旅レポ
青森ねぶた祭の観覧席と送迎、宿泊がセットになった星野リゾート 青森屋のプランを体験してみた。部屋は半露天風呂付き!
2024年8月15日 12:00
日本の夏と言えばお祭りだ。全国各地で大小さまざまなお祭りが開催され、参加者はもちろん多くの観光客でにぎわいを見せる。本州最北の地、青森の夏を熱く盛り上げるのが「青森ねぶた祭」だ。例年、8月2日から8月7日にかけて開催され、期間中100万人(2023年度)を越える観客が巨大な灯籠を目当てに全国から集まる。
ねぶた祭は国指定重要無形民俗文化財に指定されている全国区のお祭だけにリピーターが多く、個人で気軽に出かけるのはちょっと難しい印象があるけれど、今回は「星野リゾート 青森屋」の「青森ねぶた祭観覧バス送迎付プラン」を利用することができた。
このプランは宿からの送迎はもちろん、有料観覧席のチケット、さらにお弁当や観覧グッズもセットになっているもの。この時期、青森市内での宿泊は絶望的だし、少し離れた場所でと思っても終了時間が21時なので公共交通機関の利用は困難。かといって自家用車でと考えても、開催場所が市内中心部のため駐車場の確保に頭を悩ませることになる。
そんなもろもろの頭痛のタネを一気に解消できるのが本プランだ。同様に考える人が多いのか例年、早い時期にソールドアウトとなってしまうという。来年の募集は未定とのことなので、気になる向きは適宜ホテルのサイトをチェックしておこう。
敷地面積22万坪の巨大温泉宿
星野リゾート 青森屋は青森県の東側、三沢市に2005年にオープンした温泉宿。「のれそれ(青森の方言で目いっぱいの意味)~ひとものがたり~」をコンセプトに、青森の祭や方言などの文化を満喫できる。青い森鉄道の三沢駅のすぐ近くに位置し、三沢空港からもクルマで20分ほどの好立地にある。三沢駅からは歩いて15分ほどでアクセスできる距離だが、三沢空港とともに事前予約することで送迎バスを利用することが可能だ。
星野リゾート 青森屋
所在地: 青森県三沢市字古間木山56
客室数: 236室
チェックイン: 15時
チェックアウト: 12時
宿泊料金: 1万9000円~(2名1室利用時1名あたり、税込、夕朝食付)
Webサイト: 星野リゾート 青森屋
今回は東北新幹線の指定席が満席だったこともあり、羽田空港から三沢空港へのJAL便を利用した。現在のダイヤだと1日4便が就航しており、羽田発7時50分、10時35分、15時00分、17時30分と時間帯もバラけていて利用しやすい感じ。飛行時間は1時間20分ほど。
一方の東北新幹線だと八戸駅で乗り換える必要があり4時間ほどかかるので、関東から出かけるなら飛行機の方が便利かも。ここからは事前予約した送迎バスに乗って、目指す青森屋までは20分ほどの道のりだ。
水沢駅を過ぎるとすぐに大きなねぶたを描いた大看板が現われる。ここが青森屋の入口。公園を含めて敷地面積22万坪というだけにここからがちょっと長い。入口側に建つ西館、駐車場を経て本館のエントランスへ。チェックインの時間帯にはポニーがお出迎えしてくれる。
客室は本館、西館、東館で合計236室。もっともスタンダードな客室が「あずまし」と呼ばれるタイプ。これは北海道や東北で「心地よい」を意味する方言(あずましい)を冠した客室で、「故郷にかえったような懐かしい寛ぎ空間、そんな青森の人のぬくもりが感じられるお部屋」だという。そのほか、ねぶたの世界にどっぷりと浸かることができる「青森ねぶたの間」、愛犬と一緒に宿泊できる「愛犬ルーム」など、合計6タイプの部屋を用意している。
今回泊まったのは「あずまし 半露天風呂付」。2~3名向けで53~59m2の室内はいわゆる和洋室(かなり和寄り)で、青森の伝統工芸品が随所に置かれている。
