旅レポ
福岡発フィンエアーで行く北欧3都市街歩き。バルティック・クイーン号の充実の船内をレポート
タリンク&シリアラインでバルト海クルーズ編
2018年10月12日 06:00
前回は、福岡を発ちフィンランド・ヘルシンキを経由して、スウェーデン・ストックホルムの中心部を街歩きという1日をお送りしました。その初日の最後に用意されていたのは、ホテルではなく船旅。ストックホルムから次の目的地であるエストニア・タリンへ、バルト海を行くクルーズ船に乗って1夜を明かすというプランです。
夕方まで観光して、夜は船内で就寝。朝、起きたら次の国に到着、とムダのない時間の使い方ではないでしょうか。しかし、ただ船内泊だけ、というのも素っ気ないですよね。今回、乗船するタリンク&シリヤラインのクルーズ船は、免税店やスーパーマーケット、複数のレストランやバー、ステージでのライブショーなど、寝るのがもったいないほど充実していました。
北欧旅行で複数の国への移動を検討している人は、このクルーズ船をプランに入れれば、お土産に使うお金だけでなく、時間の節約も実現できますよ。それでは乗船!
ストックホルム発タリン行きのバルティック・クイーン号に乗船
ABBA博物館をあとにして向かったのは、「ヴァルタハムネンターミナル(Värtahamnen)」。ここからタリンク&シリヤラインが運航しているクルーズ船に乗ります。出港は17時30分、タリンには次の日の9時30分ごろに到着します。
出港の30分前までに乗船完了しなければならず、16時には船内へ。ヴァルタハムネンターミナルには、9月より日本人向けの団体用チェックインカウンターが常設され、日本人スタッフも常駐する予定とのことです。予約のための公式Webサイトも日本語ページが用意されていますので、初めてでも安心ですね。
チケットが発券されたら、失くさないように注意しましょう。部屋のカードキー、Wi-Fiのパスワード、食事のチケットなど、さまざまな機能がこの1枚に集約されています。
今回乗船する「バルティック・クイーン号」はエストニア船籍の船です。全長212m、10階建て、まるで大きなホテルのようです。キャビン(客室)は8クラス927室で一度に2800人を運ぶことができます。
船内には、カフェテリアを含む5つのレストラン、2か所のキッズルーム、サウナ、ブランドバッグや香水などを扱う免税店やスーパーマーケット、ナイトショーが行なわれるステージやディスコと、一晩では足りないくらいの施設があります。実際、免税店での買い物を目的とした現地の人も利用するようで、スーパーマーケットには箱買い用の酒類にキャリーが付いており、そのままクルマに積めるようにと親切な工夫もされています。
これだけ大きい船だと、窓の外を見ていなければ、出港したことに気付かないくらい静かに港を離れていきますね。8月末はまだ陽が長いですが、「アーキペラゴ」と呼ばれる多島海のエリアをぬっていく様子は残念ながら肉眼では確認できませんでした。冬季は砕氷船の役割も担っているとのことで、氷を割って進む様子をデッキから眺めるのも楽しそうです。
バルティック・クイーン号出港。施設案内とビュッフェで夕食
17時30分、ヴァルタハムネンターミナルからエストニア・タリンに向けて出港したバルティック・クイーン号。早速、充実の船内ツアーといきましょう。
船全体を大きく分けると、5階が客室や会議室など、6~7階が食堂や店舗になっています。船首にビュッフェやカフェなどの食堂、中央にバーやお土産店、免税店にスーパーマーケットといったショッピングスペース、船尾にカジノやショーが行なわれるステージ、8~9階が客室、最上階である10階にディスコなどのエンタメゾーンといった感じです。
船内のカーペットはブルー(船首)・グリーン(中央部)・レッド(船尾)と色分けされており、広い船内で迷子になっても、自分の居場所が把握しやすい工夫がされています。階数とカーペットの色が常に分かりますので、お酒を飲みすぎて泥酔でもしていない限り、自分の部屋に戻ることができるでしょう。
船にスーパーマーケット?と思いましたが、船内すべての店舗が免税店でビールやワイン、ジンなどのアルコール類がお得に購入できるとあって、買い物目的の人も多く乗っているようです。特にビールやサイダーは、箱買いする人向けに最初から車輪付きキャリーが付いていて、持ち運びできるようになっていました。
夕食は、7階にあるビュッフェ形式のレストラン「Grande Buffet」へ。日本人の口に合う洋食や豊富な種類のデザート、そして北欧っぽいメニューを求めるならFISH NORDICというゾーンの魚料理もオススメ。MISO SOUPもあるので、日本食が恋しくなっても大丈夫。お腹がいっぱいになったら、バーに行くもよし、サウナに行くもよし。じっくり免税店でショッピングもよいですね。特に女性向けのコスメや香水が数多く販売されていました。
優雅な雰囲気が魅力の「DELUXE」キャビン
