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タイ国政府観光庁、2020年の日本人観光客200万人を目標にJATAと覚書締結

2015年11月27日 調印

覚書に調印するタイ国政府観光庁のユッタサック・スパソーン総裁(左)と、日本旅行業協会の田川博己会長(JTB代表取締役会長)

 タイ国政府観光庁とJATA(日本旅行業協会)、JETRO(日本貿易振興機構)、テレビ朝日は11月27日、それぞれタイと日本の観光に関して連携と協力を行なう覚書に調印した。今後、タイ政府では、日本人観光大使を新たに任命するなど、さまざまな施策を展開し、2020年までにタイへの邦人観光客を200万人まで拡大したい考えだ。

 タイは、観光立国を目指して外国人観光客の誘致を進めており、2015年の邦人観光客は130万人になる見込みだという。とはいえ、2013年に150万人とピークを迎えた邦人観光客も2014年に激減。2015年の回復する見込みであることについては「8月の爆弾テロ事件を受けた観光客の減少は思ったよりも緩やかで、2016年の予約も順調」(タイ国政府観光庁 ユッタサック・スパソーン総裁)という。

タイ国政府観光庁 ユッタサック・スパソーン総裁(左)とJATA 田川博己会長

 JATAとの覚書では、加盟する旅行会社の店舗カウンターのスタッフに対して、タイの魅力を伝える教育プランを策定。全国でセミナーやワークショップを開催するほか、インターネットを通じて学べるEラーニングサイトも構築して、スタッフにタイの魅力を再発見してもらう。一定の知識を得たスタッフに対しては、「タイの専門家としての表彰も考えている」(同)という。

 共同のプロモーションも実施する計画で、JATA会員各社が発売するタイ旅行のパッケージのプロモーションに協力する。イベントなども実施していきたい考えだ。

 タイの魅力を伝えるにあたって、今回新たに「ゴルフ」と「食」に着目。日本プロゴルフ協会の前会長である森静雄氏をゴルフに関する観光大使に、コカレストランなどを運営する小島由夫氏を食に関する観光大使に任命し、それぞれの知見を活かしたアピールをしていく。ほかに「美容・健康」もテーマに、他国との差別化を図って邦人観光客の拡大を目指す。

ゴルフに関する観光大使に任命された森静雄氏(右)
食に関する観光大使としては小島由夫氏(右)が任命された

 現在、邦人観光客の8割はリピーターで、「初めてタイを訪れる」という人は2割程度だという。リピーター向けの施策としては、よく知られた観光地だけでなく、それ以外の土地の魅力を伝えることで、新たな需要を掘り越したい考え。人気都市のチェンマイに対して、歴史のあるランパンやランプーンといった土地を紹介するといった例を挙げ、そういった人気都市以外の都市でも観光地としての準備も進めていく意向。

 初回訪問客の拡大も重視し、国内では大都市だけでなく、今までPRが少なかった都市でもアピールする。ターゲット層としては若者とプロ・アマチュアゴルファー、マラソンランナーを想定する。

 こうした誘致活動により、リピーターと初回訪問客の割合を7:3にしつつ、200万人の大台を達成したい考えだ。

JETROバンコク事務所の保住正保所長(右)

 JETROとの協業では、工場視察のような産業観光の拡大に関するノウハウに加え、タイ国内に「道の駅」を準備するためのノウハウも提供される。「1.48億バーツの予算が割り当てられており、今年中に148カ所のミニ道の駅が作られる予定」(同)で、まずはタイ石油公社のガソリンスタンドに小さなキオスクを設け、情報発信、地方名産の販売を行なっていくという。さらに、2~3年後を目処に、日本並みの大きな道の駅も構築していく計画。

 これは、基本的にタイ国内の観光客向けだという。「タイ人は買い物が好きだが、情報がなくてその地の名産を買わないということもある。道の駅で名産を販売することで、その地方も潤う」とスパソーン総裁。道の駅によって「点在している観光地を線で結ぶ」(同)ことを狙い、現在タイ人の国内観光増加を目指す。現在、外国人観光客とタイ人の国内観光は6:4で、これを5:5にしたいとしている。

 これらの施策に加え、遠方から来る欧米観光客の滞在期間が長く、1日当たりの消費金額も7000~8000バーツであるのに対し、邦人観光客は5000バーツ程度で、これも欧米観光客並みに拡大していくような施策も検討していくとしている。

テレビ朝日の総合ビジネス局長・川島保男氏(右)

 テレビ朝日とは、コンテンツ制作や放送に関しての覚書で、タイ国政府観光庁とともに、日本・タイ間の観光客の拡大に繋がるような番組制作やイベントの実施などが計画されている。2015年の年越しには、タイからのカウントダウンも放映されるそうだ。

 27日の調印式には、タイ政府からソムキッド・ジャトゥシーピタック副首相とコープカーン・ワッタナワラーンクーン観光・スポーツ大臣も立ち会っており、スパソーン総裁は、国を挙げて観光客誘致に向けて具体的な取り組みを続けていく考えを示している。

タイ政府のソムキッド・ジャトゥシーピタック副首相(左から2番目)とコープカーン・ワッタナワラーンクーン観光・スポーツ大臣(左から1番目)

(小山安博)