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NEXCO東日本、民営化10周年に伴う施策について解説

6月度定例会見より

2015年6月24日 実施

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は6月24日、6月度の定例記者会見を開催。新たな取締役の選任の件、民営化後10年になること、観光振興についての新たな取り組み、2015年5月の営業概要について説明が行なわれた。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 廣瀨博氏

 まず、NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏より、新たな取締役選任の件についての説明が行なわれた。

 「取締役兼常務執行役員 事業開発本部長の鹿島幹男が昨日の定期株主総会の終結をもって退任いたしまして、執行役員総務経理本部人事部長でありました萩原隆一が、後任として就任いたしましたことを、この場を借りてご報告させていただきます」と述べた。

 次に、廣瀬氏は今年が民営化後10周年となる節目の年であることについて「当社は平成17年(2005年)10月に発足いたしまして、本年10月で民営化後10年を迎えます。日本道路公団等、民営化関係施行法では、法律の施行後10年以内に民営化の施行状況について検討を行なうとされております。今年の5月11日付けで国土交通省に高速道路機構・会社の業務点検検討会というのが設置されまして、機構および各道路会社が自己点検した状況を説明させていただき、その結果が国土幹線道路部会に報告されることになります。当社はこれまで2回のヒアリングを受け、機構への確実な賃借料のお支払い、建設区間の早期開通や建設コストの縮減、料金割引やSA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)でのお客様サービスの向上など、民営化の目的に対する当社の取り組みをご説明してきました。点検の結果については、今後7月を目処にとりまとめられると聞いております。

 当社グループでは引き続き、グループ一丸となって、次の6点を対応していきたいと思っております。1点目は、老朽化対策および大規模更新修繕の着実な実施、2点目は“SMH”、スマートメンテナンスハイウェイの略称ですが、このSMHの基本計画に基づきまして、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム、“SIP”と略されておりますけども、さまざまな研究開発等の着実な推進、3点目が圏央道、外環道の着実な整備、4点目が首都圏高速道路を賢く使うための料金体系に向けた対応、5点目が休憩施設リニューアル等による、心地よい空間作り、6点目が当社のWebサイト『ドラぷら』を活用いたしました情報関連事業やドローンを活用した事業などの新規事業開発の加速、この6点について重点的に取り組んで参りたいと思います」と述べた。

 さらに、観光振興についての新たな取り組みについて「すでに報道されておりますが、観光庁の広域観光周遊ルートにつきまして、6月12日に、全国で7つのルートが認定されたという発表がありました。当社の業務担当区域では、北海道の道東地区と、東北の2つのルートが認定されております。今後、具体的な動きが関係自治体等を含めて、出てくるのではないかと思っております。当社は、2年前に本社と支社に観光推進を担当する専任役ということで、観光推進役というものを配置し、旅行業への参画など地域の観光振興に向けて、数々の取り組みを実施いたしております。もちろん、今申し上げました2つの地域に限ったことではありませんが、地域の観光振興につきまして引き続き積極的に協力させていただきたいと考えております」と述べた。

 廣瀬氏は、特に北海道や東北は面積が広く、さまざまな観光資源が点在しているため、高速道路を利用することで効率的に周遊できると述べた。さらに、最近、訪日外国人旅行者が激増しており、外国人旅行者にもレンタカーが非常に便利であるため、これまで以上にレンタカー会社との連携を密に行なっていきたいと語った。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏

 続いて、NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏が、2015年5月の通行台数と料金収入についての営業概要の解説を行なった。その中で、2015年5月の通行台数は約281万台、対前年比で1.5%の増加となること、料金収入は約699億2000万円、対前年比で7.5%の増加となることが明らかにされた。その理由について、山内氏は、常磐道の全線開通や圏央道の新規供用の影響、ゴールデンウィーク後半が5連休となったことによって交通量が増加したと考えていると語った。また、料金収入が通行台数の伸びよりも大きく増加していることについては、昨年5月は激変緩和措置として、一部の料金割引きが拡充されていたことが要因であるとした。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏

 最後に、鹿島氏に代わって新たにNEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長に就任した萩原隆一氏が、2015年5月のSA/PA関係の売上高についての営業概要の解説を行なった。その中で、2015年5月のSA/PAの売上高は137億4400万円で、対前年比で1.3%の増加となることを明らかにした。また、その内訳は、飲食、商品販売が103億5000万円で対前年比5.4%の増加、ガソリンスタンドは33億9000万円で対前年比9.5%の減少であると述べた。その理由について、萩原氏は、交通量と同じく、5月は休日が昨年より2日多く、5連休がゴールデンウィークの終盤にあったことが寄与していると考えていると語った。また、ガソリンスタンドの売上高が大きく減少していることについては、ガソリンや軽油の価格が昨年よりも24円ほど低下しているため、売上油量については昨年を上回っているのだが、売上高は9.5%も減少してしまったと述べた。

 最後に質疑応答が行なわれ、その中で、廣瀬社長が民営化10周年を記念して、さまざまなイベントを計画中であることや、ドローンの利用は主に点検・整備のためであり、事故などを起こさないためのガイドラインを作成済みであることを明らかにした。5月に開催された国際ドローン展で、グループ会社の1社である中日本ハイウェイ・エンジニアリングがドローンを高速道路や橋梁の点検などに利用する取り組みについて紹介を行なっており(第1回国際ドローン展レポート)、同様の取り組みをNEXCO東日本でも行なっていると思われる。また、国土交通省は、平成28年度(2016年度)より、首都圏の高速道路料金をシームレスでわかりやすい料金体系にするという基本方針を打ち出しているが、NEXCO東日本もそうした新しい料金体系に向けた準備を行なっていることも明らかにされた。

石井英男