旅レポ

大和ミュージアムに牡蠣小屋、OKOSTA。広島観光で訪れたいスポットを一気見してきた!

「大和ミュージアム」で日本の技術力と呉市の歴史、平和を学ぶ

 DISCOVER WEST連携協議会が岡山・広島の魅力を報道向けに紹介する2泊3日のツアーを実施。滞在最終日は、広島を訪れたらなら絶対に外せない定番&人気スポットを中心に訪問した。

 宮島周辺での牡蠣いかだの見学や牡蠣小屋、広島お好み焼体験とエンタメご飯を満喫。そして「大和ミュージアム」と呉湾クルーズと広島ならではの、イチ推し観光エリアを巡った様子をレポートする。

日本遺産のまち“呉”へ。軍港として栄えた呉で、当時の技術力と現代とのつながりを感じる

 岡山・広島滞在3日目は、朝イチで呉湾へと出発。東洋一の海軍工廠の街として栄えた呉は、第二次世界大戦後、その技術力を活かし大型タンカーの製造によって世界でも有数の造船国へと日本を導いた場所。造船技術は、船にとどまらず鉄道をはじめ、さまざまな分野へと貢献し、日本の近代化に貢献した。

 訪れたのは「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」。同館では明治以降に日本の産業技術の最先端を走り続けた呉の歴史とともに、当時の生活・文化、そして技術力の高さと現代にどう応用されているのかなどを伝える科学館として2005年にオープン。

呉湾に面したエリアに「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」がある
常設展観覧料は一般500円、高校生300円、小中学生は200円(写真は常設展+企画展のセット券)

 館内中央には戦艦「大和」の1/10スケールの模型が鎮座。全長26.3mの同模型は当時の写真や設計図、さらに水中に沈む本体の調査映像などをもとに詳細に再現。造船された旧呉海軍工廠を背景に眺めることができる。

 展示は大きく分けて「呉の歴史」「大型資料展示室」「船を作る技術」「未来へ」の4構成。のどかな農漁村に鎮守府が置かれたことで急速に近代化し、東洋一の軍港に発展。そして第二次世界対戦と戦艦「大和」の生涯。平和産業港湾都市としての再生と世界有数のタンカーを造船する臨海工業都市としての現在まで一気に知ることができる。取材当日も平和学習の一環として多くの学生が訪れていた。

同館のシンボル・戦艦「大和」の1/10模型
戦艦「大和」に採用された球状艦首は戦後大型タンカーをはじめ世界のスタンダードに
エレベータなども完備し、当時の最先端技術が集約されていた
呉の歴史から展示がスタート
巡洋戦艦「金剛」搭載のヤーロー式ボイラーは実物。当時は海外船を購入し分解、技術を得ていたそうだ
未来の技術のために殉職した乗組員を紹介する「第六潜水艇沈没」エリア
曲面に当時の技術力の高さがうかがえる戦艦「大和」型150cm探照灯反射鏡
海に眠る戦艦から引き揚げられた品々が展示されている
呉で造船された全艦艇133隻と特殊兵器を紹介するパネル

 なお、「大型資料展示室」では、琵琶湖から引き上げられた「零式艦上戦闘機六二型」の実物展示や、人間魚雷として開発された特攻兵器「回天」十型(試作型)、さらに「特殊潜航艇「海龍」(後期量産型)」も展示。目標に向かってまっすぐ進む技術などは宇宙ロケット開発に引き継がれている。

「零式艦上戦闘機六二型」
特殊潜航艇「海龍」(後期量産型)

 なお、館内には正面の「てつのくじら館」のゆうしお型潜水艦「あきしお」の全景が見えるベストスポットのデッキや、「ミュージアムショップ やまと」もあるので、一休みやお土産を購入したい場合はぜひ利用を。

3階のデッキからは「てつのくじら館」のゆうしお型潜水艦「あきしお」の全景が見える
「ミュージアムショップ やまと」でお土産を購入
売れ筋は「大和サブレー」とのこと
呉市の公認マスコット呉氏のグッズも豊富にあった

呉湾クルーズで間近に護衛艦を鑑賞、快晴過ぎると逆に船がいないことも!?

