ニュース

キャンピングカーも注目の「東京オートサロン2024」に行ってきた。スノーピークがルーフトップテント付トレーラー初公開

2024年1月12日~14日 開催

スノーピークが販売を開始するルーフトップテント付きトレーラーの「フィールドトレーラー」が初公開された

 毎年、千葉県の幕張メッセで開催される「東京オートサロン」。チューニングカーやカスタムカーが集まる自動車イベントで、今年は1月12日~14日の3日間に開催され約23万人という多くのクルマ好きが来場した。

 さて、そのオートサロンでは少しずつではあるがアウトドアレジャー用のカスタムを施したクルマが出展されるようになってきた。今回はキャンピングカーショーでも展示されていないオートサロンならではと言えるキャンピングカー、車中泊仕様車を紹介していこう。

1月12日~14日に開催された「東京オートサロン2024」。幕張メッセの西、中、東、北ホールと屋外スペースを使う大規模なカスタムカーイベントだ

人気キャンプ用品メーカー・スノーピークの意外な新製品「フィールドトレーラー」

 まずはキャンプ用品メーカー「スノーピーク」が初公開したフィールドトレーラー。クルマで牽引するトレーラーに道具を収納できるコンテナを載せ、さらにコンテナの天井に大型のルーフテントを追加した車両。免許区分は普通免許でいいので、新たに牽引免許を取る必要はない。

 ただし、トレーラーをつないで引いて走るには知識やコツが必要。最初は牽引の基本的な運転法の練習をすることになるので、納車時はそういったアドバイスもあるそうだ。価格は261万8000円。

アウトドアレジャーも展開するキャンプ用品メーカー「スノーピーク」がフィールドトレーラーを初公開。普通免許で牽引でき、価格は261万8000円。初日だけ数台の商談が入ったという

 現地にはスノーピークの担当者もいたので、フィールドトレーラーの解説をしていただいた。

 スノーピークは商品の販売を通じて海外に日本流のキャンプスタイルを発信する一方、海外のアウトドアレジャーカルチャーを日本へ取り入れるために常に状況の把握や情報収集をしているというが、そこで目に留まったのがトレーラーの天井にテントを設けるルーフトップテントカルチャー。

 日本でのキャンプはキャンプ場が目的地であることが多いのに対し、海外では目的地に行く途中でキャンプをするという傾向。ゆえにルーフトップテントのように途中で停まって、パッと用意ができる便利さがウケる。

 そうした特徴は日本のキャンプスタイルにもアレンジ次第で取り込めるし、旅キャンプを容易にするトレーラーの存在が日本のキャンプカルチャーに新たな楽しみ方が生んでいくことも期待できるという。

 そこでスノーピークは日本のアウトドア用トレーラーメーカーである「ブラストトレーラー」の協力を経てフィールドトレーラーを開発・発売したのだった。

 トレーラーのサイズは箱部分が全長250cm、幅186cm、高さ153cm(地面からは183cm)で、牽引のためのトング(クルマとつなぐ棒の部分)込みの全長は380cm。このサイズは、製作したブラストトレーラー社の商品ラインアップにはないスノーピーク独自のもの。車体はスチール製、パネルはアルミ製。

幕がフレームから容易に外せる構造なので、濡れたときの乾燥など手入れがしやすい

 トレーラー部はブラストトレーラー製で、ルーフトップテントはスノーピークのオリジナル。幕がフレームから容易に外せる構造にしているので、濡れたときに乾燥する際など手入れしやすいのが特徴。

 展開することで車幅の倍の床面積になり、長さ320cm、テント内の高さ125cm、幅200cm。ルーフトップテントは幕を張った可動式フレームをロープや滑車を使う機構の操作のみで広げられ、撤収はフレームを畳むだけという手軽さもある。操作にはとくに力も要らないので女性でも扱いやすい。

展開することで車幅の倍の床面積になるルーフトップテント。幕を張った可動式フレームを操作するだけで展開でき、撤収もフレームを畳むだけ

 またテント部がコンテナの一部になっているので、テントがクルマやトレーラーの荷室を占領するこがなく、トレーラー部はまるまるカーゴスペースとなる。テント下のスペースはリビング的にも使える。

 目的地としてのキャンプだけでなく、旅の途中で行なうキャンプ泊やほかのアウトドア趣味を楽しむためのキャンプ泊など、クルマ旅やアウトドアレジャーの幅を広げてくれそうなフィールドトレーラーだ。

