旅レポ

羽田空港のすぐそばでキャンプ泊を楽しめる城南島海浜公園に行ってみた

城南島海浜公園オートキャンプ場でキャンプを楽しんだ

 東京都内在住者が身近なところでキャンプしたい、あるいは東京へ旅行などで遊びに来る際、普通のホテルではなくキャンプ場に泊まりたいといったとき、ぜひお勧めしたいのが城南島海浜公園だ。

 羽田空港の近くに位置する城南島という人工島のなかにある公園で、東京都港湾局が管理している。首都高を使えば都心部から30~40分程度であり、大森駅や大森海岸駅などからバスで向かうこともできる(「城南島四丁目停留所」下車)など、アクセスのよさが大きな魅力だ。今回、筆者はこの城南島海浜公園のキャンプ場を1泊2日で利用したので、そのレポートをお届けしたい。

城南島海浜公園

 ちなみに筆者は今年に入ってからキャンプ道具を集め始めた正真正銘の初心者で、当初はキャンプ場と言えばだだっ広いスペースがあり、好きなときに行って好きな場所にテントを張るものだと(勝手に)イメージしていた。そうしたイメージに近いキャンプ場もあるが、昨今ではスペースが区画で区切られているキャンプ場が増えており、こうしたキャンプスペースを「区画サイト」と呼ぶ。逆にスペースのなかに区切りがなく、自由にテントを張れるサイトが「フリーサイト」だ。

 城南島海浜公園内には第一キャンプ場と第二キャンプ場、そしてオートキャンプ場の3つのスペースがあるが、いずれも区画サイトとなっている。区画の数は第一が20、第二が18、オートキャンプ場が22区画である。

こちらは第一キャンプ場。大きな木が植えてあり、夏場でも涼しそうだ
第一キャンプ場と第二キャンプ場にはテーブルや長椅子のほか、野外炉が用意されている
日帰りのみの利用となる第二キャンプ場の様子。こちらにもテーブルや長椅子、野外炉がある

 第一、第二キャンプ場とオートキャンプ場の違いは、サイト内に駐車スペースがあるかどうか。オートキャンプ場にはテントを張るためのスペースのすぐ脇に駐車スペースがあり、区画まで自動車で乗り付けられる。第一、第二キャンプ場は公園にある駐車場に自動車を駐め、そこから自分の区画まで荷物を運ぶ形だ。

オートキャンプ場の区画には駐車スペースが設けられている。第一、第二キャンプ場と異なり、テーブルや椅子、野外炉はない
オートキャンプ場の1区画あたりの広さは、駐車スペース込みで約10m×10m。決して広くはないため、大型のテントやタープの設置は厳しい

 城南島海浜公園のオートキャンプ場で注意したいのは、家族限定というただし書きが付いていて、1区画1家族のみの利用となっていること。このため、友達同士でオートキャンプ場を1区画借りてキャンプするといったことはできない。

 城南島海浜公園のキャンプ場は、第一と第二、オートキャンプ場のいずれも完全予約制で、電話での事前予約が必須である。予約状況はWebサイトでチェック可能だ。Webサイトを見ると、4月22日時点でゴールデンウィークが埋まっているほか、第一キャンプ場と第二キャンプ場はこの時点で予約可能な7月末までの週末はすべて埋まっている。城南島海浜公園が人気のあるキャンプ場であることが分かるだろう。

 予約は利用希望日の3か月前の月の1日から受付が始まるので(8月18日に予約をしたいのであれば、3か月前である5月1日から予約できる。定休日であれば、その翌日から)、早めに予約を取るようにしたい。

キャンプしながら飛行機撮影が楽しめる!

 今回筆者が利用したのはオートキャンプ場である。料金は朝10時にチェックアウトした場合で1泊2日で1区画あたり4000円、夜9時までの利用の場合は6000円となる。オートキャンプ場にはプラス1000円で電源が利用できる区画もある。

 城南島海浜公園内のキャンプ場の入場時間は11時からで、オートキャンプ場であれば16時までに入場する必要がある。筆者は11時早々にチェックインし、寝床となるテント、そして日よけや雨よけとして使えるタープを設営した。1人での設営だったため時間はかかったが、なんとか昼過ぎにはテントとタープを張り終え、昼食として即席ラーメンを作って食べた。屋外で食べると、食べ慣れているものでも美味しく感じるのが不思議だ。

今回利用したのは、アウトドアブランド「ogawa」の「グロッケ8」というテント。地面に広げたテントをペグで固定し、ロープを張っていく
テント部分が完成。初めて購入したテントであり、「自分にテントが張れるのか」と不安だったが、このテントは初心者でも簡単に張ることができる
グロッケ8の内部。3~4人用のテントで、2人ならかなり余裕を持って使うことができる。テントの側面と天井部分には、ベンチレーターと呼ばれる換気用の窓がある
グロッケ8はオプションのタープと組み合わて使えるのもポイント

