旅レポ

2018年10月に開通した港珠澳大橋を使って香港経由でマカオに行ってみた

2018年10月24日 開通

港珠澳大橋(こうじゅおうおおはし:Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge=HZMB)

 2018年10月、香港とマカオを結ぶ新たなルートとして港珠澳大橋(こうじゅおうおおはし:Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge=HZMB)が開通した。これまでは香港国際空港からフェリーでマカオに渡るというルートが一般的だったが、バスでの移動という選択肢が増えたことになる。

 今回、実際に港珠澳大橋ルートでマカオに行ってみたので、そのレポートをお届けする。

港珠澳大橋シャトルバスに乗ってみた

 香港に向かうために搭乗したのは、5月12日10時35分羽田発のキャセイパシフィック航空のCX543便。日本と香港には1時間の時差があるので、約4時間のフライトで14時20分に香港に到着する。

キャセイパシフィック航空のCX543便で羽田から香港へ
USBポートでスマートフォンの電池切れも心配不要
この日の機内食

 香港国際空港に到着後は一旦香港に入境。荷物を預けている場合はターンテーブルで荷物をピックアップし、到着ロビーへ。L3階にあるバス乗り場から「B4」という番号の循環バスに乗り、港珠澳大橋のシャトルバスターミナル(香港口岸:HZMB Hong Kong Port)に向かう。循環バスの運賃は6HKD(香港ドル)。オクトパス(八達通)カードも利用できる。現金で支払う場合は釣り銭が出ないため、小銭を用意しておこう。

「B4」バス乗り場
ルートとタイムテーブル
前方から乗り込み、運賃を支払う

 バスターミナルには5~6分ほどで到着するので、ここで香港から出境審査を受ける。この際に香港に入境する際に記入した出境カードが必要になるので、くれぐれも無くさないように。筆者が訪れたタイミングでは、まだ利用者が少ないためか、行列も無く、スムーズに審査を通過できた。

 出境審査を終え、先に進むと自動券売機やカウンターが見えてくるので、そこでマカオ(澳門)行きのチケットを購入する。運賃は、大人が65HKD(夜間は70HKD)、65歳以上のシニアと12歳以下の子供が33HKD(夜間は35HKD、要パスポート提示)。このターミナルからは、マカオの隣にある珠海(Zhuhai)行きのバスも出ているので、チケットの買い間違えには注意しよう。

 チケットを購入したら、マカオ行きのバス乗り場へ。日中のピーク時には5分おき、深夜・早朝でも15~30分おきにシャトルバスが運行されているので、ほとんど待ち時間もなく乗車できる。

広々とした香港口岸(HZMB Hong Kong Port)
ずらりと並んだ自動券売機
シャトルバスのチケット
マカオ行きのゲート
係員に荷物を預けてバスに乗車
シャトルバスの車内

 バスに乗り込むと、あとは港珠澳大橋の一本道。空港の南側を抜けて橋に乗り、しばらくするとトンネル区間に入る。アクアラインのような感じだが、再び海上に出てマカオ側に走っていく。一般車両が乗り入れていないこともあり、この日も渋滞することなく40分ほどでマカオ側のシャトルバスターミナル(マカオ口岸:HZMB Macao Port)に到着した。

空港の南側を抜けて港珠澳大橋へ
港珠澳大橋
港珠澳大橋版の海ほたる? 途中降車はできない

 ここで再び入境審査を受け、マカオに入る。審査を通過した先にはバスやタクシーの乗り場があり、市内路線バスやフェリーターミナル行きの無料シャトルバスにも乗車できる。マカオはコンパクトな都市なので、30分もあれば目的地にたどり着けるだろう。

マカオに到着
バスから降り、荷物をピックアップし、入境審査へ
バスやタクシーで目的地へ

運賃の安さと本数の多さが魅力

 港珠澳大橋ルートの魅力の一つは、運賃の安さだ。香港国際空港からフェリーでマカオに移動する場合の運賃は270HKD~。これに対し、港珠澳大橋を渡るバスの運賃は65HKD。香港国際空港からバスターミナル(香港口岸)までの循環バスの運賃6HKDと合わせても、大幅に安くなる。

 もう一つの魅力は、本数の多さ。日中のピーク時には5分間隔で運行されているため、便数が限られるフェリー(ターボジェットは11時発、17時発の1日2便、コタイ・ウォーター・ジェットは14時15分発、16時15分発の1日2便)とは違って、行きたい時に行けるという手軽さがある。夜間の運賃は70HKDと若干高くなるが、フェリーが運航していない深夜や早朝でもバスは15~30分間隔で運行しているので、こうした時間帯に香港に到着する飛行機を利用する場合にはとくに便利だ。

 一方、フェリーの場合は乗り継ぎ(トランジット)扱いとなるため、香港国際空港での出入境手続き(イミグレーション)は不要だが、バスの場合は一旦香港に入境し、バスターミナルで出境、マカオ側のバスターミナルで入境と、一手間増える形となる。

 ただし、こうした煩雑な出入境手続きも、今後数年でフェリー同様にマカオでの一度の入境で済むようになる見込み。つまり、いずれは上記のようなデメリットも解消されることになる。

 香港の隣には世界のIT機器製造工場とも言える深センもあり、最近は商談でこの地域を訪れるビジネスパーソンも多い。マカオでは、香港ドルがそのまま使え、香港や深センとは異なる歴史(世界文化遺産)や食文化、アートなどを楽しめる。出張中に少し時間ができたのなら、マカオを訪れる価値はある。

 具体的なマカオ旅行の魅力については別記事でお届けするのでお楽しみに。

編集部:湯野康隆