旅レポ
安比高原に誕生したIHGのラグジュアリーホテル「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」に泊まってみた。旗艦ブランドのホスピタリティは想像以上!
2022年7月3日 06:00
世界的なホテルブランドは数々あるが、なかでもIHG(IHG ホテルズ&リゾーツ)は、世界100か国以上に17ブランド・約6000軒(88万室超)のホテルやリゾートを展開しているグローバルなホスピタリティ企業だ。
IHGのフラグシップブランド「インターコンチネンタル ホテルズ&リゾーツ」は、ラグジュアリーホテルとして誰もが耳にしたことがあるはず。そのインターコンチネンタル ホテルズ&リゾーツの新しいホテル「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」(客室数38室)が、岩手県の安比高原に2022年2月25日にオープンした。本稿ではそのサービスと館内施設を紹介しよう。
すべてが「クラブインターコンチネンタル」仕様
ANAインターコンチネンタル安比高原リゾートの特徴はいろいろとあるが、まず一番に紹介したいのはホテルすべてが「クラブインターコンチネンタル」仕様になっていることだ。
クラブインターコンチネンタルは、インターコンチネンタル ブランドのなかでもさらにワンランク上のサービスを提供するもので、予約時から帰り際まで利用客一人一人に合わせたパーソナルサービス、きめ細やかな配慮、優雅な空間、極上のくつろぎを提供するものだ。
その象徴とも言えるべき設備が1階のクラブラウンジで、昼は自然の光が振り注ぐなか、夜は円形の暖炉が明かりを灯すなか、ゆったりとしたソファでくつろぐことができる。さらに専任のコンシェルジュが常駐しているので、滞在時の要望を相談できるうえ、こちらでは朝のコーヒーからアフターヌーンティー、イブニングカクテルまで、1日を通して軽食やドリンクを提供している点にも注目したい。
カクテルタイムには、「八幡平寒締めほうれん草とじゃがいものカナッペ」「八幡平マッシュルームと和胡桃のカナッペ」など、地産の食材を活かしたフィンガーフードも用意されている。エントランスを抜け、森を彷彿とさせる廊下を通り、非日常に誘う幻の絶景をモチーフにしたアート作品が出迎えてくれる先には、エレガントなクラブラウンジ。初めて訪れた際は感動せずにはいられないだろう。
滞在のメインとなる客室もいくつか紹介しよう。同ホテルには7タイプの部屋が用意されているが、まず最初に紹介するのは筆者も試泊した「プレミアムツイン」だ。こちらはスタンダードな部屋タイプで26室を用意している。
案内してくれたホテルスタッフが扉を開けた先には、今まで泊まったことのない広さの空間が目に飛び込んできた。それもそのはずで、部屋の広さは68.05~75.85m2と、平均的な3LDKマンションと同じサイズ。
フローリングの床をはじめ、木材が多く使われている室内は居心地がよく、バルコニーの先には安比高原の雄大な自然が広がっており、心安らぐ絵画のワンシーンに入り込んだかのような印象を受ける。また、同ホテルの多くの部屋には景色を眺めながら入浴できるビューバスが備わっており、ゆっくりと誰にもジャマされずにお風呂時間を楽しむこともできる。温泉やサウナを楽しみたいのであれば、後述する大浴場にてバスタイムを満喫することも可能だ。
そのほか、部屋にはアメニティ類が完備されているのはもちろん、充実した設備にも驚く。シャワー付きトイレは人を感知してフタが自動開閉するオートタイプだし、ベッドルームのカーテンは電動式でボタン1つで開閉可能。シャワールームのヘッドからは体験したことのない細かなお湯が吹き出し、浴びていても体が冷えることなくとても快適だった。どこを見ても、何をするにしてもストレスを感じさせない、細かな部分まで行き届いた上質さが伝わってきた。ルームサービスも24時間対応だ。
計5室の「プレミアムスイート」「APPIスイート」「プレジデンシャルスイート」
ここから先はさらに特別なスイートルームを紹介しよう。次は「プレミアムスイート」だ。プレミアムスイートは3室用意しており、最大4人まで宿泊可能だ。
広さは102.03m2で、ベッドルームとリビングルームに分かれている。もちろん、こちらもビューバスを備えている。リビングとベッドルームは木製の扉で仕切られているが、すべて壁面に収納することができるので、2つの部屋のスペースを贅沢に使うことができる。家族で過ごしたいときにマッチした部屋だ。
そして、プレミアムスイートの上の広さを持つのが「APPIスイート」。広さは131.35m2で、ホテルに1部屋しかない特別な客室だ。こちらも最大4名まで宿泊できる。
