旅レポ
デルタ航空のミネアポリス直行便の利便性を確認してきた(前編)
ヘリンボーン式フルフラットシートのデルタ・ワンでミネアポリス・セントポール国際空港へ
2016年11月2日 14:58
10月30日から羽田空港の昼間時間帯発着枠を使用し、米国各都市とを結ぶ便が就航開始となった。就航都市はニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコといった、おなじみの大都市が多い。そういったなかで異彩を放っているのが、デルタ航空が就航する羽田~ミネアポリス(ミネアポリス・セントポール国際空港)線だ。デルタ航空が羽田からミネアポリスへの直行便を運航するのは、ミネアポリス・セントポール国際空港での乗り継ぎの利便性のよさなどが理由とのこと。そこで、事前に成田~ミネアポリス便を使ってそれを確かめてみた。
ミネアポリス・セントポール国際空港はデルタ航空のハブ空港
ミネアポリス・セントポール国際空港は、米国中西部のミネソタ州にある国際空港だ。日本ではあまり馴染みのない都市かもしれないが、このミネアポリス・セントポール国際空港にデルタ航空が日本からの直行便を運航する大きな理由は、デルタ航空がミネアポリス・セントポール国際空港を米国中西部の拠点となるハブ空港として活用しており、乗り継ぎ空港として優れた利便性を備えているからだ。
10月30日から就航している羽田~ミネアポリス便(DL120便)を利用すれば、ミネアポリス・セントポール国際空港から北米110都市への乗り継ぎが可能。オーランド、マイアミ、ナッシュビル、メンフィス、ボストンといった観光都市や、日本企業の工場や研究施設が多く拠点を構える中西部の中規模都市への渡航が非常に便利となる。
また、ミネアポリス・セントポール国際空港は、ほかの米国の大都市空港に比べて比較的規模が小さく、乗り継ぎ時の移動距離が短いなど使い勝手にも優れている。大規模空港での乗り継ぎで苦労した経験のある読者もいると思うが、ミネアポリス・セントポール国際空港ならその心配も少ないというわけだ。
そして、東京都心はもちろん、日本各地の地方空港からのアクセス性に優れる羽田空港からの就航となることで、さらなる利便性向上が期待される。
デルタ航空の成田~ミネアポリス便で利用されていた機材はボーイング 777-200ER型機で、ビジネスクラスの「デルタ・ワン」とエコノミークラスの2クラス制機材となっている。羽田~ミネアポリス便の機材も同じボーイング 777-200ER型機が利用されることになっている。今回搭乗した成田~ミネアポリス便のDL616便では、ビジネスクラスのデルタ・ワンを利用した。
ミネアポリス便のデルタ・ワンはヘリンボーン式のフルフラットシートを採用
ミネアポリス線で利用されているボーイング 777-200ER型機のデルタ・ワンのシートは、シートをやや斜めの向きに配置した「ヘリンボーン式」と呼ばれる配列を採用している。もちろん、ベッドとして利用する場合にはフルフラットとなり、快適な居住性を実現している。
ヘリンボーン式の1-2-1配列を採用する利点としては、どの座席からも通路へアクセスしやすいという点と、シートまわりが壁で囲まれているために個室性も高いという点がある。今年(2016年)1月に、米国・ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2016」に合わせて運航された羽田~ラスベガス直行臨時便で、座席が平行に並んだ「スタッガード式」のデルタ・ワンは利用したことがあったが、ヘリンボーン式のデルタ・ワンを利用するのは今回が初めてだったので、搭乗前から興味津々だった。利用した座席は中央列左側の「6B」だ。
ヘリンボーン式デルタ・ワンのシートは、斜めに座るという部分に最初こそ違和感があったが、しばらくすると慣れて気にならなくなった。進行方向に対して斜めに座ることで、特に離着陸時の違和感も心配ではあったが、個人的には違和感はほとんどなく、進行方向正面に向いて座る座席との違いはほぼないという印象だった。
