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ブルガリアとセルビア、東京に政府公認の観光センターを開設

日本旅行業協会会員向けにセミナー開催

2016年3月24日 実施

 日本南東欧経済交流会は3月24日、セルビア、ブルガリア両国政府公認の観光センターを東京・新橋駅前に開設。これに合わせ、JATA(日本旅行業協会)会員の旅行業者向けに、両国を紹介するセミナーを実施した。

 日本南東欧経済交流協会は、ルーマニア、ブルガリア、アルバニア、旧ユーゴスラビア諸国など、バルカン半島付近の国々と日本との経済、文化など相互交流を目的に設立された一般社団法人。諸国への訪問等の活動を行ない、2015年にブルガリア政府観光省、セルビア貿易・観光・通信省との間で、日本人観客誘致を軸としたパートナーシップ協定を締結。両政府公認の観光センターを開設することになった。所在地は東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館216号で、一般の人が訪れて相談することもできるという。

南東欧経済交流会 理事長 西浦喜八郎氏

 セミナーで挨拶した、南東欧経済交流会 理事長の西浦喜八郎氏は、「各国それぞれの活動を基軸にしながら、バルカン半島全体で大きくしていこうという考え。一国は700万人程度と小さいが、全体で大きくものを見ていこうと活動している。そのなかでも、旅行、観光は重要な要素と考えており、まずは国を知っていただく、よいとこを見ていただくのが非常に重要なことで、人と人との交流をしてもらうことが大事だと思っている」と挨拶。

 今回の観光センター開設については、「ブルガリア共和国の観光省で観光大臣と直接協議、セルビア共和国の貿易・観光・通信大臣とも直接協議し、観光センター設立の運びとなった。両国とも、国の観光省から公認され、国の力添え、情報提供を受けられるので、これを機会に皆さまにも多くの情報提供および提案をしたいと思っている」と、国家公認の組織であることの強みをアピールした。

セルビア共和国 ネナド・グリシッチ駐日大使

 また、セミナーには、両国の駐日大使も来場した。

 セルビア共和国のネナド・グリシッチ駐日大使は、南東欧経済交流協会の尽力に感謝を述べたあと、「セルビアだけでなく隣のブルガリアも観光センターを開設ということで二重の喜び。両国は近く、経済もお互いに協力して地域の発展を担っている国なので、一緒に地域を盛り上げていきたい。例えば、日本人観光客にはセルビアで美味しい食事や飲み物を楽しんだあとに、そのまま隣のブルガリアでも楽しんでほしい」と挨拶。

 ブルガリア大使とも仲がよいそうで、「私のよき友人で、テニスも一緒する。この関係をうまく利用してほしい」と旅行商品企画への協力的な姿勢を示した。

南東欧経済交流協会 専務理事 佐々木文徳氏

 併せて、南東欧経済交流協会の専務理事である佐々木文徳氏がセルビアの見どころを紹介。「セルビアというと一番有名なのが(サッカーのドラガン・)ストイコビッチ。近年、セルビアを組み込んだツアーは確実に増加しているものの、まだまだ観光地に関しては知られない部分が多いと思う」と現状を分析。

 観光地としては特定の目的を持ったツーリズムであるSITに向いた土地であるとし、紀元前6000年前後の古代遺跡であるレペンスキ・ビールや、ローマ帝国時代の遺跡。また、パワーサークル/パワースポットも多いという。加えて、ジェルダップ国立公園などドナウ川沿いの観光地も魅力であるとした。

 このほか、フェスティバルも多様なものが開かれていると紹介し、グチャで毎年夏に行なわれるグチャ・トランペット・フェスティバルを代表例として紹介。ジャズフェスティバルや、民俗音楽、舞踊、ワインのお祭りなど、さまざまなフェスティバルがあるので、これらをきっかけとした旅行も推奨した。

 ただ、「セルビア政府観光局でも、セルビア単体でツアーを構成するのは難しいという認識を持っている。そこで、『ノスタルジック・ユーゴスラビア』というテーマでやってはどうかと話をしている。この地域に行く人は年齢の高い方が多いので、セルビアというよりユーゴスラビアという方が受け入れてもらえる」との考えも紹介。

 治安については、「我々にもなんとも言えない状況。この地域に影響があるとすればトルコ情勢は注視しなければならないと思っている。ただ現時点では政治的にも経済的にも非常に安定している」と、予断は許さないが、現時点だけ見れば大きな心配はないとの認識を示した。

ブルガリア共和国 ゲオルギ・ヴァシレフ駐日特命全権大使

 ブルガリア共和国のゲオルギ・ヴァシレフ駐日特命全権大使は、「2014年に日本とブルガリアの観光客交流は47%増加した。2015年は日本ではヨーロッパの交流、観光面では難しい年になったが、ブルガリアへの観光客の変化はあまりない。観光ニーズが変わらず、ブルガリアと日本のお互いの興味が高まっているところで、対応が間に合わない現象も起きている。興味が高くなっているなかでセンターが開設され、日本に地域全体を紹介できることをうれしく思う」と観光センター設立を歓迎。

 また、「セルビア大使は日本語を話せて、よくご存じだと思うが、ブルガリア、セルビアには日本語を話せる人がたくさんいる。ブルガリアでは、小学校でも日本語を学べる学校があり、地域全体で日本を話せる人達がいる」と、日本人観光客に対して言語面での安心感をアピールした。

 ヴァシレフ大使は最後に、「ブルガリアとセルビアの間にはずっと前から大きな問題がある。どちらの国の女性が美しいか、どちらの国の男性が優しいかという問題だ。もちろん、ワインはブルガリアの方が美味しいし、食事はセルビアの方が美味しい」と笑いを誘って挨拶を締めた。

 その後、ブルガリアについても佐々木氏による見どころの紹介が行なわれた。「ブルガリアのイメージでは、ヨーグルト、琴欧洲、そして旅行業界の方にはバラ祭りと、この3つだと思う。ツアーもまだまだバラ祭り中心で、ブルガリアとルーマニアを合わせたコースが主流。訪問先もソフィアなどに集中している」と現状を紹介。

 ブルガリアの観光地としては、有名なドラキア遺跡に代表される古代遺跡、パワースポットなどのほか、「山脈も有名で、とりわけロドピ山脈はトレッキングに向いている。バードウォッチングや野生動物の観察もできる。また、あちこちに温泉がある。黒海のリゾートではルーマニアとの国境付近に国際級のゴルフコースがあり、スキーリゾートもある。JATAの『ヨーロッパの美しい村30選』にはコプリフシティツァがランクインした」と数々の観光地があることを紹介した。

 このほか両国共通の情報として、「ヴァンパイア伝説はルーマニアの専売特許のようになっているが、私達はヴァンパイアの故郷はセルビアかブルガリアだと思っている。セルビアの山には水車小屋があってヴァンパイアがそこに住んでいたという伝説がある。また、ブルガリアの黒海の沿岸では胸に杭を打たれたガイコツが出てきた。題材になるものはいろいろある」とトピックスを紹介した。

 また文化交流として、10月に日本の縄文文化をブルガリアとセルビアに紹介するプロジェクトを進めているという。

セミナー修了後には両国のワインも振る舞われた。写真左がブルガリアのテラ・タングラのワイン。写真右がセルビアのラ・フランクスカ・ヴィナリーハのワイン

【お詫びと訂正】初出時、ブルガリア政府観光局のリンクに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

(編集部:多和田新也)