 大和ミュージアムで呉市の歴史と軍港としての役割、そして造船技術を学んだあとは実際に呉湾に出てみることに。ミュージアム横の「呉中央桟橋ターミナル」からバンカー・サプライの「呉湾艦船めぐり」(大人1500円、子供500円)を利用し約35分間の船旅へと出発した。

ミュージアム横の「呉中央桟橋ターミナル」から呉湾に繰り出せる
バンカー・サプライの「呉湾艦船めぐり」を利用
デッキ席では海自OBの解説を聞きながら間近に迫る船を眺められる
雨天やゆったりしたい場合は室内の座席の利用を

 遊覧ルートは「旧呉海軍工廠造船部造船船渠大屋根」(現・ジャパンマリンユナイテッド 呉事業所大屋根)から始まり、海上自衛隊呉基地などを海上から見学。海自OBが解説を担当し、戦艦の装備品についても専門的な知識を与えてくれる。なお、当日は快晴で見通しもよかったため、呉基地に配備されているほとんどの潜水艦らが訓練に出発しており、呉湾は通常よりもゆったりしていた。

 そんななかでも、海上自衛隊呉基地に寄港中の米海軍の潜水母艦「フランク・ケーブル」や全長約137mの「護衛艦 うみぎり」、ステルス構造を取り入れた21世紀を代表する新しい形の「護衛艦 さみだれ」を見学。さらに海軍時代の倉庫を背に「そうりゅう」型、「おやしお」型の潜水艦が並び、セイルや貼られた吸音タイルについての解説もあった。また、ハッチ部分にカバーで目隠しがされている理由など、知識をたっぷり得ることができた。

「大和」が造船された「旧呉海軍工廠造船部造船船渠大屋根」(現・ジャパンマリンユナイテッド株式会社 呉事業所大屋根)
造船中のタンカーも間近で見ることができる
米海軍の潜水母艦「フランク・ケーブル」が寄港中
全長約137mの「護衛艦 うみぎり」
呉基地は潜水艦が数多く配備されているのが大きな特徴
戦艦「大和」で採用されたブロック工法を受け継ぎ、現在も接合前の部分が保管されている様子が見れた

ランチはオーシャンビュー席で牡蠣尽くし&牡蠣いかだにも乗ってみた

 広島県の名産といえば、やはり牡蠣。今回は獲れたての牡蠣が味わえる「島田水産」を訪れた。同店は江戸時代から300年以上続く老舗。オーシャンビューの桟橋席で、セルフサービスで牡蠣を焼きながら味わえると観光客や地元の人々で常ににぎわっているお店だ。

ランチは江戸時代から牡蠣を提供し続けている「島田水産」へ
屋内エリアとともにオーシャンビューの桟橋席を併設
桟橋席からの瀬戸内ビュー
「焼き牡蠣1kg」と貸し出しされる手袋とナイフやトレイ一式

 たっぷり牡蠣が味わいたいならば「牡蠣食べ放題」がベストだが、今回は「牡蠣フライ定食」(1100円)と「焼き牡蠣1kg」(1210円)をオーダー。「炭代」(440円)も支払い、さっそく焼くことに。ちなみに、美味しい牡蠣の焼き方は、平らな面を下にして約2分、ひっくり返して再度焼き続け、フタが開いても辛抱強く待つ。6分経過し、焼き色と貝のなかの水分が飛んでいたら完成! なお、中がグツグツしていたり、水気がある場合は生もしくは半生なので、ご注意を! 分からないことがあればスタッフが教えてくれるので、しっかりと聞こう。

よい具合に牡蠣のフタが開いてきた瞬間。まだ食べるには早い
ぷりぷりの牡蠣。瀬戸内レモンをかけたり、バター醤油で味わおう
「牡蠣フライ定食」には牡蠣めしと小鉢、牡蠣すまし汁付き

 牡蠣でお腹がいっぱいになったところで「漁場紹介と厳島神社沖遊覧」(2200円)へ同じ桟橋から出発。牡蠣いかだにも乗れ、周辺の牡蠣養殖について同社の沖原さんが解説してくれた。自然素材の竹でいかだを作っていることや、いかだ1つに数10万個の牡蠣がいること、さらに10mもの深さまで垂下連が吊るされているなど。なお、いかだの場所は各社で1年ごとにローテンションされ、海の恵みを平等に受けられるなど生産者だからこそ知り得る情報を伝授してくれた。なお、ハイライトでもある世界遺産「厳島神社」は約70年ぶりの大修繕中で非常にレアな工事現場が見れる。通常は大鳥居の間を船で通り参拝できるなど貴重な体験もできるとのこと。

