旅レポ
北ドイツの自然豊かな“水と緑の都”ハンブルク「ハーフェンシティ」を楽しむ(その2)
港町ハンブルクの街を散策する
2017年6月21日 00:00
ドイツ北部にある港町ハンブルク。前回は、新しいランドマークとなるコンサートホール「エルプフィルハーモニー・ハンブルク(Elbphilharmonie Hamburg)」(以下、エルプフィルハーモニー)を紹介した。今回は、エルプフィルハーモニー周辺のハンブルクの街を歩いて紹介していきたい。
港町ハンブルクの象徴、赤レンガ倉庫街
エルプフィルハーモニーのあるエルベ川の運河沿いに広がる赤レンガの倉庫街は、「シュパイヒャーシュタット(Speicherstadt)」と呼ばれ、世界中の国々からカカオ豆やコーヒー、茶、絨毯などの高級品が運び込まれ、貿易都市として発展してきたハンブルクの象徴ともいえる風景だ。運河沿いに整然と並んだ垂直にそびえ立つ歴史の感じられる建造物は、見るものを圧倒する。散歩をするのにちょうどよい広さで、今回紹介する範囲はブラブラと散策することができる。
シュパイヒャーシュタットは、のちほど紹介する「チリハウス(Chilehaus)」のある「コントールハウス(Kontorhaus)」地域と併せて「倉庫街とチリハウスを含む商館街」として2015年にユネスコ世界遺産に登録されている。
赤レンガ倉庫街「シュパイヒャーシュタット」
この倉庫街から川沿いのウォータフロント地域は、現在欧州最大となる157ヘクタールの大規模な再開発が進行中で、「ハーフェンシティ」と呼ばれている。オフィスや店舗、飲食店だけでなく、住宅やショッピングセンターも混在させる予定になっている。住宅は、冷暖房を自然に頼るパッシブハウスが中心となるそうだ。2030年ごろまでかけて、段階的に建築されている。
倉庫街から少し市街地に入ると、1924年に建てられた古いオフィスビルの「チリハウス(Chilehaus)」がある。北ドイツ表現主義建築を代表する建築家フリッツ・ヘーガーのデザインで、「コントールハウス(Kontorhaus)」と呼ばれるタイプのレンガを積み上げて作られたオフィスビル。近くで見ると装飾が凝っていて美しい。19世紀末ごろから北ドイツの港湾都市でよく見られる様式となっている。装飾も美しく、ユネスコ世界遺産に登録されている。
チリハウス(Chilehaus)
アルスター湖周辺ではショッピングも楽しめる
もう少し内陸のほうへ足を伸ばすと、広大なアルスター湖と隣接するように賑やかなショッピング街が続いている。近くには19世紀末に建てられた、高さ112mのネオルネサンス様式の美しく重厚感あるハンブルク市庁舎がある。アルスター湖は、市街地に隣接する内アルスター湖とロンバルト橋より北側の外アルスター湖に分かれている。この近辺には日本人も多く居住していて、桜の並木や、毎年夏に行なわれるアルスター湖祭りでは花火の打ち上げもあるそうだ。
内アルスター湖に隣接する「アルスターアルカーデン(Alsterarkaden)」は、ベネチア風の白いショッピングアーケード。運河沿いのアーケードは、フォトスポットになりそうなイタリアのベニスを思わせる美しい景色が続く。また、アルスターアルカーデンの横には、高さが112mあるネオルネサンス様式のハンブルク市庁舎があり、その周辺は広場になっている。
日曜朝は賑やかな市場を楽しもう
もし旅程が週末で日曜日が含まれていたら、ぜひ「フィッシュマルクト(Fischmarkt)」を訪れてみよう。300年前のハンブルク市で、教会が始まるまで開くことを許可した日曜朝市で、現在に至るまで続いている。早朝5時(冬季7時)から始まり9時30分までには終わってしまうので、少し早起きする必要はあるが、魚だけでなくさまざまな物が売られ多くの人で賑わう。サンドイッチなど軽食の販売も随所にあるので、朝食をとるにもオススメのスポットだ。
近くにあるかつて競りをしていた大きな倉庫のようなホール「フィッシュマルクトハレ(Fischauktionshalle)」では、無料のライブ演奏が行なわれていて、日曜の朝からビールを飲んで騒いでいる若者も多い。このホールでも食事ができる。トレーラー屋台をステージにして、1袋10ユーロ(約1250円、1ユーロ=約125円換算)で菓子やフルーツなど品物をどんどん投げ入れ、観客の大きな声援でさらにオマケしたりするスタイルで販売している。たまに観客めがけて品物を投げることも。このやりとりを眺めているだけでもけっこう楽しめる。
フィッシュマルクト(Fischmarkt)
レストランではドイツ地ビールを楽しむ
後半は今回訪れたレストランを紹介したい。まず、ビールの醸造所直営の「シュテルテベッカー エルプフィルハーモニー(Störtebeker Elbphilharmonie)」。ここはエルプフィルハーモニーの中にある。1基目のエスカレーターを登った港が見える踊り場がレストランエントランスとなっている。北ドイツのシュトラールズントに醸造所があり、中世の海賊からネーミングしている。グラスなどのオリジナルグッズを扱うショップも併設されている。
シュテルテベッカー エルプフィルハーモニー(Störtebeker Elbphilharmonie)
「レッド・チャンバー(Red Chamber)」は、今回紹介したハンブルク市庁舎に近い、シーフードを中心にした中華料理を現代風にアレンジした料理を楽しませてくれるお店。本格中華料理ではなく、日本人にも食べやすいアジアンでおしゃれなメニューが並ぶ。ワインのストックも多い。
レッド・チャンバー(Red Chamber)
今回は、ハンブルクの街並みなどを紹介したが、いかがだったろうか。比較的コンパクトなエリアに歴史が感じられる美しい建造物が多く、気ままな散策が実に楽しい街という印象。次回は、音楽の街としてのハンブルクを中心に紹介していく。