旅レポ
福岡発フィンエアーで行く北欧3都市街歩き。エストニア・タリンからヘルシンキまで30分のフライトでかもめ食堂へ
世界遺産であるタリン旧市街をメインに自然豊かな名所まわり
2018年10月27日 00:00
バルト海に面している北欧各国を結ぶクルーズ船を運航しているタリンク&シリヤラインのバルティック・クイーン号で、スウェーデン・ストックホルムから次なる目的地、エストニア・タリンに移動。そこからメディアツアーの2日目が始まります。クルーズ船でショッピングを兼ねた宿泊をして、朝起きると次の街からスタートできるというのは、ムダがなく、短い期間であちこち行きたい人には本当にオススメです。
タリンに到着した一行は、朝から専用車に乗って市内巡りに出発です。13~16世紀に建てられた街並みがそのまま残り、エリア全体が世界遺産にも登録されている旧市街を中心にお届けします。
この日の夕方はタリン空港からヘルシンキ・ヴァンター空港に移動し、最終日のフィンランド・ヘルシンキ街歩きに備えました。ディナーは、映画「かもめ食堂」で使用されたお店へ。
おとぎ話の世界がそのまま残るタリンの旧市街
メディアツアー2日目の朝は、タリン港Dターミナルから専用車で市街地観光へ。中世の街並みがそのまま残る旧市街に向かいました。車窓から見える風景は、現代的な新市街とのコントラストが新鮮です。
旧市街の中は石畳で、路面の凹凸が結構あります。北欧(タリンは東欧ですが)の街を歩くときはソールの厚いスニーカーがいいですね。女性はパンプスだと大変そうです。旧市街は大きく分けて高い場所にある「トーンペア」と呼ばれる「山の手エリア」と、店舗が集まった「下町エリア」の2つのゾーンに分けられます。専用車を降りた一行は、まずトーンペアから下町の全景を見下ろせる展望台まで歩いてみました。
現地ガイドさんの案内で、最初に辿り着いたのは「Kohtu展望台」。旧市街の下町、その向こうに新市街という、新旧の街がキレイに分かれた風景が見事でした。北欧や東欧特有の岩盤を切り崩した地形がよく分かる場所で、展望台の絶壁の断面を覗き込むと(落ちないように!)、むき出しの岩肌の上に上町が存在していることがよく分かります。タリンの旧市街に来たら、まずはここを目指しましょう。街の位置関係など全体が把握できます。続いてもう一つの展望台である「Patkuli展望台」。こちらは街の北側を望む景色が広がっており、港や博物館の位置が分かりやすいです。
トーンペアは、各国の大使館や国会議事堂、教会といった政治や人が集まる施設が集約されています。地続きでロシアが隣にあり、長く支配されてきた歴史もあるということで、特に教会などは、丸い玉ねぎのような形状が特徴の立派なモスクを見ることができます。
こんなに古い建物がひしめき合っている丘の上ですが、大使館の建物から出ていく1台のクルマがいました。地面から飛び出している支柱がスーッと降りていく様子を見ると、IT先進国と呼ばれる一面を垣間見た気がします。今回のツアーでは、残念ながらIT先進国に関連する施設などの取材はありませんでした。
下町に降りてくると、カフェのテラス席でコーヒーを飲む人たちが多く見られ、これによって街全体が賑わっている雰囲気を醸成しているのだと実感。そして、クルマは基本的に路上駐車のようですが、それほど混雑もしておらず、古い街並みに欧州車が映えていました。
デンマーク王が侵出し、ドイツ商人がやってきてハンザ同盟が結ばれ、貿易に最適な港がある街として15世紀には現在の風景が出来上がっていたとのことで、約600年もこの街並みが維持されてきたことが驚きです。その街並みも、さまざまな建築様式の建物が入り混じり、かつキレイな状態で残っているということで、タイムスリップした気分になります。
この旧市街、街並みを壊さないように厳しい規制があるのだとか。古きを大切にして、新しい技術を取り入れていることが、旧市街に来るとよく分かりました。また今回はメディアツアーということで自由時間も少なかったのですが、カフェでボーッとしたいな、と日本では思わないような気持ちにもなりました。
少しはなれた郊外へ。カドリオルグ宮殿から歌の広場など、自然豊かな風景を満喫
タリンの中心部である新・旧市街から少し離れた観光スポットも紹介しておきましょう。フェリーターミナルから見える風景ですが、ちょっと変わった形状の建物が多く、何かのモニュメントだったり博物館が多かったりするのもタリンの特徴です。
まず、バロック調の建物と美しい庭園のある「カドリオルグ宮殿」へ。1718年、ピョートル大帝が妻のエカチェリーナのために建てた宮殿で、博物館として使用されています。周囲にも施設が集中しており、子供博物館や公園、KUMU美術館と歩いて回れるエリアとなっています。
カドリオルグ宮殿の次にツアーバスが停まった駐車場の柵には、なにやら多くの人が集まった写真と、アーティストのロゴが入ったポスターが貼られていました。その先に入っていくと、広くなだらかな芝生の先に巨大な貝殻のようなステージが現われました。広大すぎて距離感が少し狂う感じですが、ステージの幅は50mくらいあります。こちらは「歌の広場」と呼ばれる公園で、5年に1度、音楽祭が開かれる会場になっています。