こちらの部屋の特徴は、リビングルームを中心に左右にベッドルームが2つあり、シャワールームとトイレもそれぞれのベッドルームの近くに備わっている。角部屋なので全面ガラス張りの窓からは光がよく差し込み、明るい室内になっている。広いバルコニーで自然を感じながら過ごすのもよさそうだ。夫婦とその両親が宿泊できる部屋として人気があるとのことだ。
最後に紹介するのが最上位の部屋である「プレジデンシャルスイート」だ。こちらも1部屋だけの特別室で、今まで紹介してきた部屋とは桁違いの豪華な作りになっている。人気も高く、予約で埋まっていることも多いそうだが、取材した日は運よく空いていたので、特別に内部を見せてもらった。
扉を開けた先が別世界なのには段々と慣れてきたが、こちらの部屋は予想をはるかに上回っていた。扉を開けた先のエントランスがまずは吹き抜け仕様で驚き、その先のリビングルームはセミナールームかと思うようなスペースが広がっていた。さらにはメゾネットタイプで上階も用意しており、ファイヤーピットを設えた広いプライベートテラスまでが備わる作りには驚きのほかなかった。
そのほか、ほかの部屋にはないキッチンや学習や仕事に使える書斎、上階と行き来するプライベートエレベーターなど、すべてが特別仕様だ。専有面積も306.90m2と桁違いの広さであるのだが、贅沢なのは最大宿泊人数が2名までであること。“Presidential”という名にふさわしい部屋になっている。
陸奥・三陸の食材を楽しめる和・仏ダイニングと温泉大浴場
客室の次は1階にあるレストラン「白露/SHIRATSUYU」を紹介する。ディナー、ランチ、朝食ビュッフェを提供する和食・フレンチが楽しめるダイニングで、郷土料理と西洋料理を融合したメニューをゲストに提供している。
“Farm to Table”をコンセプトに掲げ、陸奥の特選食材や三陸の魚介類など地元の素材を惜しみなく使った料理の数々は、テーブルについた誰もを満面の笑みにする。こちらで提供されたランチやディナーなどについては、グルメ Watchにて詳しく紹介する予定だ。
大浴場についても紹介しよう。温泉地でもあるため大浴場には温泉が引かれており、日頃の疲れを癒すにはもってこいの場所である。泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉で、適応症は「筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下、軽症高血圧、病後回復期、疲労回復、健康増進」に効能があると掲示されている。
こちらの大浴場は「岩風呂」と「檜風呂」の2タイプがあり、時間で男女入れ替え制になっている。内風呂のほか露天風呂もあり、安比高原の外気に触れながらゆっくりとした時間を楽しめる。
そのほか、24時間利用可能なフィットネスルーム、スパ「LAVILLA SPA APPI」、隠れ家のようなオーセンティックバー「畚/MOCCO」といった施設も備えている。また、ゲレンデがすぐ近くにあることからスキーロッカーも完備されているので、ウインタースポーツも存分に楽しめる。
安比高原で3軒のホテルを展開する
今回、インターコンチネンタルのブランドを冠してオープンしたANAインターコンチネンタル安比高原リゾートは、岩手県の北西に位置する八幡平市の自然豊かな環境のなかに建てられている。
安比高原はウインタースポーツの盛んな地域でもあり、「奇跡のシルキースノー」と呼ばれる軽くも踏み込みやすい雪質は、訪れたスキーヤーやスノーボーダーを虜にするという。また、付近は有数の温泉地でもあり、豊富な湯量とさまざまな泉質が楽しめる地域として知られている。
このように魅力のある安比高原ではあるが、国際的なリゾート地にすべく、ホテルを所有する岩手ホテルアンドリゾートが2020年11月に「安比バレー構想プロジェクト」を立ち上げた経緯がある。プロジェクトのコンセプトは、観光・教育・健康の3要素を調和させた次世代型の街づくり。教育分野はイギリスの名門ボーディングスクール「ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン」の誘致(2022年8月開校予定)、観光分野ではIHGと提携することで3ブランドのホテルを開業する運びとなった。
近隣にはIHGのプレミアムコレクション「ANA クラウンプラザリゾート安比高原」、エッセンシャルコレクション「ANA ホリデイ・インリゾート安比高原」もあり、利用客に多くの選択肢が用意されているのも安比高原の魅力だ。
そのなかでも今回紹介したANAインターコンチネンタル安比高原リゾートは、IHGの最上位コレクション「ラグジュアリー&ライフスタイル」のブランドを象徴するような上質なサービスと空間を提供するホテルであり、利用客のさまざまなニーズに細かに応えてくれる贅沢な場所でもある。冬だけでなく、春夏秋と季節の移ろいが感じられる豊かな自然のなかで、とびっきりの極上な時間を過ごしてみてはいかがだろうか。