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市内交通と巧みに連携を図る北陸新幹線の「富山駅」に行ってみた

富山駅南側。新幹線関連の建物は完成している

 北陸新幹線の「富山駅」は速達列車「かがやき」が停車する主要駅で、2015年4月現在では、地上駅を高架駅に移行する工事が進行中。この工事は2017年度に完成予定となっている。とはいえ、新幹線関連の施設と駅の南側周辺の整備はほぼ完成しており、その全容が見えてきた。その富山駅の様子をレポートする。

 富山駅は北陸新幹線のホームが高架2面2線、在来線のJR西日本 高山線と「あいの風とやま鉄道」は地上3面6線で構成されている。2017年のリニューアル工事が完成すると、在来線は2面5線となる予定だ。新幹線ホームは、11番線と12番線が東京方面用、13番線、14番線が金沢方面用として運用されており、金沢駅~富山駅間でシャトル運行する「つるぎ」の多くは14番線から発着する。ホームには、待合室と喫煙所があるほか、11番線と12番線ホームには、富山名物「ますのすし」などの駅弁やお土産を売る小さい売店がある。

富山駅の11番線、12番線。他の北陸新幹線の駅と同じに駅全体が降雪対策で屋根で覆われている
北陸新幹線のホームは高架2面2線
11番線と12番線ホームには、富山名物「ますのすし」などの駅弁やお土産を売る小さい売店がある
在来線のホームは1面分が完成していた

 ホーム下は中2階のコンコースになっており、在来線の改札と土産物屋などが多く集まる「きときと市場とやマルシェ」につながる改札口がある。取材した3月15日には、在来線の改札口はまだ使われていなかった。コンコースを降りると「中央改札口」がある。どちらの改札にも、みどりの窓口とJR西日本のネット予約サービス「5489」「エクスプレス予約」の受け取り発券機が設置されている。

中央改札口の様子
在来線や「きときと市場とやマルシェ」につながる2階改札口
在来線の改札口はまだ使われていなかった
中央改札口の脇にも富山名物「ますのすし」や駅弁、お土産を売る売店がある

 中央改札口を出ると、北側に「あいの風とやま鉄道」の改札、正面に富山地方鉄道富山市内軌道線こと市内を走る路面電車の「富山駅停留場」がある。この停留場は新幹線の改札口から100mも離れていない場所にあるため、乗り換えが非常に便利だ。市内軌道線は、在来線が高架になるのに併せ、富山駅の下をくぐって富山駅の北側を運行する富山ライトレールと2018年度に線路が接続する予定になっており、開業すれば南北の交通利便性が向上する。富山市は、JR西日本の富山港線を引き継いで「富山ライトレール」として運営、いち早く低床式車両を導入するなど、鉄道を巧みに活用した施策で有名だ。新幹線の改札と市電の停留所をこれだけ近く配置しているのも、新幹線と市電を連携させる施策の一端といえる。

新幹線の改札口から100mも離れていない場所にある富山地方鉄道富山市内軌道線こと市内を走る路面電車の「富山駅停留場」
駅の建物内と駅の外からのアクセスが容易な設計。通路はバリアフリー設計となっている
新幹線の高架下に駅があるため、市電が駅の富山駅の建物内に乗り入れる
富山駅の建物内から入口を望む
富山の市電はレトロな7000形と低床式の9000形、サントラム(T100形)が走る

 新幹線の東京側の高架下には、駅ナカのショッピング施設「きときと市場とやマルシェ」があり、土産物はもちろん、特産品の販売やフードコートなどもある。

駅ナカのショッピング施設「きときと市場とやマルシェ」
土産物はもちろん、特産品の販売やフードコートなどもある
富山と言えば新鮮な魚介類が名産、「きときと市場とやマルシェ」には回転寿司屋もある

 新幹線と在来線の高架の間には通路が作られており、「きときと市場とやマルシェ」につながっている。この通路にはIC式と鍵式のコインロッカーや、観光案内所、水飲み場、ショッピング施設などにつながっている。

新幹線の高架(右)と在来線の高架(左)。この境目の部分に通路がある
通路に観光案内所や日本旅行の店舗がある
富山の水道水が飲める「水飲み場」。水道水とは思えない美味しさだった
IC式と鍵式のコインロッカー

 駅の南側には、バスとタクシーの発着場と商業施設「ESTA」「マリエとやま」があり、富山地方鉄道の始発駅である「電鉄富山駅」が「ESTA」内に入っている。

駅の南側には商業施設「ESTA」「マリエとやま」がある
富山地方鉄道の始発駅である「電鉄富山駅」が「ESTA」内に入っている

 駅の北側は、バスとタクシーの発着場と富山ライトレールの停留所がある。やや南側と比べると小規模な印象だが、リニューアルに併せて整備される予定だ。駅の北側と南側は地下通路でつながっている。

富山駅の北側
駅前にある富山ライトレールの停留所
コミュニティホール「アーバンプレイス」
富山駅の完成イメージ

編集部:柴田 進