バルティック・クイーン号のキャビンは、「EXECUTIVE SUITE(エグゼクティブ・スイート)」「SUITE(スイート)」「DELUXE(デラックス)」「Aプレミアム」「Aクラス」「FAMILY(ファミリー)」「Bクラス」「Eクラス」という8クラス構成になっています。A/Bクラスには内装材に配慮されたアレルギーを持つ利用者向け、またペット同伴向けの部屋も用意されています。
今回は、9階にある「DELUXE」キャビンに泊まりました。この部屋をチョイスすると、朝食が「Grande Buffet」ではなく、レストラン「GRILL HOUSE」でのSpecial Breakfast couponが付いてきます。朝からウェルカムシャンパンのサービスなど、ちょっと贅沢な時間を楽しめます。
さて、肝心のキャビンですが、ゆったりとしたロングソファに座って、バルト海を進む風景を眺めることができ、ベッドも1人で寝るにはもったいないクイーンサイズ。日程によって乗船宿泊費は変動しますが、1部屋300から400ユーロ前後(約4万500円から約5万4000円、1ユーロ=135円換算)といったところ。大人2名がくつろげる空間に、特別な朝食と冷蔵庫のワインなどのドリンクも含まれるとなると、ちょっと贅沢なホテルといったところでしょうか。
しかし、バルティック・クイーン号の魅力は、こうした豪華さだけではありません。Aプレミアム、Aクラス、FAMILY、Bクラスをチョイスすれば、1泊200ユーロ以下(約2万7000円)と一気にリーズナブルになり、食事やショッピング目的でも存分に楽しむことができる幅の広さがあります。実際、週末を利用して家庭用のアルコール飲料の買出しと旅行を兼ねて利用している乗客の姿が見られました。
たとえば小さな子供連れファミリーは、FAMILYキャビン、学生はEクラスキャビンという具合に、誰もがバルティック・クイーン号に乗船できます。今回の逆路線を利用すると仮定して、夕方タリンを発ち船内泊、翌日の朝ストックホルムに到着し丸1日市内観光、夕方港に戻りタリンから乗船、再び船内泊とショッピングといった2泊3日プランも楽しそうですよね。そんな妄想をしつつ、大きなベッドで就寝。
そうそう、公式Webサイトでは日本語で予約ができるので、自分の利用したいキャビンと日程でどれくらい価格が変動するのか、確認しておくことをオススメします。今回はストックホルム→タリン→ヘルシンキという三角形を描くルートですが、どの都市を旅の拠点としてもタリンク&シリヤラインを使えばムダのない移動ができます。
ヘルシンキーストックホルム間で運航しているシリヤ・セレナーデ号やシリヤ・シンフォニー号にはムーミンが乗船していたり、船内限定のムーミングッズが販売されていたりします。さらに夏期は日本人スタッフも乗船しているので、何かと安心ですね。
朝食は「GRILL HOUSE」からバルト海を眺めながら。タリン港に到着
ストックホルムを出港して10時間ほどが経過した朝3時半。時差ボケも残っているせいか夜明け前に目が覚めてしまいました。二度寝するにもなかなか寝付けず、ムービーチャンネルで「ゲットアウト」をフルで視聴してしまいました。
その後、荷物や取材データの整理をしていたら、朝食ビュッフェが始まる時間となり7階へ降りました。寝ぼけていたのか、階段を降りてすぐにある「Grande Buffet」に入っていくとスタッフに「あなたの朝食はここじゃなくて、ここを出てまっすぐ行ったところよ」と間違えてしまいました。気をとりなおして「GRILL HOUSE」へ。
GRILL HOUSEでは、ご年配の夫婦の姿が多く見られました。じっくりと長い時間をかけて朝食を楽しんでいるのでしょうか。中に入りチケットを提示するなりウェルカムドリンクとしてシャンパンのサービスが。Grande Buffet同様、こちらもビュッフェスタイルですが、着席すると、スタッフが「コーヒーをお持ちしますが、カフェラテやエスプレッソもあります。シングル? ダブル?」と声をかけてきます。
メニューはパン・ソーセージ系・野菜・フルーツ・ケーキと、なんでも一通りそろっています。ヘルシンキの家庭料理「カレリアパイ」もありました。1時間ほどじっくり食べても到着まで、まだ2時間ほど余裕があります。朝食を食べつつ、朝のバルト海を眺める。こんな優雅な朝ごはん、個人的に経験したことはありません。海上にはポツポツと漁船が見えます。
そして9時20分ごろ、5階の出入り口付近に移動すると、下船を待つ乗客でごった返していました。少し早めの9時30分にはタリン港のDターミナルに着岸し、下船が始まりました。波の少ない穏やかなバルト海クルーズ、揺れもほとんど感じることがなく、これなら船酔いしやすい人も快適に過ごせると思います。
午前中には目的地の港に到着するバルティック・クイーン号のおかげで、3日目のエストニア・タリンの街歩きを存分に楽しむことができます。その模様は、また次回。