トレーラー部はまるまるカーゴスペースとして使える
テント下のスペースはリビング的にも
形状やサイズの詳細。道具を運ぶ能力が大幅にアップするのでキャンプ以外の遊びの道具を積むことも可能になる
クルマ旅やアウトドアレジャーの楽しみ方を広げるフィールドトレーラー

サスペンションや居住性の性能に凝るスマイルファクトリーの軽キャンパー「ルアナ」

 次は人気の軽キャンパー。スマイルファクトリーが製作・販売する「オフタイムトラベラー」シリーズから、ポップアップルーフが付いた「ルアナ」を紹介する。

 オプション設定のクロスカントリーパッケージが追加されたモデルで、カスタムカーイベントに出展しているだけに機能面が特徴の1台となっている。

スマイルファクトリーが製作した軽キャンパーの「ルアナ」

 軽バンのカスタムとして人気なのがリフトアップ。これを行なうにはサスペンションを構成するパーツの1つであるスプリングを自由長(全長)の長いものに変えるのだが、スプリングの伸び縮みと一緒に動作するショックアブソーバーのストローク量も同時に変えることが必要となる。

 ただ、そこまで対策していないリフトアップ仕様車では、カーブなどで車体がロールした際、伸びている側のタイヤを路面に押しつける力が弱くなることもあり、そのせいで走行安定性が低下することも。

 そこでスマイルファクトリーはサスペンアションパーツメーカーの「テイン」にリフトアップ用のフロントショックアブソーバーの製作を依頼。リフトアップ用の長いスプリングを組んだ際でもショックの伸び側のストローク量を確保できる造りにしているので、リフトアップ仕様であっても走行安定性の低下はない。

 見た目だけでなく、走りについてもしっかり考えられている。

スポーツサスペンションメーカーのテインに製作依頼しているフロントショック。ストラット形状でスプリングシート位置変更やロッドのストロークを変更しているという凝ったもの。リヤはエアサス

 ルアナは車内の造りをあえてシンプルにしている。軽バンの室内はそれなりの広さがあるが、シンクや家具類など付けると居住スペースが狭くなってしまうので、スマイルファクトリーでは広さを優先している。

 サイズは長さ180cm、幅120cm、高さ100cm(ポップアップしていない状態)。ベッドは2段にもでき、ポップアップ部と2段目ベッドを利用した際、下段を荷物置き場に使える。2段目ベッドの一部を付ければテーブルとしても使える。

ベッドは2段にもできる。ポップアップ部と2段目ベッドを利用した際、下段を荷物置き場に使える
家具や装備を付けない分、ベッドスペースが広いのは使いやすい。2段目ベッドの一部を付ければテーブルとしても使える

 さらに独自の横開き式ポップアップルーフも装備。ポップアップしたスペースに寝られるだけでなく、ルーフを上げるとベッド面から天井の一番高い位置までが2mになり、軽キャンパーながら室内でかがむことなく立つことができるというもの。スペースのサイズは長さ180cm、幅107cm、高さ100cm。

 車内で寝泊まりするときは就寝スペースのことに興味が集中しがちだが、着替えや車内での移動などで「ちゃんと立って動ける」のも重要なことなので、走りの安定性とあわせて居心地がいいのもルアナの特徴だ。

横開き式のポップアップルーフ付き。ポップアップしたスペースに寝られるだけでなく、ルーフを上げると室内でかがむことなく立つこともできる

日産サービスセンターのグロスペイントで個性を出す「キャラバンキャンパー」

 日産サービスセンターが出展していたキャラバンのキャンピングカーもチェックしてきた。日産サービスセンターとは日産車を購入したときに同時に選んでいるオプション品の装着を行っている会社で、キャラバンやNV200では日産ディーラーでも扱うオグショー製パーツの取り付けを行っている。

 そのため展示車にはほぼフル装備のオグショーパーツが装着されていたが、ここで注目したいのはボディ色について。

日産サービスセンターが出展していたキャラバン。内装はオグショーパーツを装着。ボディカラーは日産サービスセンターオリジナルのセミグロスペイント仕上げ

 特徴はつや消しになっているボディカラーであるが、これは日産サービスセンターが新たに始めた「セミグロスペイント」というペイント施工サービスによるもの。

 従来、カスタムペイントして塗られていたつや消し塗装は塗装面がザラザラになる傾向だったので洗車が非常に面倒だった。それに対して日産サービスセンターのセミグロスペイントは塗装面のざらざら感が抑えてあるので、普通の塗装のように洗車機に入れることも可能。

