旅レポ

星のや沖縄に泊まってみた。琉球の伝統と最新の快適が共存するラグジュアリーホテル

星のや沖縄に泊まってみた

 2020年7月1日に星野リゾートが沖縄県読谷村でオープンした「星のや沖縄」。現在、冬の沖縄旅を楽しめるプログラムを展開中で、隣接する海カフェ「バンタカフェ」では、夜の海をイルミネーションで彩る「イルミーバンタ」も始まっている。

 このたび、星のや沖縄の宿泊とイルミーバンタを体験してきた。

ホテルを囲う塀は、「グスクウォール」と名付けられている
レセプション入口で存在感いっぱいの「未来シーサー」がお出迎え
レセプションホールは海の中をイメージしている
柱のようにそびえるのは、断面がサンゴに似ている「サンゴの木」
カウンターのフロント板にもサンゴの木が使われている

コンセプトは「グスクの居館」

 星のや沖縄のコンセプトは「グスクの居館」。グスクとは一言でいうと城のこと。沖縄には数百年前のグスク跡が多く残っており、世界遺産にも登録されている。グスクウォールは、そのグスクからインスピレーションを得て作られている。正方形・長方形の穴があいているが、これらは×○△を象っており、ここ読谷の伝統工芸である織物「花織」の模様を表わしている。

 レセプションを抜けるとたくさんの木々や花と畑が広がり、海岸に沿うように客室棟が連なる。棟は2階建てに統一されており圧迫感なく開放感ある造りだ。

 客室は4タイプあり、今回は「フゥシ(星)」という定員4名の部屋に宿泊した。フゥシのほかに、「ティーダ(太陽)」「ハル(畑)」「ティン(天)」があり、ティーダは4部屋のみの特別室(定員4名)、ハルはテラスリビングのある4名部屋、ティンは2名部屋となっている。

緑いっぱいの庭。畑では野菜や果実などを育てている
客室棟は2階建てと低く抑えられている
今回宿泊した「フゥシ」タイプの部屋の入口。ドアではなく全面ガラスの引き戸になっている
部屋に入ると中央にダイニングテーブル、その奥の大きな窓から海を一望できる
ルームキーは、沖縄の伝統工芸である「房指輪」をモチーフにしている。キーホルダーは館内のショップで購入も可能
部屋の右側は掘りごたつのリビング。こちらも大きな窓が特徴的
部屋の左側はベッドルーム。1~2名利用時は写真のようにダブルサイズのベッド2台に、3~4名利用時はシングル×4台に配置する。鮮やかな壁紙は「紅型(びんがた)」でデザインされ、沖縄の動植物や風景などが描かれている。窓際はデスクになっており海を眺めながらPC作業などができる
バスルームはバスタブと洗い場のあるタイプ
洗面台は2台備わっている
アメニティ類は洗面台の引き出しに。星のやオリジナルのバスソルトやフェイスマスクも用意
作務衣風のルームウェアとふんわり素材のパジャマのほか、靴下、ミニバッグが用意されている
ルームウェア着用。施設内はルームウェアのまま利用可能
パジャマ着用。肌触りのよいふんわり素材
靴下は足袋タイプなので、靴下を履いたままビーチサンダルが履ける
ミニバッグは施設内を散策するときに財布やスマホなどを入れて持ち歩くのに便利
バスルームから独立したトイレは、ドアが開閉すると照明が自動的に点灯する
土間ダイニングにはオーブンレンジやコーヒーメーカー、Bluetoothのスピーカーなどが用意されている
食器類は伝統工芸品「やちむん(焼き物)」など沖縄産のものを用意。同じものが館内ショップでも売られている
「ハル」タイプの部屋は、土間ダイニングの奥にベッドルームを配置
バルコニーにソファを配し、海を眺めながらくつろげる「テラスリビング」
バルコニー側から室内を見たところ

