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土佐のアイドルはマグロもさばく? 1級マグロ解体師・アンジュルム 川村文乃の手際を目の前で見てきた!

「高知家の魚メニューフェア2024」

2024年9月24日 実施

高知県観光大使 川村文乃さん。ガールズグループ「アンジュルム」のサブリーダーを務める

東西に長~い高知県、美味しいお魚の宝庫!

 高知県は、総延長で713kmにもおよぶ海岸線に三方を囲まれ、魚介類の生産額は年間495億円(全国第7位)、47都道府県中で全国第7位につけるほど、海からも川からも、絶品の魚が豊富に獲れるという。

 太古の昔から漁業とともに生き、美味しい魚の食べ方のノウハウを持つ高知県の主催で、高知の魚を使ったメニューを全国約350店の「高知家の魚応援の店」で提供する「高知家のお魚メニューフェア」が開催される。期間は10月1日~2025年1月31日。

 期間中は、高知県が認定する店舗で高知県を代表する「カツオ」「しらす」「ごまさば」「うつぼ」などを使ったメニューを提供する。

高知県は多品種の魚が獲れる(高知県水産振興課資料より)

 フェアに先立ち、9月24日に先行して東京・月島で、一部提供メニューの試食会が行なわれた。そして、このイベントでは、もう一つ驚くべき事実が……。

「おさかな天国」といえるほど魚が豊富な高知県では、出身アイドルがマグロを丸々一本解体できるというのだ。本記事では高知県と魚の関わり・歴史を探りつつ、先日芸能界からの引退を表明した、高知県観光大使のアンジュルム 川村文乃さんのトークショー、マグロ解体の様子もたっぷりお伝えしていこう。

戦にカツオ携行? 「海のギャング」をタタキで? 選べない高知のお魚セレクション

川村さんが持っている看板を出す店で、特別メニューを提供する

 高知県水産振興部によると、日本国内で獲れる4500種の魚のうち、高知県内だけで、実に2100種類もの魚が獲れるという。ただ各魚種の漁獲高は多くなく、いわば「少量多品種」状態だそうだ。

 高知県の魚事情は多様性にあふれ、美味しいお魚の食べ方も熟知している方も多いという。さっそく、それぞれの魚と高知県の付き合いの歴史を追ってみよう。

カツオ

 眼前の太平洋に黒潮が流れる土佐国(高知県)では、平安時代にはすでに「朝廷への貢物」としてカツオが献上されていたようだ。また戦国時代には「勝男武士」との縁起のよい当て字で、干した鰹の生節を非常食として持ち歩いていたという。

 旬のカツオとして知られるのは、3月~5月ごろにエサを求めて北上する「初ガツオ」と、9~11月ごろに暖かい海域へ戻る「戻りガツオ」。また、ソウダガツオと呼ばれる品種は、干して生節にすると風味が引き立つ。

宗田節をたっぷりかけたお好み焼き。特性の木箱に入れて提供する

いざ実食!

 今回のメニューフェアは東京・月島の「もんじゃストリート」と提携。発表会の会場となった「おしお 和店」では、お好み焼きのトッピングとして宗田節の削り節を提供するという。

 ダシを獲れるほど風味や旨味が濃い宗田節で、お好み焼きが、味・香りともにグン!とランクアップする。いつも食べ慣れている方こそ、食べていただきたい逸品だ。

試食会で提供された高知県産マグロ

マグロ

 高知県東部の室戸市では、江戸時代からマグロ漁が盛んで、昭和40年代には出荷高90億円(高知県全体の45%)、市の歳入の6割近くをマグロが占めたという(室戸市史より)。漁船の数が少なくなった今でも、居酒屋・料理屋が立ち並ぶ室戸港周辺の街並みから、往時の活気を思い越すことができる。

うつぼ

 ヘビのようなグロテスクな見かけで、タコ・カニなどを強力な顎でかみ砕く。「海のギャング」とも呼ばれるウツボだが……見かけによらず、淡白で身がしまり、とっても上品な味だ。

 このうつぼは、あまりにも凶暴な見かけもあって、食べる習慣があるのは高知県・和歌山県くらい。しかも、高知県でも食べられはじめたのは「たたきにすると意外と美味しい」と気づかれるのは、昭和30年ごろのこと。全国のほとんどの方が、ウツボの美味しさに気づいていないだろう。

 このほか「しらす」「キンメダイ」、川からは「アユ」など、おススメの魚は多種多様。「高知家の魚メニューフェア2024」参加店での食べ比べをお勧めしたい。

高知のお魚はさまざま

土佐のアイドルはカツオもさばく! 引退間近・川村文乃さんマグロ解体レポート

 そして、「高知家の魚メニューフェア2024」発表会のスペシャルゲスト登場! アイドルとしてはめずらしい「1級マグロ解体師」の資格を持つ高知県観光大使・アンジュルム 川村文乃さんが登壇した。

 高知県で生まれ育った川村さんはさまざまな魚が身近な存在で、小学5年生のころにはすでに、カツオを丸々一本さばいていたという。また好きな魚として、一部地域でしか食べることができない「宗田鰹の新子」(生後1年未満のものの刺身。鮮度が落ちるのが早く、わずかな期間しか食べられない)を挙げるなど、「どれだけ知ってるの!」と驚くような魚への愛情の深さをうかがわせた。

宗田鰹の「新子」。高知県の一部地域で2か月弱しか食べることができない

 そしていよいよ、マグロ解体を開始。約40kgの高知県産キハダマグロを、包丁を駆使してカブト、カマと手際よく切り落としていく。切り落とされたマグロの半身は色も鮮やかで、川村さんいわく「いい色しちゅうき(土佐弁で「いい色をしている」)、よだれがたれそう」と語り、「カマの部分は塩焼きがよい」などの美味しい食べ方の解説を挟みつつ、20分少々でマグロの解体を完了。テンポよく見事な手際に、詰めかけた報道陣も我を忘れて盛大な拍手を送っていた。

 なお川村さんは、今年秋の全国ツアー「ANGERME 10th ANNIVERSARY TOUR 2024 AUTUMN『ROOTS』」をもってアンジュルムを卒業、同時に芸能界を引退することを発表している。ツアーはすでに始まっており、故郷・高知県の「高知県民文化ホール・オレンジホール」での凱旋公演のあと、11月28日の日本武道館でのライブが、川村さんにとって最後のステージとなる。

 長いようで短かった芸能生活もあとわずか。マグロやカツオもさばける多彩な川村文乃さんが、今後どのように大志を突き進むのか。引退まであと2か月、堅苦しい別れではなく、合言葉は「バイバイ」で見守っていきたい。