座席の機能は、形状こそ違うもののスタッガード式のデルタ・ワンとほぼ同じだ。座席は、座席前方右の壁に用意されているボタンを操作することにより、電動でリクライニングの角度調節やフルフラットへの変化を制御できる。ボタン下部にはUSBポートがあり、スマートフォンやタブレットなどの充電ができる。ボタン前方には、機内エンタテイメント「デルタスタジオ」の大型モニターが収納され、ボタン操作で開いて映画やテレビ番組などを楽しめる。モニター下部には、機内食などで利用する大型テーブルが収納されている。
座席左右には、小型のテーブルやペットボトルホルダー、小物を収納するトレイなどがある。また、座席右に110VのAC電源を用意。ノートPCなどもバッテリの残量を気にせず使用できる。
また、機内ではWi-Fiも利用できた。デルタ航空は10月28日から国際線のすべての機材で機内Wi-Fiを導入しており、ノートPCで仕事をしたり、タブレットやスマートフォンでエンタテイメントシステムを楽しんだりできる。インターネットへの接続は有償で、24時間パスが16ドル。事前にデルタ航空の「トラベルエクストラ」から申し込めるほか、機内でもポータルページから購入可能だ。
もちろん、ビジネスクラスということでアメニティも充実している。搭乗時には、座席に「ヘブンリーベッド」製の枕や掛け布団、ノイズキャンセリングヘッドフォン、アメニティキットが、サイドテーブルには水のペットボトルとおつまみが置かれていた。
アメニティキットはアイマスク、靴下、耳せん、歯磨きセット、マウスウォッシュ、ティッシュ、リップクリーム、ボディローション、ボールペンなどを、米国メーカー「TUMI」製ポーチに収め、機内はもちろん持ち帰って渡航先ホテルでも利用できるスリッパも用意されていた。
フルフラットシートのデルタ・ワンで快適な空の旅
フルフラットシートのデルタ・ワンでの空の旅は今回で2回目だったが、やはり普段使うエコノミークラスのシートとは違う快適さは格別だった。シートに座った直後に運ばれるウェルカムドリンクや、質の高い機内食などもうれしい部分ではあるが、やはりフルフラットシートで、自宅のベッドに近い感覚で休みながら移動できるという点は、エコノミークラスでは味わうことのできない快適さだ。
身長180cmの筆者でも足がつかえることなく伸び伸びと横になり寝られるため、10時間を超える長時間のフライトもまったく苦にならなかった。そして、ゆっくり快適に寝られることで、到着後の体調も万全に近い状態。エコノミークラスの移動では、到着後に疲れが残って観光に出掛けるのが億劫になることもあるが、デルタ・ワンならそういったことはない。
また、隣の人がほとんど気にならないという点もうれしい。エコノミークラスでは、寝ていても隣の人がトイレに立つときなどに起こされたり、隣の人の肘が当たったりすることもある。しかし、ヘリンボーン式デルタ・ワンのシートは、各席から直接通路にアクセスできるので、隣の人を気にする必要がない。
シートをフルフラットにした状態では、隣の席と隔てた壁で隣の人がまったく見えなくなり、ほぼ個室のような感覚で利用できる。カップルでの旅行時にはちょっと残念に感じるかもしれないが、やはり個室感覚で利用できる点は、プライバシーの確保はもちろん、隣の人に気を遣う場面も減り、気分的にも非常に楽だ。
確かに、エコノミークラスと比べるとコストがかかるのは事実。ただ、渡航先への到着後、疲れ知らずで普段どおりにすぐ活動できるという点は、エコノミークラスにはない大きなメリットだ。特に、体力に自信のない年配の方でも、デルタ・ワンの快適さなら海外旅行も安心して楽しめるだろう。
成田を離陸して約11時間後、搭乗したDL616便は無事ミネアポリス・セントポール国際空港に到着した。そして今回は、ミネアポリス・セントポール国際空港から乗り継ぎでナッシュビルへと向かう予定となっていた。空港施設を見学するために、1便遅い便に変えたので、乗り継ぎ時間は4時間半ほどあった。その時間を利用してミネアポリス・セントポール国際空港をじっくり探検してきた。その様子や、実際のミネアポリス・セントポール国際空港での乗り継ぎの利便性については、次回の後編で紹介したいと思う。