旅レポ

シンガポール航空こだわりの機内食の秘密に迫る。“らしさ”実現のため現地製造のメニューも

シンガポール航空の機内食の開発を手がける「SATS Inflight Catering Centre」へ

 世界で唯一減圧室を保有し、空の上と同様の環境で機内食を開発する「SATS Inflight Catering Centre」。シンガポール航空の機内食全般を手掛ける同社を訪問してきました。

シンガポール航空の開発現場に潜入! 地元の美味しいコラボも

 この日はシンガポール発シドニー行きのSQ211便の機内食を例に解説を受けました。シンガポール航空インフライトサービス部 F&B担当マネージャーのリチャード・ネオ氏によると、「大事にしているのは“シンガポールらしさ”を出すこと」だと言います。

 具体的な例を挙げると、ユネスコ無形文化遺産であるシンガポールの屋台文化・ホーカー・センターの人気定番メニューを機内食化。

「Boon Tong Kee」の「チキンライス」を筆頭に、「Song Fa」の「バクテー」そして「Kok Kee」の「ワンタン麺」など、一度は食べたい有名店のコラボメニューを用意しています。

バラエティに富んだ機内食がずらりと並んでいました
コラボメニューで地元の味を紹介。「Boon Tong Kee」の「チキンライス」
「Kok Kee」の「ワンタン麺」
「Song Fa」の「バクテー」

 さらに、時代の風潮に合わせて、ウェルネスブランド・COMO SHAMBHALAとともに体に優しいメニューも開発しました。ウェルネスキュイジーヌとして、旅行ストレスを軽減する食材を採用して、抗酸化作用や微量栄養素たっぷりのフルーツや食材などをふんだんに使用。今回は「パンプキンパンケーキ」「バランマンディシチュー」を紹介してくれましたが、「健康的で美味しく、さらに重くない」そんな一皿とのこと。

ウェルネスブランド・COMO SHAMBHALAとコラボパンケーキ
同じくコラボメニューの「バランマンディシチュー」

 また、路線ごとのウェルネスメニュー提供にも力を入れており、体が温まるうえ、脂肪分が少なく高タンパク質が得られるメニューや、トレンドの炭水化物を減らしたメニューなども。また食感をよくし満足感をアップさせたメニューも。お野菜も多めで、うれしい限りです。

柔らかく仕上げたテンダーロインメニューは油を使わないので胃もたれしない一皿に
食感で満足感をさらにアップさせた「グリルドチキン」

 前回のフライトで味わった「シンガポール風チキンサテ」についても並々ならぬこだわりを教えてくれました。「シンガポール現地の味を提供するため、実は出発地ではなく、すべてシンガポールで作っている」とのこと。だからこそのあの美味しさ、納得です!

シンガポール現地の味を空で!を確実にするため、自国で製造するサテ

紙箱導入でレパートリー増加に期待! アツアツ、汁だく! いいことばかりなんです

 今後の施策として、新たな機内食パッケージを導入しています。現在のプラスチック製容器から、紙製にすることで、約40種類もの新たなメニューのエコノミークラスへの追加が可能に。また軽量でフライト時の燃料削減にも一役買います。現在一部路線で導入済み、テスト中とのことで、新容器とメニューを試食も含めチェックしてみました。

こちらの新容器は、3.5時間未満の短距離フライトで導入済み
ボックスはFSC(森林管理協議会)認定済みの紙で作成。見た目もスマート
汁漏れもないため、「ポークコンギー(お粥)」「ミーシアム」なども提供できるように

 なお、実際に新容器でエコノミークラス提供の「シンガポールラクサ」を味わってみましたが、かなりのボリューム。見た目で判断してはいけないほどの大容量です。しかもスープたっぷりでアツアツを長時間キープ! リチャード・ネオ氏に話を聞いてみたところ、エコに貢献でき、メニューも拡大、さらに保温もでき汁漏れもなく、加熱にも強いといいこと尽くしだとか。

実際に「シンガポールラクサ」を味わってみました! カトラリーは竹製です
デザートは黒米餅とココナッツミルクにパンダンケーキが美味しい「プルット・ヒタム・ケーキ」
「シンガポールラクサ」から湯気がもうもうと上がるほどホカホカ
ラクサの醍醐味たっぷりスープで大満足。これがエコノミーで味わえるなんて!

