車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

整った設備とアウトドア過ぎない環境に安心を感じる、東京から近い避暑地・葉山のRVパーク

RVパークライト スターフォレストキャンプ葉山

ウッドデッキ付きのRVサイトを持つ施設。サイトには水栓、電源、Wi-Fiがあり、24時間利用可能なトイレ、シャワー室もある

 RVパークを訪ねて、初回は房総半島にある「RVパーク七里川」へ行っているのだが、そのあとは三浦半島を飛び越えて伊豆半島の西側、沼津の大瀬崎にある「RVパーク 千鳥マリンサービス」を訪問した。

 この企画に東京周辺の半島を順に回るという決まりがあるわけではないが、房総、伊豆と来たら、三浦半島にも行きたくなるので探してみると、気になったのが「RVパークライト スターフォレストキャンプ葉山」(神奈川県三浦郡葉山町上山口1431-1)。

 少し前にも三浦半島のRVパークを検索したことがあったのだが、そのときは名前がなかったのだ。ということは新規に登録した施設で、RVパークのなかではまだ情報が少ないはず。ということで、今回はこちらに行ってみることにした。

「RVパークライト スターフォレストキャンプ葉山」。スターホームという建築会社が運営。広さのある同社の敷地をRVパークとして活用している

 スターフォレストキャンプ葉山はスターホームという建築会社の運営で、実は4年前の2019年にオープンしている。スターホームは会社の敷地が広く、その活用法を検討したとき提案されたのが「キャンピングカーが利用できるRVサイトを作ること」だった。

 そこでまずは4台が利用できるサイトを作ったところ利用者が多かったので、本社の建屋から少し離れた場所にさらに4台用分のスペースを作り、現在は8台が利用できるようになっている。

 しばらくすると利用者から「テント泊もできないか」という声が上がったので空いている敷地を整地してテント泊用のスペースも追加し、さらに地形を活かして急斜面にウッドデッキを作り、そこにもテントを張れるようにしている。そして2023年6月にRVパークへ加入したということだ。

スターホームの北澤和典氏。RVサイトを作るアイデアは北澤氏によるもの。当初、スターホームの社長はアウトドア趣味はなかったそうだが、RVサイトを運営するようになってからはすっかり目覚め、キャンピングトレーラーを購入するまでなったという

 料金は平日1泊1台につき5000円(5名まで)。土日祝は1泊1台につき5500円(5名まで)。ペット連れの場合は1匹につき500円。トレーラーで来ても牽引車を駐めるスペースがあり、その場合、別途1000円となる。レンタルオプションとしてはテーブル、チェア、たき火台などあるので、必要な場合は事前に予約をする。

 チェックインはセルフで14時から。チェックアウトは11時まで。空いていれば当日予約も可能だ。なお、夜間は無人になるが、緊急連絡電話で対応、監視カメラ作動になる。

 なお、スターホームは注文住宅も手掛ける建築のプロなので施設内の設備は自社で作っているのだが、普段からこだわりのある物件作りを手掛けているので、施設内の手作り系設備はひと手間、ひと工夫されていてシンプルだけどシャレているという印象だった。

スターフォレストキャンプ葉山の全体図。建屋に沿うのがRVサイトA。ここは1~4番のスペースがある。小山を挟んだところにあるのがRVサイトB。ここも1~4番まである。地形を活かして立体的にRVパークやキャンプサイトを展開しているので、実際の敷地より広さを感じる作りになっている
RVサイト紹介の前にキャンプ用サイトの紹介。中央は地面にウッドチップを敷き詰めたウッドチップサイトで、奥がウッドデッキサイト。ともに2組分のスペースとなる
こちらはドッグランサイト。ただのドッグランではなく、ドッグランのなかにテントが張れるというユニークなもの。愛犬をノーリードで遊ばせつつキャンプが楽しめる。こちらは2サイトある
ウッドデッキサイトの横にはヤギとニワトリのいる「やぎ牧場」がある
ニワトリは毎朝卵を産むので、その産みたて卵の販売も行なっている
建屋の横には木が生い茂って小山になっているエリアがある。その斜面に作られたウッドデッキにテントを張れる森林サイト。ここも2サイトあり、こちらは森林デッキBサイト。斜面から突き出ているおもしろい空間
こちらは小山の頂上付近にある森林デッキAというサイト。森林デッキサイトは16時~22時なら備え付けの防火プレート+たき火シートを使うことでたき火ができる

 さて、本題のRVパークだ。こちらの施設では建屋前の「RVサイトA」と小山を挟んだところにある「RVサイトB」があり、それぞれ4台分、合計8台が利用できるようになっているが、事前に場所の予約はできないので(一部大型車は除く)お目当てがある場合は早めにチェックインしておくこと。

 RVサイトAはスターホーム本社駐車場と同じスペースにあるので、路面は舗装と鉄板で整地されていて、駐車スペースのサイズは約6×2.5m。そして各サイトにはウッドデッキが付帯している。