なによりも注目したいのは部屋の名前にも付いている半露天風呂。ヒバをふんだんに使った浴室を窓側に設置しており、滞在中はいつでも利用できる。宿泊客が利用できる露天風呂「浮湯」も訪れたいところだが、誰にも気兼ねなくいつでも温泉を楽しめるのはなんとも贅沢でお気軽。取材ということもあってあまり時間はなかったけれど到着後、就寝前、朝食前と三度も楽しんでしまった。
もう1つ書いておきたいのが、浴室内はもちろん室内にもヒバ特有の香りが漂っていること。天然の木の香りはなんとも心地がよく、とてもリラックスできる空間となっていた。ちなみに、あずましが133室用意されているのに対し、この半露天風呂付きタイプはわずか11室。争奪戦必至だ。
大浴場「ひば湯」は森と池に囲まれた露天も
先に部屋の温泉を紹介してしまったが、温泉宿なのだからいわゆる大浴場も紹介しておきたい。それが本館と西館の中間に位置する露天風呂の浮湯と内湯の「ひば湯」で、どちらも源泉掛け流しの贅沢な風呂だ。
脱衣場を出るとまず内湯に対面。浴槽はもちろん天井、壁のすべてに青森ヒバを使っており、豊かなヒバの香りに包まれて入浴できる。広い湯船と高い天井はこうした温泉ならではの開放感。時間がたつのを忘れてゆっくりと入りたいところだ。
そこから屋外に出ると池に張り出した浮湯。森と池に囲まれたシチュエーションとなっており、この時期は森の緑が色濃く開放的な気分が満喫できること請け合い。新緑や紅葉、雪などの時期にもぜひ訪れてみたいと思わせる空間だった。
2024年4月にオープンした「青森ねぶたサウナ」にも注目。文字どおりねぶた祭をテーマにしたサウナで、室内には「龍王」を題材としたねぶたが据えられるほか、サウナストーンやサウナマット、12分計など随所にねぶたをモチーフとしたデザインを採用。BGMにも祭り囃子が流れるほどのコダワリようで、祭の時期以外でも、真夏のねぶたの熱気を肌で感じることができるのだ。
青森屋の入口近くにある「元湯」も忘れちゃいけない温泉。こちらは日帰り入浴可能な施設で、もちろん宿泊者は無料で利用可能。歩くと10分ほどかかるが送迎バスも用意している。筆者は時間に余裕がなかったため訪ねることができなかったが、こちらの方が湯本に近いとのこと。温泉好きはぜひ訪れてみてほしい。
夕方からはいよいよねぶた祭の観覧へ出発するが、その詳細は別記事を参照していただきたい。
郷土料理と海鮮が充実した朝食ビュッフェ
翌朝、朝食は西館の1階にある「のれそれ食堂」に。ビュッフェ形式となっており、古民家風の店内で割烹着姿のかっちゃ(お母さん)がもてなしてくれる。メニューは多彩で青森の郷土料理のほか海鮮などの和食が充実。洋食も用意しており、特にパン派にはオリジナルのりんごジャムがオススメ。3種類あって味の違いが楽しめる。
チェックアウトが12時と遅めなので、腹ごなしとばかりに屋外の公園を散策してみた。歩いて散策しても1周30分程度だけれども、「しがっこ風鈴馬車」に乗ってみるのも一興。池を眺めながらゴトゴト揺れる馬車でのんびりと森のなかを進むのは、心地よい自然の風を感じられる爽やかなひとときに浸ることができる。そのほかにも、有料で予約制の「八幡馬ラウンジ」やふれあい牧場をめぐり、ゆったりと過ごすのも夏休みらしい時間の使い方だ。
今回はわずか2日間と短い時間だったがたくさんの青森を感じることができた。あずまし 半露天風呂付きのお部屋も素晴らしい体験だった。だが、元湯どころか大浴場も体験できなかったし、館内のイベントもすべてを体験することができなかったのは心残り。もし、この記事を読んで興味を持っていただけたなら、2泊3日以上の余裕ある旅程を組んで、ゆっくりどっぷり青森を楽しんでほしい。