旅レポ
福島県側から尾瀬にアプローチ! 神秘的な光景広がる名勝「尾瀬沼」を目指して1泊2日のハイキングへ
2022年8月31日 06:00
お盆明けの週末、福島県が主催する1泊2日の尾瀬ツアーに参加してきました。緑が美しい盛夏シーズンもそろそろ終盤。秋の気配がちょっぴり感じられる尾瀬は、東京の猛暑を忘れさせるほど過ごしやすい気候でした。
尾瀬へのアクセスは一般的に、福島県側から入るか、群馬県側から入るかの2通り。首都圏発だと群馬県側からアプローチする人が多いそうで、私も初めて尾瀬を観光したときは群馬県の「鳩待峠」からのスタートでした。
今回は、福島県の檜枝岐村(ひのえまたむら)から入り、まずは起点となる「山の駅 御池」から主要登山口の「沼山峠」をシャトルバスに乗って目指します。
そもそも尾瀬ってどこにあるの? という人にまずは基本情報を。広い意味で「尾瀬」とは福島、新潟、群馬、栃木の4県にまたがる尾瀬国立公園を指します。園内西側には本州最大の湿原「尾瀬ヶ原」、東側には神秘の沼といわれる「尾瀬沼」があって、一般的に尾瀬とはこの2大エリアと周辺の山々のことをいいます。
今回の行程では、東京を朝出発してその日は尾瀬沼の山小屋に泊まり、2日目の午前中に尾瀬沼東岸のハイキングを楽しむという流れ。木道が整備されていて、それほどキツい勾配もないので、日ごろ運動らしい運動をしていない私でもこなすことができた入門コースです。初めての本格的な山小屋泊もハイライトの1つとなりました。
1日目 沼山峠~尾瀬沼ヒュッテ
ツアー1日目の沼山峠~尾瀬沼東岸は、普通に歩くと1時間~1時間30分ほど。樹林に入って木道や階段を登っていきますが、思っていたほど急ではありませんでした。しばらくするとベンチのある沼山峠展望台に到着。木々のあいだから、これから目指す尾瀬沼がちょっとだけ見えてワクワクします。
沼山峠を下って林を抜けたところで“ザ・尾瀬!”という景色に一変します。「大江湿原」です。何度も足を運んでいる人でもパァーッと視界が広がるこの場所では、毎回感動するそうですよ。季節が違えば見られる草花も違うので、そのたびにシャッターを押してしまうのだとか。
快適なカプセルベッドで熟睡。お1人さまにもオススメ!
この日、宿泊した「尾瀬沼ヒュッテ」は檜枝岐村営の山小屋。建物前のウッドテラスから「燧ヶ岳(ひうちがたけ)」が一望できる素晴らしい眺めが自慢です。112人収容で全33室。うちカプセルベッドが6床ある部屋が6室あって、今回はこのカプセルベッドを利用しました。
「え? 山小屋にカプセルベッド!?」と、最初に聞いたきは耳を疑ったのですが、これがすこぶる快適でびっくりするくらいぐっすり眠れました。荷物や貴重品は奥にあるダイヤル式ロッカーに入れます。カプセル内は高さもあるので狭いという感じはしませんでした。
山小屋の食堂で18時に夕食をいただき、19時にお風呂に入ったら疲れが出たのか眠くなり、21時には就寝するという、まるで子供のころのような生活リズム。普段の生活からは想像つかない健康的な山時間でした。
2日目 尾瀬沼東岸の周辺散策~沼山峠
翌朝は4時45分に玄関集合といわれてちょっとビビっていましたが、アラームでちゃんと起きることができてホッ。尾瀬沼は朝もやがかかる早朝の風景が一番美しいそうで、確かにヒュッテ近くの展望広場から見た尾瀬沼と燧ヶ岳の静寂は感動もの! 尾瀬沼畔の山小屋に宿泊した人しか味わえないご褒美のような光景でした。ヒュッテが用意してくれた朝食のお弁当をリュックに詰めて、尾瀬沼散策に出発です。
1周約13kmの尾瀬沼を反時計回りに歩いて「沼尻平(ぬしりたいら)」(福島県南会津郡檜枝岐村燧ケ岳1)という場所に到着。ここには湿原・泥炭地に見られる「池塘(ちとう)」があって、その池塘を巡る木道が敷かれています。大自然が長い年月をかけて作り出したかけがえのない光景に目を奪われてしまいました。
この日は曇り空だったのでイマイチでしたが、天気がよければ池塘に雲が映り込む光景が映えると人気なのだとか。沼尻平は静かな湿原の風景がとにかく美しく、穏やかな気持ちになれる特別な場所。多くの人々の努力によって守られ続けていることに感謝しながらおにぎりをほおばり、もと来た道を引き返しました。もちろん時間に余裕があれば、そのまま尾瀬沼を1周するのもオススメです。
散策コースのほとんどは木道が敷かれているため、初心者でも安心して楽しめるのが尾瀬の魅力。体力やアクセス環境、誰と行くかなど、条件に応じていろいろコースを組み立てられるので、リピーターが多いというのもうなずけます。
福島県側からアプローチする尾瀬沼散策は、首都圏発の起終点となる沼山峠までが少々遠いですが、2022年シーズン中にまた行きたい! と思うほど素晴らしいものでした。
公共交通機関では、東武鉄道の臨時夜行列車「尾瀬夜行23:45」などを利用する手もあります。「いつか尾瀬に行ってみたいと思っているんだよね」という人は、この秋の紅葉シーズンに訪問するのもオススメです。できることなら山小屋に泊まって、ぜひ早朝や夕方の神秘的な風景を堪能してみてください。
次稿では、福島県側の尾瀬観光の起点「檜枝岐村」へ。檜枝岐歌舞伎の舞台や美味しいお蕎麦の店を訪ねたミニツアーの模様をレポートします。お楽しみに。