旅レポ
チェコが誇る音楽家ベドジフ・スメタナ生誕200周年! スメタナの故郷リトミシュルを散策して、プラハ近郊の古城ホテルに泊まってきた
2024年5月6日 12:00
かつて鉄鋼業で栄えた都市オストラヴァからスタートして、西へ西へと移動するロードムービーのようなチェコ旅もいよいよ最終目的地のプラハに到着。最終回の本稿では、小さくて美しい街リトミシュル、スメタナが晩年を過ごしたヤプケニツェ、エレガントな古城ホテル、プラハでのお土産探しなどをたっぷりご紹介します。
リトミシュルの3つ星ホテル「ズラター・フヴィエズダ・ホテル」
交響詩「我が祖国」で知られるチェコ出身の音楽家ベドジフ・スメタナの生まれ故郷リトミシュルは、人口1万人ほどの小さな街。もともとボヘミアとモラヴィアを結ぶ交易路で、ヨーロッパ全体でも重要な貿易ルートでした。クルマを降りたのは、そんなリトミシュルの街の中心に細長く広がる「スメタナ広場」です。
歴史ある建物に全32室を備える「ズラター・フヴィエズダ・ホテル」を内見してきました。1階のレストランでは伝統的なチェコ料理が楽しめ、屋上テラスからは街を見下ろす素晴らしい景色が自慢のこちらのホテル、文化人やスポーツ選手、政治家などのリピーターも多いそうです。
今年はスメタナ生誕200周年、音楽祭「スメタナのリトミシュル」は盛り上がり必至!
川の形に沿ってのびるスメタナ広場を進んでいくと、スメタナ像に出会います。その銅像から小径を通り抜けた裏通りに建つ大きな建物が、市民ホール「スメタナの家」です。
ところで、リトミシュル観光の目玉といえば世界遺産「リトミシュル城」。なのですが! なんとまさかの大規模改修工事中で、今回は中に入ることができず(泣)。毎年6月末~7月初旬には、このリトミシュル城をメイン会場に、チェコで2番目に古い音楽祭「スメタナのリトミシュル」が開催されます(一番古いのはプラハの春音楽祭)。
スメタナ生誕200周年というアニバーサリーイヤーの今年は、スメタナの全オペラを一度に上演するなど、期間も規模も過去最大となるそう。盛り上がること間違いなしの音楽祭「スメタナのリトミシュル2024」の開催期間は6月8日~7月7日。音楽祭で沸くリトミシュルの街、見てみたいな~。
リトミシュルで泊まったホテル「ホテル・アプラウス」
リトミシュルで泊まったのは歴史的地区の一角にたたずむ「ホテル・アプラウス」です。目立つ外観ではありませんが、なかはモダンでスタイリッシュ。3棟の歴史的建造物を再構築しているそうで、館内は“なぜここに段差が!?”と不思議に思う箇所が随所にある、ユニークな造りのホテルでした。
実は、リトミシュルに滞在したこの日は、小澤征爾さんの訃報が世界中を駆け巡った日。部屋のテレビをつけると「日本の指揮者、小澤征爾さんが死去」と、チェコでもトップニュースとして取り上げられていました。チェコの偉大な音楽家スメタナの故郷リトミシュルで、日本が世界に誇るマエストロの訃報を聞くという音楽つながりに、何か不思議なものを感じた夜でした。
スメタナ博物館での特別オペラ鑑賞で感極まって涙する
次に向かったのは、ヤプケニツェという小さな街。ここにはスメタナが晩年の8年間を過ごした家が残されていて「スメタナ博物館」として保存・公開されています。ちなみにプラハにはヴルタヴァ川に面した場所に「ベドジフ・スメタナ博物館」がありますが、そことは別の施設です。
リトミシュルで生まれ育ち、その後、生涯の大部分をプラハで過ごしたスメタナ。亡くなる8年ほど前に経済的な理由で娘さんを頼って、ここヤプケニツェに移ってきたのだそう。今回はこのスメタナ博物館で、地元の音楽家さんによるオペラのミニコンサートを鑑賞することができました。
小さな会場でふたりの女性によるミニコンサート。スメタナが作曲したオペラのタイトルすら知らない私は、歌詞も内容も分からないまま、ただ高音の歌声に聴き入っていたのですが、ふと気づいたら涙があふれてきてびっくり! 音楽は言葉ではないんだな~ってことを実感した忘れられないコンサートになりました。
古城ホテル「シャトー・ムツェリ」でロマンティックな滞在を
チェコ旅の最後のお宿は、まわりを森に囲まれた丘の上の古城ホテル「シャトー・ムツェリ」。ここに泊まるためだけにチェコを訪れてもいいんじゃないかと思うくらい素敵なホテルでした。記念日旅行やハネムーンなどで滞在するのにもオススメ!
客室はわずか24室。それぞれ異なるスタイルで、1室ごとに名前が付いているのが特徴です。今回は12室あるスーペリアルームを利用しました。
「PIANO NOBILE」は、"チェコのベスト・レストラン"に何度もランクインしているというシャトー・ムツェリ自慢のレストラン。料理長率いる料理チームは、可能な限り地元の食材を使い、ハーブを自家栽培し、シャトー内にあるスモークハウスで肉や魚を燻製するなどしてゲストをもてなしています。この日いただいた夕食も、エレガントなレストランの雰囲気と相まって極上のグルメ体験でした。
ウェルネスエリアも人気だというシャトー・ムツェリ。サウナにジャグジー、ハーブスチームバス、夏の時期にはプールもあって、ヨガクラスやハーブのワークショップなども。もちろんこんな素敵なシャトーホテルなので、ウェディングもできちゃいます。プラハから小一時間の距離なので、週末を利用して癒やされにくるチェコ人も多いそうです。
プラハでは前回感動したお気に入りのビュースポットに上ってみた
プラハでは4時間ほどフリータイムがあったので、カメラ片手に街をぶらぶら散策してみました。1年9か月ぶりのプラハの街は、アジア人観光客が増えたな~という印象でした。
傘を差しながらたどり着いたのは、カレル橋のたもとに建つ旧市街橋塔。前回感動しまくった“これぞプラハ!”な絶景を再び見るべく、展望階まで螺旋階段をのぼり、前回とほぼ同じアングルで狙ってきました。雨のプラハもまた美しいということがお分かりいただけるでしょうか?
チェコでの最後の食事がプラハのレストラン「マロストランスカー・ベセダ」でのランチ。ここで食べたグラーシュやジャガイモのスープは、1週間食べ続けてきたチェコ料理でも正統派中の正統派なのですが、これがめちゃくちゃ美味しくて感動! 雰囲気もよくて手頃なお値段なので、プラハにまた行く機会があったら絶対に訪れたいお店です。メモメモ。
自分のお土産は、チェコの伝統工芸マリオネット(操り人形)に決定! 「U Mostu」というお店で迷いに迷って選んだのは、ナゾのコンビ「王様」と「ブタ」です。作っているのはプラハ近郊に住む85歳のおじいちゃん職人さんだそう。それを聞いたらますます愛着が湧いてしまうというもの。快く店内撮影の許可をくださった店員さんも好印象でした。
再びLOTポーランド航空でプラハからワルシャワ、そして成田へ
復路はプラハからポーランドのワルシャワへ飛び、ワルシャワから成田へという行程です。LOTポーランド航空利用の場合、ワルシャワでの乗り継ぎは2時間弱と長過ぎず短過ぎないのがうれしいところ。空港内の移動距離も短く、分かりやすい導線なので迷うことはありませんでした。