旅レポ
LCCでも全機ボーイング 787型機! スクートの快適なシートで台湾を旅してきた(その2)
2017年に開通したばかりのMRT桃園空港線を使ってみた
2017年6月20日 00:00
MRT桃園空港線の開通で台北市内への移動手段が増えた
スクートが到着するのは、台湾の桃園国際空港。この空港には、2つのターミナルがあるが、スクートはLCCが多く利用している第1ターミナルに到着する。
ところで、桃園国際空港は台北市内からやや離れた場所に位置している。そのため移動手段に迷うことも多い。最も便利なのはタクシーで、空港からホテルまで直接アクセスできるが、やはりどうしてもコストがかかってしまう。そこで、タクシー以外の公共交通機関を利用して移動している人が大多数のようだ。
公共交通機関のなかで最も料金が安いのはバスだ。桃園国際空港から台北市内へのバスは、台北駅行きに加えて、台北市内各地の停留所にも停車するため、ホテル近くの停留所で降りればホテルへのアクセスも容易となる。ただ、バスは時間によって高速道路や台北市内での渋滞にはまってしまうこともあり、所要時間が読みにくい欠点がある。スムーズに移動できると、桃園国際空港から45分ほどで台北市内に到達できることもあるが、1時間を超えることも珍しくない。
また、いわゆる台湾新幹線(台湾高鐵:台湾高速鉄道)を利用する方法もある。ただ、台湾新幹線は桃園国際空港に乗り入れていないため、最寄り駅の桃園駅までバスやタクシーで移動しなければならない。新幹線に乗ってしまうと台北まであっという間だが、バスでの移動に時間がかかったり、乗り換えがうまくいかないと、バスで台北市内まで移動する場合とほとんど時間が変わらない場合もある。台北駅への到着時刻を確定できるという点は、バスに対する優位点となるだろう。
しかし、台北市内へ向かうために、台湾新幹線を利用する必要はほぼなくなった。なぜなら、台北駅と桃園国際空港を結ぶ地下鉄(MRT)の桃園空港線が、2017年3月に開通したからだ。そこで今回は、MRT桃園空港線を利用して台北市内へと移動した。
快速(直達車)に乗れば35分で台北駅に到着
桃園国際空港到着後、入国審査と税関を抜け、第1ターミナルの到着ロビーへと出たら、MRT桃園空港線の駅へと移動する。MRT桃園空港線の乗り場は、第1ターミナルの場合は、到着ロビーから出発ロビーへと移動して、そこから地下に行った先にある。到着ロビーには、バスや台湾新幹線、タクシーなどの乗り場を示す案内看板があり、そこにMRT桃園空港線の乗り場を示す案内も用意されている。「桃園機場捷運 Taoyuan Airport MRT」と書かれた案内に従って進めば、迷わず到達できるはずだ。途中、エスカレータまたはエレベータで地下フロアへ行き、通路を進んだ先に、MRT桃園空港線第1ターミナル駅の改札ときっぷ売場が現われる。
桃園国際空港から台北駅までの運賃は、第1ターミナル、第2ターミナルとも同一で160NTドル(約610円、1NTドル=約3.8円換算)。券売機で現金で運賃を支払ってもよいが、筆者は何度も台湾に渡航していることもあって、MRTで利用できるプリペイドカード「EasyCard」を持っているので、そちらを利用して乗車した。もちろん、EasyCardはMRT桃園空港線の駅でも購入できる。まだEasyCardを持っていないなら、それ以降の台北市内での地下鉄利用時やコンビニエンスストアでの買い物などにも使えるので、この時点での購入がお勧め。なお、EasyCardの代金は100NTドル(約380円)で、100NTドル分のチャージが入った状態で手に入る。そのため、購入後にチャージも忘れないようにしたい。
MRT桃園空港線では、各駅停車の電車と、台北駅までの間に2駅しか止まらない「直達車」と呼ばれる快速列車がある。各駅停車は第1ターミナル駅から台北駅までの所要時間が45分ほど。それに対して直達車の所要時間は約35分と、10分早い。運転間隔は、各駅停車、直達車とも約15分間隔で、それぞれがほぼ交互に運転されているといった感じだ。駅に着いたときに乗れる列車に乗ってしまってもよいかもしれないが、もしそれが各駅停車だとしたら、1本逃して直達車に乗車したほうが台北駅へ早く到着するだろう。ちなみに、今回利用したときの先発は17時39分発の各駅停車だったが、その5分後の17時44分発の直達車があったので、後者を利用した。
