旅レポ
“神の島”久高島や絶景のニライカナイ橋など沖縄南部を散策。何度も訪れたくなる久高島の魅力とは?
2020年11月4日 09:00
沖縄本島南部の南城市に立地する「ウェルネスリゾート沖縄休暇センター ユインチホテル南城」でのワーケーション体験についてお伝えするシリーズの第3弾となる今回。より充実したワーケーションのためには、日々の仕事や生活といった滞在施設での快適さに加えて、合間に訪れる観光地の魅力も重要なポイントになる。
本島南部には、沖縄の歴史が詰まっており、加えて南の島らしい青い海も楽しめる魅力あるスポットが多数存在している。今回は、“神の島”とも呼ばれる「久高島」への日帰り旅を中心に、そうした観光スポットを紹介したい。
琉球、沖縄の歴史はここから始まった? 神の島「久高島」
ワーケーション中の休日を使ってぜひ訪れたいのが「久高島」だ。皇居よりも少し広いぐらいの面積を持つ島で、「琉球」を開いたアマミキヨが降り立った島という伝説から「神の島」とも呼ばれている。そうした神話由来のスポットが島内に点在しているのが大きな特徴に挙げられるが、海に囲まれた沖縄の小島で過ごす静かな時間も魅力だ。
この久高島へは、久高海運が本島・安座真港~久高島・徳仁港間に1日6往復の定期船を運航している(ちなみに徳仁港は“とくじん”港と読む)。高速船とフェリーを交互に運航し、高速船で約15分、フェリーで約25分の所要時間となっている。1~2時間に1本の運航本数で、先発便を追い抜かすことはないので、都合のよい便を選ぶとよいだろう。
このプチ船旅を楽しめるのも久高島を訪れる魅力の一つで、天気がよければ青い海越しに沖縄本島を望むこともできる。
船でアクセスした際の久高島の出入口となる徳仁港は島の南部に位置する。大ざっぱにまとめると、商業施設などは島の南部に集中しており、少し離れると自然あふれる世界が広がっている。
ちなみに、島の土地は個人の所有物ではなく、島民共有の土地となっている。琉球王国時代には「地割」という制度によって個々に土地を割り当てているが、その割り当ても石を並べるだけのシンプルなもの。そうした歴史の跡は徳仁港すぐの場所で見ることができる。
神話や琉球王朝の旧跡が残る神聖な場所であることや独特の文化が残る島ということで、島内でのルールも定められている。といっても、それほど小難しいルールではなく、「島のものを持ち帰らない」「野生生物を捕らない」「水着で歩きまわるなどの露出を控えた服装を心がける」など、神聖な場所であることが念頭にあれば自然に振る舞えることがほとんど。この点だけは気を付けて島を訪れたい。
さて、島内は自分の足で歩くもよし、レンタサイクルを借りて島中を巡るもよし、とさまざまな楽しみ方ができる。港近くのマップには、いくつかのモデルコースも記載されているので参考になるだろう。
今回はガイド団体「アマミキヨ浪漫の会」によるガイドツアーをお願いし、モデルコースの一つ「アマミキヨコース」に準じたルートで島を巡った。
ルートを簡単にまとめると、琉球王が来島し、アマミキヨが降り立ったとされる最北端の岬「ハビャーン」を訪ねるルートを辿るもの。途中、久高島で伝統的に行なわれているお祭りや、祭事や神事が行なわれる祭場や「御嶽(うたき)」などを訪れた。
各ポイントには説明パネルが設置されているものの、ガイドさんからよりかみ砕いて話を聞けたり、疑問に思ったことを尋ねたりできるのはガイドツアーのよいところ。また、地元のガイドさんによる「昨年のお祭りはこんな雰囲気だった」や「私が小さいころはこうだった」といった話を聞くことで、島への興味もより高まる。
久高島の魅力は琉球王国時代の旧跡だけではない。「ロマンスロード」と呼ばれる海岸沿いの遊歩道に代表されるような絶景スポットやマリンレジャー、地元の生活の香りが漂う島の南部の散策など、楽しみは多い。宿泊施設もあるので、週末に1泊2日で滞在することにも魅力を感じる。
今回は日帰りでガイドツアーによる聖地の旅を楽しんだわけだが、今回だけでは物足りなさを感じたのも正直な気持ちだ。ガイドさんによると、2度目、3度目の訪問でガイドツアーを申し込む人も多いということで、自分の足で見てまわることで好奇心が湧く人も多いようだ。
記者の場合はガイドさんの話を聞くのが先になっただけで、ほかのところを見てみたい、感じてみたいという好奇心は湧く。再び訪れ、今度は自分の足でもっといろいろなところを見てみたいと感じている。
パワースポットとしても人気の聖地「斎場御嶽(せーふぁーうたき)」
南城市内には、もう一つ有名な琉球王朝時代の聖地がある。それが「斎場御嶽(せーふぁーうたき)」だ。御嶽(うたき)は神事が執り行なわれた場所で、なかでも琉球王朝時代に、最高の神女が就任するにあたって儀式が行なわれたとされるのが斎場御嶽なのだという。沖縄最高の聖地とも言われ、世界遺産にも認定されている。
斎場御嶽に立ち入るためには、近隣にある南城市地域物産館でチケットを求める必要がある。新型コロナウイルス対策として、ここで検温も行なわれている。コロナ対策の面では、有料ガイドも一時中止していたそうだが、現在は人数制限して実施。ただし、土曜・休日に実施している定時ガイドツアーは中止しているので、ガイドが必要な場合は必ず事前の申し込みが必要になる。
加えて、斎場御嶽にある「三庫理(さんぐーい)」も立ち入りを禁止している。ここは祭事が執り行なわれた聖なる場所であるが、密になりやすいことから新型コロナ対策の面で立ち入れなくなっている。復帰の時期は未定だという。
斎場御嶽のなかは神事が行なわれた数か所のスポットに分かれており、急げば30分足らずで回れるが、斎場御嶽はちょっとしたハイキングコースのようになっており、歩きやすいスタイルで訪れることをお勧めする。
ハイキングと記したものの、林のなかは不思議な静けさで、これを神気というのだろうか。なんとも言えない空気感のなかを歩くことになる。パワースポットと呼ばれるのも納得だ。
なにより、琉球王朝時代の重要な史跡でもあり、琉球発祥の地である久高島を訪れたならば、ぜひ併せて訪れたい場所だ。
TV CMで見たことが!? 大海原とのコラボが絶景の「ニライカナイ橋」
さて、最後に紹介しておきたいのが「ニライカナイ橋」だ。那覇市などから斎場御嶽を訪れる場合に、海沿いの国道へ出るためにアクセスする際に、パッと開けた瞬間にこの橋に出ることから印象に残る。
断崖を上り下りするためにS字状になっており、その曲線の造形も楽しめるほか、背後に広がる海とのコラボが絶景を生み出す。
実際にクルマで走行するのもよいのだが、橋の北側に展望スペースもあるので、ここからゆっくり眺めるのもお勧め。南城市の市内循環バス「Nバス」の停留所があることからも、市にとって主要な観光スポットと認識されていることが分かる。
今回はやや曇がかかったタイミングで訪れたのだが、天気がよければ青い海、夕暮れ時なら赤く染まった海をバックに、美しい曲線の橋の眺めを楽しめる。映える橋なので、特に写真好きなら絶対に訪れたい場所だ。