【イベントレポート】

【パリ航空ショー2017】新型旅客機 ボーイング 787-10型機がパリの空を飛ぶ

フライト予告もなしに飛び立った787ファミリー最新鋭機

2017年6月19日~25日(現地時間) 開催

パリ航空ショーの会場から飛び立っていった新型旅客機 ボーイング 787-10型機

 米ボーイングは、最新鋭旅客機として、ボーイング 787-10型機とボーイング 737 MAX 9型機をパリ航空ショーで展示している。その詳細は関連記事(ボーイング、「787-10」&「737 MAX 9」の飛行試験機内を公開)を見ていただきたいが、この2機の展示はパリ航空ショーの大きな話題となっていた。

 パリ航空ショーでは、各社が競うデモフライトがショーの華となっているが、ボーイングは737 MAX 9型機のデモフライトは実施したものの、より大型の機体となる787-10型機のデモフライト予定はなし。この787-10型機のフライトは、787-10型機が航空ショーから帰路に着く際しか見ることができないものとなっていた。

 そして、そのときは突然やってきた。6月20日15時45分ごろ(現地時間)、ボーイング 787-10型機がトーイングカーに押されて後退を始めた。日本ではボーイング 787-8型機が数多く飛んでおり、ある程度見慣れているものの、胴体部分をストレッチして長胴型となった787-10型機の大きさからくる迫力は格別のものだ。

突如、後退を始めたボーイング 787-10型機
パリ航空ショーのメイン通路を通行止めとし、さらに後退させる
ほぼ後退は終了。ここから787-10型機を引っ張り滑走路エリアまでもっていく
滑走路へ向かうボーイング 787-10型機
滑走路方面へと向かう
機体が大きいので、目の前をエンジンが通り過ぎる
タイヤはブリヂストン製。製造工場は久留米工場となる
787-10型機の各部が頭上を通過していったが、翼が別の機体にぶつかりそうになったので、ここで少し右転回
787-10型機であることが分かりやすい写真。写真を見て分かるように登録記号はN528ZC
路面の色が変わっているところが滑走路エリアとなり、そこから先は一般客の立ち入りが禁止されている。そのため、この辺りで規制を解除していた
飛行機のボディがただ丸いのではなく、複雑な形状をしているのがよく分かる。とくに富士重工業改めスバルが製造する主翼基部の中央翼形状が複雑な断面変化をしており、エリアルールが適用されているのが分かる

 仕様上は、ボーイング 787-8型機が全長56.69m(186フィート)、787-9型機が6m(20フィート)延長した全長63m(206フィート)、787-10型機はそこからさらに5.5m(18フィート)延長した全長68.27m(224フィート)となる。座席数は標準仕様で、242席、290席、330席となっており、787-8型機からは90席以上と増えている。

 このトーイングカーに押し出され、その後けん引された787-10型機はパリ航空ショーのメインの通路を占拠しつつ滑走路へ向かって移動。メインの通路には観客が普通に歩いているが、観客らをロープでゆるく規制しつつの移動となっていた。

滑走路エリアの誘導路をゆるゆると進む787-10型機
このまま離陸かと思いきや、タラップカー登場。なにやらあれこれチェックしていた

 滑走路エリアに到着後、なぜかタラップカーが取り付けられ人の出入りが始まる。テストフライト機だけにあれこれチェックしているようだった。滑走路に進入後は、通常の離陸を実施。パリ航空ショーでは、旅客機などで急角度の上昇が見られることもあるのだが、文字どおり“ふわっと”浮く感じで離陸。乗客が乗っていない飛行機とはいえ、驚くほど短距離で離陸し、そのままパリの空を飛び立っていった。

やっと動き始めた787-10型機
このまま滑走路を右奥に向かい、そのまま飛んでくれるのかと思っていたら……
奥にある滑走路に向かうためか左折してしまった
まったく飛ぶ気配が消えてしまったため、目の前を横切ったヘリコプターを撮影。迷彩に使われる緑の色が米軍より明るく、ヨーロッパを感じる
目の前にやってきたボーイングの新型機737 MAX 9型機
上下に分かれたウィングレット、エンジンのシェブロンノズルなど、新世代旅客機であることが一目で分かる
目の前の通過機を撮影していたら、奥から787-10型機が現われた。明らかに離陸速度ではなく、やはり手前の滑走路から離陸するようだ
離陸スタンバイ
あっという間に地上から浮き上がり飛行体制に。実にスムーズな離陸だった