旅レポ

ハワイ島の名物コナコーヒー。本場の挽きたてが味わえる「UCC直営農園」の見学&焙煎体験ツアーに参加してきた

斜面に広がるUCCの直営コーヒー農園。2万本近いコーヒーの木が植えられている

 ハワイ島には郡庁がある東のヒロと、観光の玄関口である西側のコナの2か所に国際空港がある。皆さん知ってのとおりコナはコーヒーの産地として有名で、そこで生産される希少な「コナコーヒー」は日本でも人気の銘柄だ。

 今回の旅でお世話になったJALPAK Hawaiiの方に、「近場でハワイ島らしい体験ができるところがあります。名物マネージャーも面白いので行ってみませんか?」と紹介されて訪れたのは、日本企業のUCCが直営する「UCCハワイ コナコーヒー・エステート」(75-5568 Mamalahoa Hwy, Holualoa, HI)。

 コナ市街からも見える標高2521mのフアラライ山の西側斜面(300~800m)辺りは、適度な降水と寒暖差、コーヒー栽培に適した土壌であることから多くのコーヒー農園が点在している。1989年に設立されたこちらの「UCCハワイ コナコーヒー・エステート」には、16ヘクタールの斜面に2万本近いコーヒーの木が植えられている。筆者が訪れた、ちょうど8月くらいから年明けにかけてコーヒーの実が収穫される時期ということで、「コーヒーの実が見れる!」と一層興味が湧いた。

 市街地からはクルマで15分ほどの距離。日本語による無料の見学ツアー(要予約)を行なっており、農園に設置されているキオスクではコーヒー豆の購入はもちろんのこと、挽きたてのコーヒーも味わえる。斜面のウッドデッキからは、広がるコーヒー畑とコナの街並み、そして雄大な太平洋を一望できるので「ハワイ島に来た!」という思い出作りにはもってこいのスポットだ。

ハワイらしいオープンエアーなキオスク
店内からの景色も素晴らしい。コーヒー豆の購入や試飲ができる
豊富なメニューのなかからコーヒーを注文して味わえる
テラス席でゆっくり過ごすのもよさそうだ
「見かけたら幸運」といわれるヒロオヒルヤモリをウッドデッキで発見

 今回は農園の見学、そして焙煎体験ツアー(50ドル~)にも参加してみた。案内してくれたのはストア・セールス マネージャーの三木秀樹氏。コナコーヒーの特徴や栽培方法、なぜコナコーヒーが割高なのかを抱腹絶倒の話術で、楽しく丁寧に解説してくれた。

 まずは斜面に植えられているコーヒーの木について教えてくれた。実際に見て驚いたのは、5年おきくらいに地上から30cmほどのところでバッサリと木を切ってしまうということ。「カットバック」と呼ばれるこの手法は、生産性が落ちた木を再び勢いづかせるためにとても有効とのことで、計画的に行なわれているそうだ。たしかに、切断した周囲からは勢いよく新芽が伸びていた。

ストア・セールス マネージャーの三木秀樹氏。「コロナで2年半喋っていなかったのでリハビリ中です」と話すが、ツボを押さえた巧みなトークを披露してくれた
5年おきくらいに根本を残してバッサリ切ることで新しい枝を付けさせる

 コナコーヒーが高価な理由については、手摘みで収穫していることに加え、先進国であるがゆえの人件費の高さにあるそうだ。斜面で栽培するコーヒーは寒暖差のため風味がとてもよくなるが、機械の導入が難しく成熟度合もバラバラなため、必然的に手摘みになってしまうらしい。

 150年ほど前は日系の移民がこの仕事を行なっていたそうだが、最近ではアメリカ西海岸のメキシコ系移民が多く携わっている。西海岸にある広大な果樹園の収穫も季節労働として請け負っている彼らは凄腕プロフェッショナルで、手練れの人は1日あたり200kgのコーヒー豆を収穫するというから驚きだ。

色づき始めたコーヒーの実。フルーツの一種だというのもうなずける
真っ赤に完熟した実を手摘みしていく

 コーヒーの焙煎体験はキオスクにある焙煎ルームで行なう。ズラリと並んだ9台の焙煎機を使って、「生豆を入れる」→「好みに焼き上げる」→「焙煎した豆をトレーに移す」→「コーヒー豆を冷ます」→「パッケージに詰める」という工程を、ひと通り体験した。焙煎前にコーヒー農園をバックに写真撮影してプリントアウトしていたラベルをパッケージに貼り、世界に1つしかないオリジナル品が完成となる。

 ミディアムロースト、シティロースト、フレンチローストなど、焙煎度合がコーヒーの味に直結するわけだが、コナコーヒーではシティローストかフルシティローストを推奨している。香り高く、キリッとした酸味がコナコーヒーの特徴だが、それらをバランスよく引き出せる煎り方だ。

コナコーヒーでオススメしている焙煎はシティローストとフルシティロースト
焙煎機に点火して準備する。手前の木箱は煎ったコーヒー豆を入れるもの
焙煎機のなかで踊るコーヒー豆
香りがしてくるとコーヒー豆も色づき始める
シティロースト完成直前くらいの状態
コーヒーの香りが辺り一面に漂う
焙煎したてのコーヒー豆を木箱に移す
サーキュレーターの上で手早く冷やす
用意していたパッケージに封入して完成!

 自分なりのこだわりがあるという人は、浅煎りにして酸味を前面に押し出したテイストに仕上げることもできる。回転する焙煎機のなかでコーヒー豆が「ジャッ! ジャッ!」と舞い上がり、ほとんど香りがなかった状態から10分も経つと色に変化が出始める。あの芳しいコーヒーの香りが立ち込めてくるシチュエーションに感動を覚えた。

 こちらの申し込みはWebで受け付けているが、現地までの交通手段はレンタカーなどを自分で手配する必要がある。移動手段も含めたツアーはJALPAK Hawaiiでも用意しているそうなので、そちらに問い合わせていただきたい。

キオスク内にある焙煎コーナー
出来上がりのサンプルと焙煎する前のコーヒー豆

 この日もウッドデッキのテラス席は観光客で賑わっており、絶景を見ながらコーヒーを楽しむ姿が多く見られた。農園を見学してコーヒーの知識を深めるのもいいし、三木氏の爆笑トークで楽しい時間を過ごすのもいい。貴重な焙煎体験ができるツアーも、思い出深いお土産になるのでオススメだ。ハワイ島に訪れた際は、ぜひ観光先の1つに加えてもらいたい。

UCCハワイ コナコーヒー・エステート

営業時間: 9時~16時30分
休業日: 元日、11月第4木曜日、クリスマス
農園見学ツアー:
参加無料(要予約)
所要約15~30分(9時30分~/10時30分~/11時30分~/13時~/14時~/15時~)
焙煎体験ツアー:
参加50ドル~(要予約)
所要約45~60分(9時30分~/10時30分~/11時30分~/13時~/14時~/15時~)

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。