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パナソニック、「CES 2016」で4K対応シートモニタ搭載の飛行機用ビジネスクラスシート展示

2016年1月6日~9日(現地時間) 開催

CES 2016のパナソニックブースで展示された4Kシートモニタ搭載のビジネスクラスシート

 パナソニックは、米国ネバダ州ラスベガスで開催中の国際家電見本市「CES 2016」に出展したブースにおいて、パナソニック・アビオニクスが2019年の導入を目指す4K表示対応シートモニタを搭載した飛行機用ビジネスクラスシートなどを展示した。

 展示されているビジネスクラスシートは、「Waterfront」というプロジェクトネームで呼ばれており、米国の飛行機用機内設備メーカーであるB/E Aerospaceのシートを用いたもので、シート部分以外はパナソニックアビオニクスで開発したものであるという。

 シートモニタは23型で4K(3840×2160ドット)の表示に対応。この4Kシートモニタに直接タッチすることで操作可能なほか、7型タブレット状のセカンドディスプレイや、ケーブルで接続されたコントローラによる操作に対応する。

23型の4K対応シートモニタ。タッチにも対応
シートはB/E Aerospace製。テーブルは21型ノートPCを置けるスペースを確保したという
7型のタブレット風セカンドディスプレイからも操作可能。収納時も一部が顔を出している状態に留まり、さまざまな情報が表示される。また、収納部で無接点充電も行なわれる

 さらに、自分のスマートフォンやタブレットといった個人デバイスを機内エンタテイメントシステムと紐付けて、セカンドディスプレイと同様の操作を行なえるようにする機能もある。この紐付けは、4Kシートモニタをスマホなどに内蔵されたカメラに収めるだけで認識される。なお、セカンドディスプレイや個人デバイスからは操作のみを行なえ、コンテンツそのものは表示できないとのことだ。

 このほか、USBポートを2個とHDMI入力を装備。USBポートの1つは充電用で、もう1つはデータ用。サイドテーブルには個別デバイスを充電するための無接点充電器を装備。対応規格は、日本では「おくだけ充電」でも使われていた5V/500mAに対応したQi方式で、パナソニックが個人向けに発売していた充電器のように、デバイスを置くと自動的に場所をスキャンして充電を開始するもの。セカンドディスプレイも同様に無接点充電を利用している。

 ヘッドフォンはUSB接続のノイズキャンセリング対応のデジタルヘッドフォンで、飛行機用のシステムでデジタルヘッドフォンを採用しているのは現時点でパナソニックだけであるとした。

 照明は色と明るさを調整可能で、ディスプレイまわりのムードライトや靴の収納スペース、ペットボトルホルダー部分など6カ所の照明を個別に設定できるようになっている。

個人所有のデバイスと紐付けて、スマホなどからも操作が可能
サイドテーブルの一部にQi対応の無接点充電器を内蔵。無造作に置いてもデバイスの位置をスキャンして充電を開始する
Qi充電台を開けると2個のUSBとHDMI入力、ユニバーサルACコンセントを備える。テーブルを閉じた状態でもケーブルを引き出せるよう2カ所に切り欠きを設けている
シート脇にワイヤードのコントローラを搭載。ボタンだけのシンプルなコントローラにすることで小型化した
セカンドディスプレイから照明を調整可能
各照明部を独立して制御できる。写真は物入れ部分とペットボトルホルダーで異なる照明を設定した例
シートテーブル後方にも2個のUSBとユニバーサルACコンセントを装備。ヘッドフォンはUSB接続のノイズキャンセリング対応デジタルヘッドフォン

 また、13型のフルHD(1920×1080ドット)表示対応シートモニタを搭載したエコノミークラスシートも展示された。こちらは「Jazz」のプロジェクトネームで呼ばれている。シートは同じくB/E Aerospaceのもの。こちらは2017年半ばの導入を目指している。

