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JAL初の中東路線、初便に乗ってカタール・ドーハへ行ってきた! 砂漠のなかの超近代都市まで12時間の旅
2024年4月5日 16:00
- 2024年3月31日 就航
JALの羽田~ドーハ線(2024年3月31日~)
JL59便: 羽田(22時50分)発~ドーハ(翌04時40分)着、毎日運航
JL50便: ドーハ(07時15分)発~羽田(23時55分)着、毎日運航
JALが国際線の新規路線を開設するのは、2020年のロシア・ウラジオストク線、インド・ベンガルール線以来4年ぶり。これまで本路線はカタール航空が運航していたが、同じワンワールドアライアンスメンバーであるJALの新規開設に伴い運休。成田~ドーハ線に注力する形になった。
JL59/50便の機材は、ビジネスクラス52席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー116席(計203席)のボーイング 787-9型機。初便の利用者はビジネスクラス50席、プレエコ/エコノミー128席の計178名で、およそ9割の搭乗率となった。
今回、このフライトに搭乗する機会を得たのでレポートしていく。
さて、フライトの詳細に触れる前に言及しておきたいのが現地の到着時刻で、一般的な観光目線では早朝4時40分にドーハに到着して、羽田への帰国が23時55分というのはやや不便そうに思える。
というのも、往路の羽田~ドーハ(JL59便)は、現状利用者の8割が乗り継ぎ需要のため、ドーハ以遠の接続を考慮するとこの時刻が最適なのだという。また、この方面の羽田の発着枠が深夜早朝に限られているという背景もある。
約12時間のフライトを経て到着するドーハは、日本との時差が6時間。現地の朝5時ごろ(日本では昼11時)は早朝には違いないが、機内でしっかり寝ることができていれば、到着してすぐにアクティブに動き回れるはず。機内であまり休めるタイプではないという人は、ドーハのホテル予約時にアーリーチェックインをオプションで付けておいて、ひとまず部屋でシャワーを浴びたり横になったりして、現地のお昼過ぎから動き出すと身体が楽かもしれない。
なお詳細は別記事で取り上げるが、記者はホテル到着後すぐに、カタール南部の砂漠地帯とインランドシーへのプライベートツアーに午前中から出掛けてみた。4WDで砂漠を疾走したり、ラクダの背に乗ったりと密度の濃い時間を過ごして、出発からきっかり4時間でホテルに戻ってこられたので、カタール観光の初手として大変お勧めできる。
一方、復路については偏西風の影響で早着することが多いそうで、実際記者が搭乗した4月2日の帰国便は23時5分着だったので、23時台の京急やモノレールになんとか間に合うかも、という感覚だ。現実的な選択肢はタクシーだが、クルマがあるなら羽田の駐車場に預けて旅に出るという手もあるし、いろいろな意味で余裕があるなら、帰国後に羽田付近で1泊することを選択肢に入れてもよいだろう。
プレミアムエコノミーで過ごした機内
ドーハへのフライトは約12時間。今回搭乗したシートはプレミアムエコノミークラスだった。JALのボーイング 787-9型機のプレエコ「JAL SKY PREMIUM」は、2-3-2配列で前後幅だけでなく横方向もゆとりがあり、肘掛けの下にも空間があるため(最前列は除く)、腰まわりがとにかく楽でACアダプタを脇に置いたりしてもジャマになりにくい。
各席にはユニバーサルコンセントと充電用のUSB Type-Aポートを1基ずつ備えているので、スマホ充電はType-Cに加えてType-Aのケーブルを1本持っていくとよいだろう。
23時ごろに羽田を発って、翌0時半ごろに夕食の提供が始まった。記者が選んだのは「牛カルビ丼」。イスラム教徒への配慮で豚肉を使った料理が出せないため、中東路線ならではのメニューとのこと。焼き目のしっかり付いたお肉に、コーンのたくさん入ったライスという組み合わせで、ステーキハウスの付け合わせで出てくる焼き飯的な味わいになっていて、意外にもがっつりメニュー。