さらにもうひと施策。ブルーのバティックモチーフが美しいボックスも導入予定

 さらに現在トライアル中の新容器もお披露目。こちらはブルーにバティックモチーフがあしらわれた美しいデザインボックスで、通常の機内食の容器替わりとなるもの。紙ボックスゆえに、最初は「少ない?」と思いがちですが、たっぷり大容量でした。お皿に実際に盛り付けてみると……かなりの量が確認できます。こちらの新容器、フライトでもしも出会えたら、かなりラッキーですよ!

現在一部路線で試験導入中の新たなボックス。出会えたらラッキーです
「グリルドチキン」を例に新容器の真価をチェック(こちらは旧容器)
新たな容器にしてみました。むしろこだわり感が出て印象アップ
手前がお皿に盛ってた様子。かなりの量が提供されていることが一目瞭然
シンガポール航空 インフライトサービス部 F&B担当マネージャー リチャード・ネオ氏

退役した機材を活用。サステナブルなアイテムにも注目です!

 今回の訪問では、機内食へのあくなき追求とともに、退役機材を活用したサステナブルアイテムもチェックできました。

 インフライトサービス&デザイン部 シニアマネージャーのジョアン・トー氏は、今回のコレクションに関して「退役機材を使うため量産はできず限定品ですが、シンガポール航空ファンとともに、多くのユーザーに響くアイテムとなりました」と話してくれました。

 また、サステナブルな取り組みとして環境保護に貢献できるうえ、シンガポール発のブランドとタッグを組めたことはとてもよい経験になったとのこと。

退役機材を活用して生み出されたアイテムたち
シンガポール航空 インフライトサービス&デザイン部 シニアマネージャー ジョアン・トー氏

 アップサイクルプロジェクトで生まれた豊富なアイテムたちは、自社デザインとシンガポールの人気ブランドとのコラボの2タイプをラインアップ。お勧めは外装を活用した「アビエーションタグ」。エアバス A330-300版、エアバス A380版、ボーイング 777-200版などを用意。重厚感もありつつ、シリアルナンバー入り。

ずっしり感がたまらない、機体外装を使った「アビエーションタグ」

 さらに救命胴衣をリサイクルしたメッセンジャーバッグやショッパートートが揃う「The Carrier Collection」もチェック。防水仕様なうえ、目立ち度抜群のイエローカラーがポイント。ジッパーは救命胴衣でキュッと引っ張る、赤いあの部分です。

「High flyer Messenger Bag」はちょうどよいサイズ感
「Life saver Zip Pouch」。SQロゴ入りで、これは手に入れたい!

 コラボアイテムでは、ビジネスクラスのレザーの座席を活用した「Bynd Artisan」の「Key Holder with Strap Wristlet」をはじめ、手に入れたいアイテムがたっぷり。「TOCCO TOSCANO」のポーチや財布は小物としてアクセントとして使えるアイテム。

オーチャードのリアル店舗で「Key Holder with Strap Wristlet」を発見!
「TOCCO TOSCANO」は「EVERYDAY POUCH」「WRISTLET CLUTCH」と、持ちやすい小物がメイン

 各プロダクツはもちろんお値段もそれなりですが、価格以上の魅力を内包しているのは間違いありません。ソールドアウトしたアイテムも多いので手に入れたいならお早めに!

相川真由美

ライフスタイル系雑誌の編集アシスタントを経て、IT系週刊誌・月刊誌で10年以上編集者として刊行にたずさわる。現在は、フリーの編集記者として国内外のテーマパークやエンタメ、ならびに観光、ファッション関連を中心に執筆中。