旅レポ
ゆるキャン△でおなじみになった聖地・本栖湖の「浩庵キャンプ場」に行ってみた
2020年3月24日 08:00
富士五湖の1つである本栖湖の湖畔にあり、「ゆるキャン△」の第1話に登場した聖地としても有名なのが「浩庵キャンプ場」(山梨県南巨摩郡身延町中ノ倉2926)である。このキャンプ場の魅力は、何と言っても本栖湖越しに絶景の富士山を見ることができること。近くには千円札の裏面と同じ構図の富士山が見られることで有名な中ノ倉峠展望地もあり、富士山好きにはたまらないキャンプ場だ。
都内から浩庵キャンプ場にクルマで向かうのであれば、中央自動車道を走って大月JCT(ジャンクション)で河口湖/山中湖方面に向かい、河口湖IC(インターチェンジ)で下りて一般道を進むルートが一般的だ。河口湖ICを下りたあとは国道139号をしばらく走り、本栖湖近くの交差点で右折して国道300号を進めば浩庵キャンプ場に到着する。河口湖ICからは30分程度である。
浩庵キャンプ場に到着したら、まず本栖セントラルロッヂで受付を行なう。料金は大人(中学生以上)1人1泊600円、小人(小学生)が1人1泊300円で、それにテント設営料(1帳1泊1000円)とタープ設営料(1帳1泊500円)、駐車場代(1台1泊1000円)がかかる。なおキャンピングカーの場合は1台1泊2000円、バイクなら1台1泊600円だ。
受付時間は8時から20時までで、宿泊時のチェックアウトは10時になる。なお浩庵キャンプ場は予約不可のため、混雑する週末は受付待ちの行列ができる可能性が高い。後述するように浩庵キャンプ場はテントサイトと湖畔の浩庵貸しボート場の2か所でキャンプできるが、湖畔はすぐに埋まってしまう。週末に本栖湖のほとりで富士山を眺めながらキャンプをしたいと考えているのであれば、早めに到着するように意識したい(それでも、金曜日から宿泊しているキャンパーでかなり埋まっていることがあるが)。
今回、浩庵キャンプ場に宿泊したのは1月31日で、金曜日ということもあってそれほど混雑はしていなかった。テントを張ったのは湖畔で、のんびりと富士山を眺められるポジションである。ただ湖のそばでキャンプをする際に注意したいのは、本栖湖に向かって傾斜があること。それほどキツいわけではないが、寝袋で寝ているといつのまにか湖側に位置がずれていたので、テントを張る位置は注意しよう。
テントサイトは湖畔から少し奥に入ったところにあり、まわりが木々に囲まれていて湖畔とは違った気持ちよさがある。またトイレや炊事場が近いのもテントサイトのメリットだ。
浩庵キャンプ場でもっとも悩ましいのは、浩庵ボート場とテントサイトのどちらにテントを張るかだろう。富士山を心ゆくまで楽しみたいと考えているのであれば湖畔だが、こちらにはトイレや炊事場がなく、いちいちテントサイトまで歩かなければならない。特に小さな子供連れで泊まるのであれば、テントサイトを選んだ方が楽ではないだろうか。
炊事場やトイレはとても清潔。コインシャワーもあるほか、本栖セントラルロッヂでは10時から20時までの間、大人500円、子供300円(1歳以上~小学生)で入浴することもできる。
まさかのアクシデント!? カセットボンベが使えない!
さて、今回浩庵キャンプ場に宿泊した日はなかなか寒く、日中でも気温は3℃程度、明け方にはマイナス4℃程度まで下がっていた。このように寒い冬場のキャンプで気をつけなければならないと、心底思い知らされたのがガスボンベの利用だ。
今回、ソトのレギュレータストーブである「ST-310」と、同社のCB缶である「ST-700」の組み合わせで調理を行なおうとしたのだが、火力が弱過ぎてまともに料理することができなかった。
このとき調理しようとしたのは、昼食として用意しておいた焼きそばである。まずフライパンで具材を炒め、麺を入れて水を回しかけ、水分がなくなるまで炒め合わせて付属の粉末ソースをかければできあがり、というタイプのものだ。
問題はいつまで経っても水が沸騰しなかったこと。沸騰しないままの水を切ってなんとか食べたのだが、当然美味しくはない。
あとで調べて分かったのだが、実はガスボンベに使われるLPガスにはいくつかの種類がある。一般的に使われるのはブタン(ノルマルブタン)と呼ばれるもので、沸点であるマイナス0.5℃以下の温度では気化しないため火がつかない。また、温度がそれ以上だったとしても、気温が10℃以下になると火力が落ちるとされている。
今回使ったガスボンベはこのブタン(液化ブタン)が主成分だったため、寒い場所では強い火力が得られなかったというわけだ。
なお「ハイパワー」や「寒冷地向け」と呼ばれるガスボンベは、イソブタンを主成分としていたり、あるいはプロパンを混合したりしている。沸点はイソブタンが約マイナス11℃、プロパンは約マイナス42℃であり、これらであれば寒い場所でも着火し、強い火力を得ることができる。冬キャンプでCB缶を使うのであれば、寒冷地でも使えるものを用意していこう。
なお、カセットボンベにはCB缶のほかにOD(アウトドア)缶と呼ばれるものもある。名前のとおりアウトドアに特化したガス缶であり、ノーマルタイプでもイソブタンが混合されているものがあり、寒冷地でも使用することが可能だ。またメーカーによっては、イソブタンとプロパンを混合した、より寒さに強い製品も販売している。
ただOD缶はCB缶よりも割高であること、またコンビニでは購入できず、アウトドアショップやアウトドアグッズを販売しているホームセンターに行かなければ手に入れられないといった難点もある。状況に応じて使い分けるとよいだろう。
このように昼食は残念な形になってしまったが、夕食はコンパクトたき火グリルを使って芋煮を作り、肉を焼いて楽しんだ。少しは挽回できたと言えよう。
その後22時過ぎには就寝し、朝7時に目が覚めたのだが、そのときのテント外の気温はマイナス2℃、テント内も1℃しかなかった。寒さに震えつつ起きだし、10時までにチェックアウトするようにテントを畳んで浩庵キャンプ場をあとにした。
今回よかったのは、両日ともに好天に恵まれ、富士山をしっかり見ることができたこと。湖畔にテントを張ったこともあり、のんびり富士山を眺めつつ息抜きできたのは最高だった。
ゆるキャン△の影響もあり、浩庵キャンプ場の人気は高く、特に週末はかなり混雑しているが、一度行けば人気があるのも納得できるだろう。チャンスがあればぜひ訪れていただきたい。