旅レポ
隈研吾が設計したハイアット セントリック コタキナバルに宿泊。穴場スポットのディナワン島にも行ってみた
マレーシア・ボルネオ島の旅
2023年2月16日 12:00
マレーシアには有名なブランドホテルがいくつもあるが、ボルネオ島の玄関口であるコタキナバルでもリゾートからシティタイプまで、多くのホテルがゲストを出迎えている。
そのなかで現在もっとも注目されているのが、2022年10月にオープンした「ハイアット セントリック コタキナバル」だ。アメリカの国際的ホテルグループであるハイアットはいくつかのブランドを展開しているが、ハイアット セントリックはライフスタイルカテゴリーの街中のホテルという位置付け。ブランドのコンセプトには「街の中心に位置し、ホテルが行動と情報の拠点になる」という意味が込められている。
ハイアット セントリック コタキナバルもそのコンセプトを具現化しており、コタキナバルの中心街という、観光にもビジネスにも対応できる便利な場所に建てられている。
隈研吾が設計したハイアット セントリック コタキナバル
ハイアット セントリック コタキナバルの注目すべき点は、隈研吾氏が手掛けたデザインであるということ。同ホテルのオーナーが以前に北京において隈氏とビジネスに関わった際にデザインを高く評価しており、その縁でこちらのホテルの設計も依頼したそうだ。
隈氏の手掛ける建築物は、現代建築のなかに主張し過ぎないように木や和のテイストを取り入れるというものだが、同ホテルも同氏らしいデザインであふれており、1階の玄関やレセプションを見ても、その卓越したセンスを感じ取れる。さらに、サバ州のホテルとして、一部を除き地元産の材料を使っているのもこだわっているポイントであるとのことだ。ボルネオ島は木材の産地でもあることから地元産の木をふんだんに使い、内装や家具に使われている石材は地元産の大理石を用いている。
また、飾られているアート作品はマレーシアの作家が製作したもので、多民族で多文化が融合しているというマレーシアらしさが館内全体から伝わってくる。
客室数は全部で222室あり、そのうち16室がスイートルームになる。部屋の種類は、シービューとヒルビューの眺めの違い、5~11階と6~21階の階層によるフロア違い、スタンダードとデラックスの床面積の違い、ベッドルームのツインベッドとキングサイズの違いに分かれている。
一般的には海側の方が人気が高い傾向にあるが、こちらのホテルの山側(高階層)はキナバル山が見えるため、むしろこちらの方が好きな人も多いかと思う。キナバル山は標高4095mで東南アジアでは最高峰の山。富士山のように独立峰であることから際立つフォルムは、地元の人から旅行者まで、多くの人に愛されている。
筆者が宿泊した部屋は19階の山側で、朝には50km先のキナバル山が姿を現わし、出かけるまでの短い時間ながら景色を楽しむことができた。付け加えると、同ホテルはすべての部屋にプライベートバルコニーを備えているので、しつらえてあるソファに座って優雅なひと時を満喫できる。
室内に目を向けると、木材をふんだんに使った落ち着く空間でありながら、設備類は最新機器で構成されている。トイレはシャワールームとは別になっており、シンプルながらも温水洗浄便座機能付きだ。
おもしろいのは洗面所・バスルームとベッドルームを隔てる壁が可動式になっており、「部屋を広く開放的にしたい」「水回りを見せないようにしたい」といった気分に合わせて調整できる。Wi-Fiは無料で使用でき、55インチある大型の液晶テレビは手持ちのスマートフォンから映像を転送することもできる。ベッドサイドにある目覚まし時計にワイヤレス充電機能が付いているのには驚いた。広めのデスクも備えているので、ワーケーションができる環境でもある。
シティビュー(5~11階)のスイートルームであるキング スイートも見学できたので紹介しよう。こちらは広めのリビングルームにウォークインクローゼット、ベッドルームと浴槽付きのバスルームで構成されており、スイートルームならではの豪華な作りになっている。部屋の真んなかに描かれたウォールアートは首狩り族の有名な勇者だそうだ。また、こちらの部屋は隣の部屋と内側のドアでつながるコネクティングルームとしても利用できるので、家族旅行やグループ旅行といった用途にも使える。
そのほかの特徴ある施設も紹介しよう。ホテルの22階はレストランになっており、朝食時はビュッフェスタイルなので各自の好みを好きなだけ楽しめる。屋内席と屋外席が用意されているので、天気のよい日には屋外で開放感にひたりながら一日の英気を養うことも可能だ。
最上階である23階にはバーと24時間利用可能なフィットネスルーム、そして眺望も楽しめるインフィニティプールを備えている。コタキナバルの市街地から水平線まで見渡せる南シナ海、サバ州のシンボルでもあるキナバル山と、どれをとっても抜群の景色であるのは言うまでもない。同ホテルは設備以外も、もちろん一流だ。フレンドリーなスタッフが快適な宿泊をサポートしてくれるので、コタキナバル訪問の際はぜひとも検討してもらいたい。