 フロントデスクはレセプションから離れた「集いの館」内にある。沖縄独特の赤瓦屋根の建物で、休憩所として利用したりお土産を選んだりできる。この集いの館の前がプール。足がつかる程度の浅さから奥に行くにしがたい深くなっていく。一番奥はインフィニティプール。

 このプールでは、2021年12月1日に「星空ホットプール」をオープン。冬でも快適に入ることができる温水プールで、24時間利用可能だ(日没後は中学生以上のみ利用可)。寒い日には湯気が立ち、温泉に浸かっているような気分になれるとのこと。集いの館でタオルなどの貸し出しをしており、自分の部屋から水着のままプールまで来ることができる(移動時には上着をはおることになっている)。

 ホットドリンクを提供する「ぬくさんスポット」も設置され、フルーツやスパイスを使った温かい飲み物が体を芯から温めてくれる。なお、星空ホットプールの開催は2022年2月28日までとなっている。

フロントデスクを擁する「集いの館」
フロントデスク
多くのソファや椅子が配され、休憩所として利用できる
ドリンクコーナー。無料で利用可能。沖縄に関する書籍も揃い、自由に読むことができる
お土産コーナー。沖縄伝統工芸品を中心に、星のやオリジナルグッズなども揃う
プール手前は足首程度までの深さ。奥にいくにしたがって水深が深くなっていく
一番奥はインフィニティプール。海とつながっているような光景
西海岸に向いているので、夕暮れ、夕日もきれい
夜のライトアップされたプールも雰囲気たっぷり
「ぬくさんスポット」では体を温めるドリンクを提供

 夕食は施設内ダイニングでの食事のほか、客室でいただくことができる「ギャザリングサービス」がある。

 普通のルームサービスと違い、シェフが下ごしらえした料理を部屋で自分で仕上げて出来立てを味わえるのが特徴。メニューも、そのまま食べられるものも含めおよそ30品が揃い、数日滞在しても食べきれないほど。今回注文したのは、「3種の貝の泡盛蒸し」「3種の天心せいろ蒸し」「冷製モズクそば」「グルクンの南蛮漬け・シークヮーサー風味」の4品。

 料理はそれぞれ重箱に入れられ、外出中に部屋の冷蔵庫に届いていた。冷蔵庫が大きいことに驚いていたが、なるほどこういう使い方のためかと納得。このうち貝の泡盛蒸しと天心せいろ蒸しが自分で仕上げる料理だ。料理方法の説明書も用意されていた。

 ちなみに冷蔵庫内に用意されているミニバーは、利用した分を備え付けの伝票に書き込み、チェックアウト時に精算する。

冷蔵庫に、注文した料理が重箱に入って届いていた
仕上げ前の料理
テーブルに、ホットプレートなど仕上げ用の器具が用意されていた
貝の泡盛蒸しを仕上げ。フィルムのままホットプレートで5分ほど加熱し、フィルムを切り開いてアツアツをいただく
天心せいろ蒸しはお湯を入れた鍋の上で15分ほど蒸してできあがった。いざ、実食

 また、夜のお楽しみとして隣接するカフェ「バンタカフェ」では、12月1日から「イルミーバンタ 海辺の夜あかり」というイベントを開催している。夜の海岸をライトアップし、打ち寄せる波にライトを当てて光のショーと音楽を楽しめるプログラムだ。

 バンタカフェは海を見渡す崖に立地し、大屋根デッキ、海辺のテラス、岩場のテラス、ごろごろラウンジの4エリアから成る。大屋根は波の音を反響するように設計されており、波音のサラウンドが体感できる。

 海辺のテラスは東屋風のテラス席で、畳敷でくつろげるのが特徴。岩場のテラスは隠れ家的な席で、自生する植物をそのまま利用してウッドデッキやロッキングチェアを配置。

 ごろごろラウンジは屋内席で、寝転べるほど大きなソファが海に向かって配されており、テーブル下に電源コンセントとUSBポートが設けられているのでPC作業なども可能。

 通常は日没後1時間で閉店するが、イルミーバンタは日没からライトアップをスタート。18時30分、20時、21時に光のショータイムを行なう。音楽に合わせて色を変える光のショーはとても幻想的。白波が立つと一層光が映える。