毎回、7月中の3日間で開催されますが、その動員数はなんと22万人にもなるとか。次は2019年7月4日~7日に開催されます。世界的に有名なアーティストや、現地の人々が民族衣装を用意して望む国民的行事です。芝生の傾斜が国民で埋まるところを想像するとゾクゾクしますね。
お次は、海沿いの通りを少し東に向かい、少しするとなにやらモニュメントが見えてきました。「Airman Charles Leroaux Memorial」と名付けられているこの場所は、1889年にヨーロッパやロシアを周り、各地でパラシュート飛行の技術を披露するために訪れていた技術者チャールズ・レロックス氏が、この地で実験をしたことが最後となったことを示す場所として碑が建てられました。
今では、広いフィンランド湾とタリンの新市街と旧市街を横並びに一望できる絶景ポイントとして存在しています。近くには、「Maarjamäe Kommunismiohvrite Memoriaal」と呼ばれる共産主義犠牲者記念碑のある記念公園もあります。
エストニア・タリン空港から20分のフライトでヘルシンキへ
コンパクトなタリンの街を半日ほどかけて回りました。夕方にはヘルシンキ行きの飛行機に乗る旅程となっていたので、タリン空港へ移動します。市内の中心部から4~5kmの距離であっという間に到着しました。日中はトラムも走っているので、空港から市内中心部までは15分前後とコンパクトな移動ができます。
空港自体はとてもコンパクトですが、かわいい空間といえます。搭乗ゲートごとに企業広告が展開されており、賑やかな場所があったり、そのあいだの休憩スペースにも日本の空港では見かけない造作空間があったりして、ロビーを行ったり来たりしてしまいました。
ヘルシンキ行きのAY1024便ですが、フィンエアーを親会社にもつ「NoRRA(Nordic Regional Airlines)」の機材でした。ATR 72-500型機(登録記号:OH-ATL)までシャトルバスに乗り、機体の後ろから機内へ。17時25分、トーイングトラクターを使用せず、数十メートルだけ自力でプッシュバック(パワーバック)し、くるりと方向転換をして滑走路へ。すぐさま強烈な加速とともに浮き上がりました。
タリンとヘルシンキは、フィンランド湾を挟んで約85kmほど真北に近い位置関係ということもあり、時差はありません。離陸後20分ほどすると、高度を下げヘルシンキ・ヴァンター空港に着陸しました。2日前に福岡から到着したときは、すぐストックホルムへトランジットでしたが、「帰ってきた」感があります。
かもめ食堂でディナー。夜のヘルシンキ中央駅付近を街歩き
ヘルシンキ・ヴァンター空港から、ヘルシンキ市内中心部へ移動し、ツアー最後のホテルとなる「Original Sokos Hotel Presidentti」へチェックイン。そこから夕食のため「かもめ食堂(Ravintola Kamome)」へ。
夕食は、「おいしいフィンランドBOX」(35ユーロ、約4725円、1ユーロ=135円換算)という、9種類の小鉢に前菜、メイン、デザートまでが盛り付けられた贅沢なメニューを注文してみました。この日はサーモンやトナカイ肉、ミニシナモンロールとフィンランドの食材や定番料理的な構成になっていました。
やって来るお客さんも日本人観光客、それも大学生同士の旅行で立ち寄った感じの方が多かったです。映画「かもめ食堂」の公開からすでに10年以上が経ちましたが、メジャーな立ち寄りスポットになっていることがよく分かりました。こちらは夕方17時に開店しますが、隣の「アテリエかもめ」は11時から営業しているとのことですので、明るい時間に歩いているときはこちらでスイーツを楽しみましょう。
夜のヘルシンキ中央駅周辺を散策
満腹になった一行は、そこからトラムに乗ってヘルシンキ中央駅付近まで行ってみることに。すっかり陽が暮れましたが、ヘルシンキは日本の大都市のような明るさはありません。ビルのテナントが閉店する時間が早く、明かりが付いているものの、人気はそれほど多くない感じがしました。
しかし駅前や構内、スーパーマーケットには出入りする姿も多く見られました。ヘルシンキ中央駅から宿泊先のOriginal Sokos Hotel Presidenttiまで、歩いて数分。最終日のヘルシンキ街歩きに備えて、ゆっくり休むことにします。
オリジナル・ソコスホテル・プレジデンティのスタンダードルーム
宿泊したのはオリジナル・ソコスホテル・プレジデンティ。最近まで大規模なリノベーションが行なわれていたようで、階ごとに異なるテーマが展開されているようです。部屋全体がネイビーでダークなフロア、フィンランドの植物や虫がテーマとなっているフロアなどさまざまですが、私たちに与えられたのはグレーの濃淡が北欧らしいテーマのフロアでした。
壁には巨大なアザラシの壁画が飾られていて、常に見つめられている気もしました。エレベータホールやシャワールームのガラスには、共通の幾何学模様が配されていて、統一感が感じられました。
次回はいよいよ最終回。朝からヘルシンキ市内中心部を巡ったので、その様子をレポートします。そしてヘルシンキ・ヴァンター空港に戻り福岡へ帰国し、今回のメディアツアーは終了となります。ストックホルム・タリン・ヘルシンキと1日ずつでも、これだけ楽しめますので、北欧旅行を検討している読者のみなさん、ぜひ最終回までご覧いただき、参考にしてみてくださいね。