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万博、8月13~14日の帰宅困難事案で課題と改善策。SNSなどでの高頻度情報発信、災害対応への早期切り換え、府・市への協力要請など

2025年8月22日 発表
大阪・関西万博が8月13日~14日に発生した帰宅困難事案について改題と改善策を発表

 2025年日本国際博覧会協会は、8月13日~14日に発生した大阪メトロの運休に伴う協会の対応について、課題と今後の改善策を発表した。

 8月13日夜、万博会場の夢洲駅にも乗り入れている大阪メトロ中央線が一部運転見合わせとなったことで、万博来場者に多数の帰宅困難者が発生した事案で、翌朝に運転を再開するまで会場内での足止めが発生した。

 場内に留まった帰宅困難者に対しては、冷房の効いた各パビリオンで受け入れなどを行なっていたが、協会は今回の事案を受けて以下の改善策を挙げている。

(1)アナウンスでの情報発信のタイミングや内容選定、発信方法について見直しが必要

課題

・状況や来場者が取り得る選択肢について、来場者目線で欲しい情報をタイムリーに発信できなかった。
・会場内アナウンスが聞こえにくいとのご意見があった。
・最初の場内アナウンスが英語では流れなかった。

改善策

・事案発生後、速やかに情報発信の責任者を任命
・来場者等への情報提供は、公式Web、Visitors、公式SNS、場内アナウンス等のツールで、なるべく同時に、日英で迅速かつ頻度を増やして発信
・会場内(館内含む)への一斉放送機能の活用
・公式参加者・民間パビリオン等の関係者への情報共有の徹底

(2)会場内に留まる来場者へ提供するサービスや、会場内待機以外の選択肢について見直しが必要

課題

・会場内での待機可能場所を確認して提供するまでに時間を要した。
・水などの提供が夢洲駅周辺の雑踏対策などの初動対応終了後となった。コンセント利用の案内ができず、モバイルバッテリーについても十分に提供できなかった。
・迎車による交通渋滞が懸念され、徒歩での帰宅や自家用車等による迎車帰宅、代替輸送手段の利用等に関する運用の整理が不十分であったため、来場者に対して情報提供ができなかった。

改善策

・滞留場所の確保
  場内施設の収容人数を踏まえた優先順位の高い施設との事前協議
  障がい者などの優先利用の呼びかけ
・インフラ(災害対応への早期切り替え)
  水やおむつなどの備蓄物資の迅速な提供
  緊急時のモバイルバッテリー貸出やコンセントの提供
  会場内営業施設への改めての協力要請
・代替交通手段の検討
  深夜帯は、会場内に留まることを原則推奨
  徒歩での帰宅は推奨せず
  自家用車でのピックアップ:舞洲P&R駐車場や障がい者用駐車場(障がい者などに限定)を活用
  代替バス:障がい者などの優先利用の呼びかけ
  タクシー:障がい者などの優先利用の呼びかけ

(3)より迅速に対応を進められる協会内の危機管理体制の整備や、協会外の関係者との連絡体制の再確認が必要

課題

・重大な交通障害事案であり、災害並みの対応を行うとしながらも、協会内の認識共有が不明確であった。
・しばらくの間復旧の見通しが立たなかった中でも、大阪メトロとの間で迅速かつ確実に情報収集や意思疎通を行えるような連絡体制が必要であった。

改善策

・交通障害時にも災害対策本部を設置することの確認
・事案発生後、速やかに情報発信の責任者を任命(再掲)
・大阪府・大阪市への協力要請(一時滞在施設の提供、医療救護体制の支援、水・食料の提供、人的支援、情報発信)
・メトロなど関係機関との連絡体制の再確認、有事の対応に関する再度の認識合わせ