旅レポ
JALの国内線仕様787に乗ってみた。座り心地のよいシートと静かな機内。AC+USB+Wi-Fi+モニターのイマドキ装備がうれしい
2019年10月28日 15:18
- 2019年10月27日 運航開始
JAL(日本航空)は10月27日、初の国内線仕様となるボーイング 787-8型機(登録記号:JA846J)を羽田~伊丹線に就航した。
初便となるJAL107便(定刻8時30分発)の出発を前に、羽田空港16番ゲート前において就航記念セレモニーが開催された。
騒音対策とWi-Fi導入が同機の柱
セレモニーではまず、国内事業のコンセプト作りに関わってきたという国内路線事業本部長 本田俊介氏があいさつ。同機の導入には「2つの大きな意味合いがある」とコメント。
1つ目となるのは騒音対策。「伊丹空港周辺は住宅が多く騒音問題でご迷惑をおかけしている」と述べたうえで、従来機より低騒音の同機により「騒音値を下げてご負担を少しでも減らしたい」という思いを語るとともに、「現在、15便が飛んでいるが、最終的には11便がこの飛行機に置き換わる」ことで、騒音低減を期待していると述べた。
もう1つは客室設備、特にWi-Fi関連。2009年ごろから考えはじめたという客室コンセプトにおいて、今後は日本国内においてもWi-Fiが必須になると確信したという。まず、「SKY NEXT(スカイネクスト)」で無料Wi-Fiを導入するところからはじめ、その「完成形が350(エアバス A350型機)であり787(-8型機)」と説明。「リビングでできること、オフィスでできること、それが機内の移動中にもできる」「飛行機に乗るとシートにベルトで縛りつけられている。そのなかで、テレビを見ながら、飲み物を飲みながら、携帯でメールをする、この世界を実現したのが、この飛行機になります」と胸を張った。
最後に「シートベルトサインが付きますというアナウンスが流れたときに、皆さんが“あと1時間乗っていたい”と感じていただけたら我々の苦労も報われると思います」とあいさつを締めくくった。
続いて初便の運航乗務員を務める根本直実氏が「国内線初めての787就航ということで、ダブルキャプテンという体制で臨んでおります」とあいさつ。
787型機が2012年に成田~ボストンに初就航したことを前置き、「本日、国内幹線、日本の大動脈ともいえます羽田~伊丹線に就航することを非常にうれしく感じるとともに、気が引き締まる思いです」と、満を持しての国内線デビューだとコメント。その経験を活かし、「万全の態勢で本日就航できるようにバックアップに努めております」と述べた。また、客室においても「先ほど機内をちょっと回りましたけれども、とても高級感あふれる機内であります」「ぜひお楽しみください」と述べ、フライト準備のためコクピットへと戻っていった。
静粛性と快適性の高さを実感
平日ならビジネス客で一杯となる伊丹便だが、この日は日曜とあって16番ゲート前はゆったりとした雰囲気。初便への搭乗を楽しみにしていた乗客も多いようで、ゲート周辺ではセレモニーや配られた記念品の写真を撮る姿が多く見られた。搭乗開始がアナウンスで告げられると、多くの乗客がゲートを通過、初便ならではの記念品を受け取り、機内へと進んでいった。
JAL107便は定刻よりわずかに早い8時29分にブロックアウト、8時47分にD滑走路を離陸、大阪へのフライトが始まった。客室内はこれまでの記事でも紹介しているように、ひと足先にデビューしたエアバス A350型機と同様のコンセプト(関連記事「JAL、国内線向けボーイング 787型機を公開。機内は『日本の伝統美』テーマに。10月27日運航開始」)。
ファーストクラスやクラスJのみならず、記者が座る普通席もこれまでのスカイネクスト機で採用されていた黒革シートとは異なり、濃いグレーのシート表皮とライトグレーのシート背面の組み合わせとなっており、全体的にシックな印象となった。
実際にシートへ腰を下ろしてみると、座り心地のよさにも驚く。当然、上級席のようなゆったり感はないものの、座面と背もたれのバランスがよく、ベストポジションを求めて頻繁に座り直すなんてことがなかった。前席とのクリアランスも必要十分で、シート下にはペットボトルを収納できるポケットが用意されているのもうれしい。
装備という面では、普通席においても個別にコンセントとUSB端子が設けられているのもイマドキな感じ。もちろん、無料Wi-Fiも利用できるので、移動時間を有効に活用できる。
テイクオフ後に気づくのが室内の静粛性が高いこと。セレモニーで本田氏が機外の静粛性に触れていたが、これは機内でも有効。現在、同路線の主力となっているボーイング 777型機と比べると、やはり静かに感じられるうえ、与圧による不快感もまったく気になることはなかった。
もう1つ大きく異なるのが普通席においても個人用モニターが用意されていることで、各種エンタテイメントが楽しめるようになった。映画や雑誌などはもちろん、フライトマップも充実しており、羽田~伊丹間程度の飛行時間なら眺めているだけであっという間だ。
ただ、エアバス A350型機のような機外カメラが用意されていないのはちょっと残念。また、このモニターで読めるようになったことからエアバス A350型機から各座席への搭載がなくなっていた機内誌「SKYWARD」だが、雑誌として読みたいという声が大きかったことから、エアバス A350型機ともども復活している。
9時35分に伊丹空港に着陸。実際の飛行時間は50分ほどと短いフライトではあったものの、同機のよさが実感できた。快適性に加え装備も充実しており、鉄道を含めた競合路線では確実なアドバンテージを築いたといえそうだ。