 プログラムに合わせたフードメニューとして「お散歩スープセット」が用意されている。4種類のなかから2種類が選べるスープとバケット2人分、それにランタンとバスケットの貸し出しが含まれて2600円(2名分)だ。

 ランタンはLEDなので安全。光量も十分。スープで体を温めながら、夜風に吹かれて光のショーを楽しめる。イルミーバンタの開催は1月31日まで。開催時間は18時~20時30分ラストオーダーとなっている。

イルミーバンタ外観
海岸側から見上げたところ
海を一望できる大屋根デッキ
夜の大屋根デッキでは、光と植物を使った影絵遊びも行なっている
畳敷の海辺のテラス
夜の海辺のテラスからはイルミーバンタが見下ろせる
隠れ家的な岩場のテラス。木漏れ日が気持ちよい
夜はいっそう隠れ家的に
ごろごろラウンジは寝転べるほどの大きなソファが特徴

 また、バンタカフェの隣には薪焼きステーキを味わえるレストラン「星野リゾート オールーグリル」がある。

オールーグリルは、全面ガラス張りで海を一望するレストラン

朝食とアクティビティを楽しむ2日目

 2日目。森の上に朝焼けが広がる。

 朝食は「ダイニング」でいただく。琉球朝食とシチリア朝食から選ぶことができ、筆者はシチリア朝食を選択。野菜とフルーツがたっぷりで、目覚めドリンクやデザートのヨーグルトなどで胃腸も快調。

夕食・朝食が摂れるダイニング。美術館や博物館のようなたたずまいだ
フルーツや野菜を使ったヘルシーな目覚めのドリンク。色もきれい
たっぷり野菜とオレンジの果実から成るシチリア風サラダ。オリーブオイルやにんじんドレッシングをかけていただく
朝食プレートには、フリッタータとポーチドエッグ、温野菜、ソーセージ。ほかにスープ、パン、デザートのヨーグルト、フルーツが付く

 また、星のや沖縄の特徴的な施設として道場がある。ここでは琉球空手の体験や、朝の鍛錬深呼吸、夜の調律深呼吸などのアクティビティが行なえる。

 沖縄ならではの飲み物「ぶくぶく茶」も味わえる。硬水でしか泡立たないという不思議な泡を、さんぴん茶に乗せていただく。ほっと一息つけるひとときが味わえる。

琉球空手が体験できる道場。木の香りで心も整う
ぶくぶく茶の泡を立てる様子。沖縄の水は硬度が高いので、硬水でしか泡が立たない特徴を活かした沖縄ならではの飲み物ができあがる
お茶の上にたっぷり乗せられた泡。上からかぶりつくように泡をいただく。お茶菓子は一口サイズのちんすこう

 アクティビティはほかに、歌三線や琉球舞踊の手習い、スパ、海辺を馬に乗って散歩する「朝凪よんなー乗馬」などがある。

 夏だけでない、冬だからこそ味わえる魅力にも出会える「冬の沖縄旅」。海と緑に囲まれて、時間を忘れてゆっくり過ごすのもたまにはよいものだ。

星のや沖縄

所在地: 沖縄県中頭郡読谷村字儀間474
TEL: 0570-073-066(星のや総合予約)
客室数: 100室
チェックイン/アウト: 15時/12時

バンタカフェ

所在地: 沖縄県中頭郡読谷村字儀間560
TEL: 098-921-6810
営業時間: 10時~日の入り後1時間(日の入りでラストオーダー)、土日祝のみ8時~

大城和歌子

横浜生まれのウチナーンチュ二世。東京での出版社勤務を経て1998年11月に沖縄移住、フリーのライターとなり「和歌之介」のペンネームで活動。主に音楽系記事を得意とし、沖縄インディーズの隆盛を間近で体感した。自らも音楽活動をゆる~く展開。現在、那覇市内でレコードバー「リンドウ」を営んでいる。