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シンガポール航空が次世代シート4種を世界初公開。民間航空機最大級のダブルベッド、向かい合わせで食事できるホテルライクな居室を実現したファーストクラスほか

2026年11月6日(現地時間) 公開
シンガポール航空が次世代客室を公開

 シンガポール航空は11月6日、本社のあるシンガポール現地で長距離路線向けの次世代客室を公開した。

 20億シンガポールドル(約2200億円)超を投じてファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスのシートを開発、機内で仕事をしたい人・リラックスして過ごしたい人・睡眠を取りたい人など各種ニーズに合わせて、より直感的な旅行体験を実現すべく新たなデザインを作り上げた。

 新型のシートは2027年後半から順次投入予定で、導入の迫るボーイング 777-9型機には新しいファースト・ビジネス・プレエコ・エコノミークラスを、改修型のエアバス A350-900型機とその長距離型(ULR)をあわせた計41機には新しいビジネスクラスを搭載する。また、A350-900ULRには初めてファーストクラスを設定する。

 新型プレエコとエコノミーをA350へ搭載しない理由については「上級クラスの改修に集中するため」と説明しており、A350の全機改修は2030年までを見込んでいる。

中央列に最大級のダブルベッドを採用したファーストクラス

 ファーストクラスはキャビン全体を湾曲した高い壁とスライドドアで構成することで、通路を確保しつつ個室を最大化しており、窓側席と中央列をオフセット配置することで、ベッドをフラットに展開しても居室内で立ち上がれる空間を生み出した。

 シートピッチは89.5インチ(約227cm)、シート幅は23インチ(約58cm)でアームレスト格納時は最大30インチ(約76cm)。フルフラット時のベッド長は80インチ(約203cm)。

 同社は、このファーストクラスを「天空のプライベートサンクチュアリ(Your private sanctuary in the sky)」と位置付けた。特に中央列の2席については、フルハイトの電動ディバイダーを完全に解除することでひとつながりの居室として扱うことができ、2シーターのソファ、向かい合わせで食事できるテーブル(最大4名に対応)、2人並んで横になれる民間航空機最大級のダブルベッドといった具合に、ホテルライクな過ごし方を提案している。

 アームレスト、サイドウィング、ランバーサポート、レッグレスト、オットマンの調整はすべて電動式で、照明と窓の設定とあわせてお気に入りのシートポジションとして記憶させておくことが可能。次回のフライトでも呼び出すことができる。

 ファーストクラスのデザインはPriestmanGoode、製造はCollins Aerospaceが手掛けた。

ファーストクラスのデザインコンセプト画。通路と壁を湾曲させることで居室空間を生み出していることが分かる
壁の高さいっぱいまで使って大容量の収納を実現する
“天空のプライベートサンクチュアリ”をテーマに
シンガポール航空の次世代ファーストクラス。写真は中央列の2席をひとつながりにした状態
シンガポール航空の次世代ファーストクラス。写真は窓側席
中央列のフルハイト電動ディバイダー
シートの下は機内持込サイズのキャリーバッグが収まる
保存したお気に入りのシートポジションはワンタッチで呼び出せる
個人用モニターの下に備える引き出しとバニティミラー
向かい合わせでテーブルを囲むアレンジに対応
中央列のディバイダーを解除すればダブルベッドが出現する
ファーストクラスのシートについて説明したプリーストマングード ディレクター ベン・ローワン氏

ビジネスクラスは車載装備に着想を得たコクピット志向

 ビジネスクラスのデザインはBMWグループのDesignworksが担当しており、高級自動車のコクピット設計を取り入れた全席前向きの個室型シートを採用した。個人用モニターの下に向かって斜めに折りたたむテーブルによって足元空間の確保を実現したことで、個室への出入りのしやすさにも寄与している。

 全席に背の高いスライドドアを備え、特に中央列の隣り合う2席は中央に電動ディバイダーを設けることで、互いに同行者ならベッドの高さまで下げることでダブルベッドのように過ごすことができる。

 着座状態では、頭のまわりは曲面で構成したヘッドボードに囲われ、体の片側(右は左かは席による)にアームレストと収納、スマートフォンのワイヤレス充電パッドなどを用意する。個人用モニター側には鏡の付いた縦型引き出し、カクテルトレイ、食事中にPCを置ける専用スペースなどを設けた。あらゆる装備にすぐ手が届く作りはクルマの運転席を思わせる車載発想によるもので、ホテルライクなファーストクラスに対して、人工衛星モチーフの柄などテック寄りのデザインに落とし込んだ対比がおもしろい。

 シートピッチは50インチ(127cm)、シート幅は777-9が24インチ(約61cm)、A350が22インチ(約56cm)。

ビジネスクラスシートのコンセプト
シンガポール航空の次世代ビジネスクラス。写真は中央列の2席
シンガポール航空の次世代ビジネスクラス。写真は窓側席
中央列の2席は電動ディバイダーをベッド位置まで下げることでダブルベッドのように過ごせる
背の高いスライドドアとコクピットライクなデザインで包まれ感を実現
人工衛星に着想を得たユニークなデザインパターンを採用した
ビジネスクラスのシートについて説明したデザインワークス CEO スタジオディレクター ジュリア・デ・ボーノ氏

ゆとりある設計に進化したプレエコ&エコノミークラス

 プレミアムエコノミークラスとエコノミークラスは、どちらもFactorydesignがデザインを担当した。

 プレエコはくつろぎと回復をテーマに、シートピッチを従来の38インチから40インチ(約102cm)へ拡大、リクライニング角は8インチから9インチ(約23cm)へ増している。シート幅は19インチ(約48cm)。ヘッドレスト、レッグレスト、フットレストの個別調整にも対応。張地にはフルグレインレザーを採用し、立体クッションを取り入れることで体をしっかり支える作りになっているという。このほか、肘掛けの内側にペットボトルの入る収納、個人用モニターの下にも収納を設けた。

 一方、エコノミークラスはシート構造を再設計することで、前の席がリクライニング状態でも直後の席の脛や膝まわりにゆとりが生まれる形状を採用。テーブルをしまったままでも飲み物を保持する独立タイプのカップホルダーや、スマホやケーブル類、アイマスクなど用途に合わせて入れる場所を選べる仕切り付きのシートポケットを備える。

 3-4-3配列の席数は204席。シートピッチは31~32インチ(約79~81cm)、シート幅は17.6インチ(約45cm)、リクライニング角は最大6インチ(約15cm)。

シートピッチを拡大したプレエコと、シート形状の工夫で空間に余裕を持たせたエコノミー
シンガポール航空の次世代プレミアムエコノミークラス
シンガポール航空の次世代エコノミークラス
新しいキャビンプロダクト全体を説明したシンガポール航空 シニアバイスプレジデント プロダクトエクスペリエンス担当 オン・ワーリー氏
ラウンジや機内食、アメニティ、機内エンターテインメントなど、旅行体験全体を説明したシンガポール航空 シニアバイスプレジデント カスタマーエクスペリエンス担当 ヨー・ピーテック氏