 このウッドデッキのサイズをメジャーで測ってみると縦が約4.6m、横が約2.5mと広いのでテーブルやチェアを置くのはもちろん、テントを張る(ペグ打ちは不可のなので置く)ことも可能だろう。

 なお、ウッドデッキの高さは約20cmあったので、N-VANをデッキぎりぎりに寄せて駐めるとステップとの段差が減って、スライドドアからの乗り込みが楽になった。

RVサイトAの1番。隣のスペースはテントサイト利用者用の駐車スペースだが、ウッドデッキとの間に自車を駐めてあるのでプライベート感はちゃんとある
2番。この場所は両サイドにサイトがあるが、クルマ→ウッドデッキ→クルマの並びなので隣の利用者とはちゃんと隔離される
3番。今回はここを利用させてもらった。隣は共有スペースなのでその仕切りとして柵が設けてある
この柵はしっかりしたもので高さが約90cmあるので、クルマからタープを渡せばポール代わりになりそうだ
1~4番には水栓と電源がそれぞれに付いている。無料のWi-Fiも使える
各サイトは谷に突き出るように組まれた頑丈なデッキの上にある。そのため後方はストンと落ちた地形で下に小川が流れている。取材日は7月の暑い日だったが、谷からの風は涼しく夜も過ごしやすかった

 1~3番は横並びだが、4番は少し離れたところにあり、向きも違うのでこの施設ではもっとも見晴らしがよい場所だ。そのため筆者も最初は4番にしようと思ったのだが実は断念していた。その理由は駐車スペースの都合だった。

 各RVサイトはリアから駐車スペースに入れるのだが、4番だけは後方がほかのサイトより少々狭いようで、テールゲートを開く際、後方にスペースが必要なバンタイプ(N-VANも)では隙間が足りずテールゲートを開けることができないのだ。

 これがハッチバックやセダンなら問題ないが、筆者のN-VANではテールゲートを開けてなにかをすることが多く、それができないのは不便なので4番サイトの利用はあきらめることにしたというわけだ。

 そんなことからバンタイプのクルマで4番サイトを利用したいときは、荷物の出し入れや乗り込みにテールゲートを使わないでいいような荷物の積み方をしていくこと勧める。

RVサイトAの4番はサイトからの眺めがよいので人気だ。ただ、ほかの3つに比べるとスペース後方が狭く、リアから駐めるとバンタイプの場合テールゲートが開けられないので注意
3番と4番の位置関係。4番はほかのスペースから離れているし、後方の見晴らしがよいので人気が高いという。ただ、写真で分かるように4番スペースから県道まで遮るモノがないためデッキが道路から丸見えなのだ。ゆえにこれが気になる人はタープなどを目隠しとして持っていくとよいだろう

 次にRVサイトBを紹介する。こちらはRVサイトAがある建屋から少し離れたところにあり、地面は締まった砂利敷きとなる。そのためこちらはクルマの横にテントやカーサイドタープを張ってキャンプスタイルで利用する人も多いという。

 各スペースのサイズは縦が約6m、横が約5mと広いので、クルマの横に大きめのテントが張れそうだが、地面はしっかりしているので金属ペグでないと刺さらないと思うし、打ち込みもそれなりに大変そうなのでハンマーも必要だろう。

 あと、こちらにはトイレやシャワーがないので利用するには建屋(RVサイトA)まで歩くことになるが、RVサイトAまで1分も掛からないので、アウトドア施設としてはよくある距離感だと思う。

RVサイトBの入口。夜間も空いているのでクルマで出かけることも可能。ただし、ほかの利用者がいるときは22時以降は遠慮したい。ちなみにたき火OKの時間も16時~22時と決められている
奥の壁沿いから1番、2番と並ぶ
黒いクルマが停まっているところが3番、手前が4番。壁にある白い箱は電源で、これを目印にすると3番と4番の間隔が分かるだろう
RVサイトBのすべてのスペースにも個別で電源があるが、水栓はないので水タンクは持参を。建屋横に洗い場がある
RVサイトBからトイレなどある建屋までの距離感はこんな感じ。県道の歩道なので夜でも歩きやすい

きれいなトイレにシャワーなど、RVパークの設備を紹介

 スターフォレストキャンプ葉山は建築会社が運営しているので、施設内の設備は自社で作っている。そして注文住宅やリフォームを手掛けるだけにデザインセンスもあるし、建材や設備類の知識もあるのでそれらを活かした使いやすくきれいな設備を整えている。

予約は「なっぷ」など予約サイトで行なう。チェックインはセルフチェックインで、空いているスペースから選んで駐める
トイレは2つ。女性専用と男女兼用。どちらもシャワートイレで清潔だった
個室前のスペース。GWなど利用者が多いときは仮設トイレを用意することもあるそうだ
洗い場は2か所にある。こちらは施設の入口近くなのでRVサイトBからも使いやすい
シャワーがある建屋内にある洗い場。こちらはお湯が出る
入口横に飲み物の自動販売機がある。なお、施設から葉山方面にクルマで5分ほどのスーパーマーケットがあり、約1km離れたところにコンビニがあるそうだ
薪も売っている。PayPayで会計できるようだ
レンタルサイクルもある。料金は1日で1100円。コンビニに行くときなどは自転車があると楽だろう
3番横の共有スペース。ベンチやテーブルのほか、パラソルやハンモックもあった
こちらは4番横の共有スペース。この横がシャワー棟
近々使用可能になるのが貸し切り用の暖房付きスペース。共有スペースの下にある
内部の感じ。ヒノキ張りの作りだ。暖房を入れるとサウナのように使える

