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平成狸合戦ぽんぽこ×多摩モノレール、ラッピング車両を運行開始。多摩丘陵で化学(ばけがく)に奮闘するタヌキ描く

2025年10月17日 実施
車両基地でお披露目した“平成狸合戦ぽんぽこ×多摩の魅力発信”ラッピングモノレール。この1102編成はもともと、ラッピング広告対応車両として白塗装が施されている

 多摩都市モノレールは10月17日、立川市の車両基地において、「“平成狸合戦ぽんぽこ×多摩の魅力発信”ラッピングモノレール」をお披露目した。同夕方から営業運行を開始しており、12月21日までの運行を予定している。

ラッピングモノレール登場の背景

 このラッピングモノレールは、東京都が実施する「平成狸合戦ぽんぽこ×多摩の魅力発信」の一環として実施が決まったもの。1994年に公開されたスタジオジブリのアニメーション作品「平成狸合戦ぽんぽこ」が多摩丘陵を舞台としていることから、今回のコラボが実現した。

 多摩都市モノレールの車両は4両編成だが、今回のコラボでは、1両ずつ異なるラッピングを施しており、いずれも劇中のシーンを用いている。

ラッピングモノレールのサイドビュー(ニュースリリースより)

 なお、多摩都市モノレールではラッピングモノレールの運行に加えて、1日乗車券の販売や、スタンプラリーといった企画を実施している。

 1日乗車券は大人用が890円、子供用が450円で、大人用は5000枚、子供用は3000枚の限定。販売期間は10月17日~12月21日で、発売場所は多摩センター、高幡不動、立川南、立川北、玉川上水の各駅窓口。さらに時間限定で中央大学・明星大学(8時~20時)、立飛(8時~18時)の両駅で取り扱う

コラボレーション一日乗車券の券面デザイン(ニュースリリースより)

 スタンプラリーの実施も10月17日~12月21日で、スタンプは多摩センター、多摩動物公園、立川北、上北台の各駅に設置する。スタンプ台紙も、これらの駅で手に入る。4駅のスタンプを集めて、多摩センターまたは立川北の駅で提示すると、達成賞としてオリジナルカードをもらえるとのこと。

お披露目と出発式

 お披露目に登壇した東京都知事の小池百合子氏は、「多摩丘陵を舞台とする作品とのコラボレーションによって、多摩の魅力を発信しようということでございます。外から見てジブリを楽しみ、車内からは多摩の景色を眺めていただき、多摩モノレールが多摩の魅力を感じられるモビリティとして皆さんとともに歩んでいただければと思います」と述べた。

 また、スタジオジブリ 執行役員の西岡純一氏は、「多摩地域を盛り上げることができないかということで、このプロジェクトがスタートしてから、1年ほどかかりました。これが2か月間走ると思うと、楽しみになってきました。映画のなかで、狸たちは最初は開発に反対するんですが、最後には人間と一緒に、溶け込んで住んでいくことになるんですね」と劇中のストーリー展開を交えて話し、ラッピング車両への期待を表現した。

 多摩都市モノレール 代表取締役社長の奥山宏二氏は、「開業から26年、多摩地域の公共交通機関としてのみならず、街のシンボルとしても定着してきたと感じています。そのモノレールを多摩の魅力発信に活用ということで、大変光栄でございます」とコラボ企画への喜びを表わした。

 そのほか、お披露目には福生市長(東京都市長会会長)の加藤育男氏、奥多摩町長(東京都町村会会長)の師岡伸公氏も臨席している。

東京都知事 小池百合子氏
株式会社スタジオジブリ 執行役員 西岡純一氏
多摩都市モノレール株式会社代表取締役社長 奥山宏二氏
福生市長(東京都市長会会長) 加藤育男氏
奥多摩町長(東京都町村会会長) 師岡伸公氏
テープカット
ラッピングモノレールのサイドビューを描いたボードを持ってのフォトセッション
小池知事と、多摩都市モノレールのPR担当「タマオ」による出発式合図
車両は無事に出庫していった
1号車は「狸たちが化学(ばけがく)を身につける」シーンを描いている
2号車は「4匹の子供たちの子育てをしている」シーン
3号車は「招き猫にうまく化けられずに苦戦する」シーン
4号車は「満月の夜に毬突きをして遊ぶ」シーン

 ここまでは外装の話だが、車内についても多摩地域の市町村について、魅力を紹介する仕様になっている。今回、車内は報道公開の対象になっていないので、対象となる自治体の顔ぶれを示しておく。

「多摩の魅力発信」の対象となる自治体は、全部で30市町村。その顔ぶれを示したボードも用意した

モノレールならではのメリット

 ラッピングモノレールの運行予定は、多摩都市モノレールのWebサイトで事前告知する。現時点では10月31日までの予定を公開している。

 モノレールは既存道路の中央に高架で軌条(走行桁)を設けることが多い。すると、左右にフェンスや防音壁がなく、車体がよく見える。だから、ラッピングモノレールをアピールしやすい。外から撮影する場合でも、街並みを交えるなど、いろいろ工夫ができるだろう。

 多摩都市モノレールは跨座式(こざしき)といって、走行桁にまたがるように縦長の車体を構成している。その関係で、車体の側面が広い。今回のラッピングモノレールは、その広い側面をフルに活用しているから見応えがある。

立川駅付近を走行する多摩都市モノレール。この車両は、多摩動物公園にちなんだラッピングが施されているが、その面積は比較的小さい
高松駅の北西にある車両基地(今回のお披露目の現場)に入庫する車両。側面積の広さや、外からの見やすさがよく分かる

 ちなみに、多摩都市モノレールは甲州街道~満願寺間で中央自動車道をオーバークロスしているから、運とタイミングに恵まれれば、中央道を走るクルマの頭上をラッピングモノレールが……ということも起こり得よう。