旅レポ
キャンパーの聖地! 「ふもとっぱら」でキャンプしてみた
2019年6月18日 07:00
10連休となった今年のゴールデンウィークでの混雑っぷりがテレビのニュースで取り上げられ、話題となったキャンプ場が静岡県富士宮市にある「ふもとっぱら」だ。富士山のふもとから頂上までが見える絶好のロケーションと、1500以上のテントを張ることができると言われる、広大な敷地が魅力のキャンプ場である。
場所は富士五湖の1つである本栖湖から15~20分ほどの場所で、近隣には道の駅「朝霧高原」や大小数百の滝が流れ落ちる「白糸の滝」がある。自動車での東京からのアクセスは、中央自動車道では「河口湖IC(インターチェンジ)」、東名/新東名高速道路なら「富士IC」または「新富士IC」が最寄りのICとなる。国道139号線沿いの朝霧高原グリーンパーク入り口を毛無山登山口方面に曲がってしばらく走ると、ふもとっぱらの入り口が見えてくる。
キャンプ1泊の料金は1人でのソロキャンプならテント1張りと車両1台で2000円で、タープを張る場合は500円が追加される。1~5名で入場し、2~5名用テントと車両1台なら3500円、6人用以上のテントでは4500円、タープ1張りあたり1000円だ。キャンプ時のチェックインは8時30分から17時まで。うれしいのはチェックアウト時間が14時となっていること。起きてからのんびりと朝食を楽しみ、時間に余裕を持って片付けができるのはありがたい。
ふもとっぱらは当日受付も行なっているが、連休や夏休みなどは予約だけで埋まってしまう可能性が高い。こうしたタイミングでふもとっぱらを利用したいと考えるのであれば、事前予約が必須だと考えたい。
予約はネット上から行ない、完了すると予約内容が記載されたメールが届く。その内容を印刷しておくか、あるいはスマートフォンの画面でメールを表示しておき、それを入り口の係員の人に見せれば料金支払いまで含めてスムーズに進み、素早く入場することができる。
とにかく広大なキャンプエリア
実際に入場して驚くのは、キャンプエリアの広さだ。あまりに広大過ぎて、どこにテントを張るのか迷ってしまうほどである。ただ、どこにテントを張っても富士山はしっかり眺めることができる。またふもとっぱらは富士山に向かってなだらかに傾斜しているため、自分の前にテントが張られて富士山が見えづらくなるといった心配もほとんどない。
人気があるのは管理棟(受付)や炊事場が近いエリアだ。ふもとっぱらではテントが張れるエリアをA~Jに分けているが、その区分で言えば人気があるのはA/B/D/Eとなる。逆に管理棟から遠く、富士山に近付くG/I/Jは混雑していないことが多い。ただ、これらのエリアにも仮設トイレが設置されているほか、水道が使える水場も用意されている。できるだけ静かにキャンプを楽しみたいと考えているのなら、あえて管理棟から離れるのもアリだ。
全面フリーサイトでテントを張る場所は早い者勝ちとなるため、場所にこだわりたいのであれば早めにチェックインする必要がある。特に土日は多くのキャンパーが集うため、人気のある場所はすぐに埋まってしまう。複数家族でのグループキャンプなどで、広いエリアを確保したいと考えるのであれば、できるだけ早い時間に到着するように動きたい。
トイレは管理棟から少し進んだところにある牛舎の近くにあるほか、キャンプサイトには仮設トイレも設置されている。またFサイトには洋式トイレを備えたトレーラートイレもあり、どのサイトに陣取ってもトイレが遠くて困るということはないだろう。水場も数多く用意されているが、食後の時間帯や朝はどうしても混雑してしまうため、ウォータータンクがあると便利だ。
ふもとっぱらには大浴場もあり、休日など利用者が多い日には解放される。利用可能時間は18時から22時までだ。ただ混雑必至なので、ゆったり湯船につかりたいのであれば近隣の日帰り温泉を利用することを検討しよう。ちなみに、クルマで20分程度のところにバナジウム温泉の「風の湯」、同じく35分ほどの距離には「天母の湯」という日帰り温泉がある。
ありがたいのはゴミ捨て場があり、1袋100円で販売されている専用のゴミ袋を購入すれば、ゴミステーションで燃えるゴミを引き取ってくれること。さらに缶や瓶、灰も引き取ってくれる。
富士山のふもとでひとりバーベキュー!