 設備は全体的に清潔感あって使いやすかったが、なかでも筆者的によい印象だったのがシャワー室。こうした施設のシャワーでは脱衣スペースを含めてそそくさと使って出たいようなものもあったりするが、こちらのシャワー室は清潔感はあるし、脱衣所もしっかりしたドアがあって照明もあり、そして扉には鍵も掛かる。また、シャワーブース内にも照明があって換気扇もあるし、肝心のシャワーもお湯の温度はちゃんと上がるし、勢いもあるものだったので気持ちよく使うことができた。

 ただ、近隣への配慮からかシャワーの使用が21時までとなっているので、夕食の時間(片付け含めて)など、日が落ちてからやることについては時間を考えて行動しないとタイムアウトになることもあるし、施設の利用者が多いときは「シャワーに行こう」と思う時間が重複するだろうから、待ち時間も発生しがち。それだけにシャワーを使うときは時間に余裕を持っておいた方がよいだろう。

 ちなみに筆者も気がついたときは21時を過ぎていて夜のシャワーはあきらめ、朝に利用した。朝は7時から使えるようになっている。

シャワーブースは3つあり、1つは2名でも入れる広いもの。この写真がそうだ
あとの2つが1人用。扉付き、照明付き、脱衣かごつきの脱衣所。右側にもう1ブースあるが、そちらは扉を閉めてみた
シャワーブースは照明付き。シャワーヘッドの高さは自由な高さに調整が可能
シャワーブースのスイッチ。照明、換気扇、電源の並びで、利用時は電源のスイッチから入れる
ここからは筆者のスペースの様子をちょっと紹介させていただく。使用したのはRVサイトAの3番。大きな木が東側にあるので午前中は日陰だった。この時期はありがたい条件だ
ウッドデッキの広さは十分なものだった
デッキの高さがあるので室内への乗り降りが楽になった
いつものセット。ハイバックチェアとメッシュテーブル。テント泊ではないし、立ったり座ったりのしさやすさを重視してハイタイプとしている。そしてコンパクトなバーナーセットに直火OKのクッカー
ウッドデッキでもたき火OKだがルールがある。ウッドデッキに対してまずたき火シートを敷き、その上に備えてある防火プレートを置いて、さらにその上にたき火台というセットをするのが決まりだ
ウッドデッキを焦がすと補修費が請求される。危ないのが火の粉がはぜたときで、大きめのものだとデッキを焦がすこともある。その対策としてたき火シートを敷くのだが、筆者はたき火をするときにはたき火台専用のメッシュカバーを掛けて、はぜても火の粉が飛び散らないようにしている。たき火台とカバーのメーカーはコールマンだ
季節的にヤブ蚊などいるのでアウトドア用蚊取り線香を持っていった。これが効いたのか虫刺されは皆無だった
夜、寝苦しかったとき用にファンとポータブル電源も持っていったが、葉山の夜はこれが不要な気温だった
日が落ちて、さて、たき火の撮影をしようと思ったら急に激しい雨が降ってきたのでたき火は中止。コンロでお湯を沸かしていたテーブルもテールゲート下に避難
いつものように簡単な夕食だが、これで十分満足(笑)
RVサイトAは夜間、一部がライトで飾られるので、トイレやシャワーに行くのに照明を持つ必要はない。そしてこれらは22時ごろに消えるので寝るときはしっかり暗くなる
朝、スライドドアを開けるとこの視界。天気もよく気持ちいい朝だった
朝食はちゃんと取るがこれも簡単。簡単食はゴミがあまり出ないのでそこはよいところ

 以上が今回のRVパークライト スターフォレストキャンプ葉山のレポートだ。こちらは大自然のなかにある施設ではないので、そういうの期待していくとちょっと印象が違うだろうが、適度に人がいて適度に野山があるという絶妙なロケーションは、非日常感がありつつアウトドア過ぎないし、トイレやシャワーが落ち着いて使えるものであることも幅広い層に向いていると思う。

 なお、施設の前の県道は生活道路なのでそれなりにクルマは通るが、筆者が利用した平日は、22時を過ぎるとクルマの通行はめっきり減り、そのあとは静かに過ごせた印象だ。

 そんな施設ゆえに週末の予約は取りにくいそうだが、平日は余裕があるという。そしてこの環境を人が少ない状況で利用するはまた気持ちよいものなので(今回の取材がそう)、できれば平日に休みを取って利用してもらいたいと思ったりする。