直達車の車内は、2人掛けの椅子が左右に2列並ぶ、いわゆるクロスシートタイプとなっている。座席の向きは固定で、変えられないため、進行方向後ろ向きに座ることになる場合もある。また、座席の間隔はかなり狭く、大きな荷物を足下に置いて座るのはほぼ不可能だ。空港に乗り入れる車両らしく、スーツケースなどの荷物を収納するスペースも用意されてはいるが、そのスペースはそれほど広くないため、混雑している場合には荷物を置けないこともありそうだ。今回は空いていたことと、大きな荷物がなかったため、それほど問題はなかったが、この点は注意が必要だろう。
なお、今回各駅停車には乗っていないため、詳しいことは分からないが、各駅停車の車両はいわゆるロングシートの通勤電車タイプなので、大きな荷物を持っている場合では乗りやすそうだ。もし混雑していて、荷物の置き場に苦労しそうだと感じたら、あえて各駅停車に乗るのもよさそうだ。
このほか、車内にはフリーWi-Fiを完備しており、スマートフォンなどの利用も快適。シートには小さなテーブルが備わり、ノートPCなどを置いて作業も可能だろう。ただし、台北のMRTでは飲食が一切禁止となっている点には要注意。座席にテーブルがあるからといって、日本と同じ感覚で持ち込んだドリンクを飲んだり、食べ物を食べたりすると、最高7500NTドル(約2万8500円)の罰金が科せられる場合があるので要注意だ。
今回乗った直達車は、定刻どおり17時44分に第1ターミナル駅を出発し、35分後の18時19分に台北駅に到着した。やはり、時間どおりに行動できる点が、鉄道のよいところだ。ちなみに今回搭乗した往路のTZ201便は2時間ほど出発が遅れ、桃園国際空港到着が17時15分ごろだったが、たまたま入国審査や税関がガラガラだったことや、預け入れ荷物がなかったこともあって、桃園国際空港に到着して入国審査と税関を抜け、MRT桃園空港線に乗って台北駅に到着するまでに、わずか1時間ほどしかかからなかった。これだけを見ても、MRT桃園空港線の開通によって、桃園国際空港から台北駅までのアクセスはかなり向上したといってよさそうだ。
台北駅での乗り継ぎはやや面倒
MRT桃園空港線の台北駅は、台湾鉄道の台北駅や、ほかのMRTからやや離れた場所に位置している。具体的には、台湾鉄道の台北駅から西に1ブロック離れた場所にある。そのため、台北駅での乗り継ぎはやや面倒だ。
まず、プラットホームから長いエスカレータで改札階へと移動して改札外へと出る。そして、その先のエスカレータを上ると、台北駅につながる地下通路へとアクセスできる。地下通路には至るところに案内板があるので、その案内に従って進めばよい。
地下通路自体はそれほど入り組んではいないため迷うことはないと思うが、初めて訪れた場合などは、慣れない海外ということもあり戸惑うことはあるだろう。また、移動距離も数百mとかなり長いため、台北駅で台湾鉄道やMRTに乗り継ぐ場合には、最低でも10分、初めてで不慣れな場合には15~20分ほどの余裕をみておいたほうがよさそうだ。ちなみに筆者は、今回台北駅のすぐそばにあるホテルを予約していたため、地下通路を進まず、そのまま地上へと移動した。
MRT桃園空港線は24時間運行ではないため、帰国便のTZ202便では使いにくい
桃園国際空港と台北駅がMRT桃園空港線で結ばれたことで、桃園国際空港へのアクセス性が高まった点はうれしいものの、一つだけ残念なことがある。それは、MRT桃園空港線が24時間運行ではない点だ。
MRT桃園空港線の台北駅から桃園国際空港方面の始発は6時、最終は23時05分。そして、桃園国際空港の第1ターミナル駅から台北駅への始発は6時14分、最終は23時37分となっている。日本から桃園国際空港へ運航しているLCCでは、23時以降の深夜に桃園国際空港に到着する便がある。同様に、桃園国際空港から日本へ運航しているLCCでは、今回利用したスクートのTZ202便(6時40分発)のように、6時台に出発する便がいくつかある。しかし、深夜に桃園国際空港に到着する便や、早朝に桃園国際空港を出発する便を利用する場合には、MRT桃園空港線を活用するのが難しい。
TZ202便を利用する場合には、最低でも出発2時間前の4時40分、できればチェックイン開始となる出発3時間前の3時40分に桃園国際空港に到着しておきたい。そうなると、前日夜の過ごし方を考えておく必要がある。次回は、TZ202便を利用するにあたって、どのように出発までの時間を過ごしたか紹介したいと思う。