今回、筆者がテントとタープを設営したのは、D/EエリアとFエリアの間あたりである。本来2本必要なタープ用のポールを1本しか持ってこなかったという手痛いミスを犯したため、やむなくタープの片側のみポールを立て、反対側は直接ペグダウンして設営した。やや窮屈にはなったが、1人であれば十分なスペースである。
昼食は即席ラーメンで、人気のキャンプギアである「メスティン」を使って調理(というほどのものでもないが)した。メスティンはイワタニ・プリムスが「trangia」ブランドで販売しているアルミ製の飯盒である。基本的な用途は炊飯だが、即席ラーメンを作るのにも使えるほか、鍋料理やポトフなどさまざまな料理に使えることが人気の秘密である。あまりに人気があるために品薄状態が続いており、アウトドアショップによっては1人1つまでと制限を設けていることもあるほどだ。
ラーメンのおかず(?)として食べたのは、炭火で焼いたウィンナーである。炭火で焼き、なおかつ自然のなかで食べるウィンナーはなぜこれほどまでに美味しいのか。ついついビールが進んでしまう。
今回、食料や飲料はすべて事前に準備したが、ふもとっぱらにはクルマで10分ほどの場所にコンビニエンスストアがあるほか、前述したとおり道の駅である朝霧高原があるため、キャンプ場に着いてから食材を調達することも不可能ではない。ただコンビニエンスストアにしても道の駅にしても、販売されているものが限られている。近隣のスーパー(マックスバリュ 富士宮宮原店)まではクルマで40分ほどかかるため、食材や飲料(特にアルコール。ふもとっぱらではアルコール類は販売されていない)はなるべく事前に準備して持ち込む方がよいだろう。
昼食のあとは自然のなかでの午睡をむさぼり、それから場内を散歩した。こうして歩き回ると、改めてふもとっぱらのだだっ広さが感じられる。
夕方5時ごろにはたき火を始め、夕食の準備を始めた。今回の食事は焼き鳥の缶詰(タレ味)で作る炊き込みご飯、事前にスーパーで入手しておいた焼肉用の味付き牛肉でのバーベキュー、そしてホタテのアヒージョというラインアップである。意外と美味しかったのは炊き込みご飯だ。メスティンに米と水を入れ、さらに日本酒を追加して炊いただけなのだが、しっかり味が染みていて1合を軽く平らげてしまった。
ご飯を食べ終わったあとはたき火を眺めつつビール、そして日本酒と飲み進め、21時ごろには就寝した。ここで注意しておきたいのは夜の気温である。この日は天気がよかったこともあり、昼間の気温は20度以上だったが、21時には12度、明け方5時の段階では7.8度まで下がっている。そもそもふもとっぱらの標高は830mで平地よりも気温は低いため、例え夏であっても寒くなったときに備えて重ね着できるものを持っていきたい。また冬はもちろん、春や秋でもそうとうに冷え込むため、しっかり防寒対策を整えよう。
このふもとっぱらの気温を判断する際、便利なのが公式サイトにある「ふもとっぱらのライブ画像」というコンテンツだ。このページにあるカレンダーの日付をクリックすると、その日の定点カメラの画像とともに1日の温度と湿度をグラフで確認できる。これで直前の状況をチェックすれば、キャンプ当日の気温を予測しやすいだろう。
天候が変化しやすいことも頭に入れておくべきだ。天気予報は晴れでも突然雨が降ったり、あるいは強風に吹かれたりすることがある。怖いのは強風で、設営したテントやタープが飛ばされるといったことが起こり得る。ロープとペグでしっかり固定するのはもちろん、状況によってはタープを早めに片付けてしまうことも考えたい。
このように天候によっては厳しいキャンプとなる可能性はあるが、それでも広大なスペースと富士山の眺望の魅力はきわめて大きく、多くのキャンパーが集まるのもうなずける。キャンプ好きであれば一度は訪れたい場所だ。