予約者のみ入島可能な穴場スポットのディナワン島
次に紹介するのはコタキナバル市内からクルマで25分、そこから船で10分ほどの距離にあるディナワン島だ。アクセスしやすい場所にあり、さらにプライベートアイランドであることから滞在人数が限定されている穴場スポット。島に上陸するには2つあるリゾート会社のどちらかで予約する必要がある。今回はアラ ディナワンアイランドリゾートが運営するグランピング施設やアクティビティなどを紹介しよう。
島での過ごし方は、日帰りとテントに宿泊する2タイプが用意されている。テントといってもトイレやシャワー、エアコンを備えた過ごしやすいグランピング施設であり、電気も太陽光発電などによって滞在期間中はだいたい使えるようになっている。ちなみにサバ州の島では初のグランピング施設になるそうだ。
スケジュールは、日帰りだと8時30分に集合して9時に島に向けて出発し、ランチやアクティビティを楽しんだあとに15時に帰るのが基本的なプラン。泊まりだと9時に島に向けて出発し、翌朝11時に島をあとにする。現在はコロナ感染を防止するために、島に渡る前に抗原検査を実施している。
周辺が海なので多くのマリンスポーツを楽しむことができ、シュノーケリング、カヌー、パドルボートなど、道具も無料で貸し出してくれる。また島内ではジャングルトレッキングをしつつ、バードウォッチングも楽しみの一つになっている。明け方には大きな声で鳴く、サイチョウにも出会えるそうだ。夜はキャンプファイヤーや星空観察といったアウトドアに加え、プレイルームでビリヤードを楽しむといった屋内レクリエーションも用意されている。
市内には荘厳なモスクと若者に人気のピンクモスクがある
ディナワン島の次に向かったのは、コタキナバル市内の観光スポットであるピンク色のモスクや市立モスク、海辺のセントラルマーケットやハンディクラフトマーケットだ。マレーシアの国教はイスラム教なので、コタキナバルにも荘厳なモスクがいくつかある。そのなかで市立モスクはもっとも大きなもので、一度に1万2000人を収容できるキャパシティを持つ。水辺に建つ外観は写真映えすることで人気がある。
そして、もう一つ訪れたのは国立サバ大学の構内にあるピンク色のモスクだ。めずらしいピンク色のモスクと言えば、マレーシアの新行政都市であるプトラジャヤにあるプトラモスクが有名だが、こちらのピンクモスクも最近ではInstagramで人気を呼んでいるそうだ。ちなみにピンクに塗装されている理由は、若者を引き付けたいからだと言われている。いつの世も、場所が変わっても、人を集めるにはたゆまぬ努力が必要だということだろう。
ブラブラと歩くだけでも楽しいセントラルマーケット周辺
市内の中心部の海辺には、生鮮食品や加工品などがズラリと並ぶセントラルマーケット、リーズナブルな価格で食事を楽しめるフードコート、特産品である淡水真珠を使ったアクセサリーや雑貨などが購入できるハンディクラフトマーケットなどがあり、徒歩で楽しめるエリアになっている。
そのなかでやはり目につくのは南国フルーツを取り扱っているお店。店先にはいろいろな種類のマンゴーがズラリと並び、数が少ないながらもドリアンやマンゴスチンも売られていた。ドリアンの姿にワイワイと騒ぐ一行に、ガイドさんは一言「旬ではないので高いし、美味しくないよ」と的確なアドバイスでピシャリ! 5月~7月が数も多くて甘みも濃厚らしい。加えて、ドリアンがホテルに持ち込み禁止(においが理由)なのは知っていたが、マンゴスチンも赤い汁がシーツなどに付くと取れないので、マレーシアでは持ち込み禁止にしているホテルが多いらしい。南国フルーツの王様と女王様がホテルに入れないとは、いささか気の毒な話だ。
地元の人にも人気の海鮮レストラン
この日の夕食は、コタキナバルの海鮮料理店で人気ナンバーワンと言われている「Welcome Seafood Restaurant」でいただいた。見たところ100席以上はある店舗だが、20時頃には満席で、順番待ちの行列もできていた。こちらの店は生簀やショーケースから食材を選び、調理法を指定して注文するシステム。新鮮な素材が味わえるうえに、美味しく、手頃な価格であれば、それは人気が出るというものだ。
オーダーしたのは、空心菜の炒め物、イカのフライ、豆腐のフライ、エビのバター炒め、マハタの姿蒸し、溶き卵の中華スープの6品。フードだけで1人あたり1500円ほどと、評判どおりの価格だった。もちろん、量もあって味もよいので、コストパフォーマンスはとてもよい。こちらのお店は中華系なのでビールやワインといったアルコール類も楽しめる。人気店なので、訪れる際は予約をしておくのがオススメ。
2日目はコタキナバル近郊や市内を巡ったが、3日目は先住民族の暮らしを学べるマリマリ文化村や最近話題のタンパルリ村のつり橋、ホタル観賞もできるテンバラ川のリバークルーズなど、少し郊外にある観光スポットをレポートする。また、マレーシア発祥のご当地料理であるバクテーも味わってきたので、そちらも紹介する予定だ。