 お腹がいっぱいになったところで公園内を散歩する。実は城南島海浜公園は約19万m 2 と広大な面積を誇り、キャンプ場のほかにも潮干狩りが可能な「つばさ浜」や犬を遊ばせることができる「ドッグラン」、さらにはスケートボードやインラインスケート、BMXが楽しめる「スケボー広場」まで用意されている。

潮干狩りも楽しめるつばさ浜。とにかく広い!
つばさ浜の背後にあるボードウォーク
足に付いた砂を洗い落とすための足洗い場もある
こちらはドッグラン。リードをつながずに犬を遊ばせることができる。なお、ドッグランを利用するには事前に利用者登録が必要
それほど多くはないが遊具も用意されている。小さい子供を連れてキャンプするといった場面で重宝しそうだ
こちらはスケボー広場。クォーターランプやミニランプ、スパインやバンクなど多くの設備がある

 また公園内は多くの場所に芝生が敷き詰められているほか、ベンチもあちらこちらに設置されている。約19万m 2 という広大な公園を気軽に散歩しつつ、気に入った景色の場所の近くに座ってのんびりできるのは楽しい。

公園内の随所に芝生エリアがある。キャンプでなくても、この公園に来てのんびりするだけでストレス解消になりそうだ

 前述したとおり城南島海浜公園は羽田空港のすぐそばにあるため、頭上を次から次へと飛行機が飛んでいく。飛行機の撮影が趣味ということであれば、間違いなく楽しめるキャンプ場だろう。特に南風が吹いていて、羽田空港のB滑走路に飛行機が着陸するケースでは、タッチダウン直前の飛行機を間近で見られる。

駐機している飛行機が見えるほど羽田空港が近い
写真のB滑走路が使われていると、着陸する飛行機を間近で見ることができる
キャンプしている上を多くの飛行機が飛んでいく。ここなら飛行機が撮り放題だ

東京のど真ん中(?)でたき火を楽しむ

 一通り散歩すると、いつのまにか時間は夕方近くになっていたのでたき火を楽しむことにした。ほかの多くのキャンプ場と同様、城南島海浜公園も地面でじかにたき火する直火は禁止されているため、たき火台は必須となる。

オートキャンプ場の炊事場。清潔に保たれていて問題なく利用できた
こちらは第一キャンプ場と共用のトイレ。こちらも清潔
ゴミは持ち帰るルールになっているが、炭捨て場は用意されている

 ちなみに、数か月前に初めてキャンプを行なった際に思い知らされたのは「薪は簡単に燃えてくれない」という事実だ。たき火台の中央に着火剤を置き、それを囲むように薪を配置したのだが、薪に火が移らずに着火剤の火が消えるということを繰り返し、途方に暮れた。太い薪は簡単に燃えないということを知らなかったための失敗である。太い薪を燃やすのであれば、その前に小枝などに火を移し、そこから徐々に太い薪に火が移るように工夫する必要がある。今回はなんとか最終的に太い薪まで燃やせて、無事にたき火を楽しむことができた。

よく燃える松ぼっくりを使って薪に火を付けようとしたが失敗。その後、おとなしく着火剤を使って火を熾した
たき火はキャンプの醍醐味。ちなみに城南島海浜公園には売店があり、そこで薪や炭を購入することも可能だ

 このように城南島海浜公園でたき火を楽しむ際、意識しておきたいのは時間だ。この公園のキャンプ場では、火が使えるのは20時までとルールで定められているからである。このため、20時には完全に消火するように調整しつつたき火を楽しもう。

 たき火が終わったあとは、テント内でシュラフに潜り込む。しばらくスマートフォンでWebサイトなどをチェックしていたが、21時過ぎには消灯して眠りについた。

 覚悟しておきたいのは飛行機の騒音だ。羽田空港は24時間運用であり、国際線など深夜に飛び立つ飛行機も多いため、眠りを妨げられるといったことも考えられる。気になるようであれば、耳栓を用意するなど対策を検討しておきたい。

 起床は朝6時で、顔を洗ったり歯磨きしたりして7時から片付け開始、8時過ぎには撤収となった。この日は普通に仕事があり、さっさと事務所に向かわなければならなかったためである。最後はドタバタしてしまったが、職場が都心部であれば城南島海浜公園から直接出社するのもアリではないだろうか。

 さて、キャンプというと大自然のなかで行なうイメージが強く、都心部でキャンプするイメージが沸かないという人も多いだろう。ただ目の前に海が広がっているほか、公園自体も広々としているため窮屈さを感じることはない。都心でありながらのびのびとキャンプを楽しめる場所として、ぜひ一度体験してみていただきたい。

川添貴生