「漁場紹介と厳島神社沖遊覧」へ。ガイドは同社の沖原さんらが担当してくれた
牡蠣いかだ体験。早朝の水揚げ見学もあるという
いかだの下には牡蠣の赤ちゃんが付いた帆立貝が沈んでいる。こちらは見本
「厳島神社」の大鳥居は70年ぶりの改修中だった

観光列車「etSETOra」でも採用。広島県産にこだわる「サクラオB&D」を訪問

 牡蠣小屋の次は広島の地酒との出会い! ということで観光列車「etSETOra」のオリジナルカクテル「SETOUCHI BLOSSOM」で使用されているジャパニーズドライジン「桜尾」を製造する「SAKURAO BREWERY&DISTILLERY」へ。

広島県で約100年以上も酒類の製造を手掛ける「SAKURAO BREWERY&DISTILLERY」
2018年に広島初のクラフト蒸留所「SAKURAO DISTILLERY」を設立。工場見学もできる
広島県産ネズの実を使ったジャパニーズドライジン「桜尾」シリーズ
広島県産ネズの実も展示されている

 1918年に「中国醸造」として創業した同社は広島県民ならばなじみのあるお酒を作り続けて100年以上の歴史を持つ。2018年より広島県産の原材料を使った純国産クラフトジンや広島初のシングルモルトウイスキーなども手がけている。工場見学では、糖化・発酵・蒸留・樽詰めに熟成とモルトウイスキーなどの製造工程を見ることが可能。たくさんの酒樽がズラリと並ぶ様子など、普段なかなか見ることのできない景色も楽しめる。

まずは蒸留器見学からスタート
静かに樽の中で熟成されるウイスキーたち
併設するショップでは限定品なども含みほぼ全銘柄が購入できる

広島駅すぐの「OKOSTA」でエンタメご飯体験! もっとOKONOMIYAKIが好きになる

 広島滞在ラストは広島駅北口からすぐのお好み焼体験スタジオ「OKOSTA」へ。お好みソースで有名なオタフクソースが運営しており、美味しく焼けるコツを“お好み焼士”と呼ばれる社内資格を持った講師が丁寧にレクチャーしてくれると人気だ。体験したのは「定番広島お好み焼体験」(1980円)。ネギやイカ天、トマトチーズまたは激辛麺のいずれか1品をプラスして自分好みのお好み焼きが焼けるコース。所要時間は約1時間半、完全予約制でWebまたは電話での予約が必要となる。

オタフクソースが運営するお好み焼体験スタジオ「OKOSTA」
店内に入るとビッグサイズの鉄板が迎えてくれる
“お好み焼士 コーディネーター(中級)”の秋田さんが担当してくれた
ロゴ入りエプロンとコック帽をかぶって、調理スタート

 体験では、生地の上手な広げ方から麺のほぐし方、つなぎの効果に裏返すときのコツ。さらにお肉の焼け具合チェックの仕方まで丁寧に教えてくれるので初心者も安心。ベジタリアン向けやムスリムフレンドリーなコースも用意する。できあがったお好み焼きはアツアツのまま鉄板で食べられるのがうれしい。定番のお好みソースのほか、異なる特徴のソースをかけて、味変を楽しむこともできる。家族や仲間とワイワイ出来栄えを比べながら調理できるので、盛り上がる&よい思い出になること間違いなし。エンタメ性も抜群なので、ぜひ訪れてみよう!

生地の上手な広げ方は「同じ場所をなぞらない事」と秋田さん
お肉は高温で焼き目が付くまで焼くのがコツ
広島お好み焼は初めて自分で焼いたが、うまくできあがった
味変用にカレーソースなども各種用意されている。「1歳からのお好みソース」が気に入った
相川真由美

フリーライター/鉄鋼業やIT系やエンタメ関連の雑誌やWeb媒体の編集者を経て、フリーの記者として活動中。海外は一人旅がほとんど。趣味は世界のディズニーのパーク&リゾート巡り。最近は年間パスポート片手に日々舞浜通い。うなぎとチョコレートが好物で、旅の基本は“出されたものは全部食べる”。激辛とうがらしから謎の木の実まで挑戦するのがモットー。