 ディスプレイはタッチに対応し、水平視野角170度のIPS液晶を搭載する。ただし、隣の人にディスプレイを見られたくないというニーズもあるため、プライバシースクリーンをオプションで用意し、航空会社の要望に応じて装備するという。

 設備としてはスマホやタブレットなどを固定できるバンドを備える点や、横に収納するテーブルを備えることが特徴。横に開くテーブルは、足を組んだ時に便利なように設計されたものという。インターフェースは先述のビジネスクラスシートと同様に、HDMI入力と充電用USB、データ用USBを用意している。

エコノミークラスの新シートも展示
13型のフルHD表示対応IPS液晶。タッチ操作にも対応する
充電中などにテーブルを出すことなくスマホを固定できるゴムバンド式のホルダーを備える。インターフェースは2個のUSBとHDMI入力
テーブルは2種類を展示。現在主流の手前に2段階開くテーブルのほか、横にスライドして2段階に広がることで足を組んで過ごしやすいタイプも提案している
スマホホルダーの形状もテーブルタイプにより異なる。横にスライドするテーブル(写真左)は、テーブル利用時のみタブレットなどに利用できるホルダーを備える

 パナソニック・アビオニクス関連では、機内インターネット接続用のKuバンドに対応した衛星通信アンテナも2種類展示した。1つは製品化されているもので、アンテナが回転するタイプのもの。従来のアンテナは2枚のパネルを使っていたが、これを1枚とすることで小型軽量化した。もう1つは2017年の導入を目指すフラットパネル型のアンテナ。パネル状にトランスミッタとレシーバをパターン化して搭載する。

機内インターネット接続に用いるKuバンド対応のアンテナ。こちらは2017年の導入を目指すフラットパネルタイプ
同じくKuバンドアンテナで、従来モデル同様に回転するが、パネルを1枚としたタイプ
こちらは機内エンタテイメントシステムと個人所有デバイスを連携させる「PANAsky」
スマホ/タブレットアプリ側でパーソナライズされており、フライト情報や、そのフライトで視聴できるビデオなどを事前にチェックできる
機内システム側に表示されるIDを、個人所有デバイスに入力することで紐付けされる
映画などは、機内システムに接続していない状況では予告動画しか表示できず、予約のみができる。機内システムに接続後、予約したものを機内システムのディスプレイで表示できる仕組みになっている

 このほか、パナソニックブース内では、「Light ID」と呼ばれる、光を通じて固有の情報を送受信する技術も展示していた。バックライトを使った駅構内図に、専用アプリをインストールしたスマホのカメラをかざすことで情報を読み取ることで、駅構内の情報を詳細に紹介したWebサイトへ飛ぶことなどができる。認識は非常に速く、光にかざして1秒かかるかかからないかのタイミングで画面が切り替わっていた。

 これは、PWM制御で高速に明暗させることで固有の情報を持つ光を発しており、スマホの専用アプリがそれを読み取るというもの。専用アプリはまずiPhone用から提供される。Light IDを正確に読み取れるようにカメラのイメージセンサー側のスキャンレートを最適化する制御などを組み込んでいるため、Android版ではハードウェアのバリエーションの多さが課題になりそうとのことだった。

 活用としてはQRコードに近いことを考えられるが、光っている物体にかざすだけで、特定の場所にカメラを向ける必要がないので、混雑時などでもストレスなく利用できるのが利点となりそうだ。

 日本では4月から東京ビックサイトの案内板として導入が決まっているという。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みはもちろんのこと、急増している訪日外国人向けの情報提供が課題となっているなかで、例えば、物理的な案内板は1つでも、Light IDを使ってWebサイトへ誘導することで多言語の情報を提供するといった応用もあるようだ。

よく見る光る看板や、単なる光った建物の模型に見えるが、「Light ID」と呼ばれる固有情報を持った光になっており、専用アプリを使って読み取ると関連Webサイトの表示などを行なえる

(編集部:多和田新也)