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NEXCO東日本、関東支社の道路管制センターをリニューアル

道路工事の談合疑惑に関しては捜査結果待ち。定例記者会見より

2016年1月21日 実施

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は1月21日、2015年度9回目となる定例記者会見を開催。冒頭、NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏が、同社管区内の東日本大震災で被災した道路復興事業に関し、1月20日に東京地検特捜部と公正取引委員会により独占禁止法違反の疑い(談合疑惑)で工事を受注した道路舗装各社に対して強制捜査が行なわれている件に関してコメントしたほか、大雪への対応状況や関東支社道路管制センターのリニューアルに関して発表した。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 廣瀨博氏

 廣瀨氏は1点目として、同社東北支社が発注した道路工事に関する談合疑惑について次のようにコメント。「1月20日、東京地検特捜部が当社東北支社発注の道路舗装工事の調達手続きにおきまして、談合の疑いがあるとして道路舗装会社に対しまして、強制捜査が行なわれたことは、マスコミ報道で知りました。東日本大震災の復興の一助となるべく、私どもとして鋭意取り組んできた工事におきまして、報道されているような不正な入札参加行為の疑いがあるということは、誠に遺憾であります。当社といたしましては、捜査当局の捜査状況を注視いたしますとともに、当局の捜査に対して協力いたします。なお、捜査結果が出た際には、それに基づいて厳正に対処したいと思います」。

 記者からの「2011年7月に談合疑惑が浮上したときにどう対処したのか?」「捜査の結果、談合が行なわれたと確定した場合には、今後どう対処するのか?」という問いに対して、廣瀨氏は「2011年に匿名の方からの申告で、談合の疑惑が浮上したときには、社内で対策委員会を設置し、弁護士にも参加していただいて検討したところ、公正取引委員会に報告するべき事態だと判断して報告いたしました。翌日から、入札に参加している各社から事情を聞き、談合をしないと誓約書を提出していただいております。それによると、談合の事実はないとのことでした。そのため、その後は入札手続きを進めました。当社では談合が行なわれないようにマニュアルを整備しておりますが、捜査結果によってはこれらの見直しの検討が必要だと思います」と述べた。

 2点目として、1月18日未明から関東甲信越や東北地方で大雪となった件に関して同社の対応状況について解説。「太平洋沿岸を発達しながら通過した低気圧の影響で1月18日未明から関東甲信越や東北地方などで大雪となり、当社が管理する高速道路でも関東地方の関越道や東北道、一部の圏央道、東京外環道などを中心に通行止めとなりましたが、大半の路線は18日の夕方までには通行止めを解除いたしました。今回は、事前の降雪予報をふまえまして、当社のWebページやTwitterでのお客様への注意喚起、除雪体制の強化として新潟方面から、かねて準備していたとおりに首都圏への除雪車の応援派遣などを行ないました。なお、1月21日12時の状況として、東北や新潟でチェーン規制や速度規制を実施している区間もありますが、NEXCO東日本管内の雪による通行止めはございません。1月23日からの降雪予報に関しても万全を期していきたいと思います」。

 3点目として、関東支社道路管制センターのリニューアルオープンに関して次のように発表した。「関東支社道路管制センターは、1都7県の高速道路1345kmを集中管理しています。これは全国最多の道路事象を扱っております。本施設を2月25日にリニューアルオープンいたします。新しい道路管制センターの特色は3つあります。1つ目は、“耐震性能と防災機能の強化”です。2つ目は“情報提供の高度化”。3つ目は“管制運用の高度化”です。最新のICT技術を活用し、お客様のサービス向上に努めていきたいと思います。耐震性に関しましては、高速道路の管制センターとしては初となる高い耐震性と床免震構造を採用しております。耐震性能としては、マグニチュード7.3(400ガル)、震度6~7対応となっています。首都直下型地震など、大規模災害にも耐えうる構造です。また、ヘリポートや自家発電施設なども設置されています。投資額は64億円です。また、有事の際には、他支社との管制機能のバックアップを可能とする監視制御システムを採用しています。情報提供の高度化に関しては、渋滞の伸縮傾向の情報提供などをSA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)の情報ターミナルなどに供給し、複数経路の所要時間などの情報も提供します。さらに、重要な事象の強調表示や、一定時間で英語表示に切り替えるなどの機能を追加します。管制運用の高度化に関しては、78台ある高速道路パトロールカー各車からのGPSによる位置情報や車載カメラの情報の集約、1日平均260件前後ある事故や故障車、道路に障害物が落下しているなどの状況を分かりやすく表示する、国内の道路管制センターとしては最大級の情報表示用大型ディスプレイ(5.5×17m)を設置します」。

関東支社道路管制センターの外観
内部には、国内の道路管制センターとしては最大級の情報表示用大型ディスプレイ(5.5×17m)を設置
道路情報の提供では、重要な事象の強調表示や、一定時間で英語表示に切り替えるなどの機能を追加

 続いて、12月の営業概要について、取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏と取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏より以下のように解説があった。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏

 12月の通行台数、料金収入の速報値は、通行台数が1日平均約277万台(対前年比4.9%増)で、料金収入が660億円(同5.5%増)となった。通行台数の要因として、山内氏は「常磐道の全線開通や圏央道の新規開通のほか、12月は天候に恵まれたのが要因と考えています。料金収入につきましては、通行台数の増加により連動して増加したものと考えます」と解説した。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏

 SA/PAの売上高は約103億円(対前年比2.2%増加)。分野別では、飲食・商品販売が約74億円で対前年比4.5%の増加、ガソリンスタンド部門は約29億円で同3.5%の減少となっている。この要因として、萩原隆一氏は「飲食や商品販売では、2014年の同月と比べ天候に恵まれたのが要因で交通量が伸び、それに比例して売上高も伸びたのではないかと考えています。ガソリンスタンドは給油数量は増加しているものの、リッター単価が26円ほど低下しているため、売上高は2014年を下回っています」と解説した。

 続けて、山内氏より2015年における同社管内における交通事故の発生状況について次のように説明が行なわれた。「今からご説明する資料は、NEXCO東日本管内における速報値となっています。2015年の死亡事故件数は、47件50人で前年に比べて10件13人減少しています。また死亡事故率は、0.14件/億台キロと前年に比べて18%減少しています。死亡事故件数と死亡事故率ともに過去最低となっています。死亡事故に負傷事故を加えた、死傷事故件数も前年に比べて件数、事故率ともに減少しています。

 死亡事故の要因は、“単独事故”と、停止した車両に別な車両が衝突する“停止車両衝突事故”、事故により車外に放出されて死傷する“車外放出による事故”の3つに分けられます。当社では、痛ましい交通事故を防げるように警察など関係機関と連携し、安全に対する啓発活動や道路の安全対策を進めて参ります。とはいえ、事故に関しては、ドライバーの皆様の意識による部分も大きいため、日頃から安全に対する意識を高く持っていただければと思います」

2015年の交通事故の発生状況
2015年の死亡事故の要因と事例
高速道路における緊急時の対処法
高速道路利用の心得

 萩原氏より、「SA・PAメニューコンテスト全国大会」の案内も行なわれたが、本件については、レポート記事「NEXCO 3社共同のSA/PAメニューコンテスト全国大会を開催」をご覧いただきたい。

 また、NEXCO東日本のSA・PAに設置されているインフォメーション34カ所が2015年12月25日付けで日本政府観光局(JNTO)の「外国人観光案内所」の“カテゴリー1”として認定されたことが報告された。カテゴリー1は、“パートタイムや電話通訳などで英語の対応が可能。地域の観光案内を提供など”と規定されている。

(編集部:柴田 進)