとは、デッキに戻って再び航海の続きへ。滝が流れ、洞窟が現われ、変化に富んだ自然の勇姿に感動が押し寄せる時間となる。

デッキ席で座ってくつろぎながら景色を楽しめる

波の侵食によってできた海蝕洞（かいしょくどう）

存在感を誇るこの景色に目を見張るはず

この角度から眺められるのがクルーズの醍醐味

　次のお楽しみは、荒々しい岩肌に船がどんどん近づくスリルを味わう。目前にそびえ立つ山からは糸のような滝が流れ落ち、そこに限りなく近づいて天然のシャワーを浴びた。

降り注ぐ天然のシャワーに大喜び

記念撮影ができる時間もとってくれる

　やがて海岸線が終わりに近づき、折り返し地点に。大興奮の数々を経験したあとは、ランチとともにリラックスタイムの演出が始まる。まずは予約の際に選んでおいたランチをピックアップ。ハワイのバケーションに欠かせないマイタイ、キンキンに冷えたローカルビール、ローカルブランドのジュースなども振る舞われるので、ハワイの味を堪能しよう。

「船内にバーカウンターが登場！」と言い、マイタイを作ってくれた

オーダーしておいたランチをカウンターで順番に受け取る

ハワイのドリンクメーカーのソフトドリンクも揃っている

カルーアポークサンドイッチ（バーガー）などメニューは数種類

　シュノーケルの心地よい疲れを感じながら、ランチタイム。絶景のなか、船の上で風を受けて味わうランチの味は言うまでもない。

海上でビールとともに味わうラップサンドとチップスは格別！

「デザートはいかが？」とクッキーを持ってきてくれた

　空の青、深い緑、岩肌の茶色、コバルトブルーの海のコントラストをしっかりと目に焼き付け、おのおのが写真を撮ったり、しゃべったり、踊ったりしているうちに、船はゆっくりと港へと向かう。

音楽にのって踊ったり、笑ったり、幸せな時間となった

　たっぷり5時間半、日常からは想像もできない壮大な自然のなかに身を置くという体験は、夢の世界にいたかのような時間となり、人生で忘れることのない思い出になる。

　そして、ネイバーアイランドが誇る圧倒的な自然美に、ハワイをもっと知りたくなるに違いない。

ブルードルフィン・チャーターズ「デラックス・ナパリコースト・シュノーケル・モーニングツアー」

所在地： 4353 Waialo Road #7B, Eleele, HI
所要時間： 5.5時間
料金： 大人215ドル、17歳～13歳200ドル、12歳～2歳185ドル（チップ含まず）
※Webサイトから10日前までに申し込むと1人10ドル引き（2025年8月時点）
主な参加制限：
・ツアーは裸足で参加
・2歳未満は参加不可
・すべての参加者は介助なしで乗船用ランプを歩いて渡れる必要あり
持ち物：
・カメラ
・日焼け止め（スプレータイプ不可）
・タオル
・水着
・写真付き身分証明書（バー利用は21歳以上のみ）
・必要に応じて酔い止め
・薄手のレインジャケットまたはウインドブレーカー
※安全のため、フルフェイス型シュノーケルマスクの使用は禁止
ツアーに含まれるもの
・朝食（フルーツやデニッシュなど）
・ランチ（事前にメニューを選択）
・シュノーケル用具（※ウェットスーツレンタルあり）
・水、ジュース、ソフトドリンク
・ビール、ワイン、マイタイ（21歳以上）、ランチ時に提供
Webサイト： ブルードルフィン・チャーターズ