到着の2時間ほど前にはふわふわのオムレツが朝食として提供された。ギャレーで温めたら硬くなってしまいそうだが、そこを踏まえて絶妙な状態で搭載していると思われる。夕食朝食ともに、美味しくいただいた。
客室でチーフを務めた能川さんによると、JAL初の中東路線として気を配ったことは2点あり、1つは「豚肉を完全に排除した食事を提供すること」で、特にカタール発の復路はハラール認証のキッチンで調理しているそうだ。もう1点は機内販売で、カタール入国時に酒類の持ち込みができないため、往路では「アルコールの販売を行なっていない」。復路では販売しているので、そちらをご利用くださいとのこと。
また、この初便はラマダンの時期と重なっていたこともあり、日中は断食しているムスリムの搭乗者に配慮していたこと、パイロットに確認してメッカの方角を答えられるようにしていたことなど、路線ならではの気遣いがあったようだ。
強い偏西風の向かい風を受けたため、ドーハ・ハマド国際空港への着陸は定刻をやや過ぎた5時5分ごろ。初便は歓迎の放水で迎えられ、降機後に搭乗橋を抜けた先でも横断幕で初便利用者を出迎えた。
記者が入国審査にかかった時間は、待機列含めて30分ほど。書類の記入はなく、短期(30日)の観光ならビザは免除される。係官からは特に質問もなく、パスポートを渡して顔写真の撮影、片手の指紋を採っただけですんなり通過できた。通過した先で簡単な荷物検査の実施があったが、これは国内への持ち込みが禁止されている品(豚肉、アルコールなど)のチェックを行なっていたと思われる。機内で提供されたワインの小瓶などを「結局飲まなかったから」といった理由で宿泊先まで持っていこうとすると違法なので、注意してほしい。
ドーハ・ハマド国際空港は、中東に限らずアフリカ、欧州、南米への乗り継ぎのハブとして機能しており、24時間多くの人で賑わう。今回は就航とラマダンが重なっていたため、それでも普段より落ち着いていたらしい。
ホテルまであえて地下鉄に乗ってみた
今回の宿泊先は、ペルシャ湾に面するウエストベイエリアの「マリオット・マーキス・シティセンター・ドーハ」(Omar Al Mukhtar Street, Area 61, Street #850, Doha)。一帯にはヒルトン、フォーシーズン、デュシット、インターコンチネンタル、プルマンといった名のあるホテルが建ち並ぶ。
地下資源が豊富なためかカタールの交通インフラは非常に低廉で、空港~ホテル間のUberの料金を調べてみたところ、25~45QAR(約1050円~1900円、1カタールリヤル=約42円換算)ほどだった。市内は地下鉄網が充実していて、1日乗り放題のデイパスはたったの6QAR(約250円)。大きな荷物を抱えているなら断然クルマだが、今回は取材で短期滞在のため、(個人的興味もあって)メトロを利用してみた。券売機は非常にシンプルなので特に説明は不要と思われるが、迷っている人には係員が声をかけて説明してくれる。
ホームは東京メトロ 南北線のように全面ホームドアで、「あと何分で電車が到着するか」の分かる電光表示もある。路線は、空港付近を起点にペルシャ湾沿いに南北方向に走るRedline(赤)、旧市街・国立博物館から東に向かうGoldline(黄)という具合に色分けされているので、どの駅で降りるかさえ把握していれば、迷うような複雑さはない。ちなみにメトロの車両は日本の近畿車輛製。列車は無人運転で、先頭車両は展望デッキになっている。
今回のホテルはRedlineの「DECC駅」目の前という立地で、ここには駅名にもなっている大きなコンベンションセンター(Doha Exhibition&Convention Center)と、巨大なショッピングモール(City Center Doha mall)がある。