 車体が汚れることも多いアウトドアレジャー用のクルマにも向いたつや消し塗装と言えるだろう。

キャラバン純正色すべてがセミグロスペイント化できる

 また、商用車であるキャラバンは地味目なボディカラーの設定なので遊びのクルマとして乗るときには色にもの足りなさを感じることもあったが、カスタムカー的な要素でもあるつや消し塗装であれば趣味で乗るクルマらしくなってくれる。

 なお、今どきはボディ用のフィルムを貼ることでマットカラーにすることもできるがキャラバンのサイズでは100万円近い費用が必要になることもあるが「セミグロスペイント」では約50万円で仕上げることができる(新車時に塗る場合)。

 色のバリエーションはキャラバンの純正色すべてで、今後はNV200などにも対応していく予定という。

内装はオグショーパーツでキャンピングカー仕様になっている
アルパイン製のスピーカーシステム。市販前の製品。前席の天井、2列目天井、テールゲート手前天井の6箇所に付く
正興電機製の電子調光シェードを装着。これもまだ市販前の製品

ユーアイビーグルの「ハイエース」は、スライドフロアに乗り心地を向上する足まわりが特徴

 ハイエースやキャラバンのパーツ開発・販売でお馴染みユーアイビーグルが出展していたハイエースは、同社のベッドキットやスライドフロア、そして足まわりパーツを装着したもの。

ユーアイビーグルの展示車。フィッシング仕様車となっていた

 内装の特徴は下段のスライドフロア。最大300kgの荷重にも耐える引き出し式のフロアで、引き出し量も最大1400mm。ハイエースやキャラバンは荷室こそ広いが、その分、積んだものが取り出しにくいという点もあった。

 それを解決するスライドフロアを付けることで、キャンプ場で道具を取り出すときにとても便利になる。

このクルマは釣り具メーカー「シマノ」のインストラクターである山本啓人氏が車中泊をしながら釣りをするために作られた釣り専用車。スライドフロアは市販品とは形状が違っている
マルチウェイベッドキット。マットの厚みは1.2mm
ベッドの高さは390mmから610mmまで5段階調整。製品は支柱がスチールだが、海釣りでも使うためこのクルマの支柱は錆びないステンレス製。台座部には補強プレートも入っている
ハイエースの乗り心地を改善する足まわりパーツ。オリジナル減衰力設定のショックアブソーバーはカヤバにオーダーしている。そのほかリヤの突き上げを改善するオプティマリーフスプリングなども装着

普通免許で牽けるブラストトレーラーの「ルーフトップテント付きトレーラー」

 最後に紹介するのは、冒頭のスノーピークフィールドトレーラーのトレーラー部を製作しているブラストトレーラーのルーフトップテント付きトレーラー。

 軽トラックキャビンサイズのトレーラー「ブラストフレイムT-33」にオーバーランダーとルーフトップテントを組み合わせた仕様で、荷台のサイズは長さ194cm、幅128cm(内寸)。アオリは4面とも取り外しでき、テーブルにすることもできる。

 またルーフトップテント内は大人2名+小さい子供2名が就寝できるスペースがある。床面には7cm厚のマットが敷かれる。

ブラストフレイムT-33にオーバーランダーとルーフトップテントをあわせた仕様。人気のある組み合わせだ
荷台のサイズは長さが194cm、幅が128cm(内寸)。アオリは4面とも取り外し可能
アオリをテーブルにすることもできる
大人2名+小さい子供2名が就寝できる広さのルーフトップテント。床面には7cm厚のマットが敷いてある

 ブラストトレーラーのトレーラーは日本で企画・設計して、車体パーツは品質管理をしたうえで中国で生産している。牽引車とつなぐトングはトレーラーの本場であるアメリカ製。そしてホイールが付く車軸に使うハブベアリングは、精度重視で日本製を使うなどコストと品質を両立させるものとしている。

 日本で使うことを前提に作られているので使い勝手がよく、整備性もいい。また、修理を含めたサポート体制もしっかりしている。

ブラストトレーラーの製品は日本で使うことを前提に作られているので使い勝手がよく、整備性もいい。修理を含めたサポート体制もしっかり